【掲載日:平成24年6月29日】
我が背子を こち巨勢山と 人は言へど 君も来まさず 山の名にあらし
山詠む歌は 三輪 香久 巨勢に
二上 三笠 馴染みの山よ
川を詠む歌 吉野が続く
大淀 六田に 宮瀧見たい
三諸つく 三輪山見れば 隠口の 泊瀬の檜原 思ほゆるかも
《三輪山を しみじみ見たら 懐かしい 初瀬の檜原 見とうなったで》
―作者未詳―(巻七・一〇九五)
古の ことは知らぬを 我れ見ても 久しくなりぬ 天の香具山
《その昔 わしは知らんが 香久山は ずっと長うに 神々しいで》
―作者未詳―(巻七・一〇九六)
我が背子を こち巨勢山と 人は言へど 君も来まさず 山の名にあらし
《あんた来る 云う巨勢山や 聞いたけど あんた来んがな ただの山名ぁやん》
―作者未詳―(巻七・一〇九七)
(巨勢=こせ=来背=背が来る=あんた来る)
紀伊道にこそ 妹山ありといへ 玉櫛笥 二上山も 妹こそありけれ
《妹山は 紀の国だけや 云うけども 二上山も 雌岳あるで》
―作者未詳―(巻七・一〇九八)
片岡の この向つ峰に 椎蒔かば 今年の夏の 蔭にならむか
《前にある 向かいの峰に 椎の実を 蒔いたら夏に 日陰なるかな》
―作者未詳―(巻七・一〇九九)
大君の 御笠の山の 帯にせる 細谷川の 音の清けさ
《三笠山 ぐるっと廻り 流れてる 細谷川の 瀬音清らや》
―作者未詳―(巻七・一一〇二)
今しくは 見めやと思ひし み吉野の 大川淀を 今日見つるかも
《おいそれと 見られんやろと 思とった 吉野大淀 今日見たんやで》
―作者未詳―(巻七・一一〇三)
音に聞き 目にはいまだ見ぬ 吉野川 六田の淀を 今日見つるかも
《評判は 聞いとったけど 見てなんだ 吉野六田淀 今日見たんやで》
―作者未詳―(巻七・一一〇五)
馬並めて み吉野川を 見まく欲り うち越え来てぞ 瀧に遊びつる
《み吉野の 川見となって 馬連ね 山越え滝で 遊んだこっちゃ》
―作者未詳―(巻七・一一〇四)
蛙鳴く 清き川原を 今日見ては 何時か越え来て 見つつ偲はむ
《河鹿鳴く 清らか川原 今日見たで 次に山越え 何時来よかいな》
―作者未詳―(巻七・一一〇六)
――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。
