令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

人麻呂歌集編(12)立ちても居ても

2012年02月28日 | 人麻呂歌集編
【掲載日:平成24年2月28日】

はるやなぎ 葛城山かづらきやまに 立つ雲の 立ちてもても 妹をしぞ思ふ




自然 現象 こと寄せ宝庫
雲 霧 雨と 空見てうた
雲は湧き立つ 思いの象徴しるし
雲よ隠すな あの児のあた

やまに 雲居くもゐたなびき おほほしく 相見し子らを のち恋ひむかも
《ぼんやりと その気も無しに 共寝たあの児 そのうち好きに なるんやろうか》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四四九)
 雲間より さ渡る月の おほほしく 相見し子らを 見むよしもがも
《何とう 一寸ちょっとその気で 共寝たあの児 また逢う手立て 無いもんやろか》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四五〇)
あまくもの ひ遠み 逢はずとも あた手枕たまくら 我れ巻かめやも
《天と地が 付くほど遠て 逢えんでも 他女ほかの手枕 わしするもんか》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四五一)
雲だにも しるくし立たば なぐさめて 見つつもらむ ただに逢ふまでに
《雲さえも はっきり出たら 気ぃまぎれ 見てて偲べる じか逢う日まで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四五二)
はるやなぎ 葛城山かづらきやまに 立つ雲の 立ちてもても 妹をしぞ思ふ
葛城山かつらぎに 雲立ってるよ 立座たちすわり 何をてても お前が浮かぶ》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四五三)
春日山かすがやま 雲居かくりて とほけども 家は思はず 君をしぞ思ふ
《春日山 雲に隠れる とおに来て 家よりあんた しきりりと思う》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四五四)
我がゆゑに はれし妹は 高山の 嶺の朝霧あさきり 過ぎにけむかも
《わしのため 中傷うわさ立てられ あの児ちゃん 朝霧みたい はかのなったで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四五五)
ぬばたまの 黒髪山の 山すげに 小雨こさめ降りしき しくしく思ほゆ
黒髪山くろかみの 山菅すげに小雨が 降りしきる しきりにお前 恋してならん》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四五六)
大野らに 小雨降りしく もとに 時とね が思ふ人
《野の原に 小雨しきりや ねえあんた 雨宿りやと 一寸寄りいや》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四五七)



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人麻呂歌集編(11)海ゆまさりて

2012年02月24日 | 人麻呂歌集編
【掲載日:平成24年2月24日】

ひとごとは しましぞ我妹わぎも 綱手つなで引く 海ゆまさりて 深くしぞ思ふ




 の流れは 海へと注ぐ
 の白波 川より激し
深い海底うみそこ 思いの深さ
  土 岩と こと寄せ続く

荒磯ありそし ほか行く波の ほかごころ れは思はじ 恋ひて死ぬとも
《磯越して 離れ行くな うすごころ わし持たへんで 恋死こいじにしても》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四三四)
                                        外行く→外心)
淡海あふみうみ 沖つ白波 知らずとも 妹がりといはば 七日越え
《住むとこを 知らんかっても お前なら どんなかかろと 探して行くで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四三五)
                                        (白波→知らず)
大船の 香取かとりの海に いかり下ろし 如何いかなる人か 物思はずあらむ
《この世には いろんな人が るけども どんな人かて 物いするで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四三六)
                                        (碇→如何なる)
沖つ藻を かくさふ波の 五百重いほへ波 千重ちへしくしくに 恋ひわたるかも
《恋の波 次から次と 寄せてくる 沖の隠す 寄せ波みたい》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四三七)
                                        (五百重→千重)
ひとごとは しましぞ我妹わぎも 綱手つなで引く 海ゆまさりて 深くしぞ思ふ
《頑張りや 中傷うわさすぐむ このわしは 海より深こう 思てるよって》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四三八)
淡海あふみうみ おきつ島山 おくまけて いもが ことしげけく
《気になるな 心奥底おくそこ したわしいと 思てるあの児 恋噂うわさいんや》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四三九)
                                          (沖つ→奥)
近江あふみの海 沖漕ぐ船の いかり下ろし 忍びて君が こと待つ我れぞ
いかりして 船じっとする うちかって じっとしのんで 声掛こえ待ってんや》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四四〇)
こもの 下ゆ恋ふれば すべをみ 妹が名りつ むべきものを
心底こころそこ 焦がれたまらん お前を たらアカンに 口して仕舞しもた》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四四一)
大地おほつちは つくすとも 世の中の 尽し得ぬものは こひにしありけり
《地の土は 掘り尽くせるに 恋心 なんぼんでも 湧き止まらんで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四四二)
隠処こもりどの さはいづみなる 岩根いはねをも とほして思ふ が恋ふらくは
《わしの恋 やまおく沢の 大岩を 突きくだくほど 激しいんやで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四四三)
しら真弓まゆみ いその山の 常磐ときはなる 命なれやも 恋ひつつ居らむ
いそ山 永久とこしえ岩の 命なら 恋焦がれても 死にはせんのに》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四四四)


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人麻呂歌集編(10)妹は心に

2012年02月21日 | 人麻呂歌集編
【掲載日:平成24年2月21日】

宇治川うぢがはの 瀬々せぜのしき波 しくしくに 妹は心に 乗りにけるかも



 に続いて その次川よ
 にこと寄せ 思いが寄せる
水の流れは 命のたと
仲をはばむは 早瀬のたぎ

宇治川うぢがはの 瀬々せぜのしき波 しくしくに 妹は心に 乗りにけるかも
《瀬に寄せる 波次々や この胸に あの児姿すがたが 押し寄せ来るよ》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四二七)
                                      (しき波→しくしく)
ちはや人 宇治うぢわたりの 瀬を早み 逢はずこそあれ のちも我が妻
《渡し場の 瀬流ながようて 渡られん 今逢われんが 離れはせんで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四二八)
                      (ちはや人=猛々しく勢いの激しい人→流れの激しい宇治川?)
しきやし 逢はぬ子ゆゑに いたづらに 宇治川の瀬に 裳裾もすそ濡らしつ
《逢うことも してもらえんに 未練にも 宇治瀬渡って 裾濡らしたで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四二九)
宇治川の 水泡みなわ逆巻さかまき 行く水の 事かへらずぞ 思ひめてし
逆巻さかまいて 流れる水は 戻らへん 戻れん恋に 水没はまって仕舞しもた》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四三〇)
鴨川かもがはの のち静けく のちも逢はむ 妹には我れは 今ならずとも
後々あとあとに ゆっくりたら えこっちゃ そんなかんと あせらんとから》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四三一)
                                         (後瀬→後も)
ことに出でて はばゆゆしみ 山川やまがはの たぎつ心を かへたりけり
《口出して たら不吉や 胸のうち たぎる心を 抑えてるんや》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四三二)
水の上に かずくごとき 我が命 妹に逢はむと 祈誓うけひつるかも
はかのうて 取るに足らへん 命やが お前逢いとて 願掛がんかけとんや》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四三三)
明日香あすかがは 高川たかかはかし 越えしを まこと今夜こよひは 明けずも行かぬか
《明日香川 水嵩みずかさこて 遠回まわり来た そやから今夜 明けんでしな》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十二・二八五九)
つりがは 水底みなそこ絶えず 行く水の ぎてぞ恋ふる この年頃としころ
つりがわ 水の流れは 絶えへんで 絶えん焦がれが ここ何年なんねんも》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十二・二八六〇)


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人麻呂歌集編(09)徒歩(かち)より我が来し

2012年02月17日 | 人麻呂歌集編
【掲載日:平成24年2月17日】

山科やましなの 木幡こはたの山を 馬はあれど 徒歩かちよりが来し を思ひかねて



 のこと寄せ 自然が続く
身近みぢか山川 生活くらしの馴染み
天地境に そびえる山よ
 故にあの児の 仲隔てるよ

天地あめつちと いふ名の絶えて あらばこそ いましれと 逢ふことやまめ
《天と地が もしもうなる 時来たら わしらの恋が 終わる時やで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四一九)
月見れば 国はおなじぞ 山へなり うつくし妹は へなりたるかも
《月見たら おんなじ国や 山邪魔じゃまし わしとあの児を へだてとるけど》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四二〇)
来る道は いは踏む山は 無くもがも が待つ君が 馬つまづくに
《あんた来る 岩ち山は 消えて欲し あんた乗る馬 つまづくさかい》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四二一)
岩根いはね踏む へなれる山は あらねども 逢はぬ日まねみ 恋ひわたるかも
へだてする 岩ごろごろの 山いが 逢えん日続く 恋してならん》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四二二)
道のしり 深津ふかつ島山 しましくも 君が目見ねば 苦しかりけり
《深津島 ここしばらくは あの人に 逢えてないんで うち恋苦くるしいで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四二三)
                          (道の後=吉備の道の後=備後))(島山→暫くも)
ひもかがみ の山も がゆゑか 君ませるに 紐かず寝む
ほどかんと 寝ろて言うんか 出来るかい あんた来てるに ひもかへんと》
                              (=なとか=な解か=解くな)
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四二四)
山科やましなの 木幡こはたの山を 馬はあれど 徒歩かちよりが来し を思ひかねて
木幡こはた山 馬も乗らんと この足で 越えて来たんや 気ぃくさかい》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四二五)
遠山とほやまに 霞たなびき いやとほに いもが目見ねば れ恋ひにけり
い山は 霞懸って 余計よけ遠い 間遠まどう逢わん児 わし恋しいわ》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四二六)

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人麻呂歌集編(08)後(のち)も逢ふものを

2012年02月10日 | 人麻呂歌集編
【掲載日:平成24年2月10日】

白玉の あひだけつつ ける
         くくり寄すれば のちも逢ふものを




寄物陳思きぶつちんしは 何のこと 物にこと寄せ 思い
景色や物に たくし付け 心思いを 歌にする

先ず のこと寄せ 神さん祈る
海の白玉 真珠玉しんじゅが欲しい
瑞垣みずがき古杉すぎに 宿れる神よ 
信じ祈るで 加護かごたまわれよ
真珠のたまは 珍し宝 
あの 児このわし 大事な宝

娘子をとめらを 袖布留山ふるやまの 瑞垣みづかきの 久しき時ゆ 思ひけり我れは
《布留山の 瑞垣みずがき遠い 昔から わしの思いも い昔から》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四一五)
ちはやぶる 神の持たせる 命をば がためにかも 長くりせむ
《神さんが くれて持たせた この命 なごう祈るん 何方どなたの為や》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四一六)
石上いそのかみ 布留ふるかむすぎ かむさぶて 恋をもれは さらにするかも
石上いそかみの 布留の神杉 古めかし 古年ええとししてて まだ恋するか》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四一七)
如何いかならむ 名負なおふ神にし けせば が思ふいもを いめにだに見む
《どんな名の 神さん頼み おがんだら わしのあの児が 夢んや》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四一八)
やましろの 石田いはたもりに 心おそく 手向たむけしたれや いもに逢ひかた
石田神社いわたかみ ぞんざい祈り 仕舞たか 何でこの頃 あの児に逢えん》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十二・二八五六)
淡海あふみうみ しづく白玉 知らずして 恋ひせしよりは 今こそまさ
湖底うみそこの 真珠いとおし 思てたが 手にした今は なお更いとし》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四四五)
                                        (白玉→知らず)
白玉しらたまを 巻きてぞ持てる 今よりは 我が玉にせむ 知れる時だに
しんじゅたま 今ここあるで この玉は 手にある限り わしのもんやで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四四六)
白玉を 手に巻きしより 忘れじと 思ひけらくは 何かをはらむ
《真珠玉 手に入れたんで 絶対に くすもんかい 死ぬまでずっと》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四四七)
白玉の あひだけつつ けるも くくり寄すれば のちも逢ふものを
《真珠玉 あいだあっても 通す紐 ぎゅっと絞ると 玉うで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四四八)


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人麻呂歌集編(07)我(わ)にな恋ひそと

2012年02月07日 | 人麻呂歌集編
【掲載日:平成24年2月7日】

のちも逢はむ にな恋ひそと いもは言へど
             恋ふるあひだに 年はにつつ




強面こわもて誇る 男でも
 恋のやまいに 勝てやせぬ

一途いちずに惚れた 恋なればこそ
なぜ に諦め 出来ようものか
あたら 男に 生まれたからに
他人ひとに言えんで ただただがる

健男ますらをの うつし心も 我れはなし 夜昼よるひるといはず 恋ひしわたれば
《男やと う値打ちなぞ わしないわ 夜昼よるひるなしに 焦がれ続けて》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二三七六)
いはほすら 行きとほるべき 健男ますらをも こひといふことは のちいにけり
《岩かても くだいて通る 男やに 恋のことやと やみ続けや》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二三八六)
いで何か ここだはなはだ ごころの するまで思ふ こひゆゑにこそ
《なんでまた こんなだらし なったんや 恋した所為せいや 正気しょうきやないで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四〇〇)
 世の中は 常かくのみと 思へども はたた忘れず なほ恋ひにけり
 恋なんか するん忘れよ 思うけど 忘れられんで また恋してる》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二三八三)
よしゑやし まさぬ君を 何せむに いとはずれは 恋ひつつらむ
《アホみたい えへんあんた 恋続け 忘れられんで 待ってんやうち》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二三七八)
のちも逢はむ にな恋ひそと いもは言へど 恋ふるあひだに 年はにつつ
《そのうちネ そんな悩みな うけども 焦がれてる間に 年過ぎてくで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十二・二八四七)
あらたまの 五年いつとせれど 我がこひの あとなき恋の まなくあや
《もう五年 経って仕舞しもたが わしの恋 実りもせんに まだ続いとる》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二三八五)

正述せいじゅつ心緒しんしょ 詠いし心
全て 恋歌 男と女
素直すなお心に ばち
これぞ 世の中 昔も今も


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人麻呂歌集編(06)間使(まづかひ)も来ず

2012年02月03日 | 人麻呂歌集編
【掲載日:平成24年2月3日】

立ちてて たづきも知らず 思へども
             いもに告げねば 間使まづかひ




 来るか来んかと 気をもんで
        がれ待たされ 身は細る

惚れて待つ身は 心底しんそこつら
今日は来るかな 明日あしたはどかな
あんた 目の前 浮かんで消えん
なのに 姿を 見せんで久し

我が背子せこは さきくいますと 帰りと れに告げむ 人もぬかも
《うちの人 元気で居るで すぐ帰る うて知らせる 人んやろか》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二三八四)
眉根まよねき はなひ紐け 待つらむか 何時いつかも見むと 思へる我れを
まゆ掻いて くしゃみ帯き 待つやろか 何時いつ行けるかと 苦悩くるしむわしを》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四〇八)
                          (眉が痒い・くしゃみが出る・紐が解ける=逢える前兆)
君が目を 見まくりして この二夜ふたよ 千年ちとせのごとも は恋ふるかも
《逢いとうて 顔を見とうて ここ二日ふつか 千年思て うち焦がれてる》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二三八一)
高麗こまにしき ひも解きけて ゆうへだに 知らずある命 恋ひつつかあらむ
恋苦くるしいて 晩まで命 分らんに 帯いたまま 焦がれおるんや》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四〇六)
よるず 安くもあらず 白栲しろたへの ころもかじ ただに逢ふまでに
《眠れんで 安らぎ心 出来でけんけど じかに逢うまで 下着ふく脱がへんぞ》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十二・二八四六)
立ちてて たづきも知らず 思へども いもに告げねば 間使まづかひ
《いらいらと 手立て出来でけんで 思てても 黙っとったら 使いも来んわ》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二三八八)
見わたせば 近き渡りを たもとほり 今か来ますと 恋ひつつぞ
 渡し場は すぐ見えてるに うろうろし 今に来るかと うちじりじりや》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二三七九)
しきやし ふれかも 玉桙たまほこの 道見忘れて 君がまさぬ
《悔しいで 誰ぞ邪魔して るんかな 道忘れたか あんたんがな》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二三八〇)


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