【掲載日:平成25年1月29日】
解き衣の 思ひ乱れて 恋ふれども なぞ汝がゆゑと 問ふ人もなき
独りごち歌 愚痴歌多い
相手ある歌 趣き変わる
相手向こての 心伝えの歌は
焦がれ歌さえ 甘えが宿る
嬉し待っても 焦がれはするで
恋し相手を 詰ってみせる
こんな芸当 出来るは女
出来ん男の 歌少しだけ
【旋頭歌】
真澄鏡 見しかと思ふ 妹も逢はぬかも
玉の緒の 絶えたる恋の 繁きこのころ
《逢いたいと 思うあの児に 出逢えんもんか
ここん処 逢わんで恋焦れ 偉ろ募ってる》
―作者未詳―(巻十一・二三六六)
解き衣の 思ひ乱れて 恋ふれども なぞ汝がゆゑと 問ふ人もなき
《こんなにも 心乱れて 焦がれるに 「うちの所為かと」 聞かへんのんか》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六二〇)
(汝がゆゑ=間接話法・直接話法なら「我がゆゑ」)
伊勢の海ゆ 鳴き来る鶴の 音どろも 君が聞こさば 我れ恋ひめやも
《偶にでも あんた音沙汰 あるんなら うちこんなにも 焦がれへんのに》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二八〇五)
韓衣 君にうち着せ 見まく欲り 恋ひぞ暮らしし 雨の降る日を
《韓衣 着せたあんたを うち見とて 焦がれ過ごした 雨降るこの日》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六八二)
我が背子が 振り放け見つつ 嘆くらむ 清き月夜に 雲なたなびき
《あの月を あんた仰いで 焦がれるか この良え月に 雲懸りなや》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六六九)
君に恋ひ 寝ねぬ朝明に 誰が乗れる 馬の足の音ぞ 我れに聞かする
《恋しいて 寝られん朝に 誰なんや 馬足音さして 馬で行くんは》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六五四)
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