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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(29)手斧取らえぬ

2012年09月28日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年9月28日】

御幣みぬさ取り 三輪みわはふりが いはふ杉原
 たきぎり ほとほとしくに 手斧てをの取らえぬ





付き合い しても 不安は尽きず
成るかこの恋 試練しれんを越えて

しきやし 我家わぎへもも もとしげく 花のみ咲きて ならずあらめやも
《家の桃 ろ茂る 花だけで ぃ成らへんて ことないやろな》【木に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三五八)
(引く手いけど 結婚まとまるやろか)

住吉すみのえの 浅沢あささは小野をのの 杜若かきつはた きぬり付け 着む日知らずも
住吉すみのえの 浅沢あさざわ小野おのの 杜若かきつばた めてふくん いつ出来できんやろ》【花に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三六一)
 お前一緒に 何時なれるんや)

見まくり 恋ひつつ待ちし 秋萩は 花のみ咲きて 成らずかもあらむ
《見てみとて 待ちに待ってた 秋萩は 花だけ咲いて ぃ成らんのか》【花に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三六四)
(付きとるけど なれるか一緒)

いきに 思へるれを 山ぢさの 花にか君が うつろひぬらむ
《うち命 思てるのんに 山じさの 花みたい気ィ えたんちゃうか》【花に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三六〇)
                               (山じさ=しおれやすいエゴの木)
 見てられんがな しっかりしてや)

ことけば 沖ゆけなむ 港より かふ時に くべきものか
けるんは 沖るときに んかいな 港近こ来て けるてあるか》【船に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一四〇二)
 ここまで連れて いまさらなんで)

 の相手は 娘の他も
他人ひと女房にょうぼは つやっぽ見える

照左豆てるさづが 手に巻き古す 玉もがも その緒はへて 我が玉にせむ
照左豆てりさずが 手巻く年期ねんきの 玉欲しな ひもえて わしのにするよ》【玉に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三二六)
(人のよめはん に見える)

つねならぬ 人国山ひとくにやまの 秋津野あきつのの 杜若かきつはたをし いめに見しかも
人国ひとこくの 山の秋津野あきつの 綺麗きれえ咲く 杜若かきつばたばな わし夢見たで》【草に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三四五)
 人妻あの児 夢出て困る)

御幣みぬさ取り 三輪みわはふりが いはふ杉原
 たきぎり ほとほとしくに 手斧てをの取らえぬ

ぬさ持って 三輪の神官しんかん まつってる杉
 その杉を ろして手斧ておの 取られかけたで》
                               【施頭歌】
                          ―作者未詳―(巻七・一四〇三)
(人妻ろて えらい目うた)



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巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(28)宇陀(うだ)の真埴(まはに)の

2012年09月25日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年9月25日】

大和やまとの 宇陀うだ真埴まはにの さ付かば そこもか人の ことなさむ




逢瀬おうせかさねは 人目がこわ
我慢 用心 重ねてみても
仕草しぐさ表情ひょうじょに 様子が知れる
知れる こと無い 思うてみても

嘆きせば 人知りぬべみ 山川やまがはの たぎつ心を かへてあるかも
溜息ためいきを したらみんなに 知られると き出る思い おさえとんのや》【川に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三八三)
水隠みごもりに いきづきあまり はやかはの には立つとも 人に言はめやも
《水もぐり 息詰めねて 早い瀬に 立つ羽目はめても 黙ってるで》【川に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三八四)
(隠すつらいが 知れんのこわい)

絶えずく 明日香の川の よどめらば ゆゑしもあるごと 人の見まくに
《流れてる 明日香の川が よどんだら どしたんかなと みんな思うで》【川に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三七九)
(ちょっと様子が ごたら知れる)

いはそそき 岸の浦廻うらみに 寄せてる波 寄らばか ことしげけむ
はげしいに がけの入江に 寄せる波 岸辺寄ったら みな五月蝿うるさいで》【海に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三八八)
 来たらあかんで 来るならそっと)

大和やまとの 宇陀うだ真埴まはにの さ付かば そこもか人の ことなさむ
《大和国 宇陀うだ埴生はにゅうの 赤い色 付いただけでも あれこれ言うか》【はにに寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三七六)
(顔こしたら 知られて仕舞うか)

南淵みなぶちの 細川山に 立つまゆみ 弓束ゆづか巻くまで 人に知らえじ
《細川の 山のまゆみよ 弓にして 弓束ゆづか巻くまで 知られんときや》【弓に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三三〇)
 わしが見つけた お前やよって)

くれなゐの ふかめのきぬ したに着て うへに取り着ば ことなさむかも
紅色べにいろの したてたふく うえ羽織はおり 着たらみんなは 何ちゅうやろか》【衣に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三一三)
(隠れ付き合い っぴらしたら)

真鉋まかな持ち 弓削ゆげ川原かはらの うもれ木の あらはるましじき ことにあらなくに
弓削ゆげがわの 岸のうも 真逆まさかにも 浮き出て来るて 思いもせんで》【埋れ木に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三八五)
 わしらの恋も 知れるん違うか)



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巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(27)採(と)らずは止(や)まじ

2012年09月21日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年9月21日】

わたの底 しづく白玉 風吹きて 海は荒るとも らずはまじ



真面目まじめ男は 一途いちずが命
何があろうと 男気おとこぎ通す
がんけ祈る この恋成就みのれ
例え神罰しんばつ 当たろとまま

わたの底 しづく白玉 風吹きて 海は荒るとも らずはまじ
うみそこに 沈む白玉 風吹いて 海荒れたかて らんでくか》【玉に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三一七)
(男決めたら とおさでなるか)

底清み しづける玉を 見まくり たびりし かづきする海人あま
《底よて 見えてる白玉たまを 手に仕様しょうと ごうてもぐる 海人あまやでわしは》【玉に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三一八)
大海おほうみの 水底みなそこ照らし しづく玉 いはひてらむ 風な吹きそね
大海おおうみの 底で輝く 白玉を 願掛がんかるで 風吹きないな》【玉に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三一九)
れて仕舞しもたら 命もらん)

水底みなそこに しづく白玉 ゆゑに 心尽して 我が思はなくに
《水の底 沈む白玉 一筋に わしおもてんは お前だけやで》【玉に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三二〇)
伊勢の海の 海人あまの島津が 鰒玉あはびたま りてのちもか 恋のしげけむ
伊勢いせ海の 漁師う 志摩しま真珠しんじゅ 手に入れたかて まだまだしで》【玉に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三二二)
一途いちず思いよ お前に届け)

葦の根の ねもころ思ひて 結びてし 玉のといはば 人かめやも
《思い込め 結びつないだ 玉のひも ほかの誰にも かせはせんぞ》【玉に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三二四)
 何があろとも 離しはせんぞ)

つきくさに ころもらむ 朝露に 濡れてののちは うつろひぬとも
《露草で ふくめようや 朝露に 濡れてせても かまへんよって》【草に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三五一)
 苦労覚悟や お前はどうや)

木綿ゆふけて いはふこのもり 越えぬべく 思ほゆるかも 恋のしげきに
《神さんを まつ神社やしろに 越えはいり ばちも覚悟の 恋はげしんや》【神に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三七八)
(命っても 恋かなえるで)



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巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(26)糸をぞ我が縒(よ)る

2012年09月18日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年9月18日】

紫の 糸をぞる あしひきの やまたちばなを かむと思ひて


づよい女 中にはるぞ
積極せっきょく果敢かかん 男に迫る

君に似る 草と見しより 我がめし 野山の浅茅あさぢ 人な刈りそね
浅茅あさじはな あんた似てると おもたんで 目っこ付けたで 誰も取りなや》【草に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三四七)
 うちが先やで 見つけたのんは)

河内女かふちめの 手染めの糸を り返し 片糸かたいとにあれど 絶えむと思へや
《手で染めた 一筋ひとすじ糸で 細いけど 切れるやなんて うち思わへん》【糸に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三一六)
片思かたもいやけど あきらめへんで)

泊瀬はつせがは 流るる水泡みなわの 絶えばこそ が思ふ心 げじと思はめ
《うちの恋 あきらめせんで 泊瀬川 例えこの水泡あわ 消え果てしても》【川に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三八二)
かなえてみせる このうち思い)

紫の 糸をぞる あしひきの やまたちばなを かむと思ひて
《紫の 上等じょうとの糸を るでうち 山橘たちばなぃ つなもうて》【草に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三四〇)
(あんた離さん ちぎっておくれ)

負けてれんぞ 男の方も
後先あとさき見ずに 遮二しゃに無二むに迫る

三島江みしまえの 玉江のこもを めしより おのがとぞ思ふ いまだ刈らねど
三島江みしまえの 入江のこもに 目ぇ付けた 刈っとらへんが わしのもんやで》【草に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三四八)
 わしは決めたで その気になりや)

真木柱まきばしら 作る杣人そまびと いささめに 仮廬かりいほのためと 作りけめやも
真木柱まきばしら 作るきこりは 間違まちごても 小屋の柱に 作ったちゃうで》【木に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三五五)
(わしは本気や 加減かげんちゃうで)

言痛こちたくは かもかもむを いはしろの 下草したくさ 我れし刈りてば
《岩代の 野ぉの下草 れるなら 何われても そらその時や》【草に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三四三)
 まずはお前を 手にするこっちゃ)

大船おほぶねに かぢしじき 漕ぎなば 沖は深けむ 潮はぬとも
大船おおぶねに かじ付け回し 漕ぎたら 潮引いたかて 沖は深いで》【海に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三八六)
(踏ん切り仕様しょうや あと吉るで)




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巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(25)我れ待ち痩せむ

2012年09月14日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年9月14日】

三国みくにやま 木末こぬれまふ むささびの 鳥待つ如く 我れ待ちせむ



つらいな 待つしか出来ん
こまめがよいの 信じた男
ちぎった後は 足遠のいて
袖は濡れるし 身はせ細る

闇のは 苦しきものを 何時いつしかと 我が待つ月も はやも照らぬか
《闇のは うちせついで 何時いつ出るか 待ってる月よ よ照らんかい》【月に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三七四)
春日山 山高くあらし いはうへの すがの根見むに 月待ちかたし
《春日山 山高いや 岩そばの すが根見たいに 月遅いがな》【月に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三七三)
 邪魔は多いし くたびれ待つし)

しほ満てば りぬる磯の 草なれや 見らくすくなく 恋ふらくの多き
《潮来たら 隠れてしまう 磯の草 見るすくのて しのぶんいで》【藻に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三九四)
(待つんなごうて 逢瀬はじきや)

ひさかたの 雨にはぬを あやしくも 我が衣手ころもでは る時なきか
《雨降りに 着てへんふくが なんでやろ うちのこの袖 濡れ乾かんで》【雨に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三七一)
 恋し焦がれが 袖濡らすんや)

白玉を 手には巻かずに 箱のみに 置けりし人ぞ 玉なげかする
真珠しんじゅだま 手ぇ巻かへんで はこなかに 仕舞しもとる人よ 玉泣いてるで》【玉に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三二五)
ったらかしは うち悲しいわ)

広瀬ひろせがは 袖くばかり 浅きをや 心深めて が思へるらむ
《広瀬川 長袖そでく程の 浅さやに なんでふこうに 思うんやうち》【川に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三八一)
(あんた薄情はくじょや 気ィ知らんとに)

三国みくにやま 木末こぬれまふ むささびの 鳥待つ如く 我れ待ちせむ
《三国山 こずえんでる むささびが 鳥待つように 待つうちせる》【獣に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三六七)
(何でんのや 待つんつらいで)

朝霜あさしもの やすきいのち がために 千年ちとせもがもと が思はなくに
朝霜しもな はかない命 誰のため うち千年も ねがうんやろか》
                         【比喩歌に非ず・一三七四と同作者に付きの挿入】
                          ―作者未詳―(巻七・一三七五)
(今のままやと うち死んで仕舞う)



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巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(24)ゆたにたゆたに

2012年09月11日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年9月11日】

が心 ゆたにたゆたに 浮蓴うきぬなは にも沖にも 寄りかつましじ



近づく 男 本気やろうか
 にはなるけど 油断は出来ん
こわい気持ちと 高鳴る胸と
 の警戒 強なる日増し

豊国とよくにの 企救きく浜辺はまへの 真砂土まなごつち 真直まなほにしあらば 何か嘆かむ
企救きくの浜 そこの砂浜 真っ直ぐや 真面目な気なら 悩まんけどな》【浦のまなごに寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三九三)
 あんたほんまに 真剣なんか)

つきくさに ころも色どり らめども うつろふ色と 言ふが苦しさ
《露草の 花でころもを めたいが せるて聞くと 一寸ちょと気になるで》【草に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三三九)
(良え人やけど 素行うわさがちょっと)

沖つ波 寄せてる荒磯ありその 名告藻なのりそは 心のうちに つつみとなれり
《沖の波 寄せる磯辺の 名告藻なのりそは うちの心を しぼませよるよ》【藻に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三九五)
(おかんな」う うち憂鬱ゆううつや)

垂乳根たらちねの 母がそのる くはすらに 願へばきぬに 着るといふものを
《おはんが 育てる桑も ねごうたら 糸なりふくに なるうのんに》【木に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三五七)
(監視いややで 思うしたい)

岩倉いはくらの 小野をの秋津あきづに 立ちわたる 雲にしもあれや 時をし待たむ
時期じきたら 立つ雲やなし いつまでも 待ててうんか 長期間せんど待ったに》【雲に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三六八)
らしとんのか れんのか)

明日香川 七瀬ななせの淀に む鳥も 心あれこそ 波立てざらめ
《あちこちの 淀み棲んでる 鳥かても 波立てんよう 気ぃ使うのに》【鳥に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三六六)
(何で世間は 五月蝿うるさいのんや)

が心 ゆたにたゆたに 浮蓴うきぬなは にも沖にも 寄りかつましじ
《うちの胸 まるでじゅんさい ゆたゆたと 岸に寄らんし 沖にも寄らん》【草に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三五二)
(どっち仕様しょうかな うちよう決めん)



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巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(23)しがらみあれば

2012年09月07日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年9月7日】

明日香川 瀬々せぜに玉藻は ひたれど しがらみあれば なびきあはなくに



臆病おくびょう 確証たしかめ欲しい
あの 児その気や 出かけてみるか
そっと近付き うかがるが
うわさ気になる 親御おやごこわ

島伝しまづたふ 足早あばや小舟をぶね 風まもり 年はやなむ ふとはなしに
あしはやの 舟も風読み してたなら 月日つきひ過ぎるで わんれんままで》【船に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一四〇〇)
優男やさおとこやが わし気ぃ弱い)

水霧みなぎらふ 沖つ小島こしまに風をいたみ 舟寄せかねつ 心は思へど
《霞んでる 沖の小島に 風よて 船寄せられん その気あるのに》【船に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一四〇一)
うわさひどうて 近づけんがな)

木綿ゆふけて まつ三諸みもろの かむさびて いはむにはあらず 人目ひとめおほみこそ
《神まつり かしこまってる わけちゃうで 人目いんで こもっとんのや》【神に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三七七)
 出かけ行けんが 辛抱してや)

近江あふみの海 波かしこみと 風まもり 年はやなむ 漕ぐとはなしに
近江おうみ海 波おそろしと 風読んで 漕がへんままで ごなって仕舞た》【海に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三九〇)
(親がこわぁて よう行かんのや)

荒磯ありそ越す 波はかしこし しかすがに 海の玉藻の にくくはあらずて
荒磯あらいそを 越す波こわい そやけども 海の玉藻は にくうはないで》【藻に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三九七)
(親は憎いが あの児はいとし)

紫の 名高なたかの浦の 名告藻なのりその 磯になびかむ 時待つれを
《紫の 名高なだかの浦の 名告藻なのりそが 磯なびくんを 待ってんやわし》【藻に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三九六)
(名前わん児 うまで待つで)

朝凪に 寄る白波 見まくり れはすれども 風こそ寄せね
《朝凪に 寄せる白波 見たいのに なんでや白波なみを 風寄せんで》【海に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三九一)
(こんな必死に かよてんやのに)

明日香川 瀬々せぜに玉藻は ひたれど しがらみあれば なびきあはなくに
《明日香川 どの瀬もぉが えてるが しがらみあると なびわんで》【川に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三八〇)
邪魔じゃまするやつが るんやきっと)



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巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(22)韓藍(からあゐ)の花を

2012年09月04日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年9月4日】

秋さらば うつしもせむと 我がきし 韓藍からあゐの花を れかみけむ




次に比喩歌ひゆうた ご登場 男女からみが 面白い
あいらくの ざり合う 恋の駆け引き 火花散る

可愛い少女こどもを 手ずから育て
おとなするのが 男の夢か
早く 育てよ もどかし日々と
少女こどもままれ 複雑心境こころ

女郎花をみなへし 佐紀さきさはの 真葛原まくずはら 何時いつかもりて 我がきぬに着む
佐紀さきさわの 野でったくず 糸にり 何時いつになったら わしられんや》【草に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三四六)
                              (女郎花→咲く→佐紀)
(あの児可愛いが まだ少女こどもやで)


むかの わかかつらの木 下枝しづえ取り 花待ついに 嘆きつるかも
《向かい丘 若桂木かつらぎ下枝えだ 打ち払ろて 花待つぁは 待ちてならん》【木に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三五九)
面倒めんど見てるが まだ少女わかいんや)


紫の 名高なたかの浦の 真砂土まなごつち 袖のみれて 寝ずかなりなむ
だか浦 浦の砂浜 その砂に 袖れたけど 寝はせんかった》【浦のまなごに寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三九二)
(あの児少女おぼこや 一寸ちょと待たならん)


大切だいじ娘を つまらん奴に
取られてなるか 用心しき
警戒こうじ 寄せ手もまば
早くらんと じきとうが立つ


我がやどに ふる土針つちはり 心ゆも 思はぬ人の きぬらゆな
《庭先に えたツチハリ 摺染られなや 詰まらん人の ころもなんかに》【草に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三三八)
大切だいじ娘や 虫付かせんで)


石上いそのかみ 布留ふる早稲田わさだを でずとも なはだにへよ りつつらむ
石上いそかみの 布留ふる早稲わせまだ ぉ出んが よ縄張れよ ばんするのんで》【稲に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三五三)
(娘わかいが 貴男あんたにするわ)


春日野に 咲きたる萩は 片枝かたえだは いまだふふめり ことな絶えそね
《春日野で 咲く萩の片枝えだ まだつぼみ 花はまだかと ちょくちょく聞いて》【花に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三六三)
妹娘いもとむすめは まだ売れとらん)


秋さらば うつしもせむと 我がきし 韓藍からあゐの花を れかみけむ
《秋来たら 移しと わし植えた 鶏頭けいとの花を 誰んだんや》【花に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻七・一三六二)
(娘取られた 目当めあてのほかに)



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