本の迷宮

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こどもの体温 (よしながふみ)

2007-10-19 16:31:58 | 漫画家(や・ら・わ行)
(1998年発行)

<裏表紙の説明文より>
我が子ながら、なかなか上手く育っている。
(もちろん親ばかだ。わかっている)・・・と、
そう信じていた息子が、ガールフレンドをニンシンさせたり、
仲がいいと信じていた後輩ふたりが、
友人の死をきっかけに奇妙な同居をはじまたり。
ふつうの生活のなかにも、
だれにも言えない『秘密』や『愛情』を抱きしめて、
僕らは今日も暮らしていくのです。

表題作ほか、僕の見た”彼”と”彼”の生活をつづる
『僕の見た風景』などシリーズ4篇を収録した、
よしながふみの傑作短編集。



この作品も当然のことながら”心理描写”が実に上手い。

特に「僕の見た風景」での描写がスゴイ。
115ページ~121ページ。
1ページあたり2~4個の縦に割ったコマが続くのだが、
顔の表情と”間”の取り方の上手さで見事にふたりの感情を表現し、
123ページでふたりが抱き合う場面へと導いて行く。


こういう描き方は、凡人が描くとおそらく単なる”手抜き”になってしまうのだが、
よしながふみが描くと感動的な名場面になってしまう。
流石ですね。。。