気ままに

大船での気ままな生活日誌

MOA美術館 琳派展

2021-11-01 10:06:40 | Weblog

おはようございます。

熱海のMOA美術館で琳派展が開かれている。MOAの琳派作品といえば、光琳の最高傑作といわれる国宝・紅白梅図屏風がまず、思い浮かぶ。でもこれは年に一度、熱海梅園が賑わう梅の季節にしか公開されない。当然、今回の琳派展にもお出ましにならない。でもMOAの琳派コレクションは、光悦、宗達、光琳、乾山、そして江戸琳派の抱一まで優品がそろっているので、大将は奥で寝ていても困らないのだ。

さて、ぼくが本展で一番期待していたのは、光悦と宗達コラボ作品の鹿下絵新古今和歌巻断簡。さまざまな姿態や動作を見せる鹿の群像を俵屋宗達が金銀泥で描いた料紙に、本阿弥光悦が新古今和歌集の和歌二十八首を選んで書いた豪華な和歌巻である。もとは約22メートルの一巻の和歌巻で、益田鈍翁が所蔵していたが、現在は切り取られ、断簡となり、前半部はMOA、山種美術館などの諸家、そして後半部はシアトル美術館が所蔵している。すなわち、国内では断簡しかみられない。でも、MOAは前半部の多くを所持しているので、2018年リニューアルオープン特別展では、断簡の軸装ではなく、巻物そのものを展示していた。それを見たかった。

2018年の展示。ふたつの断簡と、さらに、前半部のかなりの部分を含む(全長4~5メートル)和歌巻。その画巻↓。

そして、今回は、下のこの断簡の軸装だけ。秋くれば ときはの山の まつかぜも うつる斗(ばかり)に 身にぞしみける(和泉式部)軸装にされているのは、これともう一つだったと思う。残りは巻物に残してあると思うのだが。

ちょっと、残念だったが、光悦と宗達の名品はほかにいくつもみられ、ご機嫌に(笑)。

光悦の花卉摺絵新古今集和歌巻 金銀泥を用いて梅・藤・竹・勺薬・蔦の下絵を反復して摺り上げた版画下絵の料紙に、新古今和歌集の恋歌二十一首を選んで散らし書きした一巻である。全長九メートルにおよぶ。これは巻物として残っている。これも断簡にならねばいいが。

光悦の重文・樵夫蒔絵硯箱 蓋の甲盛りを山形に高く作り、蓋と身の四隅を丸くとったいわゆる袋形の硯箱である。樵夫は、謡曲「志賀」に取材した大伴黒主を表したものと考えられている。

宗達の伊勢物語図 西の対図 

宗達 源氏物語 紅葉賀図

宗達 源氏物語 末摘花・手習図

宗達 竜虎図

さて、以下は尾形光琳と乾山、兄弟の作品が並びます。

光琳 秋吉中宮の図 源氏物語第21段”乙女”に取材。大振りの唐草文様の几帳を背に、十二単の中宮。

光琳 寒山拾得

光琳 伊勢物語図 武蔵野・河内越 もとは六曲一双の屏風中の二扇。穏やかな大和絵の手法で抒情的に描く。

光琳 武蔵野 武蔵野に潜む二人を追っ手が火をかける野焼きの段

光琳 河内越 妻に不審をいだいた夫が庭に隠れて伺う高安の段

光琳 虎図屏風

ほかにも光琳作品がいっぱい。

光琳・乾山との兄弟コラボ。錆絵寿老人図角皿

乾山 色絵吉野山図透鉢

乾山 色絵菊向付

乾山 銹絵染付梅花散文蓋物 

乾山 色絵紅葉香合

乾山 色絵十二か月歌絵皿(重文)定家の花と鳥の歌各一首ずつを皿の裏面に書き、表面にその意を表した絵を色絵で描く。

一月

二月

十二月(右)裏面に”元禄十五のとし 十二月朔日 乾山陶隠深省画(花押)”と署名がある。

江戸琳派の酒井抱一の作品

抱一 伊勢物語 宇津山

抱一 月に秋草図

抱一 藤蓮楓図

抱一 雪月花図(重美) 

琳派は作風に対する共感などにより後の作家に継承された流派です。江戸時代初期の本阿弥光悦や俵屋宗達らにより始まり、中期の尾形光琳・乾山へと発展し、後期に酒井抱一・鈴木其一がその芸術の再興を志しました。琳派の作品は絵画をはじめ漆芸、陶磁、染織など様々な工芸に及び、斬新で多彩な意匠が創出されました。本展では本阿弥光悦書・俵屋宗達絵の「鹿下絵新古今集和歌巻」、尾形光琳筆「秋好中宮図」、酒井抱一筆「藤蓮楓図」など、琳派の代表作家における絵画と工芸の優品を展観することで、今なお私たちの生活のなかに生き続ける琳派芸術の魅力をご紹介します(ホームページより)

では、最後に現代作家による国宝・紅白梅図屏風のオマージュ作品を。

杉村博司 月下紅白梅図 (2017)

とても楽しい展覧会でした。撮影OKもうれしい。こうして二度、楽しめる。

それでは、みなさん、今日も一日、お元気で!

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