新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

関税は誰が負担するのか

2017-01-28 08:24:28 | コラム
トランプ政権が主張される「関税」とは:

私は正直に言って、今回のトランプ政権発足以来従来の貿易についての国際的取り決めというのか慣行が良く解らなくなってしまった。それはスパイサー報道官がエヤーフォース・ワンの中で「メキシコとの国境に建設する壁の費用をメキシコが払わないのであれば、メキシコからの輸入品に20%の関税を賦課すれば115億ドル(だったか、と言うのも15年度のメキシコの対米黒字は579億ドル)が捻出出来るので、直ぐに完済可能」と発言していたのだったから。

私は常識として関税とは輸入者が負担するものであり、我が国の関税法にも、

「(納税義務者)第六条 関税は、この法律又は関税定率法 その他関税に関する法律に別段の規定がある場合を除く外、貨物を輸入する者が、これを納める義務がある。」

という規定がある。だが、スパイサー報道官の発言を聞いていると、その20%をメキシコ側が負担するので費用は直ぐに完済されると指摘しているのだとしか考えられなかった。果たして、メキシコがアメリカに輸出品を送り込む度に20%もの税金を払うことを受け入れる性質なのだろうか。アメリカの輸入者は関税を免除されるのだろうか。

トランプ政権はその前に二国間協定を結んでかかる関税を賦課することの合意を取り付けねばならないのだろうが、メキシコとても片道ではなく、アメリカからの輸入品にも同率の関税をかけると主張するのではないのだろうか。

トランプ大統領は選挙期間中から“border tax”の賦課を声高に言っておられた。これは「国境税」と訳せば良いのかとも思うが、私はこの件に関しては全く知識がないのでブリタニカ国際百科事典で調べてみると、

<輸出入により商品が国境を出入りする際に賦課あるいは還付される租税。輸入品に対し国内産品と同率の消費税の全部または一部を課す輸入調整税と,輸出品に対し国内で課せられた消費税の全部または一部を還付する輸出戻し税とがあり,国境税調整ともいわれる。(中略)GATTの規約違反にはならないとされている。(中略)アメリカは貿易自由化の原則に照らして撤廃すべきであると主張している>

あった。何れにせよ、輸入者が負担する税金のことかなと思ってしまう。

何れにせよ、「アメリカファースト」を第一義に置かれ、“Make America Great Again”を推進される以上、アメリカの富を流出させていると見なされている中国やメキシコ等の対米輸出国に対して厳しい姿勢を採り続けられるだろう方針は変わるまい。因みに、産経新聞によれば、2015年度の実績では我が国はアメリカの貿易赤字では第2位のドイツの773億ドルよりも遙かに少ない第4位の554億ドルである。第1位は勿論中国で3,341億ドルだ。メキシコは第3位で579億ドルでしかない。


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