新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

岸田文雄総理の総裁不出馬宣言に思う

2024-08-15 07:13:14 | コラム
矢張り例によって「唐突」な決断だった感が:

実は、偽らざる所を言えば「色々と揣摩憶測はあっても、結果としては岸田さんが残るのでは」と何となく推理していた。決して得意の「閃き」があった訳ではなく。しかし、既に「我と思わん者は名乗りを上げて出てきて欲しいものだ」という希望は述べてあった。

私は申し訳ないことで、繰り返し岸田総理を「国民の生活が楽になることは殆どしておられない」と批判してきたので、この度の不出馬宣言は“Better late than never.”だと判断した。唐突感は免れないとしても、決断は評価して差し上げねばなるまいと思う。

噂というかマスコミ論調の中で最も鋭さを感じた、陳腐な言い方をすれば「清新の気に満ち溢れているのかも」と感じたのは「コバホーク」こと小林鷹之だった。彼の岸田総理と同じ東京開成高校から東大法学部を経て大蔵省、さらにハーバード大学で修士を取っていたという経歴も申し分はない。岸田内閣で閣僚経験もあり、その際の発言の鋭さと明晰さを思わせた頭脳は将来有望かとみていた。49歳という年齢も今となれば魅力を感じる。

そこで、昨14日夜のPrime Newsで田崎史郎、久江雅彦、岩田明子の論客というか、消息通の有名政治ジャーナリストたちのご意見を聞くことにした。彼等が決定的なことを言う訳がないとは承知して聞いていたのだが、「最善ではなくてもセカンドベストのタイミングだった」と言う不出馬宣言に至るまでの取材の結果を聞けたのは面白かったが、そこまでの話。

お三方が一致して指摘した問題点には興味を惹かれた。それは、岸田総理が後継者に「真のドリームチームを作って欲しい」と希望されたことだった。即ち、その意味するところは「岸田総理はドリームチームを作れていなかったことになるからだ」という指摘なのである。多少揚げ足取り的な感があるが、「私が作り上げる道半ばだったが」とでも言って置かれれば済んだことだろうし、私はここで引く決意をされた無念さの表現だったと読んだ。

私は揚げ足を取るという点では、岸田総理が「ノーサイド」という余りにも陳腐なカタカナ語を使われたのは残念至極だった。これは(敢えて我が国のマスコミが褒め称えると言うが)「試合終了後は敵味方もなく健闘を称え合う」という古い時代のラグビー界の用語である。問題にしたいのは「勉強不足ではありませんか」という点。

即ち、本家のUKでも最早死語に近くなっていると聞いている“no side”を引用された感覚の古さだ。時代遅れなマスコミの用語を引用されたのが残念なのだ。その意味では、野球で使われている左利きを表す「サウスポー」がアメリカで死語になっているのにも拘わらず、我が国では「左利き」という日本を死語にした出鱈目な感覚にも似ているのだ。

事の序でドナルド・トランプ氏の選挙用の標語 "MAGA”即ち”Make America Great Again“も批判しよう。英語の感覚では「今はグレイトではない」という解釈が成り立ってしまうのだ。私は「トランプ氏がMAGAを強調される意味は、彼の重要な支持者層である労働者階層(working classと言う言葉を使っておられた)であるラストベルトの製造業界の労働組合員たちに向かって『嘗ての栄光を取り戻すぞ』と語りかけておられるのだ」と解釈している。

話が本筋から逸れてしまったが、私が思うには「自由民主党の全員がここで奮起して、岸田文雄氏の次を担う難局である現代を背負える者を選び出せないと、政権交代程度の簡単なことでは済まないだろう」と危惧しているほど、我が国を自民党政権が劣化させてしまったと自覚して貰いたいのだ。長老推したからとか、旧派閥の支持がどうとか、推薦人が集まるまいとか等々の、私に言わせれば些末なことにかまけていられる時ではない」のではないか。

自由民主党は全員で「旧態依然」からの脱却を全力で図らないことには、現在の岸田内閣の低支持率を再び上昇させることなど不可能になってしまう。何時まで経っても80歳を超えた旧世代のご意向(威光)を承っている有様を、国民の中には嘲笑っている者がいるとは知らないのかな。


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