本の迷宮

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坂田靖子 (伊平次とわらわ)

2008-08-27 09:52:18 | 漫画家(さ行)
(1996年発行)

主人公の伊平次は墓場のはずれに住んでいる墓守。

幽霊だとか化け物だとかが見える。

しかし・・・そういったものが伊平次に声をかけてくるおかげで伊平次は普通の人間たちから敬遠されてしまったりする。

オレにあんなもんが見えるのは
オレのせいじゃないぞ!
生まれてからずっと
こんな仕事をしてるせいだ

伊平次は実は侍の身分らしい。
じいさんの形見の小柄で怨霊を祓ったりしている。
じいさんは墓守をしていた。
母親は伊平次を産んですぐに亡くなった。
そういうわけで長い間ひとりぐらしだったが、
何故か中納言の姫がとりついた犬の<わらわ>と同居するはめに・・・。

伊平次は坂田靖子の漫画によく登場する<暇な独身男性>という雰囲気ではある。
のんきにマイペースで日々を送っているという感じ。
・・・しかし、よく考えると伊平次は貧乏で、ろくな食事も出来ない。
墓守してて、しかも化け物もよってくるせいかつきあってくれる人が少ない。
何だかかなりシビアな境遇。

こういう主人公にはたいてい変わり者の友人がいるのだが、この作品では曲り辻の屋敷に住むお公家さまがそうだろう。
暇を持て余して自分の屋敷に化け物を呼んでみたりする。

いつもの坂田ワールドだと思いつつ、この作品は何だか単に読み流すことが出来ない何かがある。

伊平次のセリフに時々、ドキッとするものがあるせいかもしれない。

「死にかけた奴はもっと生きていたがる
死んだ奴もこの世に未練のある奴がいる
人間がそれほどはかなくてつまらんのなら
死ぬのを誰もイヤがらん」

「オレは人間は人間でいた方がいいと思う
人間に戻りたい亡者を山ほど見てるんだ」


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
最近はサスペンス色が強いけど (ぶぃすりい)
2011-06-21 02:03:35
押し入れにある推定千三百冊のコミックから坂田靖子女史の作品を引っ張り出す。
読むとホッとする。
登場人物がイギリス人夫婦だったり、
不思議の森の住人だったり、
古城に住み着く悪霊(笑)だったり、
バケモノだったり、バケモノだったり
バケモノだったり
バケモノだったりバケモ…………

坂田靖子にはバケモノがよく似合う。
とは『天花粉』に書かれていた解説。

そう言えば初期の頃にはホモネタを扱ったショートショートが結構………(苦笑)
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コメント遅くなって申し訳ありません (ちと)
2011-07-04 22:11:13
本当に坂田靖子にはバケモノがよく似合いますよね。
初期の頃のホモネタも大好きでした。((#^.^#)
彼女の漫画を読むとホッとする・・・私も同感です。
だから、たま~に引っ張り出して読み返したりしています。落ち込んでる時なんかに読み返すとちょっぴり元気が出ます。
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