本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

黒い雨にうたれて (中沢啓治)

2007-03-28 13:11:17 | 漫画家(な行)
この作品は重い。
非常に重い。
読んでいて息苦しくなるぐらい重い。

しかし・・・

目を背けてはいけないと思う。

<あとがきより一部抜粋>
子どもは、青年になり、大人になり、親になります。
しかし、歳をとっても、忘れてはならないこと、
子どもたちに伝えていかなくてはならないことがあります。
私と「ゲン」は、ピカドンをけっして忘れません。


この本には原爆をテーマにした一連の作品が収録されています。

経験したものにしか描けない「怒り」「にくしみ」「怨念」・・・
それらをどう受け止めていかねばならないか、
それを考えるのが私達ひとりひとりの課題であると思うのです。


手塚治虫 ぼくの描いた戦争 (手塚治虫)

2007-03-28 12:59:56 | 漫画家(た行)
手塚治虫が亡くなってからも、彼の本はどんどん出版されている。
勿論、新しい作品ではなくて古い作品を色んな形で編集したものだ。

これも、そういった本のひとつ。

タイトルの通り、手塚治虫作品の中から戦争を扱ったものを集めている。

「カノン」「ジョーを訪ねた男」「紙の砦」「ブラック・ジャック-アナフィラキシー」「ゼフィルス」「やまなし」「ブラック・ジャック-
魔王大尉」「どろろ-法師の巻」「墜落機」「大将軍 森へ行く」「1985への出発」

実際に戦争を体験した者が描く戦争の話は実に説得力がある。
手塚治虫・ちばてつや・水木しげる・中沢啓治など、戦争体験を漫画作品にして子どもたちに戦争の悲惨さなどを訴えてきた漫画家も数多くいる。
しかし、時代は流れ、実際に戦争を体験した漫画家たちはすでにこの世を去ったり、かなりの高齢になっている。

これらの漫画は大切に次の世代に伝えていかねばならないものだと思う。

夢の博物誌a (山田章博)

2007-03-27 10:20:44 | 漫画家(や・ら・わ行)
(2001年発行)

この作者は<線の魔術師>という称号を与えたいくらい美しい線を描く。


森の中で迷う兵士。
突如現れる古城。

密林に住む不思議な者たち。
美しい女性。


地下鉄(メトロ)に乗るくたびれた風情の中年男性。
不思議な美少女。


釣り糸をたれる古い中国の若者。
半身が魚だという美しい湖の主。


海辺にある洋館のホテル。
美しい女性とふたりの若者。


どの話もまるで夢の中にいるような気にさせる。


<白昼夢>の世界。


隠居の日向ぼっこ (杉浦日向子)

2007-03-26 13:27:41 | その他
(2005年発行 
初出 「朝日新聞」平成12年2月2日~平成13年1月31日)


<帯の言葉より>
「江戸の達人」が遺した名エッセイ。

ゆたんぽ、手拭、蚊帳、踏み台、はいちょう……。
江戸から昭和の暮らしを豊かに彩った道具たち。
懐かしい日々を慈しみつつ綴るモノ語り。



ここに取り上げられたモノは日本人にとって懐かしいものばかりである。
とはいえ、近頃の若い子たちには未知のモノなのかもしれない。

私の場合、この作者と同年代のせいか、これらのモノも知っているし、
作者がこれらのモノに寄せる想いも頷ける。

本の構成が春・夏・秋・冬に分けられているセンスもいい。

ほんの少し前まで江戸の風情が残っていたということが何だか不思議な気がする。
そして、この何十年かの間にそういう風情の殆どが失われつつあるのがとっても残念な気もする。

これから数十年後、江戸風情は博物館の中でしか見られないような世の中になってしまうのだろうか?



ケロロ軍曹 (吉崎観音)

2007-03-20 10:26:02 | 漫画家(や・ら・わ行)
私がこういう作品を出してくるなんて意外・・・だと思われる方もいらっしゃることと思います。
私自身、非常に<意外>です。(笑)


例の如く、これは長女の買っている漫画。
うちの子供たちはこれが結構好きなのだけど・・・
私は大のカエル嫌い!!


ケロロ~??カエル~~!!!
ゲゲ~~~そ・・・そんなもの見たくない!
・・・っていうのが正直なところ。


でもまあ、いつものごとく(笑)読まず嫌いはいけないよな~
・・・と思い、
これはカエルではない。カエルではない・・・
・・・と一生懸命、自己暗示をかけながら(笑)読みました。


まあ、噂どおり、いろんなパロディがあったりして結構楽しめましたけどね。


もし、我家に宇宙人がやってくるのなら、<カエル型宇宙人>ではないことを祈るのみです。
・・・って、<蛇型>とか<ムカデ型>とかも嫌です!
出来れば美しい宇宙人をお願いします。
・・・って、一体誰にお願いしてるんだ~?(笑)

そして謎は残った 伝説の登山家マロリー発見記

2007-03-19 10:30:59 | ノンフィクション
(1999年12月10日 発行)



<帯に書かれた言葉より>
エヴェレスト山頂近くで消息を絶った2人の登山家の行方を求めて。
はたしてマロリーは登頂に成功したのか?
75年ぶりに遺体発見に成功した米捜索隊が綴った独占手記。
衝撃の新事実・写真満載。



この本は、某図書館の当時の館長さんに教えて貰って読んだ。



 『ニューヨーク・タイムズ』紙の記者に
「何故エヴェレストに登りたいのか」
と質問されて、
「そこに山(それ)があるから」
と答えた。



というエピソード程度は知っていたが、
その時私はマロリーについてそれ以上のことは知らなかった。



だから、人に薦められなければたぶんこの本を読むことはなかったと思う。



この本を手にとって、まず驚いたのが表紙の写真。
ちょっと見ただけでは、マネキンが転がってるようにしか見えないが、
実はこれがマロリーの遺体なのだ。
本の中にはもっとはっきりした遺体写真が載っている。



遺体発見の様子を描写した部分を一部抜粋してみる。

「デイヴ・ハーンはその現場の間近まで来たとき
『今、自分たちが見ている男は、七十五年間もこの山にかじりついていたのだ……
衣服を吹き飛ばされて、体はほぼ剥き出しになり、その肌は色が抜けて真っ白だった。
まるで、ギリシアかローマの大理石の彫像を見ている気がした』
クライマーたちが、その場に全員到着しても、喜びなどいっさいなかった……
無言のまま、古代彫刻に、あるいは立ち、あるいはひざまずいた」


結局、エヴェレスト初登頂に成功したかどうか、という登攀史上最大の謎は謎のまま残ったわけだが、それはそれでいいような気もする。



・・・で、その謎をテーマに書いたのが夢枕獏の「神々の山嶺」。
非常に面白い作品だ。
小説の方は読んだのだが、谷口ジローが漫画にした方はまだ読んでいない。
そのうち読んでみようと思っている。


「オバサン論」「オバ道」

2007-03-18 00:25:44 | その他
「オバサン論」(大塚ひかり 著)
「オバ道」(神谷ちづ子 著)


どちらの本も著者が40代の時に書いたものだ。
40代というものはどうやら「オバサン」らしい・・・。



「オバサン論」の帯に書かれている言葉より

いいじゃん!

ガンバレ、オバサン。

オバサン化の恐怖に堂々と立ち向かい、
すべての女性に
勇気と希望を与える本格的論考。



「オバ道」の帯に書かれている言葉より

オバ道のススメ

かわいい嫁なんかやめた。
かわいい女もやめた。
そりゃあそうだ、オバサンに、いまさらかわいいもないではないか……
そうして自信と誇りを持って、今日も進むのである。
何を?って。
決まっているではないか。
正しいオバサンの生きる道、「オバ道」を、である。

オバ道は、素敵だ。



どちらの本も「オバサン」を肯定している。
「オバサン論」では、歴史的観点から「オバサン」というものを考察し、
「オバ道」では、具体的なオバサンの行動から「オバサン」というものの存在を考察している。



どちらも、頷けるところもあれば、いや、それはちょっと違うかも?と思うところもある。
まあ、一口に「オバサン」と言っても、百人いれば百通りの「オバサン」がいるっていうことだ。



結論を言えば、歳をとるってことを肯定的に考えよう!っていうことなのだと私は思っている。



「オバ道」でイタリア女性のことを書いていた。
彼女達は誰もが歳を取ることに、なんの不安も辛さも、抱いていないそうだ。



一部分を抜粋させて頂く。

歳を重ねる、ということは、大人の女になることで、より、魅力的になる、ということなのだ。
だから若けりゃいい、なんて誰も思わないし、回りの男たちも、社会も、中高年の女性たちに、敬意を持って接する。
本音はどうだか知らないが、少なくとも表向きは、「若い子がいい」なんて愚かな台詞は、口が裂けても使わないのだ。
だからイタリアのオバサンたちは、自信満々に生きている。
(中略)
それより大切なのは、自然を楽しむことであり、日光を浴びることなのだ。
素敵なドレスを着ることであり、楽しく時を過ごす、ということである。
そして夫がいて、家族がいて、友達がいて、みんなが私を愛している。
これらのものすべては、私が長年かけて自分のものにしてきたものなのよ。
そう彼女たちは、信じている。
だから微動だにしない。



こういう生き方って、いいよな~~って思う。
私も自信満々に生きたいね。

メイプル戦記 (川原泉)

2007-03-15 09:04:06 | 漫画家(か行)
(平成3年~平成7年 花とゆめ掲載)

日本初女性だけのプロ野球チーム「スイート・メイプルス」が活躍する話。

個性豊かなメンバーたち。
頑張る登場人物たち。
ギャグの中にもほろりとさせられる展開。


そして・・・ラスト!

いつもの川原節、炸裂!

感動のラストになるんですよね~。


女性が元気なのがいい。
<女性は男性より劣る>・・・と無意識のうちに考えている人がいる。

そういう概念をふっとばす漫画が普通に存在しているのがいい。

そのうち、女性が劣っているなんていう概念がなくなる日も来るかもしれない。
・・・そういう日が是非とも来て欲しい。
来るべきだと考える。


実在のプロ野球球団や選手をモデルにしているらしいが、残念ながら私にはよくわからない。
野球好きが読めばより面白みが増すんだろうな~!!


シャーリー (森薫)

2007-03-13 09:29:07 | 漫画家(ま行)
(2003年発行)

13歳の少女シャーリー・メディスンの物語。
彼女はカフェーの女主人であるベネット・クランリーの「メイド募集」の広告を見てやって来たのだ。



大人しいけれど芯は強くて完璧主義!
とにかく可愛い!!
ベネットの代わりに私がシャーリーを雇いたい気分になってしまうくらいだ。(笑)



「エマ」もいいけど「シャーリー」もいい。
どちらも非常に丁寧に描かれていて、作者の作品に込める愛情が伝わってくる所がとってもいい。
今後が楽しみな漫画家である。


エマ (森薫)

2007-03-12 09:42:43 | 漫画家(ま行)
19世紀末の英国メイドの物語。

1巻が2002年から月刊コミックビームに連載されているようだが、ここ数年の間にかなり絵が進歩している。
もともと下手な絵という訳ではなかったが、イマイチもったり感?があったのが最近ではかなりシャープさが出て来ていて今後どう変化していくのか非常に楽しみな絵だ。

ストーリーは一言で言うと

「身分違いの恋」

使い古されたテーマではあるが、料理方法でいくらでも面白い話になるテーマでもある。
ストーリー展開はどちらかと言うと遅い。・・・恋愛ものはどちらかと言うとあまり好きでない私は恋する二人がモタモタしてるとイライラするのだが(笑)・・・これは何故か許せる。
たぶん、この作品の雰囲気が素敵だからだろう。

19世紀末の英国・・・を単なる想像だけで描いている訳ではなく非常によく下調べをした上で描いているようだ。
それがいい。とってもいい。
何気ないようなシーンでさりげなく「当時の英国」の雰囲気が漂っているなんて、何だかちょっと得したような気分になる。

キャラも実に魅力的。

アニメになっているらしいが観ていない。原作の雰囲気を出せているのだろうか?

怪談 (高橋葉介)

2007-03-08 01:09:08 | 漫画家(た行)
”帯”に書かれている言葉を書いてみる。
”帯”に書いている言葉はたいていその作品をよく表現している場合が多い。
ま、それを読んで本を買ってくれー!というつもりなんだろうから当たり前だけどね。

さまざまな”愛”を描く、
高橋葉介の幻想オムニバス!
ロマンティックで残酷で、エロスと怪奇が、
いろいろな人生模様を炙り出す、鮮烈な大人の童話(メルヘン)!!


ついでに作者本人による”あとがき”を書き出してみる。

ややアダルト向けの怪談集を出してみたかったのですが、夢がかないました。
本当のことを言いますと、私は流行の怪奇現象だのにはあまり興味がありませんで、かといって人間の情念とか、怨念とか、屈折した心理描写とかを追及するともりもさらさらなく、ただ、”変な話”が好きなわけです。
ですから、内容がないとか、何が言いたいのか解らないと言われても困ります。ただ、”変な話”を描きたかっただけですから・・・。
今後、機会と場所と、物好きな読者に恵まれましたならば、またこの様な本を出してみたいものだと思っております。

と、いうわけなので、はっきり言って内容らしき内容はない。
高橋葉介ファンには「たまりませんわ!!」という感じだけど、
そうでない人には「訳、解らん!!」という感じかもしれない。

悪夢交渉人 (高橋葉介)

2007-03-06 22:53:58 | 漫画家(た行)
発行が平成16年だから、比較的新しい作品。

この人の絵柄はデビュー当時から、結構変化している。
一時期、私好みではなくなりかけていたが、このあたりから、また私の好みの絵柄になりつつある。
嬉しい限りだ。

・・・で、この作品。
主人公が「人々の悪夢を金で引き取る商売」をしている。という設定。
設定もいいし、主人公のキャラが結構魅力的なのに、たった4話しかない。
打ち切りになったのか、それともどこかの雑誌で連載中なのか?
ちょっと気になる。

これも、それ程は怖くない。と思うんだけど、どうなんだろう??

腹話術 (高橋葉介)

2007-03-05 04:39:08 | 漫画家(た行)
(昭和54年発行)

カバー折り返し部分の説明文より

新鋭の柔らかな感覚が、奇妙な世界を創り出す。
夢の中の散歩のように、無限の世界(イメージ)が広がっていく。
作画の妙、アイデアの新鮮さ!
さあ遊ぼう、幻想の巷に!
さあ酔おう、ロマンの美酒に!
ヨウスケの短編集第一弾。


高橋葉介の初期の作品が13編入っている。


この頃の筆のタッチは今見てもやっぱり素敵だ。

シリアスで不思議な世界もあれば、めちゃくちゃなギャグもある。
髪の毛の表現法なんて筆のタッチで変幻自在。
おどろおどろしい死者の群れも筆でさらさらっと描けばペンで描くよりずっと雰囲気が出る。


「腹話術」は
腹話術士師だった父親が死に、ひとりぼっちになった少年が健気にひとりで生きていこうとするのだが、結局雪の降る街かどで一人さびしく死んでいく。
という哀しい短編。
少年の台詞はない。少年の台詞は全て<腹話術>なのだ。

彼の周りのものたちが彼に話しかける。
ある時は死んだ父親、ある時はカラス、
大きな木も彼を励ますように語りかける。
「胸を張れよ
顔を上げて歩け
もっと大きな街へ行くんだ」

しかし、金もなくお腹もすき、街角で座り込んでしまった少年。
彼の周りのごみ、街灯、ねずみ・・・全てのものが彼に語りかける。
「さみしくなんかなかった」
「一人ぼっちじゃなかった」
「おれたちがいたから」

翌朝、少年は息絶えていた。
しかし、彼の死を悼むかのように街灯たち、周りのモノが唱える。

「アーメン」
「アーメン」
「アーメン」・・・


今読むと、いかにも初期作品だな~っていう感じがする。
初々しくて、作者が実に丁寧に心をこめて描いた作品、っていう感じだ。
読んでいる者の心に何か不思議な感情が湧き上がり、
じわ~っと、透明な哀しみが心の奥底に沈みこんでいく・・・そんな作品。


家族の食卓 (柴門ふみ)

2007-03-02 09:04:28 | 漫画家(さ行)
(1991年・1993年発行)



この作者の「東京ラブストーリー」は1巻しか読んでいない。
ドラマは全然観ていない。
BSマンガ夜話でいしかわじゅんが柴門ふみ非難をしたことがあったと思うが
その時は漫画も全然読んでいなかったのでイマイチよくわからなかった。



・・・で「家族の食卓」
これは図書館にあったので借りてみた。
色んな家族のたわいない話が載っていて、読むと結構良かった。



(作者あとがきより抜粋)
家族とは厄介なもので、面倒至極、てこずることこのうえない。
甘やかすとつけあがり、ずかずかと踏みこんでくるくせに、
少しそっぽを向くと赤の他人以上に冷淡になる。
うまくいくほうが稀であり、
たいていの家族はいつも何がしかのきしみや問題点を抱えているものです。
それでもとりあえず<家族を肯定するところから始めよう>というのが、本作品のテーマです。
なんだかんだあって楽なことばかりじゃないけれど、
でも、家族ってやっぱりそう悪いもんじゃないという思いが読者の方に伝わってくれたら、
作者としては本望です。



この<家族を肯定するところから始めよう>・・・というテーマが好きだ。



世の中、色んなものに対する非難・批判・バッシング・悪口・陰口etc・・・で溢れているような気がする。
私だって、正直言って<ど~~~しても好きになれない人>もいる。
悪口も言ってしまうこともある。
しかし・・・そういう人でもゆっくり語り合えばもしかして多少は理解しあえるのではないかとも思う。
ただ・・・それで簡単に物事が解決すれば世の中苦労はないって事なのだが・・・。(苦笑)


先日たまたまTVをつけると、
「大人の条件」として「人を褒めることが出来ること」・・・とか、言っていた。
なるほど、「人を褒める」・・・簡単なようで結構難しい。
「褒める」っていうことはその人の「良い所」を見つけ出すことでもある。
悪い所はすぐわかるが良い所は難しい・・・。
しかも、それを素直に褒めるのはもっと難しい!?
お互い相手を思いやり褒めあうことが出来れば
世の中随分住み易くなると思うのだが・・・。


この作品に登場してくる家族は、それぞれ何らかの問題を抱えている。
が・・・相手の気持ちを思い遣ることで解決策を見出してゆく。


「ウソっぽいよな~。」とか「所詮作り事だ。」とか言わないで、
たまには、作品を読んで素直に良かったね。と思いたい。


バジリスク-甲賀忍法帖- (作画:せがわまさき)(原作:山田風太郎)

2007-03-01 09:19:36 | 漫画家(さ行)
絵がきれい。
CG処理をしているようだが、どういう風に描いているのか非常に興味がある。
今後、こういうタイプの漫画がどんどん増えていくのだろうか?
漫画の表現技術の進歩には目をみはるものがある。10年後、20年後の漫画がどうなっているのか大いに楽しみである。


さて、内容だが、まあ、「ロミオとジュリエット」の忍者版?といったところか・・・。
いや、別に悪口じゃないですよ。
深ーく人物の心情について考察するより、
単純にワクワク、ドキドキ、ハラハラしながら、次は誰と誰が戦うのだろう?とか、どんな忍術を使うのだろうか?・・・と楽しむのがいいんじゃないのかなー?と思うのだ。
勿論、登場人物の心情考察や、ストーリー展開、などがダメな作品だと言ってるわけではない。
ただ、娯楽ものとして純粋に楽しむことの出来る作品だと言いたいのだ。

確か、原作の「甲賀忍法帖」は、かつて横山光輝の「伊賀の影丸」などにも影響を与えたものだったと思う。
そのせいか、私はこの「バジリスク」を読んでいると、どうしても「伊賀の影丸」が頭に浮かんでしまうのだ。そして、技術的には、圧倒的にこちらの方が綺麗な絵で迫力もあるのだが、ワクワク感は「伊賀の影丸」の方に感じてしまうのだ。
やはり、子供の頃受けた印象というのは強いんだなー。と、我ながらに感心してしまう。(苦笑)

何故「バジリスク」っていうタイトルなのかな?と思って調べてみると、ヘビの姿をしていて、睨んだだけで相手を殺せるという想像上の生物がいるらしい。たぶん、それを意味しているんだろうなーと思う。

私はこの作者の漫画はこれが初めてだったのでよく知らなかったのだが、アニメにもなってるらしくて、結構人気があるようだ。これから、注目すべき漫画家なのかもしれない。