本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

台風五郎シリーズNo.19 鉄と鉛と (さいとう・たかを)

2007-02-28 11:54:10 | 漫画家(さ行)
出版年不明(昭和30年代作品)



この本は義兄から貰いました。義兄は友人から貰ったそうです。
(人から貰ったものを横流ししていいのか~?・・・この場合はいいのです。・・・笑)
義兄の友人というのが古い漫画本をかなりたくさん持っている人で、私も学生時代古いCOMをダンボール箱いっぱい借りて読んだ覚えがあります。


・・・で、この本。
どうやら貸し本屋の本らしくて、本のページがバラバラにならないように中身を紐で綴じて補強していたり、最後のページには貸し出し数とか、訳の分からない数字を書き込んでいます。
たぶん、25円で貸し出してたようです。


25円という所に時代を感じますよね~。(笑)



かなり初期のさいとう・たかをプロダクションの作品です。
主人公の探偵屋台風五郎の顔は目が大きくて黒目がちで結構可愛い!!
ペンタッチとかおっさん顔とかは今のさいとうプロの絵柄の特色は十分出てるし、
この表紙などを見るとかなり違う絵かな~と思ってしまうけど、
やっぱりどう見てもちゃーんと<さいとうプロ作品>です。


ゴルゴ13 (さいとう・たかを)

2007-02-24 00:40:42 | 漫画家(さ行)
(画像の129巻の発行は2003年)


床屋で「世界現代史」を勉強する為の必需品?


「国籍・年齢不詳の殺し屋ゴルゴ13」
日本人の多くの人がこの名前を聞いた事があるのではなかろうか?



「超シリアス男」なのでこの男がダジャレを言っている所は見たことがない。
もし、そういう場面があれば「トリビアの泉」にでもハガキを出せば採用されるのではなかろうか?(笑)
超シリアス故に様々な漫画にギャグ的感覚で登場していたりする。
自分がそういう風に登場していることをゴルゴ13本人が知ったらどう思うだろうか?
人前では顔色ひとつ変えないのは確かだろう。(笑)


ゴルゴ13の”ルール”というものがある。
「握手をしない」とか「絶対に壁に背を向けて立つ」とか「依頼人とは二度会わない」とか「依頼時の嘘は許さない」とか・・・
よくまぁ色々と考えたものだとも思う。
あのポーカーフェイスでそういう”ルール”を考えたのだろうか?
壁を背に立つからその壁の裏側に爆発物を仕掛けると殺せるかも?とか、
ルールを逆手にゴルゴ13暗殺計画を立てることも出来そうだ・・・とか、
なんか、ゴルゴ13を読んでると色々こちらが考えてしまうのだ。


ゴルゴ13には申し訳ないが、やっぱり超シリアス人間って、ギャグに最適だよね~。(笑)


ゴルゴ13が自分の吸っている葉巻を火も消さずに芝生の上に無造作に捨てるシーンがある。
だめだよ!”火のついた葉巻のポイ捨て禁止”というルールも是非作って欲しいものである。(爆笑)



いじめられている君へ いじめている君へ (朝日新聞)

2007-02-22 08:57:47 | その他
先日、朝日新聞アスパラクラブで、この小冊子を一万人にプレゼントという企画をしていた。

今日、その小冊子が届いた。
さすが、一万人プレゼントだ。簡単に当たる。(笑)



昨年、いじめ自殺や自殺予告が多くあって問題になった。
そのため、自殺抑止を目的として著名人にメッセージを書いてもらうという企画をたてたのではないかと思う。

昨年、11月から12月にかけていろいろな人のメッセージが朝日新聞に載っていたのだが、
どの人も、結構いい事を言っている。


問題は、これらのメッセージがいじめをされている、もしくは、している者たちに届くか・・・ということだ。
だから、新聞連載が終わってからこういう小冊子をつくったのだろうけどね。


当事者が読んで、ひとつでもいじめが解消されるといいのだが・・・。
果たしてどうなんだろうか?


いや、それよりも現在成人した子供しかいない私がこういう冊子をもらっていいのだろうか?
大人の世界にも勿論いじめはあるんだけど、新聞掲載時に全部読んでいる私が貰うより、これを読んだ事がなくて、今、本当に必要としている人の手に渡った方がよかったのではなかろうか?



・・・と、ちょっと反省した私でした。応募すべきじゃなかったかな?


X-DAY  (田村由美)

2007-02-21 08:57:58 | 漫画家(た行)
(1993年発行)

<作品紹介より>

★人は間違える、人は思い込む、人には言葉があるのに…。
その「間違い」や「思い込み」ゆえに起きる恐るべき惨劇、4エピソードを描いた「X-DAY」。
別冊少女コミックの増刊号”花林”に掲載された、表題作をはじめとする4編の異色作を収録した作品集です。

この人の描く絵は少女マンガにしては、ごっつい感じがする。
最初は編集さんなどにいろいろと言われていたそうだが、これはこれで個性としていいのではないかと思う。
少女マンガはごっつい男はダメ・・・なんてことないですよね~。
青池保子なんて、登場人物ほとんどおっさんばかりで、しかも”馬面”!
それでも、ちゃ~~んと少女マンガですものね。(笑)

この短編集は、人間の内に潜む心理をテーマにしたもので、どれも結構面白い。
私は、この手のストーリーが好きだ。
この作者が描いている「BASARA」など長編もいいが、短編もなかなかいい。




・・・で、この作品には直接関係ないのだが・・・

紹介文にもある言葉
「人は間違える、人は思い込む、人には言葉があるのに…。」


人には言葉があるのに…。


若い頃は一生懸命に話せば相手は必ずわかってくれると信じていた。
しかし、年をとって経験も積み、いろいろ本も読み・・・
今では、残念ながら言葉は万能ではないとわかってきた。


どんなに一生懸命に説明しても自分の想いを完璧に相手に伝えることは出来ない。
相手の想いも一生懸命にわかろうとしても完璧に理解は出来ない。


だからこそ、常に相手の想いを少しでもわかるように努力したいと思うのだ。


言葉が万能だという考えは・・・もしかすると人間の思い上がりなのかもしれない。

あたしンち (けらえいこ)

2007-02-20 09:02:40 | 漫画家(か行)
(読売新聞日曜版1994年6月~ )

アニメにもなってるんですよね。
ほんのチラッと観た覚えはあります。


今日、暇でしてね、長女の部屋がぐちゃぐちゃだから仕方ない、少しは片付けてやるか・・・。
・・・と、思って散らばってる本を片付けたんですよね。
その中にこの本があったんですよ。


長女は私が絶対に買わない様な本をよく買ってます。
これも申し訳ないけど、私は例え古本でも絶対に買わない本です。。。


まあ、読まず嫌いはいけないかな~?と思ってちょっと読んでみました。


何でもない日常が描かれています。
たぶん、世の中にはこんな感じの家族もいるのでしょう。


ここに出てくる母親は、私とはタイプが全然違います。。。違うつもりです。。。
違うんじゃないかな~~~?
念のため、長女に確認したけれど、「違うよ」…と言ってくれました。(ホッ…)


「お母さん、どうしてそんなこと聞くの?」
「い…いや別に…」(ちょっとうろたえる私・・・笑)


まあ、この作品、とにかくほのぼのとしてていいのではないでしょうか?

OZ (樹なつみ)

2007-02-19 10:10:08 | 漫画家(あ行)
(1988年~1992年掲載)

1990年10月15日
第三次大戦勃発。最初の核ミサイルが爆発してから40分後この大戦は終結する。
数日後、「核の冬」が地球をおおう。
半年続いた「核の冬」の為、穀物は完全に枯死。
生存者中25億人が凍死 餓死する。
各政府は壊滅状態に陥り、全世界で「内乱」が多発する。

かくて 地球規模での戦国時代が到来した



・・・という設定。
この話は第三次大戦より31年後。
OZを目指して傭兵のムトー、工学博士フェリシアたちが旅立つ・・・。


「オズ」といえば、「オズの魔法使い」を連想させる。
これは、「オズの魔法使い」のパロディでもある。
ムトーは「臆病なライオン」。


「オズの魔法使い」でオズは本当の魔法使いではなかったように、
この「OZ」もまた、ある意味「まがい物」。


OZに行く事によってムトーたちは精神的に成長する。


SFであり、アクションであり、おとぎ話でもあるこの作品。
とってもよく出来ていると思う。


テーマの一つとして、「人間(ひと)とは何か?」ということが、
擬似生命体であるサイバノイドを通して語られている。


「人間(ひと)とは何か?」
・・・人間(ひと)としてどう行動すべきか?
生きるとはどういうことなのか??
その問題提起はきっと読者ひとりひとりの胸に強く訴えかける物があると思う。



ただひとつ残念なのは、私がこれを読んだのがつい最近だということ。
若い頃に読んでいたら・・・いや、せめてリアルタイムで読んでいたら、
もっと感情移入が出来て大好きな漫画のひとつになったかもしれない・・・。
どうも、この歳になるとなかなか素直に感情移入出来ない自分がいていやになってしまう。
本当に歳は取りたくないものだ・・・。(笑)


サザエさん (長谷川町子)

2007-02-18 12:02:09 | 漫画家(は行)
これはもう<国民的漫画>っていう感じなのかな?
日本人のほとんどがたとえ原作は読んでなくてもアニメぐらいは多少は観ているのではなかろうか?


その時代の一般庶民の風俗などがわかるということで、単なる漫画以上に歴史的価値もあるかもしれない。


「ゴルゴ13」「こち亀」等と同じく、時代背景は変わっても登場人物たちは歳をとらない。
実に羨ましいことである。
もしかして、サザエさんたちは「ポーの一族」と同類なのだろうか?(そんなわけないって!?)(笑)



ご存知の通り、サザエさんは夫のマスオさん、タラちゃんと共に自分の実家で自分の両親、弟のカツオ、妹のワカメと一緒に暮らしている。
マスオさんは婿に入ったわけではなくて「フグタ」という姓のままだ。
マスオさんは勿論、サザエさんの両親に気を使ってはいるが結構仲良く上手くやってるように思える。
女性が夫の両親と一緒に住むより、男性が妻の両親と住む方が上手くいく確立が高いのかもしれない。


何故なら、ほとんどの場合、男性は昼は仕事で家にいないし、家に帰っても家事をしない事が多い。
(家事をしなくても男性だから許される。)
それに比べて女性は家にいて、一日中夫の母と顔を合わし、家事もする。
家事なんていうものは、それぞれやり方が違うのが当然なのだが、それがお互い気に食わないことが多い。
・・・てなわけで、たぶん<嫁・姑>の仲が悪くなる。

・・・というパターンが一般的なのではなかろうか?



我が家の場合、娘が3人。
息子がいないので<嫁・姑>のバトルはしないですみそうだが・・・
娘のダンナの世話をしてやらねばならないのだろうか?
うちの長女と同居なんて事になったら、家事全てと、孫のお守りも押し付けられそうな気がして怖い!!(笑)


フロイト1/2  (川原泉)

2007-02-17 12:53:41 | 漫画家(か行)
(平成元年 「花とゆめ」4・8号掲載 )( 画像の本は白泉社文庫版1996年発行)


裏表紙の説明文より

ジークムント・フロイト。精神分析学、深層心理学の創始者・・・
1939年没。40年後、魂となったフロイトは、二つに別れた奇妙な提灯をこしらえ、小田原城公園にて篠崎梨生(8歳)と瀬奈弓彦(19歳)にそれぞれ5円で売り渡した……。
そうそれは「夢を呼ぶ」提灯。
そして、二人の夢をすり合わせつつ、時は流れて……。
ようこそ、川原的不思議哲学世界へ!
表題作品の他、初期短編8本を収録!


若い頃、心理学が好きで精神分析の本など色々と読んでいた時期があった。
その中には勿論フロイトの「夢判断」などもあって、凄い事を考える人もいるんだな~と感心したのだが、どうも西洋人と日本人の感覚は違うのでは?という疑問も抱いていた。
育ってきた環境、文化などで同じ物を見てもそれから連想するものは違うのでは?と思ったのだ。


また、話が脱線してしまった。
とにかく、あの「フロイト」が小田原提灯を作って売っている!?
なんというシュールな発想!!
そしてその提灯は「夢を呼ぶ」提灯なのだ!!!


もう、その発想だけで脱帽・・・っていう感じになってしまう。


いつもどおり、一見とぼけた感のある主人公が出て来る。


だいたい、川原泉作品では生い立ちが悲惨な場合が多い。
家族と死別しているという設定は数え切れないぐらいあるのではなかろうか?(笑)
簡単に人を死なせないで欲しいが、まあ仕方ない。


梨生は幼い時に母と死別、父とは離別。叔母夫婦に育てられる。
弓彦は父と死別、
大学生の時、山で遭難したため莫大な額の「捜索救助費用」返済のため必死に働いてくれた母とも死別。
・・・という非常に悲惨な人生を送っている。


タイプは全く違うが二人とも必死に前向きに生きているのだ。
特に梨生などは全然悲壮感もなさそうに見えるのに、精一杯頑張ってるのだ!


そこに読者は感動するのだろう。きっと・・・。


ブレーメンⅡ (川原泉)

2007-02-16 09:08:49 | 漫画家(か行)
人権教育のテキストにしたら、いいのではないだろうか?・・・という感じの作品。

数の少なくなってきた人類の助けになるだろうと、人間並みの知能を持った動物たちが創りだされたが、大方の人間たちが差別をする。
それでも純粋な動物たちは、真面目に仕事をする。

テーマは「差別」?・・・なのだろうか?
この作者独特のちょっととぼけた感じで押し付けがましくなく、さらりと描いているので、読む年齢や感覚によっては、人権問題を取り上げているとは、あまり感じない者もいるかもしれない。
そういう感じが非常に良い。

絵については、線のタッチとか、顔は好きなのだが、殆ど顔のみのコマが続くのが少々気になる。・・・まあ、個性と見るべきか???

問題な日本語 (北原保雄 編)

2007-02-15 09:23:00 | その他
(2004年発行)


言葉って、自分の思いを人に伝えるために必要なものだ。
・・・が、100%自分の思いを言葉で人に伝えることが出来るかというと、
どんなに表現力のある人でもそれは不可能なことだ。

しかし、だからと言って初めから諦めるわけにもいかない。
出来る限り、自分の思いを人に伝える努力をしなくてはいけない。

実際に会って話をする方が表情などで少しは伝えやすくなるかもしれないが、
文章だけでは結構難しい。
・・・で、顔文字などが発達したんだろうな~・・・。


などと、とりとめもない事を時々考えたりしてる私なんですけどね。





いつの頃からか、レジで
「千円からお預かりします」
などという言葉を聞くようになった。


変だな~?変な日本語だよな~???
でも、よく使われてるよね~~~???
私の感覚の方が変なのかな~~~~????


「まじ」とか「微妙」とか「よろしかったでしょうか」とか・・・
とにかく、以前は聞かなかった言葉が周りに氾濫してることに戸惑いを感じていた。


・・・で、この本。
タイトルが「問題な日本語」
え~~??変だよ~?
わざと使ってるの???
何だ?この本???


と、思いつつ中を読んで見ると、
「気になる日本語」の用法について実に丁寧に解説している。

<まえがきより一部抜粋>
単に「使ってはいけない」「この用法は間違ってる」と指摘しているだけの本ではない。
どうしてそういう表現が生まれてくるのか、
誤用であったとしても、その誤用が生まれてくるいわば「誤用の論理」は何なのかを究明している。



この本を読むと、今まで気になっていたものが実にすっきりと解決されて気持ちがよくなった。
こういう解説書が出版されるのは非常にありがたいことだ。


五つの箱の物語 (今市子)

2007-02-14 09:40:49 | 漫画家(あ行)
(1999年発行)


1993年~1996年にかけて描いた短編9作が収録されている。
所謂「埋もれていた作品」らしい。
作者にとっては古い作品だから、ちょっとつらい・・・。と書いていたがファンにとっては初期作品が読めるのは嬉しい限りだと思う。


「五つの箱の物語」
これは一つの作品の中に箱が五つ出てくるのではなくて、
「箱」をテーマに16ページの連作を5本描いたもの。
テーマが面白いものだから、色んな話が出来ると思う。
ここでは5本しかないが、もっと何作もこのテーマで描いていたらもっと面白いものが出来たかもしれない。



「図書室で会いたい」
登場人物の変な柄のシャツを全部手描きで描いているようだ。
ガラトーンの種類があまりなかった頃らしいが、
そういえば昔はそうだった。今は驚くほど多くの柄のトーンがありますからね。
楽といえば楽だろうけど、柄を手で描いた方が味があっていいよね。


一応、BL風味?だけど非常にソフトなのでBLが苦手な人にも読みやすい作品となっている。



生協の白石さん (白石昌則 東京農工大学の学生の皆さん)

2007-02-13 20:29:04 | その他
この本は一時期非常に話題になっていた。
・・・で、先日図書館で見つけたので借りてみた。

ブームは既に去ってるのかな~?と思っていたのだがブログなどを見てみるとまだまだ今も読んでいる人が結構多いようだ。

この本の魅力は何だろう?

大人が子供(学生たち)に真剣に向き合ってくれている…っていうところがいいのかもしれない。

最近は、子供の想いに真剣に向き合っている大人が少ないのかもしれない。
だからこそ、一見ふざけたような「ひとことカード」にも真剣かつユーモアを交えて答えてくれる白石さんが好かれるのだろう。

この本を読んだ大人たちは(私を含めて)、自分も白石さんになれることを知らねばならない。
日常の忙しさにかまけて、子供の眼差しから逃げてはいないだろうか?
・・・と自分自身を省みる必要があるかもしれない。

或いは相手が子供でなくてもいい、
自分は人と接する時にきちんと真摯な態度でその人に応じているだろうか?

この本は私にそんな事を気づかせてくれたのだ・・・。

砂の上の楽園 (今市子)

2007-02-13 08:11:58 | 漫画家(あ行)
短編が4つ入っている。
「砂の上の楽園」はこの作者にしては非常に珍しい「SF」!!
あとの3作品は「百鬼夜行抄」の雰囲気を漂わすいかにもこの作者の作品だ~!という感じ。

この中で私が一番気に入ってるのは、この本を出す時にページ数が足りなかったので、なんか一つということで「主人公が女の子」というだけの理由で選ばれたという作品。
・・・えぇ~~っ!内容的に私これが一番好きなんだけどなぁ~~!!(苦笑)

「僕は旅をする」
電車にはねられ弟が死んだという知らせがくる。
その後、姉のひとみは弟が旅館に泊まっていたという知らせを受け、弟に会うために弟の後を追う。
しかし・・・結局弟は・・・

という話なんだが、この一家の動揺している状態など心理描写が素晴らしく良く表現されている。
最後のオチも何かいい。

哀しい話なんだけど、何となく「安堵感」?を感じさせる作品。

あしながおじさん達の行方 (今市子)

2007-02-12 13:42:33 | 漫画家(あ行)
(1998年~2000年)

一応「花音コミックス」なのでBLの分類なのかな?
しかし、同性愛者のカップルやオカマバーの人たちも登場するが、
ハードな描写もないし、テーマは「BL」とは無関係だから
BLが苦手な人にも十分読める作品だと思う。

4歳の時から施設で育った主人公「春日」
善意から匿名で大学までの学費を援助しようとしてくれていた「あしながおじさん」に
一言お礼を言おうと捜すうちに5人の「あしながおじさん」がいる事を知る。
彼らはどういう理由で「あしながおじさん」になったのか?
そもそも自分の親は誰なのか?どこにいるのか??
探れば探るほど「謎」は深まるばかり・・・


これは「ヒューマンドラマ」というのだろうか??
複雑に絡んだ人間関係。
この作者お得意?の親族入り乱れたドタバタコメディ・・・とでも言えばよいのだろうか?

お得意と言えば「妖怪」もお得意なのだが、これには全く出てこない。
「妖怪」より ずっと「妖怪」っぽい人間がいっぱい出て来てるから??(笑)


ラストはとりあえず収まる所に収まった・・・という感じで、まあ、一応こういうのも
ハッピーエンドになるのかなー??

幻月楼奇譚 (今市子)

2007-02-11 00:32:22 | 漫画家(あ行)
少女漫画で「男芸者」の物語を描く・・・って非常に珍しいのではなかろうか?
いや・・・「男芸者」なんて言っても意味が分からない方の方が多いのではないだろうか?

「男芸者」・・・要するに「幇間」(ほうかん)「太鼓持ち」(たいこもち)。
「酒宴の席で面白おかしいことを言ったり、芸者のまねや余興をしたりして客と芸者との間を取り持つことを職業とする男。」
・・・の事である。
しかし、・・・
「他人が喜ぶようなことや心にもないお世辞を言って自分の立場を有利にしつつ世の中をうまく渡る心の卑しい者にたとえられる。」
という意味の方でよく使われているような気がする。

それを漫画の主要人物にしてしまうこの作者の「感性」はちょっと変わっていて面白い。

<吉原の「料亭」を舞台に
人の世の欲望とあやかしが織り成す不思議な世界。>

なかなか味わいのある世界である。

時代設定は
「いつの頃か限りなく昭和初期に近いある時代の事」

ある意味凄くいいかげん・・・ではあるが、
作者が開き直って言っているように
「SF」「ファンタジー」「架空の世界」「時代物じゃない」「とんでもない話でもあり」
・・・で、いいと思う。

時代考証を考えなくてもこういう作品は面白ければいいのです。
読者は「つまらない真実」よりも「面白い嘘」の方が好きなのです。

・・・と私は思っているんですけどね。


ちょっぴり「同性愛風味」あり・・・ちょっぴり「怪奇風味」あり・・・
今市子テイストたっぷりの作品である。