本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

萩尾望都 (なのはな)

2012-06-04 21:58:38 | 漫画家(は行)
<帯に書かれている言葉より>
「あの日」から、私は胸のザワザワが止まらなくなった。
今は、きれいで美しいものは描けないと思った。
ずっとザワザワしていた気持ちが、これを描き終わった時、
ちょっと静かになりました。


この本を読んで最初に思ったのは、
<やっぱり萩尾望都はスゴイな~!>
っていうことでした。

原発に関するテーマで世の中に発表するってことは並大抵の勇気では出来ないことだと思います。
かなりの批判がくるかもしれないってことを覚悟しつつも、それを描いて世の中に出した。
そこがスゴイと思うのです。

すぐに描かずに時間をかけて描けばもしかするともっと作品的には良いものになったかもしれないけれど、すぐに描いたってことがスゴイと思うのです。

普段少女漫画を読まない人からみると、オブラートに包んだような、レースとフリルに包まれたような表現は物足りないと感じたかもしれません。
でも・・・たぶんこれを読んだほとんどの読者は、ちゃんと作者の思いを受け止めることが出来ている・・・と思うのです。

自分が、「あの日」のことをどう捉えればよいのか。
今後、自分はどう考えてどう行動すればよいのか。

そういう事を考える一助になった・・・かもしれない・・・のではないかと思うのです。

星野之宣 (神南火)

2011-06-10 09:42:53 | 漫画家(は行)
『神南火(かむなび)』シリーズは、「異考録」が執筆される以前に、同じ雑誌である『ビッグコミック』に掲載されたシリーズで、忌部捷一郎の妹である歴史家・忌部神奈が主人公。
まあ、私的にはキャラ的には宗像教授の方が大好きなんだけど、忌部神奈も悪いわけではない。
ストーリーはサラッと読みやすいし、温泉シーンなんていう読者サービス?もあったりして楽しい。

6話「花と磐」で、宗像教授とそっくりな「『月刊ビッグ文芸』編集長・行方和里男(なめかた・わりお)」っていうキャラが出て来るんだけど・・・このキャラが後に宗像教授になったのかな?

萩尾望都 (スフィンクス)

2010-07-12 16:52:59 | 漫画家(は行)
以前からこの作者は人間の内面を深く深く考察するタイプだったけど、最近ますますそういう傾向が強くなってきたような気がします。

どうしてそういう風に感じるのかな~?
原因の一つは<目>にあるのかなって思うのです。

少女漫画は<目>が命!なんてこと、よく言われるけど、確かに<目>は非常に大事な要素ですよね。
目に力があるかないかで、作品の魅力も変わってきます。

最近の萩尾望都の描く<目>って独特の力というか、ある意味異様なまでの迫力があるように思えるんですよね。

・・・で、目には関係ないけれど、「世界の終わりにたった1人で」という作品の中で

『世界の最後の日に浜辺にひとりでいると
自分を呼ぶ声がする
振り向くと
あなたの一番会いたい人がそこに・・・
・・・それは誰でしょう?』

という質問があるのです。
最後に一番会いたい人に会えるなら・・・それは誰?
っていうことなんだけど、
死ぬときに誰に会いたいかと言われても・・・結局は死ぬってことだから
家族や親しい友人に会っても哀しいだけだから・・・
いや、世界の最後の日ってことは自分だけでなく皆死ぬってことだよね、
ひとりで死ぬか、好きな人と死ぬか、大勢と死ぬか・・・
ちょっと待てよ・・・自分が好きな人と死にたいと思っても、その人が別の人と死にたいと思ってたらどうするんだ?
それより・・・世界の最後の日って、一体何が起こったんだろう?
世界大戦勃発?小惑星が地球に衝突?原因不明の謎のウィルスとか?
それとも宇宙人が攻めて来た???

あ~、話がかなり脱線してしまったような・・・。(笑)

萩尾望都 (あぶな坂HOTEL)

2009-12-31 12:55:51 | 漫画家(は行)
この世とあの世の間にあるホテル。
そこで引き返すことが出来ればこの世に留まる事が出来る。
引き返すことが出来なければあの世に行くことになる。

こういうテーマ自体は目新しいとは言えないかもしれないけれど、
流石は大御所。
短いページのなかで、それぞれの人々の人生をさらりと描いている。

生きるも死ぬもその人次第。
読めば読むほど、深いテーマがひしひしと身にしみてくる。

大みそかの今日、自分の人生を今一度振り返ってみるのもいいかもしれない。

波津彬子 (女神さまと私 1巻)

2009-12-17 19:25:01 | 漫画家(は行)
英国シリーズのあとに描いてる作品。
雰囲気は英国シリーズに似ています。
でも、舞台は英国なんだけど、何故かエジプト考古学が題材になってます。

<猫はみなバステト神の末裔である>
・・・ってことで、主人公の飼い猫が実はブバスティスの女神、バステトだっていう設定。

この猫・・・申し訳ないが・・・あまり可愛くない。というかブキミな顔をしている。(笑)
けど・・・それが実に味があって単なる美猫に描くよりもよっぽど魅力的に見えてくるからちょっと不思議。

今後、この猫が美猫に育っていくのかどうか?今のままでもいいけどね~。

ビッグ錠 (スーパーくいしん坊)(原作:牛次郎)

2009-09-04 10:44:28 | 漫画家(は行)
昔ビッグ錠と牛次郎のコンビで描いてた「包丁人味平」と同じノリの料理バトル漫画。
何か似たようなアイデアがあるように思うんだけど、同じ人が描いてるから盗作にはなりませんよね。(笑)

料理漫画には自分でも作れそうだなあ・・・って思えるものもあるけど、これは絶対に無理だろう!
って思うようなものもありますね。

「スーパーくいしん坊」は後者。(笑)

<火の玉チャーハン>なんて絶対に無理!

洗濯機でラーメンの麺を茹でるなんてメチャクチャな発想もあるけど・・・私は洗濯機(普通に衣服を洗濯していたもの)で茹でたラーメンは食べたくないなあ~!(爆)

細川 貂々 (ツレがうつになりまして。)

2009-08-12 08:19:03 | 漫画家(は行)
昔、躁うつ病というものは北杜夫で知りました。
彼のエッセーなどでユーモラスに書かれてあったので、
結構世間の躁うつ病やうつ病に対するマイナスイメージを和らげるのに一役買うこととなったのではないかと思います。

それでもやはりまだまだ世間的には理解度が低い病気。

そういううつ病になってしまった夫と自分を明るく描いたこの作品、ドラマにもなって
うつ病の世間的理解度を多いにアップさせてくれたのではないかと思います。

この本のラストでは、例えるならば暗いトンネルの遥か向こうに出口が見えてきたっていう感じで終わってました。
でも・・・やはりその後が知りたいですよね。
その後のことは「その後のツレがうつになりまして。」に描かれてまして、
ようやく、暗いトンネルから脱出したようで一安心です。
ただ・・・この病気は再発しやすいそうなので完璧に安心は出来ませんが。。。

こういう本によって世間に理解され難い病気がオープンにされて、
自分(或いは家族)と同じような人がいるんだと安心したりすることが出来るっていいですよね。

ただ・・・この作品はあまりにも明るく描きすぎて、
実際はもっと辛く苦しいものなのにこんなものだと誤解されてしまうからダメだ。
或いは、この病気はその人によっていろいろと違ってくるんだから、これは作者と夫だけのパターンだから他の人にはあてはまらないから役に立たない。
などという意見があるのも事実。

うつ病というものを全く知らなかった人への入門編という感じで捉えていいのではないでしょうか。

萩尾望都 (レオくん)

2009-07-20 21:02:45 | 漫画家(は行)
(2009年6月15日発行)

2009年は萩尾望都デビュー40周年なんですね~!
素晴らしい作品ばかりを40年間も描き続けてきたなんて普通の人には出来ない事です。

・・・で、この作品・・・
2歳の雄猫レオくんが小学校に通ってみたり、お見合い(相手は人間!)したり、アシスタントをしてみたり・・・というような内容。

第一印象は<絵本>かな?
表現はもちろん漫画なんだけど、内容が絵本的。

人間世界なんだけど、猫が二本足で立って歩いてるし言葉もしゃべっている。
誰もそれを不思議に思わない。
小学校に入学したいと言えば、前例がないと言いながらもちゃんと受け入れてくれる。
こういうのって絵本に多いと思いません?

そして人間に交じっていろんな事にチャレンジするんだけど、どれもことごとく失敗してしまうのです。
まあ、猫なんだから仕方ないんですけどね。

これをどう捉えるべきなのか?

レオくんが失敗しても明るく
「だって ぼく ネコだもん」
と言うように、
一般社会で一生懸命に頑張っても頑張っても失敗ばかりしてしまう人たちに、
めげないで、君には君の良さがあるんだから!
・・・とエールを送ってるのだろうか?

それとも、ただ単にネコが健気に頑張ってる姿を見て癒されるのがいいのか?

まあ、それは個々の読者が決めればいいことですよね。


原秀則 (電車男 ネット発、各駅停車のラブ・ストーリー)(原作:中野 独人)

2009-06-17 11:53:22 | 漫画家(は行)
これは一時期かなり話題になったから、ご存知の方も多いと思います。
インターネットの電子掲示板である2ちゃんねるへの書き込みを基にしたラブストーリーです。

ネットで生まれた感動の物語として単行本化されてベストセラーになり、漫画・映画・テレビドラマ・舞台にもなったようだけど、どれも見たことがありませんでした。
義兄が処分する本のなかにこれがあったので初めて読みました。

ネット発の純愛ストーリーとして世間でも話題を得たけれど、ストーリー自体は普通のラブストーリーなんですね。

恋愛の仕方も時代と共にどんどん変化するもんなんですね。
これとは全く関係ないんだけど、携帯電話の普及によって恋人同士のすれ違いなんてもうほとんどおこらなくなったと思うんです。
一昔前のラブストーリーなんて、恋人同士のすれ違いによる悲劇が多かったと思うんだけど、もう今では<恋人同士のすれ違い>なんていうストーリーは出来なくなってますよね。(笑)

・・・で、この漫画なんだけど、
漫画では当然電車男とネットで繋がってる人たちとの2ちゃんねるでの会話を読者が分かるように表現しなければならないわけですよね。
それって、簡単なようで結構難しいような気がするんです。
この作者の場合、それが違和感なく実に上手く表現出来てるように思いました。

ネットの向こうにいる様々な人たち。彼らの様子を彼らがどういう部屋にいて、どんな動作、どんな生活をしてるかまできちんと読者にわかるようにしてるところが非常に上手い!

「電車男」の漫画はいろんな人が漫画化してるようだけど他の漫画は読んでません。
他の漫画もこの作品のように面白く描けてるのでしょうか?

・・・というか・・・
そもそも同じ題材で何人もが漫画化するなんて、出版社が売れる~!って思ったからなんでしょうね。
それって、なんだかなあ~・・・って思ってしまうんですけど、ま、世の中そんなものだから仕方ありませんね。

細野不二彦 (キャット・ウォーカー)

2009-05-20 08:27:55 | 漫画家(は行)
この作品の主人公はペット探偵。
迷い猫などを探すお仕事。
動物虐待やワシントン条約違反の動物に関する話などもあります。


猫を飼い始めてからついつい猫が出て来る漫画に目が留まってしまう私です。
その猫なんだけど、
最近、抜け毛が酷くて困ってます。
動物病院で抜け毛取りにいいと紹介されてシェッドバスターを買ってせっせとブラッシングしてるんだけど、毛を取っても取ってもきりがないぐらい抜けるのです。
もうこれは毛を切ってしまうしかないかな~?って思うんですけどね・・・(ため息)


・・・でね、
大量に抜ける毛を見ながらふと思ったんですけどね、
これだけ毎日毎日毛が抜けていくのにどうしてハゲにならないのかなあ?
人間だったら、かなりヤバイのではないかな・・・
・・・と、要らぬ心配をしてしまったのです。(笑)

深見じゅん (ぽっかぽか)

2009-05-19 13:25:30 | 漫画家(は行)
これってドラマにもなってたんですよね。
ドラマは観た事がありません。

先日、義兄に貰った本の中の一冊がこれ。

表紙には
「なかよし田所一家の笑顔になれる感動の作品集」
「家族いっしょが一番しあわせ」
という言葉が書かれている。

宣伝文句には
「疲れた心にそっと染みこむビタミン・コミック」
って書かれている。


作者の前書きには
「フツーの家族のフツーの生活・・・
退屈かもしれませんが
がんばって最後まで読んでください
ふーんスルメみたいに味があるな
そう思ってくださると
とてもとてもうれしいです」
って書いてます。


普通の家族が普通に仲良く暮らしてて、普通に幸せだな~って思ってる・・・
そんな作品です。

素直にいいなあ・・・って思いつつ、
ふと・・・
こういう作品が好きな人ってどんな人なんだろ?って思ったのです。

普通の家族で普通に仲良く暮らしてる人?

今、辛い思いをしている人もこういう普通の幸せな家族の物語を読んでちょっぴり幸せな気分になっるのでしょうか?
それとも逆にこういうものは腹が立つのでしょうか?

この作品に登場する家族は、ごく自然に「幸せだ」って言うんですよね。
誰もがこういう風に生きることが出来ればいいなあって思います。

波津彬子 (花々のゆううつ) うるわしの英国シリーズ4

2009-04-23 08:39:35 | 漫画家(は行)
出版社/著者からの内容紹介
波津彬子が贈る最新珠玉短編集! 英国版“結婚できない男” 冨も、名誉も、美貌もあるのに、なぜか結婚が決まらない。 優雅な毒品貴族エヴァディーンの恋模様ほか、全8編。 人気猫ヴィルヘルムが主役の掌編3作もお見逃しなく♪
冨も、爵位もあるのに、なぜか結婚が決まらないコーネリアス・エヴァディーン。名門ビングレー家デ、出会った花嫁候補は寸分違わぬふたりの令嬢? 甘美なセレブレティ・ロマンス、全8編を収録



いつものことながらこのシリーズは元少女(笑)を夢の世界に連れて行ってくれるので大好きです。
暇で何にもすることがない時、目の前にこの本が転がってたりすると、何度も読んでるけれども
ついついまた読んでしまいます。

やっぱり私にとって漫画って<現実逃避>のためのアイテムなんだわ・・・って再確認してしまう作品です。

古屋兎丸 ・ 乙一 (少年少女漂流記)

2009-02-11 22:09:14 | 漫画家(は行)
出版社/著者からの内容紹介
友達がいない。学校も家も面白くない。誰も自分のことを分かっ
てくれない。そんな思いを抱えた少年少女たちが、つらい現実から身を守るよう
に、それぞれの妄想世界を作り上げる。その世界では街が水没したり、お菓子帝
国軍と戦ったり、竜巻に乗った王子様が迎えに来てくれたり・・・。みんなの妄想
がひとつになったとき、何かが起こる!? 八人の少年少女、その心の旅の行き着
く先は----。
デビュー以来、独創的かつ孤高の道をゆく漫画家・古屋兎丸が、小説家・乙一と
一緒になってストーリーもヴィジュアルも練り上げた完全合作。迷える10代の心
を切なく描き出す、天才×天才の豪華コラボレーション。

出版社からのコメント
二つの才能が出会い、つなぎ目も見えないほど美しく溶け合うこ
とで生まれた作品です。昔の自分を見ているようなイタい話もあれば、静かに励
まされる感動的な話もあり、思春期のいろんな感情が詰まっています。最後まで
読んだとき、自分にも人にもちょっと優しくなれるような、ちょっと生きやすく
なったような----そんな気持ちになる一冊。青春のバイブルです!



出版社からのコメントにも書いてるように、これは<青春のバイブル>って感じで受けとめるといいのかもしれません。

もう孫がいても全く違和感のないような年齢になっている私にとっては正直言って感動はしません。
ごめんなさい。

中高生向きなんでしょうね。

あ、私、まだ孫はいませんから。
・・・と言うかうちの娘たちはまだ彼氏のひとりもいないようです。
只今、義理の息子募集中!(笑)

波津彬子 (空中楼閣の住人) うるわしの英国シリーズ3

2008-12-12 11:28:21 | 漫画家(は行)
空中楼閣の住人とは
空想好きとか白昼夢にふけるとか・・・
そういう人たちのこと。

この話に出て来るヴィクターもそういう少年。
両親のいないヴィクターがひきとられた館で、
彼が想像することが次から次へと実現してしまう。

古い英国の館ならこういうことも起きるかもしれないな~なんて思ってしまう。

妖精や不思議な生き物達に会ってみたい。
ああ、日本でも妖怪がいっぱいいるはずですよね。

妖怪も妖精もまあ似たようなものですよね?
イメージ的に妖精の方が美しい響きがあるけど、
ウィキペディア(Wikipedia)をみても、<日本における妖怪に当たる>って書いてますしね。

う~~~ん?
妖精を妖怪と言い換えるとイメージが・・・・!(笑)

空想しただけで置物が動き出したり、
猫が人間の言葉をしゃべりだしたり・・・。

いいなあ!
そういう体験をしてみたいなあ!