【掲載日:平成24年5月29日】
ひさかたの 天の香具山 この夕 霞たなびく 春立つらしも
春の温もり 気を温めて
霞棚引き 春宵暮れる
茂る木の葉に 古杉枝の
明日香山々 霞が隠す
ひさかたの 天の香具山 この夕 霞たなびく 春立つらしも
《香久山に 春の夕方 今まさに 霞靡いて 春来てるんや》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・一八一二)
古の 人の植ゑけむ 杉が枝に 霞たなびく 春は来ぬらし
《遠い昔 誰かが植えた 古杉枝に 霞靡くよ 春来たらしい》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・一八一四)
子らが手を 巻向山に 春されば 木の葉しのぎて 霞たなびく
《巻向の 山に春来た 木ぃの葉を 蔽い尽くして 霞靡くよ》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・一八一五)
玉かぎる 夕さり来れば 猟人の 弓月が嶽に 霞たなびく
《薄明かり 照る夕暮が 近づくと 弓月が嶽に 霞が靡く》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・一八一六)
今朝行きて 明日には来ねと 言ひし子か 朝妻山に 霞たなびく
《帰っても また晩来てと 言た朝妻の 朝妻山に 霞棚引く》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・一八一七)
(明日=一日は日没から始まると考えた=今晩)
子らが名に 懸けのよろしき 朝妻の 片山崖に 霞たなびく
《聞いたなら 愛しい思う 朝妻の 山の片岸 霞靡くよ》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・一八一八)
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