【掲載日:平成24年1月31日】
何せむに 命継ぎけむ
我妹子に 恋ひぬ前にも 死なましものを
心通わん この恋は
消えてしまえよ この世から
実りの恋が ある一方で
実らん恋は 苦して辛い
届かん思い 抱えて独り
何時まで続く 空しの日々よ
玉桙の 道行かずあらば ねもころの かかる恋には 逢はざらましを
《あの道を 歩かなんだら こんなにも 苦し恋には 逢わんかったに》
―柿本人麻呂歌集―(巻十一・二三九三)
かくばかり 恋ひむものぞと 知らませば 遠くも見べく ありけるものを
《こんなにも 焦がれ苦しん 知ってたら 知らん顔して 放っといたのに》
―柿本人麻呂歌集―(巻十一・二三七二)
かくのみし 恋ひや渡らむ たまきはる 命も知らず 年は経につつ
《こんなにも 焦がれ続けて もう命 どうでも良えと 思う日々やで》
―柿本人麻呂歌集―(巻十一・二三七四)
何せむに 命継ぎけむ 我妹子に 恋ひぬ前にも 死なましものを
《何でまた ここまで生きて 来たんやろ あの児知る前 死んだよかった》
―柿本人麻呂歌集―(巻十一・二三七七)
恋ひ死なば 恋ひも死ねとや 玉桙の 道行く人の 言も告げなく
《恋しいて 死ぬなら死ねて 言うんかい 道行く人は 知らん顔やで》
―柿本人麻呂歌集―(巻十一・二三七〇)
恋するに 死するものに あらませば 我が身は千度 死にかへらまし
《恋したら 苦しみ死ぬと 云うんなら うち千遍も 死んで仕舞てる》
―柿本人麻呂歌集―(巻十一・二三九〇)
恋ひ死なば 恋ひも死ねとか 我妹子が 我家の門を 過ぎて行くらむ
《苦しいて 恋狂いして 死ね言んか あの児この家 素通りしてく》
―柿本人麻呂歌集―(巻十一・二四〇一)
我れゆ後 生まれむ人は 我が如く 恋する道に 逢ひこすなゆめ
《これからに 生まれ来る人 わしみたい 苦し恋道 歩かんときや》
―柿本人麻呂歌集―(巻十一・二三七五)
――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。
{訳してみよう万葉集】へ