goo blog サービス終了のお知らせ 

令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(21)笑(ゑ)みしがからに

2012年08月31日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年8月31日】

道のの くさふか百合ゆりの 花みに みしがからに 妻と言ふべしや




誘い の歌に 拒絶の歌に
後朝きぬぎぬ別れ 引き留め歌に
夫浮気の なじりの歌に
果て は歌垣 しくじり歌に

 時に臨みて】
佐伯山さへきやま はな持ちし かなしきが 手をし取りてば 花は散るとも
佐伯さえきやま はな持つ児 え児やで 手ぇつなごかな 花散るやろが》
                           ―古歌集―(巻七・一二五九)
時ならぬ まだらころも しきか 島の榛原はりはら 時にあらねども
時期じきちゃうが まだらふく 着てみたい はんどき ちがうんやけど》
                           ―古歌集―(巻七・一二六〇)
(まだ若い おぼこの児やが まあとするか)

道のの くさふか百合ゆりの 花みに みしがからに 妻と言ふべしや
《うちちょっと 百合ゆりばなみたい 微笑わろたけど その気なりなや あつかましいに》
                           ―古歌集―(巻七・一二五七)
つきくさに ころもむる 君がため まだらころも らむと思ひて
《露草で ふく染めてんや あんたにと まだらふく 作ろともて》
                           ―古歌集―(巻七・一二五五)
春霞 うへただに 道はあれど 君に逢はむと たもとほ
湧水わきみず場 家から真直ぐの 道あるが あんたいとて 遠回とまわりで来た》
                           ―古歌集―(巻七・一二五六)
あかときと がらす鳴けど この岡の 木末こぬれうへは いまだ静けし
夜明けすぐと がらす鳴くが 山の上 こずえ静かや 夜明よあけまだやで―もう一寸居ろ―》
                           ―古歌集―(巻七・一二六三)
もだあらじと ことなぐさに 言ふことを 聞き知れらくは しくはありけり
《気まずいと もてなぐさめ うのんを かって聞くん つらいもんやで》
                           ―古歌集―(巻七・一二五八)
やまもりの 里へかよひし 山道ぞ 茂くなりける 忘れけらしも
やまもりが 里かよとった 山道は ろ繁ったで 道忘わすれたらしな》
                           ―古歌集―(巻七・一二六一)
(よう来てた あの人んと なごなって仕舞た)

あしひきの 山椿咲く 越え 鹿しし待つ君が いはづまかも
《椿咲く 峰々みねみね越えて 鹿を待つ あんたのうちは かざりの妻か》
                           ―古歌集―(巻七・一二六二)
(狩りやて よう出掛けるが 嘘ちゃうやろか)

西にしいちに ただ独りでて ならべず 買ひてし絹の あきじこりかも
西にしいち 一人出掛けて うた絹 見比べせんで 買いこのたで》
                           ―古歌集―(巻七・一二六四)
(歌垣で 見込み違ごたで 良女ええおもうたに)



――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。
{訳してみよう万葉集】へ



巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(20)満ち欠けしけり

2012年08月28日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年8月28日】

隠口こもりくの 泊瀬はつせの山に 照る月は 満ち欠けしけり 人のつねなき


以下の歌々 古歌集こかしゅう載せる
飛鳥 ・藤原 時代の歌か

 問答】
佐保川に 鳴くなる千鳥 何しかも 川原かはらしのひ いや川のぼ
佐保川さほで鳴く 千鳥よなんで 殺風景さっぷけな 川原しのんで 川のぼるんや》
                           ―古歌集―(巻七・一二五一)
人こそば おほにも言はめ 我が幾許ここだ しのふ川原を しめふなゆめ
仕様しょうもない 場所うけども わしにとり え川原やで 邪魔じゃませんといて》
                           ―古歌集―(巻七・一二五二)
 何で通うか つまらん児やに
 放っといてん か 好みやわしの)

楽浪ささなみの 志賀津しがつ海人あまは れなしに かづきはなそ 波立たずとも
志賀しがの津の 海人あまよこのわし らん時 もぐりするなよ 波静かでも》
                           ―古歌集―(巻七・一二五三)
大船おほぶねに かぢしもあらなむ 君なしに かづきせめやも 波立たずとも
大船おおふねに 梶付けてんか そしたなら もぐりせんがな 波静かでも》
                           ―古歌集―(巻七・一二五四)
(わしらん時 勝手をするな
  頼りなるなら 勝手をせんわ)

【物に寄せて思いをべる】
隠口こもりくの 泊瀬はつせの山に 照る月は 満ち欠けしけり 人のつねなき
泊瀬はつせ山 照る月ちる けもする 人かてそやで 明日あしたは知れん》
                           ―古歌集―(巻七・一二七〇)

 その場所行って感じて詠う(旋頭歌)】
百磯城ももしきの 大宮人おほみやひとの 踏みしあとところ
沖つ波 寄らずありせば せずあらましを

《ここの浜 昔宮人みやひと 行幸のあとや 
 沖波おきなみが 寄せなんだなら のこっとったに》
                           ―古歌集―(巻七・一二六七)

 旋頭歌】
春日なる 御笠みかさの山に 月の舟
風流士みやびをの 飲む酒杯さかづきに 影に見えつつ
《春日ある 三笠の山に 月の船
 風流人ふうりゅうの 酒杯さかずき中に 影浮かばして》
                          ―作者未詳―(巻七・一二九五)




――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。
{訳してみよう万葉集】へ



巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(19)神を斎(いは)ひて

2012年08月24日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年8月24日】

大海おほうみの 波はかしこし しかれども 神をいはひて 舟出ふなでせばいかに


海に浮かべば 船下ふねした地獄
風が吹き来て 波こなれば
かぶ飛沫しぶきに こわさがつの
まして夜船よぶねは 命が縮む

大海おほうみの 波はかしこし しかれども 神をいはひて 舟出ふなでせばいかに
大海おおうみの 波おそろしが 神さんを まつり船そ なんとかなるで》
                            ―古集―(巻七・一二三二)
あさりする 海人あま娘子をとめらが 袖通り 濡れにしころも せど乾かず
《こらまるで 海人あま娘子おとめやな ずぶ濡れで してもふくは 乾かへんがな》
                            ―古集―(巻七・一一八六)
けて なかかたに おほほしく 呼びし舟人ふなびと てにけむかも
よるけて 夜中よなかこうに かすか声 さけんでた船人ひと とまれたやろか》
                            ―古集―(巻七・一二二五)
大葉山おほばやま 霞たなびき さけて 我が舟てむ とまり知らずも
大葉おおばやま 霞なびいて よるけた わしのこの船 何処どことまるやろ》
                            ―古集―(巻七・一二二四)
わたの底 沖漕ぐ舟を に寄せむ 風も吹かぬか 波立てずして
《沖の方 漕いでる船を 岸のに 寄せる風吹け 波立たさんと》
                            ―古集―(巻七・一二二三)
波高し いかにかぢ取り 水鳥の 浮寝うきねやすべき なほや漕ぐべき
《波えろう こなったけど 船頭せんどうよ 浮寝うきねするんか 漕ぎ進めんか》
                            ―古集―(巻七・一二三五)
鳥じもの 海に浮きて 沖つ波 さわくを聞けば あまた悲しも
《鳥みたい 海かんでて 沖波おきなみの 荒れんの聞いて おそろしなった》
                            ―古集―(巻七・一一八四)




――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。
{訳してみよう万葉集】へ



朝日新聞に掲載されました

2012年08月22日 | メッセージ
平成24年7月22日(日)

今日の 朝日新聞に 「万葉歌みじかものがたり」が 掲載されました。
読書欄『著者に会いたい』です。

☆☆ 大朝日 全国版に 載ったから 今日がわたしの みじか記念日 ☆☆


記事記載のように
これからも 犬養万葉学の精神を若い世代に伝えるため 頑張ろうと思います。
みなさんの 応援をお願い致します。
●第一巻(歴史編):刊行中
●第二巻(人麻呂・黒人・旅人・憶良編):8月中旬刊行予定

なお 書籍の購入は 最寄りの書店を通じて お取り寄せの注文を お願いします。
ネット書店での注文も可能です。
【ネット本屋】
<「ネット本屋」へ>
【セブンネットショッピング】
<「セブンネットショッピング」へ>
【ライブドアブックス】
<「ライブドアブックス」へ>
【アマゾン】
<「アマゾン」>

よろしくお願いします。

巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(18)海人(あま)か刈りけむ

2012年08月21日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年8月21日】

あさりすと 磯に我が見し 名告藻なのりそを いづれの島の 海人あまか刈りけむ



夜明け 鳴く鶴 思いを誘う
 待つ妻の 土産に貝を
名告藻なのりそ草に 恋忘れ貝
 かにつけて 思うは連れか

あさりすと 磯にたづ 明けされば 浜風さむみ おのづま呼ぶも
えさりに 磯る鶴が 夜明けどき 浜風かぜ寒いんか れ呼んどるで》
                            ―古集―(巻七・一一九八)
つともがと はば取らせむ かひひりふ 我れを濡らすな 沖つ白波
土産みやげはと うたらろと 貝ひろう わし濡らしなや 沖の白波》
                            ―古集―(巻七・一一九六)
磯のうへに 爪木つまき折りき がためと 我がかづし 沖つ白玉
《この白玉たまは 磯で火ぃき お前にと このわしもぐり ったもんやで》
                            ―古集―(巻七・一二〇三)
あさりすと 磯に我が見し 名告藻なのりそを いづれの島の 海人あまか刈りけむ
ろ思い 磯で見つけた 名告藻なのりそを 何処島どこ海人あまめが りよったんや》
                            ―古集―(巻七・一一六七)
手に取るが からに忘ると 海人あまひし こひわすがひ ことにしありけり
《手にしたら 効き目すぐやと 海人あま言うた 恋忘れ貝 名前ばっかり》
                            ―古集―(巻七・一一九七)
沖つかぢ 漸々やくやくしぶを 見まくり 我がする里の かくらくしも
忙楫かじゆるみ 落ち着き見たら しことに 見たい里の 隠れて仕舞てる》
                            ―古集―(巻七・一二〇五)
沖つ波 巻き持ち 寄せとも 君にまされる 玉寄せめやも
沖波おきなみが 岸の巻いて 寄せるが あんたみたいな 良男えおとこんわ》
                            ―古集―(巻七・一二〇六)



――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。
{訳してみよう万葉集】へ



巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(17)磯もと揺(ゆす)り

2012年08月17日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年8月17日】

大海おほうみの 磯もとゆすり 立つ波の 寄せむと思へる 浜のきよけく




大和官人かんじん 海なし人は
見ての驚き 想像おもいを超える
寄せる海鳴り 白砂しらすな浜辺
釣りする海人あまに 異郷の情緒おもい

大海おほうみの 水底みなそことよみ 立つ波の 寄らむと思へる 磯のさやけさ
大海おおうみの 水底そことどろかせ 寄せる波 磯のきよいん あこがんや》
                            ―古集―(巻七・一二〇一)
大海おほうみの 磯もとゆすり 立つ波の 寄せむと思へる 浜のきよけく
大海おおうみの 磯くだけよと 寄せる波 浜清いんに あこがんや》
                            ―古集―(巻七・一二三九)
浜清み 磯に我がれば 見む人は 海人あまとか見らむ 釣りもせなくに
《この清い 浜の磯る わしのこと 漁師思うか 釣りしとらんに》
                            ―古集―(巻七・一二〇四)
しほ早み 磯廻いそみれば かづきする 海人あまとや見らむ 旅行く我れを
《潮よて 磯で船出を待つ 旅やけど もぐりの海人あまに 見られんちゃうか》
                            ―古集―(巻七・一二三四)
しずけくも 岸には波は 寄せけるか これの通し 聞きつつれば
壁越かべごしに 聞いとったなら 岸に波 えろう静かに 寄せてるようや》
                            ―古集―(巻七・一二三七)
今日けふもかも 沖つ玉藻は 白波の 八重やへ折るがうへに 乱れてあるらむ
《今日の日も 沖の玉藻は 白波の かさなるあたり 靡揺れとんやろか》
                            ―古集―(巻七・一一六八)
我が舟は 沖ゆなさかり むかぶね かた待ちがてり 浦ゆ漕ぎはむ
《この船は 沖へ漕ぐなよ 浦で待つ 迎えの船に わならんので》
                            ―古集―(巻七・一二〇〇)




――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。
{訳してみよう万葉集】へ



巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(16)由良(ゆら)の岬に

2012年08月14日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年8月14日】

妹がため 玉をひりふと 紀伊の国の 由良ゆらの岬に この日暮らしつ




行幸みゆきお供か わたくし旅か
紀ノ川下り 雑賀さいかでて
玉津島たまつ訪ねて 黒牛くろうしがた
巡り巡れ ど まだ飽き足りん

 南海道 紀伊(妹背山~由良)藤原卿作】
麻衣あさごろも 着ればなつかし 紀の国の 妹背いもせの山に あさ我妹わぎも
《麻のふく 着たら思うで 麻のたね 妹背いもせの山で いてたあの児》
                         ―藤原房前ふじわらのふささき―(巻七・一一九五)
紀の国の 雑賀さひかの浦に で見れば 海人あま燈火ともしび 波のゆ見ゆ
雑賀さいか浦 出て沖見ると 海人あまの灯が 波間なみまちらちら れてん見える》
                         ―藤原房前ふじわらのふささき―(巻七・一一九四)
玉津島たまつしま 見れどもかず いかにして つつみ持ち行かむ 見ぬ人のため
《見て見ても 玉津島たまつかへん どしたなら 持って帰れる ここん人に》
                         ―藤原房前ふじわらのふささき―(巻七・一二二二)
若の浦に 白波立ちて 沖つ風 寒きゆふへは 大和やまとし思ほゆ
《和歌の浦 白波しらなみ立って 沖風おきかぜが さむ吹く晩は 大和やまと恋しで》
                         ―藤原房前ふじわらのふささき―(巻七・一二一九)
黒牛くろうしの海 くれなゐにほふ 百磯城ももしきの 大宮人おほみやひとし あさりすらしも
黒牛くろうしの 海あこなった 大宮の 女官おつれ浜辺で 釣り真似してる》
                         ―藤原房前ふじわらのふささき―(巻七・一二一八)
妹がため 玉をひりふと 紀伊の国の 由良ゆらの岬に この日暮らしつ
《お前る 玉をひろおと 紀の国の 由良ゆらの岬で 丸一日や》
                         ―藤原房前ふじわらのふささき―(巻七・一二二〇)
我が舟の かぢはな引きそ 大和やまとより 恋ひし心 いまだかなくに
大和やまとから 来たい来たいで 来たのんや まだらん かじまわしなや》
                         ―藤原房前ふじわらのふささき―(巻七・一二二一)



――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。
{訳してみよう万葉集】へ



巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(15)糸鹿(いとか)の山の

2012年08月10日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年8月10日】

足代あて過ぎて 糸鹿いとかの山の さくらばな 散らずもあらなむ 帰りるまで



 なし国の 大和の人は
ひらけ明るい 紀伊きのくに海に
あこがれ来ては 嬉々ききして遊ぶ
めぐって 南紀に出れば
黒潮おどり 岩礁いわ噛む波頭はとう

 南海道 紀伊(紀ノ川河口周辺)】
藻刈もかり舟 沖漕ぎらし 妹が島 形見かたみの浦に たづかける見ゆ
いもしまの 形見かたみの浦で 鶴飛ぶよ 沖でりの 船漕いでんや》
                            ―古集―(巻七・一一九九)
玉津島たまつしま よく見ていませ 青丹あをによし 奈良なる人の 待ちはばいかに
《景色え 玉津の島を う見とき 奈良で待つ人 聞くかも知れん》
                            ―古集―(巻七・一二一五)
玉津島たまつしま 見てしよけくも 我れはなし 都に行きて 恋ひまく思へば
《玉津島 景色見てても うれしない なら帰ったら 焦がれるよって》
                            ―古集―(巻七・一二一七)
名草山なぐさやま ことにしありけり が恋ふる 千重ちへ一重ひとへも なぐさめなくに
名草なぐさ山 名ぁばっかしや うちの恋 千の一つも なぐさ出来できん》
                            ―古集―(巻七・一二一三)

 南海道 紀伊(有田川河口近辺)】
安太あだへ行く 小為手をすての山の 真木まきの葉も 久しく見ねば 苔しにけり
安太あだへ行く 途中小為手おすての 山の樹々きぎ ご見んうちに 苔してるで》
                            ―古集―(巻七・一二一四)
足代あて過ぎて 糸鹿いとかの山の さくらばな 散らずもあらなむ 帰りるまで
足代あてとおり 糸我いとが峠の 桜花はな綺麗きれえ 散らんといてや わし帰るまで》
                            ―古集―(巻七・一二一二)
潮満たば いかにせむとか 海神わたつみの 神が手渡る 海人あま娘子をとめども
《潮ちて 来たらどすんや 海人あま娘子おとめ そんなあぶない 岩礁いわばって》
                            ―古集―(巻七・一二一六)

 南海道 紀伊(南紀)】
風早かざはやの 三穂みほ浦廻うらみを 漕ぐ舟の 舟人ふなびとさわく 波立つらしも
《風早い 三穂みほうらとおる 船の上 みなあわてとる 波たんやで》
                            ―古集―(巻七・一二二八)
磯に立ち 沖辺おきへを見れば 藻刈めかぶね 海人あま漕ぎらし 鴨かける見ゆ
《磯立って 沖の見たら 鴨ぶよ りの漁師 船したらし》
                            ―古集―(巻七・一二二七)
荒磯ありそゆも まして思へや 玉の浦 離れ小島こしまの いめにし見ゆる
荒磯ありそより え思うんか 玉浦の 離れ小島が 夢出てんは》
                            ―古集―(巻七・一二〇二)
三輪みわの崎 荒磯ありそも見えず 波立ちぬ 何処いづくゆ行かむ き道はなしに
三輪みわの崎 磯見えんほど 波立つよ どない行くんや みちいで》
                            ―古集―(巻七・一二二六)



――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。
{訳してみよう万葉集】へ



巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(14)妹と背の山

2012年08月07日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年8月7日】

我妹子わぎもこに が恋ひ行けば ともしくも 並びるかも 妹と背の山




大和 別れて 紀伊へと入る
真土の山は 紀和国境くにざかい 
川沿い道を 辿たどれば見える
妹と背の山 仲え姿

 南海道 紀伊(紀ノ川沿い)】
妹がかど 出入いでいりの川の 瀬を早み つまづく 家思ふらしも
いりの川 瀬ぇはよて馬 つまづいた 案じとんかな このわし家で》
                            ―古集―(巻七・一一九一)
白栲しろたへに にほふ真土まつちの 山川やまがはに が馬なづむ いへふらしも
真土まつち山 馬山川やまかわで もたつくで 家でこのわし 案じとんのや》
                            ―古集―(巻七・一一九二)
背の山に ただに向へる 妹の山 ことゆるせやも 打橋うちはし渡す
《背の山の 川の向かいの 妹の山 求婚さそい受諾けたか 橋渡しとる》
                            ―古集―(巻七・一一九三)
人ならば 母が愛子まなごぞ あさもよし 紀の川のの 妹と背の山
《人でや 母が可愛いがる 子供やで 紀の川沿いの 妹山背山》
                            ―古集―(巻七・一二〇九)
我妹子わぎもこに が恋ひ行けば ともしくも 並びるかも 妹と背の山
うらやまし 妹と背の山 並んどる お前恋しと 旅空たびぞら来たら》
                            ―古集―(巻七・一二一〇)
妹にひ が越え行けば 背の山の 妹に恋ひずて あるがともしさ
《妹と背が 仲並んで うらやまし お前恋しと 山越え来たら》
                            ―古集―(巻七・一二〇八)
妹があたり 今ぞ我が行く 目のみだに 我れに見えこそ こと問はずとも
《妹山の そばとおるんで せめてもに 幻姿すがた見せてや 声せんかても》
                            ―古集―(巻七・一二一一)



――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。
{訳してみよう万葉集】へ



巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編(13)鞆(とも)の浦廻(うらみ)に

2012年08月03日 | 巻七(雑歌・比喩歌・挽歌)編
【掲載日:平成24年8月3日】

海人あま小舟をぶね 帆かも張れると 見るまでに とも浦廻うらみに 波立てり見ゆ



 をかき分け 西へと進む
ともうら景色 見事の極み
やがて 見え来る あの山影は
行き着きどこの 筑紫の峰か

 山陽道 備中・備後】
網引あびきする 海人あまとか見らむ あくの浦の 清き荒磯ありそを 見にし我れを
《網を引く 漁師思うか 飽浦あくうらの 清い荒磯ありそを 見に来たわしを》
                       ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一一八七)
娘子をとめらが はたうへを 真櫛まくしもち 掻上かか栲島たくしま 波のゆ見ゆ
《見えて来た 波のあいだに 栲島たくしまや 機織はたおくしで 糸くたくの》
                             ―古集―(巻七・一二三三)
                                  (綰く=束ねる)
海人あま小舟をぶね 帆かも張れると 見るまでに とも浦廻うらみに 波立てり見ゆ
《帆を張った 小舟多数よける みたいやで ともうらあたり 白波なみ立ってるん》
                             ―古集―(巻七・一一八二)
さきくて またかへり見む 大夫ますらをの 手に巻き持てる とも浦廻うらみ
《もし無事に 帰りれたら 見よ思う このともうら このえ景色》
                             ―古集―(巻七・一一八三)

 西海道 豊後】
娘子をとめらが はなりの髪を 由布ゆふの山 雲なたなびき 家のあたり見む
娘子おとめらが おがみう 由布山ゆふやまに 雲棚引たなびきな 家見たいんや》
                             ―古集―(巻七・一二四四)

 西海道 筑前】
天霧あまぎらひ 日方ひかた吹くらし 水茎みづくきの をかの港に 波立ちわたる
《一面に 曇って日方ひかた 吹くらしい おかの港で 波立っとるで》
                             ―古集―(巻七・一二三一)
                                (日方=日の方から吹く風=東風)
ちはやぶる かねの岬を 過ぎぬとも 我れは忘れじ 志賀しか皇神すめかみ
難所なんしょどこ かねの岬は 過ぎたけど 志賀しか神さんの 加護忘れんで》
                             ―古集―(巻七・一二三〇)
志賀しか海人あまの 釣舟の綱 へずして 心に思ひて でて来にけり
志賀しか海人あまの ふねづな切れん 別れしな れへんと おもて来たんや》
                             ―古集―(巻七・一二四五)
志賀しか海人あまの 塩焼くけぶり 風をいたみ 立ちはのぼらず 山に棚引く
志賀しか海人あまが 塩焼く煙 風よて うえのぼらんと 山のなびく》
                             ―古集―(巻七・一二四六)



――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。
{訳してみよう万葉集】へ