令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

古今相聞往来(上)編(13)煙(けぶり)焼き立てて

2012年12月28日 | 古今相聞往来編(上)
【掲載日:平成24年12月28日】

志賀しか海人あまの けぶり焼き立てて 焼く塩の からき恋をも れはするかも




忍びに忍び 女もれる
しょっぱい恋に 心はえて
日増しがれが 続いて行けば
いま に命も 無いかと思う

甘南備かむなびの 打廻うちみの崎の いはぶちの こもりてのみや が恋ひらむ
《うちのこい じっと隠れて しのぶだけ 岩淵いわふちみずが 隠れてるや》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七一五)
志賀しか海人あまの けぶり焼き立てて 焼く塩の からき恋をも れはするかも
志賀しか海人あまの けむく塩 しょっぱいで うちの恋かて ろ塩っぱいわ》【寄物陳思】
                         ―石川君子いしかわのきみこ―(巻十一・二七四二)
  
海原うなはらの 沖つ縄海苔なはのり うちなびき 心もしのに 思ほゆるかも
縄海苔なわのりは 波間なびくで うちかても なびしとうて しおれるばかり》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七七九)
  
こもりには 恋ひて死ぬとも み園生そのふの 韓藍からあゐの花の 色にでめやも
《押しかくし がれ死んでも はっきりと 顔さへんで このむねうちは》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七八四)
  
こもの 沢たつみなる いはゆも 通してぞ思ふ 君に逢はまくは
《このうちの いたい気持ち 分かるかな っきい岩を す程や》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七九四)

なぐさもる 心はなしに かくのみし 恋ひやわたらむ 月に日に
まぎらわす ことも出来できんで 苦しいに がれ続くか しに》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五九六)
  
明日香あすかがは 水行きまさり いや日異ひけに 恋のまさらば ありかつましじ
《川の水 増すに焦がれ 日増ひましやと うちこのままで 生きて行けんわ》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七〇二)




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古今相聞往来(上)編(12)しがらみ越して

2012年12月25日 | 古今相聞往来編(上)
【掲載日:平成24年12月25日】

我妹子わぎもこに が恋ふらくは 水ならば しがらみ越して 行くべく思ほゆ



男焦がれは はげしになって
苦しさつのり 胸あふれ出す
そうか思えば 沈みにふけ
ては 自暴自棄じぼじき走る

我妹子わぎもこに が恋ふらくは 水ならば しがらみ越して 行くべく思ほゆ
《お前にと 寄せる思いは めの しがらみ越えて あふれる水や》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七〇九)
  
大船おほぶねの たゆたふ海に いかりろし いかにせばかも が恋やまむ
《沈みおる いかりみたいな この苦思おもい どないにしたら 収まるやろか》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七三八)
                                       (いかり→いかに)

我妹子わぎもこを 聞き都賀野辺つがのへの しなひ合歓木ねぶ れは忍びず なくし思へば
に あのおもてて もうあかん しないの合歓ねむや 忍び出けんで》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七五二)
                                       (しなひ→しのび)

物部もののふの 八十やそ宇治うじがはの 早き瀬に 立ちえぬ恋も れはするかも
《わしの恋 はげし流れの なか立って 流されやで ろ苦しいて》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七一四)
  
高山ゆ る水の いはに触れ くだけてぞ思ふ いもに逢はぬ
《わしの胸 岩にぶつかる 水みたい くだけ散りや われんよるは》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七一六)
  
いきに 思へば苦し たまの 絶えて乱れな 知らば知るとも
《息殺し がれん苦し ええいもう ぶちまけ様か 知れてもえで》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七八八)




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古今相聞往来(上)編(11)よしこのころは

2012年12月21日 | 古今相聞往来編(上)
【掲載日:平成24年12月21日】

心をし 君にまつると 思へれば よしこのころは 恋ひつつをあらむ



男焦がれの もう一方ひとかた
焦がれ女も せつうた
懸かる 夕雲 あの人偲び
思い揺蕩たゆたい 夢にも見えん

朽網山くたみやま ゆふる雲の 薄れゆかば れは恋ひむな 君が目を
朽網山くたみやま 夕暮れぐもが 薄れてく 日暮れせつて いたなるがな》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六七四)
  
心をし 君にまつると 思へれば よしこのころは 恋ひつつをあらむ
《うち気持ち 全部進呈あげたと おもうから ここはしばらく 我慢がまんで待つわ》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六〇三)
  
真澄鏡まそかがみ 手に取り持ちて あさな 見む時さへや 恋の繁けむ
って かがみに 毎朝まいあさに あんたたかて がれんやろか》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六三三)
  
さとどほみ 恋わびにけり 真澄まそかがみ 面影おもかげらず いめに見えこそ
《離れ住み わびし思てる せめてもに 面影おもかげ見せて 夢に出てんか》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六三四)

みさごる 沖つ荒磯ありそに 寄する波 行方ゆくへも知らず が恋ふらくは
がれする このうちおもい 何処どこくか せるなみ ゆたゆたゆたと》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七三九)
  
すずき取る 海人あま燈火ともしび よそにだに 見ぬ人ゆゑに 恋ふるこのころ
外目よそめにも 見ること出けん 人やのに このごろなんで 恋しんやろか》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七四四)
                                  (燈火ともしび=遠くにある→よそに)

いめにだに 何かも見えぬ 見ゆれども 我れかもまとふ 恋のしげきに
《夢かても なんで見えへん 見えてても がれこうじて 目ぇしんか》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五九五)
  
君が着る 御笠みかさの山に る雲の 立てばがるる 恋もするかも
御笠山みかさやま かる雲立つ 次々と 思い次々 せつい恋や》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六七五)




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古今相聞往来(上)編(10)鴨の浮寝の

2012年12月18日 | 古今相聞往来編(上)
【掲載日:平成24年12月18日】

我妹子わぎもこに 恋ふれにかあらむ 沖にむ かも浮寝うきねの 安けくもなし




首尾 良い恋の ある一方で
思い届かぬ  焦がれの恋や
じっと 我慢の 忍びの恋が
多数よけ続く 恋路の定め

独りごち歌 七十ななじゅう数首
相手こうて 言うんやなしの
独りごちする つぶやき似てる
先ず は男の 焦がれの歌を

片糸かたいともち きたる玉の を弱み 乱れやしなむ 人の知るべく
ひといとの 玉紐よわい 気ぃよわて がれ出て仕舞て 知れて仕舞や》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七九一)
                                   (かたいと片恋かたこいをイメージ)
 旋頭歌】
海原うなはらの 道に乗りてや が恋ひらむ
大船おほぶねの ゆたにあるらむ 人の子ゆゑに

《わしの恋 覚束おぼつかないで 波浮くよう
がれてん 手ぇの届かん とこの児や》
                          ―作者未詳―(巻十一・二三六七)
  
我妹子わぎもこに 恋ふれにかあらむ 沖にむ かも浮寝うきねの 安けくもなし
《こんなにも 気ぃふわふわと 落ち着かん あの児一途いちずと がれるからか》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二八〇六)
  
真澄鏡まそかがみ 清き月夜つくよの ゆつりなば 思ひはやまず 恋こそまさめ
《照っとおる 月がかげって 仕舞しもうたら 気紛まぎれ出来んで 恋焦こがれ募るで》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六七〇)
  
数多あまたあらぬ 名をしもしみ うもの したゆぞ恋ふる 行方ゆくへ知らずて
《取る足らん 面子めんつ気にして むねなかで がれてるだけ 目途めど立たへんに》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七二三)
  
あしひきの 山田をぢが 置く鹿火かひの したがれのみ が恋ひらむ
まもる おきな鹿遣火かやりび くすぶるで むねくすぶる がれをしてて》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六四九)
  
いかにして 忘れむものぞ 我妹子わぎもこに 恋はまされど 忘らえなくに
《どしたなら 消えるんやろか あの児への えても消えん せつい思い》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五九七)




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古今相聞往来(上)編(09)袖返(かへ)す夜の

2012年12月14日 | 古今相聞往来編(上)
【掲載日:平成24年12月14日】

我が背子せこが そでかへす夜の いめならし まことも君に 逢ひたるごとし



問答 楽しや お互い心
かよい通わし 増すむつまじさ
打てば響くの 歌りは
ほんにえ仲 聞く方がける

 問答】
我妹子わぎもこに 恋ひてすべなみ 白栲しろたへの そでかへししは いめに見えきや
こいしいて 仕様しょうそでを かえし たけどおまえ ゆめたやろか》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八一二)
                            (袖返し寝=夢でえるまじない)
我が背子せこが そでかへす夜の いめならし まことも君に 逢ひたるごとし
《あのゆめは そでかえの ゆめなんや ほんま間近まぢかに うたやった》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八一三)
  
 問答】
まよ掻き はなひもけ てりやも 何時いつかもむと れを
まゆいて くしゃみ帯き 待ってたか はよう来たいと 思てたわしを》
                          ―柿本人麻呂歌集―(巻十一・二八〇八)
今日けふなれば はなはなひし まよかゆみ 思ひしことは 君にしありけり
《くしゃみ出て まゆいよって もしやた やっぱあんたや やっぱり今日や》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八〇九)
                   (眉が痒い・くしゃみが出る・紐がほどける=逢える前兆)
  
 問答】
思ふ人 むと知りせば 八重葎やへむぐら おほへる庭に 玉敷かましを
がれてる 人るんやと 知ってたら むさいこの庭 玉いたのに》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八二四)
玉敷ける 家もなにせむ八重葎やへむぐら おほへる小屋をやも いもりせば
《玉いた 家なぞいらん あばも 一緒いっしょれたら もう極楽ごくらくや》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八二五)




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古今相聞往来(上)編(08)笑(ゑ)まむ眉引(まよび)き

2012年12月11日 | 古今相聞往来編(上)
【掲載日:平成24年12月11日】

思はぬに 至らばいもが 嬉しみと まむ眉引まよびき 思ほゆるかも



互い許せば 妻問いがよ
今日も待つかな いとしいあの児
今日も逢えるか たのもしあんた
野外逢瀬おうせも またぞろ楽し

待つらむに 至らばいもが 嬉しみと まむ姿を 行きてはや見む
《待ってる児 たずねて行って 早よ見たい お前喜び 微笑ほほえむ姿》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五二六)
  
思はぬに 至らばいもが 嬉しみと まむ眉引まよびき 思ほゆるかも
《ひょっこりと たずね行ったら 喜んで 微笑ほほえまゆが 見えるやがな》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五四六)
  
もとほり 行箕ゆきみの里に 妹を置きて 心そらにあり つちは踏めども
行箕ゆきみさと お前る里 たずねるに あし地ぃ踏むが 気ぃうわの空》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五四一)
  
我妹子わぎもこが 袖を頼みて の浦の 小菅こすげの笠を 着ずて来にけり
小菅こすげがさ んと来たんや 雨降るに お前けるん 楽しみにして》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七七一)
  

甘南備かむなびの あさ小竹しのはらの うるはしみ が思ふ君が 声のしるけく
こえるで うちのひと あのこえや ほうらはっきり こえてたで》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七七四)
                           (あさ小竹しのはら=美しい→うるはしみ)

水鳥の かもむ池の 下樋したびみ いぶせき君を 今日けふ見つるかも
えるんか われへんかと 鬱々うつうつに ってたあんた 今日きょうえたがな》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七二〇)
                         (下樋したびみ=水を通す管がない→こもる→       
                                     いぶせき=鬱陶うっとおしい)

はや行きて いつしか君を 相見あひみむと 思ひし心 今ぞなぎぬる
よに 行っていとて たまらんと おもてた気持ち 今おさまった》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五七九)
                               (しめわせた野外の出会い)



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古今相聞往来(上)編(07)倭文機(しつはた)帯を

2012年12月07日 | 古今相聞往来編(上)
【掲載日:平成24年12月7日】

いにしへの 倭文しつはた帯を 結び垂れ れといふ人も 君にはまさじ




た女 惚れるは一途いちず
どんな 男も あんたに勝てん
身ぃも心も 進呈あげるで全部
逢えば逢瀬おうせの 思い出ばな

つらふ 色にはでず 少なくも 心のうちに が思はなくに
《顔色に さへんだけや 心では あんた満々いっぱい 思うてるんや》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五二三)
  
いにしへの 倭文しつはた帯を 結び垂れ れといふ人も 君にはまさじ
《伝統の 倭文しつはた帯を い垂らす だれてきても あんたに勝てん》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六二八)
                                         (れ→たれ

いにしえの 狭織さおりの帯を 結び垂れ れしの人も 君にはまさじ
《伝統の 狭織さおりの帯を い垂らす だれたかて あんたに勝てん》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六二八 或る本)
  
垂乳根たらちねの 母に知らえず 我が持てる 心はよしゑ 君がまにまに
かあちゃんに 分からん様に かくしてた 心全部ぜぇんぶ あんたに進呈あげる》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五三七)
  
みと 人には言ひて あまつつみ まりし君が 姿し思ほゆ
《笠いと みなにそうて 雨宿あまやどり した姿を 思い出すがな》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六八四)
  
 旋頭歌】
をかさき みたる道を 人なかよひそ
 ありつつも 君がまさむ き道にせむ

《岡先を めぐる細道 通りな誰も 
 かくしてて あんたかよえる 抜け道するわ》
                          ―作者未詳―(巻十一・二三六三)
  
泊瀬はつせがは 早み早瀬を むすび上げて かずやいもと 問ひし君はも
《あの時に 泊瀬はつせ早はやせの 水すくて ちゃんと飲んだか うたなあんた》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七〇六)
                              (野遊び途中の思い出―あの優しさに うち惚れたんや)



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古今相聞往来(上)編(06)笑(ゑ)みみ怒(いか)りみ

2012年12月04日 | 古今相聞往来編(上)
【掲載日:平成24年12月4日】

はねかづら 今するいもが うら若み みみいかりみ 付けし紐




深まる仲は ちぎりへ進み
結べば男 もう有頂天うちょうてん
この 児手にした 喜ぶ胸に
惚気のろけ心が 知らずと湧くぞ

天地あめつちの 寄り合ひのきはみ たまの 絶えじと思ふ いもがあたり見つ
《いつまでも 愛し続け 思うてる あの児とこ 見た見た見たで》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七八七)
                          (天地の寄り合う極み=天地が接する遙か彼方までの長さ=長時間)
  
玉桙たまほこの 道行きぶりに 思はぬに いも相見あひみて 恋ふるころかも
たまさかの 道の往き来いきで お前い がれるんや このごろずっと》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六〇五)
  
まよき をか見むと 思ひつつ 長く恋ひし いもに逢へるかも
まゆかゆて えるん誰か おもてたら がれ続けた お前たがな》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六一四 或る本)
  
はねかづら 今するいもが うら若み みみいかりみ 付けし紐
《まだうぶな かずらの児やで 笑いかけ しかりつけして ひもほどくんや》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六二七)
                         (はねかづら=女子成人の祝いに着ける)
若草の にい手枕たまくらを まきめて をやへだてむ 憎くあらなくに
新妻にいづまと はじめて共寝たで 一晩ひとばんも っておけるか 可愛かわいやに》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五四二)
  
大君おほきみの 御笠みかさへる 有馬菅ありますげ ありつつ見れど 事なき我妹わぎも
《ずううっと 見続けてても え児やで 悪いとこなぞ 有馬菅ありますげかさ――ありませんがな――》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七五七)
                         (有馬ありま→ありつつ)
奥山の いはもとすげの 根深くも 思ほゆるかも が思ひづま
すがの根は こ張るよ 妻のやつ わしの心の るよ》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七六一)




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