本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

宮本福助 (この度は御愁傷様です )

2009-03-28 23:13:48 | 漫画家(ま行)
<出版社からのコメントより>
一人の男の死も、実は深刻な親子の断絶も、
手強いコメディエンヌ・宮本福助氏の手にかかると、
あれよあれよと絶品喜劇になりました
来るべき老後、死後を想像しながらお読みいただくと、
おもしろさ倍増、三倍増は確実です
版元は違いますが、『拝み屋横丁顛末記』もあわせてよろしく



この人の描く老人はパワフルで元気はつらつ!!
近頃は元気な老人が出て来る漫画が増えたような気がします。

漫画って結構現実を反映してるところがあるから現実にも元気な老人が増えてるのかもしれない。

私が小学生の頃は60歳なんて完璧に老人だと思ってました。
最近の60歳なんてまだまだ若いですよね~。
今は老人って何歳以上なんでしょうか?
75歳ぐらい・・・かな?
でも、私が75歳になった時には
「75歳が老人!?
失礼な!!!
まだまだ若いわよ~~~!!」
って言うかもしれない。(笑)

しかし・・・この作品・・・
主要登場人物が
若者ひとり、
中年の兄弟3人プラス異母兄弟ひとり。
あとは全員老人!!!!
そんな漫画他にあっただろうか?
今後、こういう漫画が増えるのだろうか?

老人の人口がどんどん増えている日本。
漫画の世界も老人が登場する割合がどんどん増えてるのかもしれない。

中村光 (聖☆おにいさん 3巻)

2009-03-25 20:46:08 | 漫画家(な行)
この巻もとっても面白かった~!
イエスとブッダのキャラは相変わらずいい味出してるし、
新しいキャラが何人か出て来るのだけど、彼らもとってもユニークで楽しい。
こういうテンションのままず~~っと続いていって欲しいなって思います。



・・・で、話はちょっとそれるんですけどね、
自分はイエスかブッダのどちらに似てるかと言われるとブッダだろうなって思ってたのです。

真面目で堅物で倹約家。

ところが、それをうちの子供たちに言ったところ、
三人とも声を揃えて
「え~~~~~っ!!お母さん!絶対にイエスでしょ~~!」
って言うんです。

え?イエス!?

「自分が好きなものは衝動買いするし、
新撰組の衣装なんていかにも着そうじゃない?(そんなもの買ってません。ちょっと欲しいけど・・・笑)
とにかく、お母さんの性格はイエスそっくり!」

え~~~!?
自分自身が思う自分と、周りの目から見た自分ってこんなにも違うものなのでしょうか?(笑)





ネットでこの作品に関する感想を少し読んだのだけど、
面白いという人と、どこが面白いのか全然わからないっていう人と二つに分かれてるっていう感じでした。
ギャグ漫画って、笑える<つぼ>が人によって違うんでしょうね、きっと。




それにしても、この本薄すぎます!
もっとページ数増やして欲しいものです。

高橋葉介 (学校怪談)

2009-03-24 22:04:35 | 漫画家(た行)
所謂、学校が舞台の怪談話「学校の怪談」っていうのはよくあるよね。

これも最初はちょっとそういう感じだったのです。
とはいえ、勿論高橋葉介独特のムードの怪談だからそれはそれで結構おもしろかったんだけど、
途中から<九段九鬼子>先生が登場してから、俄然面白くなってきた!

九段先生は銜えタバコの一見不真面目そうに見える教師だけど、
生徒を守ることにかけては必死だし、なかなかチャーミング。
こういう先生が担任だったら学校生活も結構面白いと思うんだけどね。

九段先生はちょっとした霊能力を持ってます。
しかもご先祖サマがナント!あの夢幻魔実也なんですよね~!
う・・・羨ましい~!

何度か九鬼子を助けるために登場するのだけど、その時のセリフがいい。

「素敵なお兄様と呼べ」
・・・なんて、あの素敵なお顔で言われてしまうと胸がトキメイテしまうじゃないですか!

九段先生が棟方先生と結婚することになったときに言うセリフは
「大きな九鬼子は他の男にくれてやる
そのかわり
小さな九鬼子はおれのものだ」

え?意味がわからないって???
読めばわかります~ww

「夢幻紳士」ファンの方は是非読んで下さいませ。
と~~~っても素敵な夢幻魔実也氏に出会えます。

ささやななえこ (怪談百物語新耳袋 安い家)(原作:木原浩勝・中山市朗)

2009-03-16 21:35:22 | 漫画家(さ行)
(2007年9月30日発行)

これは全部<本当におこったお話>らしい。
だから、オチもなければその怖いものが何だったかという解明もされていない。

お話だと思って読むと非常に消化不良になってしまう。
しかし、現実に起こる怖いことってそれが何かはわからないのが普通。

怖い体験をしたことがない人はこんなの嘘だろうと信じないかもしれない。
実際に怖い体験をした人なら、そういうこともあるかもしれないって思うかもしれない。

思い込み、見間違い、勘違い・・・かもしれないけれど、絶対にそうだとは言い切れない。

実際に起こった怖い話だけを集めた雑誌もあるけれど、そういう雑誌は上手い漫画家さんもいれば残念ながらそうでもない方もいらっしゃる。
この<ささやななえこ>さんはベテランで上手な漫画家さんなので、非常に読みやすくてよかった。


・・・で、内容をほんの少しだけ・・・

あまりにも家賃の安い家には何かあるかもしれないし、
神棚には何か不思議な力があるかもしれないし・・・
事故の多い十字路の近くに建っている家には不思議なことが起こるかもしれない・・・。
ま、そういう感じのお話が7話収録されてます。

山下和美 (天才柳沢教授の生活 27巻)

2009-03-13 20:27:07 | 漫画家(や・ら・わ行)
(2009年2月23日発行)

こんなにクオリティの高いものを27巻も描き続けていられるのは何故だろう?
この作者の「不思議な少年」も非常にクオリティの高いものだけど、
柳沢教授という普通の人間が普通の生活をする様を描いているだけなのに
普通とは思えないぐらい非凡な質の高い作品になっているところが不思議に思えるのです。

今回の27巻に収録されているものもまた、どれも柳沢教授らしい奥の深いものになっています。



第191話「永遠の一夜」では柳沢教授が猫の姿になります。
ラスト、柳沢教授は孫の華子に語りかけます。
「華子 なんで猫が一番偉いのかわかりました
猫は自分がしたいことだけをして生きているのです」
「それ おじいちゃんでちゅ」


このやりとり思わず笑ってしまいました。
確かに教授って自分のしたいことだけをしてますものね。
それって本当に幸せなことですよね。
周りにいる家族はちょっと大変かもしれないけれど。(笑)


第194話「幸福の王子」
柳沢教授の兄妹三人は年に一~二回三人で集合し生まれた家で過ごすらしい。
彼らが子供の頃読んだ「幸福の王子」をモチーフに
彼らがどう変わり、どう変わらなかったかを描いている。

子供の頃の考えと大人になってからの考えが変化しているって、歳をとるとと~~ってもよくわかります。こういう感覚ってきっと歳をとらなければある意味実感出来ない思います。
若い時は頭の中ではそれが理解出来てると思うかもしれないけどね。
そんなことを考えると歳をとるってことも満更悪くもないかもしれないな、って思うのです。

よしながふみ (大奥)

2009-03-11 20:13:10 | 漫画家(や・ら・わ行)
このタイトルを初めて聞いた時、
大奥なんて趣味じゃないなあ・・・女同士のドロドロ話??
って思ったのです。

しかし、よしながふみが普通の大奥を描く筈がない。
<男女逆転大奥>どというのです。

おお~!つまりホモのハーレム話!!
・・・と思ったのだけど、どうやらそれも違うらしい。(笑)

実際に読んでみて、あららビックリ!こんな発想よく出来たもんだ!
っていう感じのものでした。

流石、よしながふみ!!!!
脱帽です。

どういう話なのか詳しくは↓を見て欲しい。
http://www.hakusensha.co.jp/women/com.html

よしながふみの初期作品は顔のアップが多くて背景が非常に少なかったのだけど、(それでも間の取り方、表情は秀逸でしたが)
この作品ではロングが多い上に背景も実によく描けています。
大奥の広さ感もバッチリ表現されてます。
その上、着物も美しく、
言う事なしの素晴らしさです。

発想もスゴイし、キャラも魅力的だし、次の巻が待ち遠しいです。

石塚真一 (岳 8巻)

2009-03-05 10:10:27 | 漫画家(あ行)
買うと言いつつ、先日7巻を図書館に返しに行くと8巻があったので借りてきちゃいました。
一体いつになったら買うんだ~!?(笑)


主人公の三歩は
ボランティアの救助隊員。
一年中山の中を歩き回っていて
住所も持たず山のテントに住みついている。

・・・という設定。

住所を持たないってことは住民票がないってこと?
市民税とか県民税とかは一体どうなってるんだろう?
・・・などという疑問は置いといて・・・(笑)

山のテントに住みついてるっていう点。

持ち物はテントふたつ。
クライミングの道具。
必要最小限度のお鍋や食器類。
衣服に歯磨き用具など。

余分な物は一切持ってないんですよね。

第4歩『無益な一枚』で救助した男性との会話。
「荷物は…これだけ?」
「まだあるよ。
もう一つテントがあって、そこにクライミングの道具とか持ってる。
オジさん寝てんのは、オレの別荘」
「不便じゃ……
ないの?……
…………
何も……
ないじゃない……」
「山があるからねえ。」
「街にあるモノが……………
ないじゃない……」
「それでいいんだよ。
街にあるモノは街にあるから。」

この話のラストで三歩に救助された男性が同僚に言うセリフ
「こいつは無益で…豊かな男。」


無益で豊かな男・・・普通、誰にでもなれるものではないですね。

三歩のようにあっさりと好きな山以外のものは要らないっていう生活はスゴイですね。
そこまでさっぱりとは出来ないけれどもう少しは家の中の要らないものを捨て去らなければならないなあって思います。

サイズがあわないのに痩せたらまた着れる筈!と思って残してる服とか・・・(笑)
趣味ではないけれど頂いた鍋とか花瓶とか、
もう観ないだろうなあって思う古いビデオとか、
もう読まないだろうなあって思う本とか、
使うことはないだろうなあって思う古くて趣味じゃない食器とか、
いつか使うかもしれないと思って残してる紙袋とか、
考えれば要らないものばかり。

身の回りのモノで処分すべきものは処分するようにしなければいけないなあって切実に思う今日この頃です。

浦沢直樹 (PLUTO 7巻)

2009-03-04 08:52:40 | 漫画家(あ行)
いつの日か人類は感情のあるロボットを創ることが出来るのでしょうか?

手塚治虫の鉄腕アトムは勿論感情のあるロボット。
アトムの世界に登場するロボットたちもまた感情があります。

感情って一体何なんでしょうね?
悲しみ、喜び、怒り、憎しみ、・・・・・。

感情のあるロボットは人間とどこが違うのでしょうか?

心って一体何なんでしょう?

感情が麻痺して何も感じなくなった人間は何なんでしょう?
他人の心の痛みをわかるロボットとわからない人間ではどちらが人間らしいのでしょうか?


この作品を読んでそんなことを考えてしまいました。

(以下、ネタバレ少々あります。)






今回は私のお気に入りのエプシロンが死んでします。(ロボットだから壊れる・・・が正しい?)
原作を読んでるからこういう風になるのは知ってたんだけど、やっぱり悲しいですね。

美しく、優しく、そして強いエプシロンが子供を守るために身を犠牲にする様は何度読んでも感動します。

次回8巻で終了するようです。
浦沢作品はラストがちょっと物足りない・・・と言われることがありますが、
この「PLUTO」に関しては素晴らしいラストになるような予感がします。
8巻がとっても楽しみです!