新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

MLBの野球に思う

2019-03-18 08:25:21 | コラム
矢張り身体能力ショーの傾向が見えた:

昨17日は久しぶりにMLBの球団が東京で開幕前の手慣らしの試合をするのを観戦する機会を得た。午後一番からは懐かしきシアトル・マリナーズ対読売巨人軍の試合だった。懐かしきという理由(ワケ)はマリナーズはW社本社があったワシントン州の球団で、我が事業部がキングドームがあった頃にはボックス席、セーフコ・フィールド(現在は改名したそうだが)には年間指定席を持っていたので、アメリカに出張中にはお客様をご案内したり、休日には同僚たちと観戦に行って親しんでいたからである。

兎に角、マリナーズは弱小球団であり、地元のファンたちはその弱いところを懸命になって応援するのが楽しみなのかと言いたいほど良く負けていた。私は1980年代に入ってアメリカ出張の回数が増えるに従って休日を持て余すようになったので、キングドームには良く通っていたのだった。初めてあのドーム球場に入ってMLBの野球を見た時の感激は未だに忘れられないのだ。未だ見慣れていない私の目には洗練された上手さと華麗さが際立って見えたのだった。当時はオールスターにも選ばれた名二塁手のリチャードドソン(だったと思うが)が在籍していてその上手さには感動した記憶がある。

マリナーズは不思議な球団でドラフトでは優れた素材を引き当ててくるのだが、その折角の選手たちが期待通りに育って有名になってくるといともアッサリと他球団に売り払って移籍金を稼ぐようなことを繰り返していた。その典型的な例が93年に1位指名して入団させた「かのアレックス・ロドリゲス」で、彼がリーグ屈指の打者とショートストップで育つや否やレッドソックスに移籍させてしまうのだった。言うまでもないことで、NYヤンキースのスタートなった「Aロッド」のことである。そのロドリゲスはシアトル在籍中に何度か見る機会があったが、力強い打者だなと言う印象だった。

彼の他にもケン・グリフィーJRのような攻守走と三拍子揃った外野手も育てていたが、確か彼も移籍して出ていった。最近ではNYヤンキースの主力打者だったロビンソン・カノーも獲得していたが、昨日の試合にはいなかったところを見ると、最早移籍したのだろう。

読売と対戦していたマリナーズには未だに弱小球団の面影が残っており、読売が昨シーズンは不出来だった田口を出してくるとあっという間に打ち砕いて4点を取って勝ちに持って行ってしまった。私は田口という投手は以前から評価していないのだが、昨日の出来は悲惨だった。結局はあの程度の球の力では強力な身体能力を誇る主として中南米系の選手たちには通用しないということを身を以て示したに過ぎなかったと思う。解説の元マリナーズの長谷川滋利は同情的な事を言っていたが、あれでは今シーズンも苦しい1年になるだろうと思う。

私は常々「MLBの野球は南米系の選手を増やせば増やすほど身体能力ショーと化して往年の深みもない、非頭脳的な野球に成り下がった」と貶してきた。昨日の対読売戦と言い、夜間の日本ハム対オークランドアスレチックスの試合でもその感は否めなかった。張本勲が屡々扱き下ろしているように「我が国のように高校生の頃から甲子園での勝ちを目指して細かい技巧までを精密に叩き込まれていない、野球しか出来ないというか経験していない単能機のような中南米勢を増やしたのでは、あのような「力任せの野球」の大味な野球になってしまうのは仕方がない」と思うのだ。

往年のMLBには高校から大学にかけて三大スポーツであるベースボール、フットボール、バスケットボールで全身の運動神経を隈無く鍛え上げただけではなく、プロになる時には三大スポーツの中の何れを選ぼうかと悩むほど身体能力と運動への適性を鍛え上げたあるのだ。最近の例ではシアトル・スイホークスのQB・ラッセル・ウイルソンはフットボールのシーズンオフにはMLBに挑戦したりしていたし、古きはバスケットボールの神様・マイクル・ジョーダンはMLB昇格を目指して挑戦していた例があった。

ところが、ドミニカ等の中南米出身の(妙な表現になるがアフリカ系の血を引く)選手たちはその優れた身体能力を活かして活躍をするが、その野球に対する知識というか我が国で教ええているような細かい点までの教育が不十分であり、屡々張本勲の批判されるような凡プレーが多いのが難点だと思う。しかし、彼らはその欠陥をものともしないような身体能力を活かして読売と日本ハムを圧倒して見せた。だが、あの試合振りでは菅野や上沢のような投手に出会えば苦戦するだろうと思わせるように、アスレチックスはオリックスから移ってきた金子には手こずっていた。

最早アメリカでMLBの野球を見る機会もなくなった私には、今後我が国の指導者たちがどのような鍛え方で、身体能力ショーのようになってきたアメリカの野球と対抗する計画か知らないが、高校の頃にあれほど技巧というか“skill”を叩き込んである以上、残された課題は身体能力の強化は必須ではないかと思って、昨日は2試合を眺めていた。



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