令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

憶良編(12)我許(わがり)来まさむ

2009年09月17日 | 憶良編
【掲載日:平成21年9月29日】

ひさかたの あまの川瀬に 船けて
           今夜こよひか君が わがまさむ



七月七日 今日 その日 年に 一度の 七夕あきの宵

〔おお 天の川の中ほど 星のゆらめき〕 
牽牛ひこぼしの つま迎へぶね 漕ぎらし あま川原かはらに 霧の立てるは
《彦星の 迎えの船が 出たんやな 天の川原に 霧出てるがな》 
                         ―山上憶良―〔巻八・一五二七〕 

織姫おりひめさん さぞかし ときめいて おられるじゃろう〕 
天の川 ふつの波音なみおと 騒ぐなり わが待つ君し 舟出すらしも
《天の川 波ざわざわと 騒いでる うち待つあんた 船したんや》
                         ―山上憶良―〔巻八・一五二九〕 
ひさかたの あまの川瀬に 船けて 今夜こよひか君が わがまさむ
《天の川 船浮かばして 今夜こんや来る あんたと逢える うち待つ岸で》
                         ―山上憶良―〔巻八・一五一九〕 
かすみつ 天の川原に 君待つと いゆきかへるに の裾ぬれぬ
《霞んでる 川原かわらまで出て あんた待つ 行ったり来たり 裾まで濡らし》
                         ―山上憶良―〔巻八・一五二八〕 
あまかは 相向き立ちて わが恋ひし 君ますなり ひも解きけな
《天の川 隔て離され 焦がれ待つ あんた来る来る 早よ支度したくせな》
                         ―山上憶良―〔巻八・一五一八〕 
秋風の 吹きにし日より いつしかと  わが待ち恋ひし 君そ来ませる 
立秋あきの風 吹いた時から 待ちに待つ うち待つあんた ようやっと来る》
                         ―山上憶良―〔巻八・一五二三〕 

〔ああ 雲が 
 二人の逢瀬おうせ 雲が隠す
 雲のやつ 気遣きづかいか・・・
今宵 過ぎれば 一年後か 
 切ない 別れが 待っている 
 その時の 思い・・・〕 
玉かぎる 髣髴ほのかに見えて 別れなば もとなや恋ひむ 達ふ時までは
《喜びの 逢瀬おうせ束の間 夜明よあけたら また焦がれや 今度逢うまで》
                         ―山上憶良―〔巻八・一五二六〕 

雲の晴れ間 
輝き増す 牽牛けんぎゅうぼし と 織姫おりひめぼし