【掲載日:平成23年11月29日】
梓弓 爪弾く夜音の 遠音にも
君が御幸を 聞かくし好しも
(後宮の方々との 睦まじい遣り取り
ほんに 楽しげが 伝わるようじゃ)
赤駒の 越ゆる馬柵の 結びてし 妹が心は 疑ひも無し
《赤駒の柵 固と結ぶ様に 誓い合た お前の心 信じておるぞ》
―聖武天皇―(巻四・五三〇)
梓弓 爪弾く夜音の 遠音にも 君が御幸を 聞かくし好しも
《お出ましの 噂仄かに 聞こえ来る 心ときめく この嬉しさよ》
―海上女王―(巻四・五三一)
(これは 酒人女王様へのお歌
帝の 回りには お花が満々じゃ)
道に逢ひて 笑まししからに 降る雪の 消なば消ぬがに 恋ふといふ我妹
《道で逢て 笑顔見せたら 「畏れ多て 身ぃ縮まして 慕てる」言うか》
―聖武天皇―(巻四・六二四)
(なになに また これは
八代女王様は 帝のご寵愛 ただならぬにより 色々な 悪戯に遭われたやに 聞き及びしに
何の禊ぎぞ
自らのでは あるまい
罹りし禍の 穢れ落としやも)
君により 言の繁きを 故郷の 明日香の川に 禊身しに行く
《大君の ことで喧し 言われるで 故郷の明日香川で 清めて来ます》
―八代女王―(巻四・六二六)
(皇太后様をしての このお歌
帝の お人柄であろうや)
我が背子と 二人見ませば 幾許か この降る雪の 嬉しくあらまし
《二人して この降る雪を 見るのなら さらに一層 嬉しいやろに》
―光明皇后―(巻八・一六五八)
しみじみと 歌作を繰る 家待
ふと気付くに
そこには 帝近時の歌は 無い
家持は 改めて 帝の苦悩の日々を 見る思いと共に
緊迫の度深める 政局動向に 思い戻され
身を固くした
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