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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

人麻呂歌集編(24)神代し恨(うら)めし

2012年04月20日 | 人麻呂歌集編
【掲載日:平成24年4月20日】

ひさかたの あましるしと し川 へだてて置きし 神代かみようらめし



舞台天上てんじょう 地上は桟敷さじき 待つは一年ひととせ 上演一夜ひとよ
七夕たなばた劇の 幕引き上がる 固唾かたず見守る 一幕ひとまく浪漫ろまん

【地上】七夕たなばた待って 夢せ仰ぐ

あめの海に 雲の波立ち 月の舟 星の林に ぎ隠る見ゆ
天海てんうみや 雲は波やで つきふねや ほしはやしやで ぐのん見える》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一〇六八)
赤らひく 色ぐはし子を しば見れば人妻ゆゑに れ恋ひぬべし
ほおこて 色っぽい織姫ひと 見てると 彦星だんなるのに 惚れて仕舞しまうで》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・一九九九)
夕星ゆふつつも かよ天道あまぢを 何時いつまでか あふぎて待たむ 月人つきひと壮士をとこ
明星みょうじょうも かよそらみち 仰ぎ見て どんだけ待つか 彦星ひこぼしさんよ》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇一〇)

【天上】悲し定めと あきらめおれど

天の川 やす川原かはらの 定まりて 心きほへは ぎて待たなく
《その昔 安の川原で 隔てられ 心逢いとて 辛抱しんぼうできん》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇三三)
ひさかたの あましるしと し川 へだてて置きし 神代かみようらめし
空中そらなかの 目印めじるし仕様しょうと 枯れ川を 造り隔てた 神代恨むわ》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇〇七)
八千桙やちほこの 神の御代みよより ともしづま 人知りにけり ぎてし思へば
《神代から 滅多めった逢われん 妻として 知れ渡っとる い恋や》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇〇二)
天地あめつちと 別れし時ゆ おのが妻 しかれてあり 秋待つ我れは
 あの子とは 天地別れた 昔から 離れとるんで 秋待っとんや》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇〇五)
万代よろづよに 照るべき月も 雲隠くもがくり 苦しきものぞ 逢はむと思へど
何時いつも照る 月に雲出て ままならん うちらもやで 逢いたいのんに》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇二五)

 【天上】相手気に掛け 思いは募る

がためと 織女たなばたつめの そのやどに 白栲しろたへは りてけむかも
《わしのため 織姫おりひめいえで る布は もう仕上がって 仕舞しもたやろうか》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇二七)
いにしへゆ げてしはたも かへりみず 天の川津かはつに 年ぞにける
往古むかしから り続けた っぽって 岸辺たたずみ 一年った》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇一九)
君に逢はず 久しき時ゆ はたの 白栲しろたへごろも 垢付あかづくまでに
《逢わんまま 長い月日に 織った布 日ぃったんで あか付いて仕舞た》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇二八)



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人麻呂歌集編(23)苔生(む)しにたり

2012年04月13日 | 人麻呂歌集編
【掲載日:平成24年4月13日】

敷栲しきたへの 枕は人に ことへや その枕には 苔しにたり



複数歌を 掛け合わせ 形を作る 問答歌もんどうか
ここに挙げたる 問答は 男女おとこおんなの 心機微きび

御殿ごてん仕えの 男と女
気心 知れた 仲かと見える

皇祖すめろきの 神の御門みかどを かしこみと 侍従さもらふ時に 逢へる君かも
天皇おおきみの 御殿ごてんつかえを してる時 何であんたは 口説くどくんやねん》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二五〇八)
真澄まそかがみ 見とも言はめや 玉かぎる 石垣いはかきふちの こもりたる妻
なびいても 誰にも言わん えやんか かとわんと こっち来たどや》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二五〇九)

恋に夢中の 男をさと
女待ちつつ その気をあお

赤駒が 足掻あがきはやけば 雲居にも かくり行かむぞ そで我妹わぎも
《わしの馬 あし速いんや すっ飛ばし すぐ着くよって 共寝支度ねじたくしとき》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二五一〇)
隠口こもりくの 豊泊瀬道とよはつせぢは 常滑とこなめの かしこき道ぞ 恋ふらくはゆめ
はつみち つるつるすべる こわい道 こいけしたら 怪我けがするんやで》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二五一一)
うまさけの 三諸みもろの山に 立つ月の 見がし君が 馬のおとぞする
三諸山みむろやま 出るん待つ月 あんたはん 馬の脚音あしおと 聞こえてきたで》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二五一二)

一緒りたい このままずっと
 よ降れ降れ うち味方して

雷神なるかみの 少しとよみて さし曇り 雨も降らぬか 君をとどめむ
《雷が 鳴って曇って 来たみたい あんたて欲し 雨降らんかな》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二五一三)
雷神なるかみの 少しとよみて 降らずとも とどまらむ いもとどめば
《雷が 鳴って雨なぞ 降らんでも わしまだるで お前がなら》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二五一四)

軽口かるくち交わす 二人の仲は
誰もはいれん お熱い限り

敷栲しきたへの 枕とよみて よるず 思ふ人には のち逢ふものと
《寝られんな 動き物う この枕 お前にあとで 逢えるうたで》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二五一五)
敷栲しきたへの 枕は人に ことへや その枕には 苔しにたり
《その枕 人に物う 道理わけ無いで 見てみ枕に 苔えとるで》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二五一六)



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人麻呂歌集編(22)霜降り覆(おほ)ひ

2012年04月10日 | 人麻呂歌集編
【掲載日:平成24年4月10日】

秋山に しもおほひ の葉散り 年は行くとも 我れ忘れめや


 の相問 採り上げるのは
黄葉もみじ尾花おばなに 散りゆく木の葉
りる露霜 立ち渡る霧
冬相 問は 雪こそ全て

秋山の したひがしたに 鳴く鳥の 声だに聞かば 何か嘆かむ
《逢えんけど せめてあんたの 声したら こんな嘆きは えへんやろに》
                               (「したひ」は 黄葉に赤く照る様)
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二二三九)
秋の野の 尾花をばなうれの なびき 心は妹に りにけるかも
《秋の野の すすきの穂ぉが 靡くに 心靡いて お前べったり》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二二四二)
秋山に しもおほひ の葉散り 年は行くとも 我れ忘れめや
《この年を うち忘れへん 霜降って ぁ散って 年変わっても》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二二四三)
かれと 我れをな問ひそ 九月ながつきの 露に濡れつつ 君待つ我れを
《誰やて 聞かんで欲しな 冷えてくる つゆ濡れながら あの人待つに》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二二四〇)
秋のの 霧立ちわたり おほほしく いめにぞ見つる いもが姿を
 秋の夜に 立つ霧みたい ぼんやりと 夢に見たんや お前の姿》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二二四一)
降る雪の 空にぬべく 恋ふれども ふよしなしに 月ぞにける
《雪みたい 身ぃ消えるほど 焦がれても 逢う伝手つてうて 日ぃって仕舞た》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二三三三)
あわゆきは 千重ちへに降りしけ 恋ひしくの 長きれは 見つつしのはむ
《沫雪よ 降りに降れ降れ 恋しゅうて ご待つわしは 見て偲ぶから》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二三三四)

 妻に与える歌一首】
雪こそば 春日はるひゆらめ 心さへ 消えせたれや ことも通はぬ
《残り雪 春消えるけど 心まで 消えたうんか 音沙汰おとさたしに》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻九・一七八二)
 妻が応える歌一首】
かへり しひてあれやは 三栗みつぐりの 中上なかのぼぬ 麻呂まろといふやっこ
ぼけけたんか 任期途中の 中帰なかがえり もせんとから あの阿保あほ麻呂が》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻九・一七八三)
                     (中上り=地方官が任期の途中で報告に上京すること)



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人麻呂歌集編(21)友鴬の

2012年04月06日 | 人麻呂歌集編
【掲載日:平成24年4月6日】

春山の ともうぐひすの 泣き別れ 帰りますも 思ほせ我れを


互いにうが そうもんで 消息聞くが 元の意味
遣り取りわし 移り来て 恋歌こいうた同義どうぎ そうもん

 の相問 採り上げ題は
鳴く鶯に 咲き誇りばな
 立つ霞 芽吹きの柳
浮き立つ春は 恋相応ふさわしい

春山の ともうぐひすの 泣き別れ 帰りますも 思ほせ我れを
 泣く泣くに 別れて帰る 帰り道 道々思て このうちのこと》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・一八九〇)
                                 (春山の友鶯の→鶯鳴く→泣き)
冬こもり 春咲く花を 手折たをり持ち 千度ちたびの限り 恋ひ渡るかも
《待っとって 咲いた春花はな摘み 抱きしめて あんたずうっと 思てんねんで》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・一八九一)
春山の 霧にまとへる うぐひすも 我れにまさりて 物おもはめやも
《春山の 霧にまようた 鶯も わし程悩み 苦しみせんで》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・一八九二)
でて見る むかひの岡にもとしげく 咲きたる花の 成らずはまじ
《家の前 向いの丘で 咲く花は きっとに成る うちの恋かて》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・一八九三)
霞立つ 春の長日ながひを 恋ひ暮らし けゆくに いもも逢はぬかも
《霞立つ 春の一日いちにち 恋い続け よるけんのに 逢われへんのか》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・一八九四)
春されば まづ三枝さきくさの さきくあらば のちにも逢はむ な恋ひそ我妹わぎも
《春に咲く 三枝さえぐさみたい 生きてたら 逢うこと出来る 悩みなお前》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・一八九五)
春されば しだり柳の とををにも いもは心に 乗りにけるかも
《春来たら やなぎ枝垂しだれ しのてくる あの児わし胸 しないかかるで》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・一八九六)



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人麻呂歌集編(20)守(まも)る人のありて

2012年04月03日 | 人麻呂歌集編
【掲載日:平成24年4月3日】

この川ゆ 船は行くべく ありといへど 渡りごとに まもる人のありて


 木に寄せて】
あまくもの たなびく山の こもりたる が下心 木の葉知るらむ
《雲なびき 山隠れてて 見えんけど わしの奥心こころは の葉知ってる》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一三〇四)
見れど飽かぬ ひと国山くにやまの 木の葉をし 我が心から なつかしみ思ふ
《気に入った ひと国山くにやまの の葉っぱ 心底しんそこわしは れしてる》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一三〇五)
 の葉あの児や 可愛いあの児
繁る枝中えだなか あの葉やあの児

 花に寄せて】
この山の 黄葉もみぢが下の 花を我れ はつはつに見て なほ恋ひにけり
黄葉下もみじした 咲く花わしは ちらと見て そのまま恋に 落ちて仕舞しもたで》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一三〇六)
見掛け 一目で 惚れたんやがな
逢い に行こ行こ 今晩にでも

 川に寄せて】
この川ゆ 船は行くべく ありといへど 渡りごとに まもる人のありて
《この川を 通ると船は 行きいが どの渡場わたしばも 番人るで》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一三〇七)
訪ね来てみた 家外いえそと立って
うかがい見たら 警戒固い

 海に寄せて】
雲隠くもがくる 小島こしまの神の かしこけば 目こそばへだて 心隔てや
《隠れてる 小島の神が こわいんで 逢わんとるが 心はちゃうで》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一三一〇)
守る両親ふたおや こわぁてならん
けどわしあの児 あきらめ切れん

大海を さもらふ港 事しあらば 何方いづへゆ君は しのがむ
 荒れる海 港無理出て もしもなら このうちちゃんと 守るかあんた》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一三〇八)
親の反対 押切りさそ
強引むり連れ出して 責任取りや

風吹きて 海はるれど 明日あすと言はば 久しくあるべし 君がまにまに
《風吹いて 海荒れるから めるてか うち待たれへん どうかせんかい》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一三〇九)
連れて 来たのに 今更何で
躊躇ちゅうちょぐずぐず しっかりしいや



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