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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

古今相聞往来(上)編(45)我は梳(けづ)らじ

2013年04月26日 | 古今相聞往来編(上)
【掲載日:平成25年4月26日】

朝寝髪あさねがみ 我れはけづらじ うるはしき 君が手枕たまくら 触れてしものを




大人ならでは うたえん歌も
激し思いを たぎらせかせ
まだ共寝足りんと 女は強請せが
寝乱れがみも かんでくと

刈りこもの 一重ひとへを敷きて されども 君としれば 寒けくもなし
こもむしろ 一枚だけの 寝床ねどこやが あんたと共寝たら さむ無いのんや》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五二〇)
  
こも刈る 大野おほの川原がはらの 水隠みごもりに 恋ひいもが 紐く我れは
もぐり水 しのがれて 今やっと ほどいとるんや お前のひもを》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七〇三)
  
沖つ波 辺波へなみる 左太さだの浦の このさだ過ぎて のち恋ひむかも
至福しふくどき あんたうてる この今が 過ぎて仕舞しもたら またがれんか》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七三二)
                                     (左太さださだ

明けぬべく 千鳥ちどりしば鳴く 白栲しろたへの 君が手枕たまくら いまだかなくに
《もう朝と 千鳥鳴きよる まだうちは あんたと共寝るん 足らへんのんに》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二八〇七)
  
あさを 早くな開けそ あぢさはふ 目がる君が 今夜こよひ来ませる
《朝の戸を 早々はやばやけな 昨夜ゆうべから いとしあの人 来てはるんやで》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五五五)
  
人目る 君がまにまに 我れさへに 早く起きつつ すそ濡れぬ
《人目け 帰るあんたに うて 早よに起きたら 裳裾すそ濡れて仕舞た》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五六三)
  
朝寝髪あさねがみ 我れはけづらじ うるはしき 君が手枕たまくら 触れてしものを
朝乱みだがみ うちかんとく 大好きな あんたさわった 髪なんやから》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五七八)




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古今相聞往来(上)編(44)身に添そへ我妹(わぎも)

2013年04月23日 | 古今相聞往来編(上)
【掲載日:平成25年4月23日】

彼方をちかたの 埴生はにふ小屋をやに 小雨こさめ降り とこさへ濡れぬ 身に我妹わぎも




かようた 大人の恋は
わす言葉に いたわにじ
 に過ごした 夜明けが来たら
別れしげを さりげうた

うつくしと 思へりけらし な忘れと 結びしひもの くらく思へば
《忘れなと 結んだ紐が ほどけんは いとおしおもて くれてるんやわ》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五五八)
  
黒髪くろかみの 白髪しろかみまでと 結びてし 心ひとつを 今かめやも
《黒い髪 白なるまでと ちこたんや むすんだ心 うちほどかんで》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六〇二)
  
彼方をちかたの 埴生はにふ小屋をやに 小雨こさめ降り とこさへ濡れぬ 身に我妹わぎも
さととおい 粗末そまつな小屋で 雨うて 寝床ねどこも濡れた 身温ぬくめてお前》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六八三)
  
かくのみし 恋ひば死ぬべみ 垂乳根たらちねの 母にも告げつ まずかよはせ
がれして 死にでおに うたんで 気遣きづかいなしに 毎日おいで》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五七〇)
  
桜麻さくらをの 麻生をふ下草したくさ 露しあれば かしてい行け 母は知るとも
《下草は 露に濡れてる 明けてから 行ったらやん おかん知っても》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六八七)
  
ゆふりの 霜置きにけり 朝戸出あさとでに いたくし踏みて 人に知らゆな
よるいた 霜こおってる 朝帰かえりしな バリバリ踏んで 知られんときや》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六九二)
  
月しあれば くらむわきも 知らずして 寝て我がしを 人見けむかも
《月こて よるの明けたん 分らんで おそに出たんを 見られたちゃうか》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六六五)




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古今相聞往来(上)編(43)緒(を)になるまでに

2013年04月19日 | 古今相聞往来編(上)
【掲載日:平成25年4月19日】

ひとりと こもちめやも あやむしろ になるまでに 君をし待たむ



大人女は じょう濃く深い
焦がれ黒髪 ほどいて待って
痩せて影法師かげぼし それでも待つよ
共寝んと千日 まだまだ待つよ

わたの底 おきを深めて ふるの もとも今こそ 恋はすべなき
《この恋は 激しでもっとも 今が今 奥にはまって どう仕様しょうもない》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七八一)
                                   (→もとも=もっとも)

ぬばたまの 我が黒髪くろかみを 引きぬらし 乱れてさらに 恋ひ渡るかも
《黒髪を きほぐし 身も心 乱れ狂うて がれとんやで》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六一〇)
  
朝影あさかげに が身はなりぬ 韓衣からころも 裾のあはずて 久しくなれば
なごう わへんよって 恋苦くるしいて せてこのうち 朝影法師かげぼしみたい》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六一九)
                    (韓衣からごろもすそ左右さゆうわせずにる→あはずて→逢はずて)

志賀しか海人あまの しほ焼きころも なれぬれど こひといふものは 忘れかねつも
くるこい 多数ようけしたんで もう不要ええわ せやがまたこい となったがな》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六二二)
                         (ころもれる=よれよれになる→れる)

ひとりと こもちめやも あやむしろ になるまでに 君をし待たむ
ひとで 薦筵むしろちんが あやむしろ れるまで あんたをつで》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五三八)
  
は 千夜ちよもありとも 我が背子せこが 思ひゆべき 心は持たじ
ともせん よるが千日 続いても 気ぃ変わるな うちちゃいまっせ》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五二八)
  
くれなゐの ふかめのきぬ 色深く みにしかばか 忘れかねつる
念入ねんいりに めたあかふく いろみて 心染みたあんたが わすれられんわ》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六二四)
  
おほならば が見むとかも ぬばたまの 我が黒髪くろかみを なびけてらむ
《黒髪を ほどなびかせ るん だれせとてか わかるなあんた》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五三二)





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古今相聞往来(上)編(42)年の八年(やとせ)を

2013年04月16日 | 古今相聞往来編(上)
【掲載日:平成25年4月16日】

山川やまがはに うへを伏せて りもあへず 年の八年やとせを 我がぬすまひし



人妻るは 男の冥利みょうり 
れて仕舞しもたら 夜も日も明けぬ
後先あとさき見ずに ぬすみに行くか
うまかすめた 八年ばかり

 旋頭歌】
うちひさす 宮道みやぢひし 人妻ひとづまゆゑに
たまの 思ひ乱れて しぞ多き

大宮みやこ道 たまさかうた 人妻れて
 思い詰め 寝られんよるが おおなって仕舞た》
                          ―作者未詳―(巻十一・二三六五)
  
ちはやぶる 神の斎垣いかきも 越えぬべし 今は我が名の しけくもなし
《もうわしは なにわれても まわんわ 結界けっかい破り 越えて仕舞しもたる》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六六三)
                                         (人妻恋)

山川やまがはに うへを伏せて りもあへず 年の八年やとせを 我がぬすまひし
うえはいる うおそのまんま するよって かすめたったで わし八年も》
かこってる 女の監視かんし ゆるいんで かくかよたで わし八年も)【比喩】
                          ―作者未詳―(巻十一・二八三二)
                                 (うえ=竹編みの筒状つつじょう漁具)

れた女房も 日がちゃ飽きる
まして 古いは その気も起きん
若返るには 新しえと
無理な理屈で 他女ほかへと走る

くれなゐの ふかめのきぬを したに着ば 人の見らくに にほひでむかも
紅花べにばなで ぉ染めたふく したたら 人が見たなら け見えるかな》
おんなと ひそちぎりを むすんだら 人がったら どううやろか)【比喩】
                          ―作者未詳―(巻十一・二八二八)
  
古衣ふるころも うつる人は 秋風の 立ちくる時に 物思ものもふものぞ
《古なった ふく捨てるは 秋の風 吹き始めたら 失敗しもたおもうで》
ふる女房にょうぼ 捨てるは いざの時 困るやろうに 知ってんやろか)【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六二六)
  
ころもしも おほくあらなむ 取りへて 着ればや君が おも忘れたる
ふく多数ようけ あるんえけど 次々に るよって うちお忘れか》
てる ひと多数よけって 次々に えしてて うちお忘れか)【比喩】
                          ―作者未詳―(巻十一・二八二九)
  
梓弓あづさゆみ 弓束ゆづか巻きへ なかさし さらに引くとも 君がまにまに
《新しい 弓束ゆづかえたに 気ぃ変わり がしかるか お好きなように》
(このうちの 気ぃ引いといて 後込しりごんで 元妻もとに帰るか もう勝手に)【比喩】
                          ―作者未詳―(巻十一・二八三〇)





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古今相聞往来(上)編(41)しゑや命の

2013年04月12日 | 古今相聞往来編(上)
【掲載日:平成25年4月12日】

たまぢはふ 神も我れをば 打棄うつてこそ しゑやいのちの しけくもなし



かたこいましや 傷つきせんで
かよた心を 裏切りされて
捨てられた なら 死ぬしかないわ
くやしこの胸 いやすんらん

甘南備かむなびに ひもろき立てて いはへども 人の心は 守りあへぬもの
《ひもろきを ててまつって いのっても こころわりは められへんで》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六五七)
                              (ひもろき=神のりましの樹)

しきやし 吹かぬ風ゆゑ たま櫛笥くしげ けてさにし 我れぞくやしき
えへんの 知ってながらも 戸ぉ開けて 寝てたこのうち 情け思う》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六七八)
                             (吹かぬ風=たずねてこない男)

畳薦たたみこも へだかず かよはさば 道の芝草しばくさ ひずあらましを
屡々しばしばも あんたかようて くれたなら こんな芝草しばくさ びんかったに》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七七七)
  
たまぢはふ 神も我れをば 打棄うつてこそ しゑやいのちの しけくもなし
《もうえわ 神さんうちを 見捨ててや いのちやなんて もうしないわ》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六六一)
  
たまの 絶えたる恋の 乱れなば 死なまくのみぞ またも逢はずして
《切れて仕舞た 恋思い出し もだえても 死ぬしかないな もうえんので》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七八九)
  
 問答】
杜若かきつはた 佐紀さきすげを 笠にひ 着む日を待つに 年ぞにける
すげかさ あと ってたに いつか年月としつき って仕舞しもたで》
(そのうちに むすばれんやと 待ってたが いつか年月としつき って仕舞たがな)
                          ―作者未詳―(巻十一・二八一八)
                         (笠に縫う=ちぎる)(る=結婚けっこんする)
押し照る 難波なにはすげかさ 置きふるし のちが着む 笠ならなくに
すげかさ ふるうなるまで 置いといて あとでこのかさ だれんや》
ちぎるだけ ちぎってからに っといて あとこのうちは だれちゃんや)
                          ―作者未詳―(巻十一・二八一九)
  
み吉野の 水隈みぐますげを まなくに 刈りのみ刈りて 乱りてむとや
川隅かわすみの すげくさ刈って まへんで 散らしそのまま っとくんかい》
(このうちを ちぎらしといて っといて 奥さんせんと そのまますんか)【比喩】
                          ―作者未詳―(巻十一・二八三七)
                             (刈る=ちぎる 編む=結婚する)




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古今相聞往来(上)編(40)鰒(あわび)の貝の

2013年04月09日 | 古今相聞往来編(上)
【掲載日:平成25年4月9日】

伊勢の海人あまの 朝な夕なに かづくといふ あはびの貝の 片思かたもひにして



つらい苦しで かたこい云うは
なごう思おが ふこ思おうが
投げた手玉ただまは 受け手がうて
坂をころげて 行き先知れん

あひ思はぬ 人のゆゑにか あらたまの とし長く が恋ひらむ
おもうても くれへん人を 当てにして ここ何年も がれてるんや》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五三四)
  
しきやし 逢はぬ君ゆゑ いたづらに この川の瀬に たま濡らしつ
《ぼぉおっと 川瀬ってて 濡らした うてもくれん あんたおもてて》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七〇五)
  
青山の 岩垣沼いはかきぬまの 水隠みごもりに 恋ひやわたらむ 逢ふよしをなみ
よどみ水 かくれてしのぶ がれ恋 続くんやろか 伝手つてしに》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七〇七)
  
かくしつつ が待つしるし あらぬかも 世の人みなの つねにあらなくに
恋焦こがれして うち待つ甲斐かいは あるんかな 人の命は はかなうに》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五八五)
  
ねもころに 片思かたもひすれか このころの が心どの 生けるともなき
片思かたもいに つかしなびて この頃は 生きた心地も い毎日や》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五二五)
  
みづくくる 玉にまじれる 磯貝いそかひの 片恋かたこひのみに 年はにつつ
《うちの恋 磯貝みたい 片貝や 片思かたもいままで 年過ぎてくで》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七九六)
  
伊勢の海人あまの 朝な夕なに かづくといふ あはびの貝の 片思かたもひにして
《うちの恋 伊勢海人あまもぐり 朝晩に 採るあわびやで 片思かたもいなんや》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七九八)




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古今相聞往来(上)編(39)母が問はさば

2013年04月05日 | 古今相聞往来編(上)
【掲載日:平成25年4月5日】

玉垂たまだれの 小簾をすのすけきに かよ
垂乳根たらちねの 母がはさば 風とまをさむ



としごろむすめ かかえるおや
下手 な虫なぞ 寄らしはせんと
厳重げんじゅう監視みはり 怠りなしに
日毎ひごと夜毎よごとの 警戒しき

当の娘は えを迎え
親の目ぬすみ 男と出来る
忍ぶ 男の 足音聞いて
娘どきどき おや目をらす

垂乳根たらちねの 母にさはらば いたづらに いましれも 事のなるべき
《おはんに 邪魔されたなら あんたうち 二人の仲は 台無しなるで》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五一七)
  
垂乳根たらちねの 母にまをさば 君もれも 逢ふとはなしに 年ぞぬべき
かあちゃんに うて仕舞しもたら 二人とも もうわれんで これからずっと》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五五七)
  
そかれと 問はば答へむ すべをなみ 君が使つかひを 帰しつるかも
だれやんと 聞かれ返事が へんで あんたの使つかい 帰して仕舞しもた》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五四五)
  
荒熊あらくまの むといふ山の 師歯迫山しはせやま めて問ふとも が名は告らじ
《おはんが なんぼうちめ んねても うもんかいな あんたの名前》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六九六)
                                         (め)

れぞこの が宿呼ぶ 垂乳根たらちねの 母にころはえ ものれを
《おはんに しかめられ 沈むのに 誰やほんまに また来て呼ぶん》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五二七)
  
 旋頭歌】
玉垂たまだれの 小簾をすのすけきに かよ
垂乳根たらちねの 母がはさば 風とまをさむ
《このすだれ 隙間すきま通って かよといでやな
 音しても おかあいたら 風やてうわ》
                          ―作者未詳―(巻十一・二三六四)
  
玉垂たまだれの 小簾をす垂簾たれすを 行きかちに さずとも 君はかよはせ
親床ねどことの 間にすだれ らすから とも出来んが りんとかよて》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五五六)
  
奥山の 真木まきいたを 押し開き しゑやね のちは何せむ
《がっしりの 板戸バアンと 押し開けて 出てあとは どうでもなるで》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五一九)




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古今相聞往来(上)編(38)襲津彦(そつひこ)真弓(まゆみ)

2013年04月02日 | 古今相聞往来編(上)
【掲載日:平成25年4月2日】

葛城かづらきの 襲津彦そつひこ真弓まゆみ 荒木あらきにも 頼めや君が 我が名りけむ



 人名前は 内緒の秘密
 に知れたら 噂が立って
神に知れたら 災いかぶ
滅多めったなことで 言うんやないで
  
いもが名も 我が名も立たば しみこそ 富士の高嶺の 燃えつつ渡れ
《おまえも わしたら くやしから おもさえて くすぶらしとき》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六九七)
  
君が名も 我が名も立たば しみこそ 富士の高嶺の 燃えつつも
《あんたの うちのたら くやしよて じっとおもいを くすぶらしとき》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六九七 或る本)
  
犬上いぬかみの 鳥籠とこの山なる 不知哉川いさやがは いさとを聞こせ 我が名らすな
《あれこれと かれたかても とぼけとき さあネといて うちのいな》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七一〇)
                         (不知哉川いさやがは→いさ=さあらん)

玉かぎる 岩垣淵いはかきふちの こもりには 伏して死ぬとも が名はらじ
かくふち 隠れえんで 恋苦くるしいて やまい死んでも あんた名わん》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七〇〇)
  
我が背子せこが その名らじと たまきはる いのちは捨てつ 忘れ給ふな
《あんたの うもんかいと いのち懸け ちこたうちやで おぼえといてや》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五三一)
  
葛城かづらきの 襲津彦そつひこ真弓まゆみ 荒木あらきにも 頼めや君が 我が名りけむ
荒々あらあらし 襲津彦そつひこゆみの 荒木神あらきでも しんじたんかい うちのうて》
軽々かるがるに うちの名前なまえを うなんて ぽどあんた どないかしてる)【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六三九)
  
あぢかまの 塩津しほつを指して 漕ぐ船の 名はりてしを 逢はざらめやも
塩津しおつぐ 船知れてる うち名前 知らしたうに わへんのんか》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七四七)




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