湯の字にっき

日々の日記をつらつらと綴っております

バート、考

2012-08-13 | 畑中さんのこと。
気のせいかもしれないけど。

追いかけるシーンで、ゆっくり、から、駆け出す、の手前
下手の端まで、あと1.2歩、というところ
走る彼の横顔に笑みが広がったのを見た気がした回があって。

たぶん、前方下手で見たのは8/11の夜の回だと思うけれど、その時に。

ここ、畑中さんばっかり見ていて、チャーリーがいつ捌けるのかタイミングわからないんですが、
もしかしたら、追いかけながら彼は、チャーリーに、逃げろ、逃げ切ってくれと思っていて
チャーリーが舞台上からいなくなる時に、笑ったのかもしれないと思ったりした。
追いかけてるの一応アルジャーノンだけどね。

そんなこんななバートのコトばかり。

原作の前書きにもあったけど「チャーリーは私だ」と思われる読者さんが多数いるそうなんですが、
私は読んだ時も、舞台観た時も、そんな風には思えなくて、
だけれども、この登場人物の中でいちばん自分に近い人は誰かと問われたらバートかなと思っていた。

まぁ。似てると思ったのは彼の中のちょっとした卑屈な部分で
(それだって想像だし)
気の利く中間管理職的な気配りとか
安心させてくれる笑顔とか、誠実さとかは全然なんですけどね。

彼のようにやさしくも親切でもないので違うところは多々あれど。
それなりに要領よく、それなりに勉強もこなし、けれど自分より上を行く人がいることを知っていて
自分の能力との折り合いのつけ方も知っているから

チャーリーが自分を越えたことも、内心の葛藤はあれ、ちゃんと認めることが出来ている。
認めた方が楽だということも知っている。

そのくせ傷付けたくないとか混乱させたくないという理由で
伝えるべき出来事を言い出せなくて、言い訳ばかり並べて
落ち込んだりしてる。

おためごかしな慰めや、自分の知っている範囲の想像で、わかる、と言ってしまい
余計に傷付けたりして。

だけれども。
戻ってきたチャーリーに手を差し出す彼は、温かい、大きな手をしていて。
チャーリーにとって、とても心強い友人だったのだろうな。

畑中さんの魅力に、手の動き、があると思うのだけれど。
バートはそんな畑中さんの演じた役だからこそ
人間味溢れる存在としてそこにいたと思うの。

チャーリーにカードを見せたり、
迷路の説明をしたり、
ペンをとらせて競争させたり
アルジャーノンを見せる時の
いたずらっぽい仕種も
君は成長しているという時の彼を押しとどめようとする時も
大丈夫と言っていたようだった彼の手。

パーティー会場でチャーリーのそばに寄る時も、
自分の影に怯えるチャーリーに送っていくよと言う時も。
安心と信頼を親しさを与えてくれてるようだった彼の手。

ストップウォッチを持って時間を計ってもいいか問う時も
最後のロールシャッハテストのカードを持ちながら
うなだれる時も。
無くしてしまう前に、つなぎ止めようと必至だった彼の手。

いつもいつも、チャーリーに向かい合って
やさしくしてくれてありがとう。
なんだかとても嬉しかったの。

アルジャーノンをチャーリーに渡してくれてありがとう。
原作ではチャーリーが自分で見つけているけれど、
バートが渡してくれたのでよかった。

バートを演じていたのが畑中さんでよかった。
赤裸々だなぁ。
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