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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(03)こち巨勢山(こせやま)と

2012年06月29日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年6月29日】

我が背子を こち巨勢山こせやまと 人はへど 君もまさず 山の名にあらし



む歌は 三輪 香久かぐ 巨勢こせ
二上ふたがみ 三笠 みの山よ
川をむ歌 吉野が続く
大淀 六田むだに 宮瀧見たい

三諸みもろつく 三輪山見れば 隠口こもりくの 泊瀬の檜原ひばら 思ほゆるかも
《三輪山を しみじみ見たら なつかしい 初瀬の檜原ひばら 見とうなったで》
                          ―作者未詳―(巻七・一〇九五)
いにしへの ことは知らぬを れ見ても 久しくなりぬ あめの香具山
《その昔 わしは知らんが 香久山かぐやまは ずっとなごうに 神々こうごうしいで》
                          ―作者未詳―(巻七・一〇九六)
我が背子を こち巨勢山こせやまと 人はへど 君もまさず 山の名にあらし
《あんた来る 云う巨勢山こせやまや 聞いたけど あんたんがな ただの山名ぁやん》
                          ―作者未詳―(巻七・一〇九七)
                          (巨勢=こせ=来背=背が来る=あんた来る)

紀伊道きぢにこそ 妹山いもやまありといへ 玉櫛笥たまくしげ 二上山ふたがみやまも 妹こそありけれ
《妹山は 紀の国だけや うけども 二上山も 雌岳いもやまあるで》
                          ―作者未詳―(巻七・一〇九八)
かたをかの このむかに しひかば 今年の夏の 蔭にならむか
《前にある 向かいの峰に しいの実を いたら夏に 日陰ひかげなるかな》
                          ―作者未詳―(巻七・一〇九九)
大君おほきみの 御笠みかさの山の おびにせる 細谷ほそたにがはの 音のさやけさ
《三笠山 ぐるっとめぐり 流れてる 細谷ほそたにがわの 瀬音きよらや》
                          ―作者未詳―(巻七・一一〇二)
今しくは 見めやと思ひし み吉野の 大川淀おほかはよどを 今日けふ見つるかも
《おいそれと 見られんやろと おもとった 吉野大淀おおよど 今日見たんやで》
                          ―作者未詳―(巻七・一一〇三)
音に聞き 目にはいまだ見ぬ 吉野川 六田むつたの淀を 今日けふ見つるかも
《評判は 聞いとったけど 見てなんだ 吉野六田むだ淀 今日見たんやで》
                          ―作者未詳―(巻七・一一〇五)
めて み吉野川を 見まくり うち越え来てぞ 瀧に遊びつる
《み吉野の 川となって 馬つらね 山越え滝で 遊んだこっちゃ》
                          ―作者未詳―(巻七・一一〇四)
かはづ鳴く 清き川原かはらを 今日けふ見ては 何時いつか越え来て 見つつしのはむ
河鹿かじか鳴く 清らか川原 今日見たで 次に山越え 何時いつよかいな》
                          ―作者未詳―(巻七・一一〇六)



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2012年06月29日 | メッセージ
平成24年5月25日

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巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(02)小簾(をす)の間(ま)通し

2012年06月26日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年6月26日】

玉垂たまだれの 小簾をすとほし ひとりて 見るしるしなき 夕月夜ゆふづくよかも




ちは嬉しや 欠けるは悲し
おそう出る月 待つのはれる
雲霧隠す うらめし限り
しばし顔出せ あの児を偲ぶ

山のに いさよふ月を でむかと 待ちつつるに けにける
山陰やまかげに かくれとる月 何時いつ出るか 待ってるうちに よるけて仕舞た》
                           ―作者未詳―(巻七・一〇七一)
海原うなはらの 道遠みかも 月読つくよみの 光すくなき は更けにつつ
《海の道 おに辿たどって 来るのんで けなったに 月ぼんやりや》
                           ―作者未詳―(巻七・一〇七五)
真澄鏡まそかがみ 照るべき月を 白栲しろたへの 雲か隠せる あまつ霧かも
え月が 照るはずやのに 見えへんの 雲が隠すか 霧隠すんか》
                           ―作者未詳―(巻七・一〇七九)
霜曇しもぐもり とにかあるらむ 久方の 渡る月の 見えなく思へば
《渡る月 う見えへんの なんでやろ 霜降る空が 曇るからかな》
                           ―作者未詳―(巻七・一〇八三)
山のに いさよふ月を何時いつとかも は待ちらむ は更けにつつ
山陰やまかげに 隠れとる月 何時いつ出るか わし待ってるに けて来たがな》
                           ―作者未詳―(巻七・一〇八四)
玉垂たまだれの 小簾をすとほし ひとりて 見るしるしなき 夕月夜ゆふづくよかも
つりげた すだれ通して 月見ても 一人見るのん 甲斐かいあらへんな》
                           ―作者未詳―(巻七・一〇七三)
春日山 おして照らせる この月は 妹が庭にも さやけくありけり
《春日山 ろ照らす月 清らかや あの児の庭の 月そやったな》
                           ―作者未詳―(巻七・一〇七四)
この月の 此処にきたれば 今とかも 妹がで立ち 待ちつつあるらむ
《月こんな こなったんで もう来ると あの児このわし 待っとんやろな》
                           ―作者未詳―(巻七・一〇七八)
妹があたり が袖振らむ の間より 出で来る月に 雲なたなびき
《あの児の 向こて袖振ろ 思うんで かげ出る月 雲かりなや》
                           ―作者未詳―(巻七・一〇八五)



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巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(01)月の清けさ

2012年06月22日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年6月22日】

百磯城ももしきの 大宮人おほみやひとの まかり出て 遊ぶ今宵こよひの 月のさやけさ




まきつどう 歌の数 ひゃくみっつに 拾五じゅういつ
人麻呂歌集かしゅを 除いたら 三百弱の 二九五にいきゅうご
含む種類は 三種類 雑歌ぞうか比喩歌ひゆうた ひきの歌
雑歌多くて 二百弱 内りょうたが 八十六はちじゅろく

先ずは雑歌ぞうかの 登場で 自然風物ふうぶつ 題材に
天体むは 月多い 景色でるは 山や川

日暮れ 来たなら 真っ暗闇夜
 が出たなら 心は晴れる
月よ照れ照れ この地をおお
西による月 とどまれしば

ひさかたの あまる月は 神代にか 出でかへるらむ 年はにつつ
 あの月は 神代生まれて それ以来 出ては隠れて これまでずっと》
                          ―作者未詳―(巻七・一〇八〇)
大夫ますらをの 弓末ゆずゑ振り起し 狩高かりたかの 野辺のへさへ清く 照る月夜つくよかも
え月や 高円たかまど野原 照らす月 いつもに増して 清らか見える》
                          ―作者未詳―(巻七・一〇七〇)
明日あすよひ 照らむ月夜つくよは 片寄かたよりに 今宵こよひに寄りて 長くあらなむ
明日あした照る ぶんまで今夜こんや 照ってんか 今日のえ月 ご見たいんで》
                          ―作者未詳―(巻七・一〇七二)
百磯城ももしきの 大宮人おほみやひとの まかり出て 遊ぶ今宵こよひの 月のさやけさ
宮仕つかびと 仕事済まして 遊んでる 今夜こんやの月は ろ澄んでるで》
                          ―作者未詳―(巻七・一〇七六)
ぬばたまの 渡る月を おもしろみ 我がる袖に 露ぞ置きにける
《月よて ずっと見てたら わしの袖 夜露よつゆに濡れた 気ぃ付かんに》
                          ―作者未詳―(巻七・一〇八一)
水底みなそこの 玉さへさやに 見つべくも 照る月夜つくよかも けゆけば
よるけて 月益々ますますに えて来た 水底みなそこ玉が う見えるほど》
                          ―作者未詳―(巻七・一〇八二)
ゆきくる とも広き 大伴に 国さかえむと 月は照るらし
《大伴が おさめる御津みつの 難波なにわの地 さかえやと 月照っとるで》
                          ―作者未詳―(巻七・一〇八六)
つねはさね 思はぬものを この月の 過ぎかくらまく しきよひかも
《いつもなら そは思わんに 今日の月 西かくれるん しいがな》
                          ―作者未詳―(巻七・一〇六九)
ぬばたまの 夜渡る月を とどめむに 西の山辺やまへに せきもあらぬかも
《空移る 月めたいな 西空にしぞらの 山のあたりに 関所がしで》
                          ―作者未詳―(巻七・一〇七七)



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人麻呂歌集編(39)ねもころ見れど

2012年06月19日 | 人麻呂歌集編
【掲載日:平成24年6月19日】

かはづ鳴く 六田むつたの川の かはやなぎの ねもころ見れど かぬ川かも




旅に出たなら 日暮れがさみ
月がせめても なぐさの友か
吉野川水かわみず たぎちて澄みて
常時いつもも見飽きん うた旅心

 筑波山に登りて月を詠む】
あまはら 雲なきよひに ぬばたまの 渡る月の らまくしも
《見上げたら 雲い空が 広がるに 月しずむがな しいでほんま》
                           ―作者未詳―(巻九・一七一二)
 吉野離宮行幸時の歌】
たぎうへの 三船みふねの山ゆ 秋津あきづに 鳴き渡るは 呼子鳥よぶこどり
三船山みふねやま 秋津あきつこうて 飛ぶ鳥は だれ呼ぶんやろ あの呼子鳥よぶこどり
                           ―作者未詳―(巻九・一七一三)
落ちたぎち 流るる水の いはれ よどめる淀に 月のかげ見ゆ
ほとばしり 流れる水が いわ当たり 作ったよどみ 月うつってる》
                           ―作者未詳―(巻九・一七一四)
 近江の川?】
三川みつかはの ふちもおちず 小網さでさすに 衣手ころもで濡れぬ す児はしに
みつかわの ふちにもにも 叉手網あみ張って 袖らしたで す児らんに》
                          ―春日蔵首老かすがのくらおびとおゆ―(巻九・一七一七)
 近江?】
照る月を 雲なかくしそ 島陰しまかげに 我が舟てむ とまり知らずも
《照る月を 雲かくしなや 島陰しまかげに 船めるんに 場所わからんぞ》
                         ―春日蔵首老かすがのくらおびとおゆ―(巻九・一七一九)
 吉野の歌】
めて うちれ越え今日けふ見つる 吉野の川を 何時いつかへり見む
《馬ならべ みなて いま見てる この吉野川かわ見るん 次ぎ何時いつやろか》
                          ―元仁がんにん―(巻九・一七二〇)
苦しくも れゆく日かも吉野川 清き川原かはらを 見れどかなくに
《ああ今日きょうが れて仕舞しまうで 吉野川 んだ川原かわはら まだ見飽みあきんに》
                          ―元仁がんにん―(巻九・一七二一)
吉野川 川波高み たぎの浦を 見ずかなりなむ 恋しけまくに
《吉野川 波高いんで 滝の浦 見られへんがな くやしいことに》
                          ―元仁がんにん―(巻九・一七二二)
かはづ鳴く 六田むつたの川の かはやなぎの ねもころ見れど かぬ川かも
河鹿かじか鳴く 六田むつたの川の 川柳やなぎの (ねんごろ見ても)なんぼ見てても けへん川や》
                          ―きぬ―(巻九・一七二三)
見まくり しくもしるく 吉野川 おとさやけさ 見るにともしく
是非ぜひ見とて たらほんまや 吉野川 瀬音せおとよらや 見て見飽みあきんわ》
                          ―嶋足しまたり―(巻九・一七二四)
いにしへの さかしき人の 遊びけむ 吉野の川原かはら 見れどかぬかも
《そのむかし えらいおかたが 遊ばれた 吉野川原かわらは なんと見事みごとや》
                          ―麻呂まろ―(巻九・一七二五)



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人麻呂歌集編(38)浮沼(うきぬ)の池の

2012年06月15日 | 人麻呂歌集編
【掲載日:平成24年6月15日】

君がため 浮沼うきぬの池の ひし摘むと 我がめし袖 濡れにけるかも



旅の愁いの 徒然つれづれなご
揺れる沖つ藻 妻呼ぶよすが
土産みやげするとて はなを摘んで
愁いしみじみ たびそら暮れる

我妹子わぎもこと 見つつしのはむ 沖つ藻の 花咲きたらば 我れに告げこそ
《沖の藻の 花が咲いたら 教えてや 妻や思うて しのびたいんで》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一二四八)
君がため 浮沼うきぬの池の ひし摘むと 我がめし袖 濡れにけるかも
うきいけ あんたに菱実ひしを 摘もとして うち染めた袖 濡らして仕舞たで》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一二四九)
妹がため すがの実摘みに 行きし我れ 山道やまぢまとひ この日暮らしつ
《お前にと すげの実採りに 行ったけど 山道みちまようて よる明けて仕舞た》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一二五〇)
渡会わたらひの 大川のの わか久木ひさき 我が久ならば いも恋ひむかも
《川ほとり 立つわか久木ひさき わしの旅 なごうなったら 焦がれんやろな》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十二・三一二七)
我妹子わぎもこを いめに見えと 大和やまとの わたごとに けぞ我がする
《妻わしの 夢出て来てと 大和やまとの 瀬渡るたんび 神祈るんや》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十二・三一二八)
桜花 咲きかも散ると 見るまでに れかも此処ここに 見えて散り行く
《桜花 咲いてすぐ散る 人もみな 来たと思ても すぐ散ってくで》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十二・三一二九)
豊国とよくにの 企救きくの浜松 ねもころに 何しか妹に あひめけむ
《今になり こんなに恋苦くるし 思うなら 何で声なぞ 掛けたんやろ》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十二・三一三〇)



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人麻呂歌集編(37)倉無(くらなし)の浜

2012年06月12日 | 人麻呂歌集編
【掲載日:平成24年6月12日】

我妹子わぎもこが あかひづちて 植ゑし田を 刈りておさめむ 倉無くらなしの浜



雑歌ぞうかに含む りょうたは 旅先める 景色歌
め山め 独り寝に 家妻偲ぶ 旅愁歌りょしゅううた

波音 聞いて 照る月見ても
偲ぶ 思いは 家待つ妻か
思いまぎれに 見る山小島
 の造りし 神秘の姿

 高島での歌二首】
高島たかしまの 安曇あどかは波は さわけども 我れは家思いへおもふ 宿やどり悲しみ
安曇川あどがわの 波さわがしが 耳そぞろ わし家恋し 旅さみしいて》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻九・一六九〇)
旅なれば 夜中よなかをさして 照る月の 高島山に かくらくしも
《旅さみし 空にかった 照る月が 高島山に かくれて仕舞うで》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻九・一六九一)
紀伊国きのくにでの歌】
が恋ふる 妹ははさず 玉の浦に ころも片敷き ひとりかも寝む
《恋したう お前えんで 玉の浦 ひとさびしゅう んならんのか》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻九・一六九二)
たま櫛笥くしげ 明けまくしき あたら夜を 衣手ころもでれて ひとりかも
《一緒なら 明けるんしい よるやのに ひとさみしに んならんのか》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻九・一六九三)

我妹子わぎもこが あかひづちて 植ゑし田を 刈りておさめむ 倉無くらなしの浜
倉無浜くらなしは あの児濡らし 植えた田を 刈り採るうに 苦労無くろなしうか》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻九・一七一〇)

大汝おほなむち 少御神すくなみかみの 作らしし 妹背いもせの山を 見らくしよしも
大汝おおなむち 少御神すくなみかみが 造られた 妹背いもせの山は 見事なもんや》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一二四七)
ももづたふ 八十やその島を れど あはの小島は 見れどかぬかも
八十はちじゅもの 多数ようけの島を 漕ぎたが あわの小島は やっぱりえで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻九・一七一一)



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人麻呂歌集編(36)うらぶれ立てり

2012年06月08日 | 人麻呂歌集編
【掲載日:平成24年6月8日】

行く川の 過ぎにし人の 手折たをらねば うらぶれ立てり 三輪みわばら


自然 詠む歌 山川出番
ばら三輪山 あなの川に
まきむくお山 山の辿たど
水の流れに むなしさ思う

 山を詠める三首】
鳴神なるかみの 音のみ聞きし まきむくの ばらの山を 今日見つるかも
うわさでは 常時いつも聞いてた 原山ばらやま やっと今日の日 見ることた》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一〇九二)
三諸みもろの その山並やまなみに 子らが手を まき向山むくやまは ぎのよろしも
三輪山みわやまに 続きつらなる まきむくの 山の並びは ながめやで》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一〇九三)
ころも にほひぬべくも うまさけ 三室みむろの山は 黄葉もみちしにけり
《うちのふく 色にまって や 三輪みわのお山の 見事みごと黄葉もみじに》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一〇九四)
 川を詠める】
まきむくの 穴師あなしの川ゆ 行く水の 絶ゆることなく またかへり見む
穴師あなし川 流れる水は 絶えやせん わしも絶えんと 此処ここよ思う》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一一〇〇)
 葉を詠める二首】
いにしへに ありけむ人も 我がごとか 三輪みわばらに 插頭かざしし折りけむ
《その昔 此処ここ来た人も わしみたい ばらで髪に 枝したんや》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一一一八)
行く川の 過ぎにし人の 手折たをらねば うらぶれ立てり 三輪みわばら
《昔た 人うなって 枝らん さみし思うか 三輪みわばらは》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一一一九)
子らが手を まき向山むくやまは つねにあれど 過ぎにし人に 行き巻かめやも
 巻向の 山そのままで 変わらんが 死んだ人の手 枕にできん》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一二六八)
まきむくの 山辺やまへとよみて 行く水の 水泡みなわのごとし 世の人我れは
《巻向の 山裾やますそかわの 流れ水 そのあわや この世のわしは》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一二六九)



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人麻呂歌集編(35)沫雪(あはゆき)流る

2012年06月05日 | 人麻呂歌集編
【掲載日:平成24年6月5日】

まきむくの ばらもいまだ 雲ねば 小松がうれゆ あわゆき流る




露草結び 霜りたって
おろし風吹き 時雨しぐれに暮れる
やがて 秋行き 冬訪れて
雪舞う季節 あられも混じる

つまごもる 矢野のかむ山 つゆしもに にほひそめたり 散らまくしも
《神山は 露霜りて 色付いた 散るんしいな そのままれよ》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二一七八)
                             (妻隠る=いえに隠る=屋(ヤ)→矢野)
朝露に にほひそめたる 秋山に 時雨しぐれな降りそ あり渡るがね
《朝露で 色付き出した 秋の山 このまま居れよ 時雨しぐれよ降るな》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二一七九)
一日ひとひには 千重ちへしくしくに が恋ふる いもがあたりに 時雨しぐれ降る見ゆ
ときかず しきり恋しゅう 思う時 あの児へん 時雨しぐれしとしと》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二二三四)
 泉川での歌】
妹がかど 入り泉川いづみかはの 常滑とこなめに み雪残れり いまだ冬かも
《泉川 なめらか岩に っすらと 雪残ってる まだ冬なんや》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻九・一六九五)
                            (家の門=出入りする→ず→泉川)
我がそでに あらればしる かくし たずてあらむ いもが見むため
《降りかかる あられを袖に 包み持ち 消さんとからに お前に見せよ》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二三一二)
あしひきの 山かも高き まきむくの きしの小松に み雪降り来る
《あしひきの 巻向山が 高いんか がけの小松に 雪降りかかる》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二三一三)
まきむくの ばらもいまだ 雲ねば 小松がうれゆ あわゆき流る
《晴れとって まきむくばら 雲いに 松の小枝に 沫雪ゆき流れてる》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二三一四)
あしひきの 山も知らず 白橿しらかしの えだもとををに 雪の降れれば
《山道も 見えんなった 白樫しらかしの 枝たわむほど 雪降ったんで》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二三一五)



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人麻呂歌集編(34)露にぞ枯るる

2012年06月01日 | 人麻呂歌集編
【掲載日:平成24年6月1日】

ゆふされば 野辺のへの秋萩 うら若み つゆにぞ枯るる 秋待ちかてに


秋の訪れ 雁呼びたり
聞くかりは せつう響く
萩連れ 鹿は 声響かせて
時雨しぐれ降るたび 萩花散らす

春草はるくさを 馬咋うまくひ山ゆ 越えなる かり使つかひは 宿やどぐなり
咋山くいやまを 越える雁の 家使つかいやに 此処飛び過ぎた 家どやろかな》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻九・一七〇八)
巨椋おほくらの 入江とよむなり 射目人いめひとの 伏見ふしみに かり渡るらし
巨椋池おぐらいけ 入江鳴き声 響いてる 伏見の田ぁへ 雁渡るんや》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻九・一六九九)
                        (射目人=狩りで獲物を射る人→伏せて待つ→伏見)
秋風に 山吹やまぶきの瀬の 鳴るなへに あまくもかける かりへるかも
 秋風で 山吹の瀬ぇ 騒ぐ時 空飛ぶ雁の 声聞こえたで》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻九・一七〇〇)
 山吹=地名)
三諸みもろの 神奈備かむなび山に たち向ふ 御垣みかきの山に 秋萩の 妻をかむと あさ月夜づくよ 明けまくしみ あしひきの 山彦やまびことよめ 呼びたて鳴くも
神奈備かんなびの 山の向かいの かき山 あきはぎづまを さそおして 月夜けるん しいでと 声ひびかして 雄鹿しか鳴いとるよ》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻九・一七六一)
明日あすよひ 逢はざらめやも あしひきの 山彦やまびことよめ 呼びたて鳴くも
今夜こんやにも 逢えるんやろに 山陰やまかげで 声ひびかして 必死ひっし鳴いとる》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻九・一七六二)
                           (明日=一日は日没から始まると考えた)
鹿しかの 心あひおもふ 秋萩の 時雨しぐれの降るに 散らくししも
おす鹿しかの 心の妻の 秋萩が 時雨しぐれたび 散るんはしで》
                    ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇九四)
ゆふされば 野辺のへの秋萩 うら若み つゆにぞ枯るる 秋待ちかてに
 夕方が 来たら秋萩 若い葉ぁ 露で枯れるで 秋来るまでに》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇九五)




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