本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

吾妻ひでお (失踪日記2 アル中病棟)

2014-12-23 20:02:53 | 漫画家(あ行)
スゴイですね~!
何がスゴイって?
アル中病棟がスゴイってことじゃないんです。
こういう作品が描ける作者の力量がスゴイのです。

まず、画力。
この表紙を見ただけで、
「お見事です!参りました!」
と、思わず土下座をしそうになってしまいます。(笑)
これはなかなか簡単に描ける絵ではありません。
こんなのを描けるってことはもうほとんど脳からアルコールが抜けてるのではないかと思うのですが、どうなのでしょうか?

とり・みきとの巻末対談でも書いてましたが、
群集劇でシンプルな線なのにそれぞれ顔を描き分けているところとか
俯瞰のコマが多いとか、とにかくすごく描きこんでいるのがスゴイ!

内容は徹底的に客観的に描いてるところが、またスゴイ。
8年かけて、この作品を描いたっていうのもスゴイ。
もう、スゴイとしか言いようがない位、スゴイ。

吾妻ひでおといえば、不条理SFとか可愛い女の子っていうイメージが強かったけど、今ではノンフィクション(正確に言えば実話を元にした創作物?)っていうイメージの方が強くなってきているのかな?


・・・で、この<アル中病棟>なんだけど、
もしも、私がアル中になってこういう病棟に入院したら・・・
無理です。こういう生活は絶対に無理です!
だから、
絶対にアル中にはならないように気をつけようと思います。
・・・って、私、普段からほとんどアルコール類を飲みませんから~!


青池保子 (エロイカより愛をこめて35周年メモリアルブック )

2012-09-21 20:18:11 | 漫画家(あ行)
発売日から4日後に書店に行くと・・・ない!!
書店さんに尋ねると市内の系列書店全店売り切れとのこと!!!

え~~~~!!!売り切れ~~!!!

同じ市内の別の書店に行っても・・・ない!!

・・・で、隣の市に行き・・・ようやく1冊だけ残ってたのを発見♪

こんなに早く売り切れになるなんて・・・一体何冊仕入れてるんだろう?1店につき1冊?まさかね~?

ま、とにかくゲット出来たこの本、エロイカファンなら買って損はない!
というか、買わないと損です!!

企画自体は目新しいものはないのだけれど、いろいろと懐かしいイラストがいっぱいで、しばし自分が若かった頃に戻れたような気がしました。

この中に、和田慎二先生の描いたものもありまして、・・・ああ、もう和田先生の新作にはお目にかかることが出来ないんだなあ・・・と、ちょっと悲しかったんですけどね、
それでも、久しぶりに和田先生にお会いできて嬉しかったです♪

次は「40周年メモリアルブック」っていうのが出るといいなあ!
その時も絶対に買います~~!!

青池保子 (エロイカより愛をこめて 39巻)

2012-09-17 20:59:13 | 漫画家(あ行)
漫画とか小説とか新聞とか・・・活字中毒なので何も読まない日はないのですが、どうも老眼が進行しつつありまして小さい字が非常に読み難い!もともと近眼で乱視もありますので、それプラス老眼となるとピントを合わせるのが難しいんですよね。・・・ああ、年は取りたくないものですね~。(ため息)

さて、エロイカですが、若くない登場人物たちが相変わらず実に元気に走り回っております。
誰ひとり「老眼で・・・」などと愚痴をこぼしているキャラなんていません。(笑)
あ、伯爵も少佐もまだまだ老眼になるような年齢ではありませんけどね、連載当初からリアルタイムで読んでいるものだから、彼らが私より年下になってしまってるなんて信じられません!!
自分の好きなキャラよりも自分の方が年上になっていることに気が付いた時のショックは大きいですね~。。。

今回の巻では本編の他に番外編が入っています。
本編ももちろん好きなんですけど、番外編も結構好きなんですよね。

35周年メモリアルブックが発売されるとか・・・。
あ、もう発売されたかな?
忘れずに買いに行かねば!

今市子 (萌えの死角 2 )

2011-09-22 08:26:01 | 漫画家(あ行)

私自身は、自分はたぶん・・・腐女子ではないと思ってるんですけどね、
こういう本を買ってしまうっていうことは・・・少しはそういう要素もあるってことなんでしょうかね?(笑)

いろいろと作者が感じたことをグダグダと描いてる、BL系エッセイコミック・・・って感じですかね。
この中で作者が観たという「LILIES」。
男優だけの劇団スタジオライブの公演なんだそうだけど・・・
最前列バスタブかじりつき・・・で、何も着ていない男優の後ろ姿を・・・ばっちり!!
ちょっと私も見てみたいと思ってしまったのは・・・十分<腐女子>の資格ありってことでしょうか?(笑)

この作者「トーマの心臓」の舞台も観に行ってるし・・・う・・・羨ましい~!
この劇の写真だけは見たことがあるんですけどね・・・その時は申し訳ないけれど漫画と人間ではイメージがかなり違うなあって思ったわけです。
でも、写真だけでなくて、実際に劇として動いてるところを見るとまた印象が違うのかもしれませんね。

まあ、こういう本を読んで、うふふ・・・と笑っていられるっていうのは世の中平和だってことなんでしょうか?

青池保子 (エロイカより愛をこめて 38巻)

2011-09-21 14:38:52 | 漫画家(あ行)
連載開始から今年でなんと35年!
初連載時からリアルタイムで読んでた私。
私は随分年をとってしまったけれど、伯爵や少佐たちは年もとらずに相変わらず若々しい。
羨ましいですね~。

35年前というと、私はまだ学生でした。
大勢の友達とワイワイガヤガヤ、馬鹿なことやったりして楽しかったですね。
もう一度、あの頃に戻ってみたいと、ちょっとだけ思います。
いや・・・あの頃に戻るんじゃなくて、あの頃の自分に会いにいきたい。
そして、話をしてみたいですね。
ただ・・・どういう話をするか・・・難しいですね。

・・・で、この巻を読んでいて、ちょっと思ったんですけどね、
ほんのわずかですけれど、伯爵や少佐の馬面(笑)がすこ~しだけ改善されたような・・・。
これって気のせいかな?単なる<慣れ>の問題かもしれないかな?(笑)

荒川弘 (鋼の錬金術師)

2011-07-21 19:45:45 | 漫画家(あ行)
実はこの本、ずっと以前に10巻程度まで買ってたんだけど・・・いつのまにか買うのを止めてしまってたのです。
先日、三女が私の漫画を整理してくれまして・・・(母親が子供に漫画を整理して貰うなんて!・・・笑)
他にもいろいろと抜けている巻のある漫画もいっぱい判明したのですが、まずは「鋼の錬金術師」をラストまで購入しました。

例のごとく・・・最終巻から読み始めまして・・・あとは順不同に読み・・・最後にゆっくりと最初から読み直すという邪道な読み方。・・・まあ、この癖だけは死ぬまで止められそうにありません。(笑)


一言で言うならばまさしく<少年漫画の王道>!ですね。
少年漫画の王道って・・・人によっては解釈の仕方が違うかもしれませんが、私は<少年の(精神の)成長物語>になっているものがそうだと思ってます。

主人公が辛いこと苦しいことを周りの助けも借りつつ、乗り越えていく話は今も昔も子供時代に読んで損はないと思います。読者は主人公と共に困難を乗り越えていくのです。そして、読了後は読者もまた主人公と同じように成長してるんだと思うんですよね。

そしてこの作品、ラストは<大団円!>

大人向けのものならラストが辛いものだとか、読者が好きなように考えてね、っていう風なものもあって、それはそれでいいとは思うんですけど、若い子向けのものは、未来に希望を感じられる大団円的なものであって欲しいと思うのです。

あまりにも見事すぎるぐらい見事な大団円ですね。こういうラストは本当に気持ちがいいですね。

いい作品は作品中で心に残るいいセリフがいっぱい出てくるのだけど、この作品もそうですね。
書き出すとあまりに多過ぎるので、作品中ではないのだけど、最終巻の表紙カバー折り返しの作者の言葉を少々。

「鋼の錬金術師のキャラのセリフには
あいさつと感謝のことばを
なるべく入れるよう心がけた。
あいさつは自分と他を繋げる
コミュニケーションの中で
最も簡単にできること、
感謝のことばは「人は周りの人と
支えあいながら生きていること」を
実感するものだと思ったからだ。」

こういう作者だからこそ、こういう素晴らしい作品が描けたのだと思います。


一条ゆかり (プライド)

2011-06-18 22:13:31 | 漫画家(あ行)
女同士のどろどろした戦い・・・っていうのは苦手です。
だから、これもちょっとどうかなあ?・・・って思ってたんだけど、先日図書館で全巻借りてきました。

この作者の作風が好きです。
特に明るい「有閑倶楽部」などは大好きなんですよね。
絵も少女漫画特有の派手さがあって好みなのです。

・・・で、このどろどろした<ドラマチック・ラブ&バトル>漫画はどうだったかと言いますと、
思ってたよりどろどろしていなくて、案外カラッとしていたように思えました。

この作者の作品の脇役によく出て来る<大人の女性>の存在がいいですね。
思ったことははっきり言って、世の中の事も結構わかっていて、若い人たちに対して、時々的確なアドバイスを与える存在。
現実にこういう女性が身近にいると嬉しいですね。

この作品でのそういう存在であるクラブ“プリマドンナ”のママの言葉でいいなあって思ったのは
「間違ったと思ったら直ぐやり直すのよ
後悔が少しで済むわ」
・・・っていうセリフ。

実際、作者自身もそういう風にやってきたのだろうか?
それとも、そういう風にしたいという願望なのだろうか?

漆原友紀 (水域)

2011-06-12 20:44:10 | 漫画家(あ行)
(amazonの内容紹介より)
日照り続きで、給水制限中の街。酷暑にあてられて意識
を失った川村千波は、豊かな水にあふれる村で、少年と
老人に出会う夢を見る。祖母に夢の話を聞かせた千波は、
意外な言葉を聞く。「それ……ばあちゃんの昔の家じゃ
ないかねぇ」また行きたい──そう願った千波が目を覚
ましたのは、夢だと思っていたあの村。そして再会した
少年・スミオから、この村では雨が降り止まないことを
知らされる。



この作者の描く作品世界が好きです。
しっとりと穏やかでどこか懐かしい。
この作品では山奥の村の様子が空気感も感じられるぐらい作品世界に入り込んでしまう。
読後感は何と言いましょうか、例えるならNHKの良質な実写版ドラマを観た感じっていうところでしょうか。

かつてダムに沈んだ村と現実の間を主人公が彷徨うストーリーですが、
ダムに沈む村というと、四国の人間は真っ先に「早明浦ダム」を思い浮かべると思います。
渇水になると、必ず旧大川村役場の建物が現れてそれがニュースになるんですよね。
今は水の底に沈んでしまったけれども、以前は確かに人間が生活を営んでいたという過去がある。
それを考えると、かつてそこで暮らしていた人はどんな思いでこのニュースを見るんだろうなあって思うのです。

我家のご先祖様が暮らしていた土地も早明浦ダムではないのだけど、ダムに沈んでいます。
日本の各地でそういう風にダムに沈んだ村っていうのはいっぱいあるのだろうなって思います。

この作品にはそういう人たちの様々な想いがいっぱい詰っているような気がします。

浦沢直樹・ウジコウジオ (20世紀少年の脇役ウジコウジオ作品集)

2010-11-28 23:11:28 | 漫画家(あ行)
<amazonの紹介より引用>
内容説明『20世紀少年』のスピンオフ作品、奇跡の発刊!!

2009年に「ビッグコミックスピリッツ」誌上で連載された大人気企画が奇跡の単行本化!! 浦沢直樹と漫画家コンビ・ウジコウジオの共作でおくる『20世紀少年』スピンオフ作品集。

【内容】西暦2015年、“ともだち"率いる友民党の制定した新青少年保護育成条例により自由な表現ができない時代、東京に常盤荘というアパートがあった。そこに住む漫画家・氏木と金子の両名は、二人で一つのペンネーム・ウジコウジオを名乗り、CG全盛時代に墨汁とペン先で漫画界に旋風を巻き起こそうとしていた。ところが自信作をユキジにダメ出しされ、二人の漫画家魂に火がついた。「描くぞ、ユキジさんが唸るような漫画を!」ユキジの強烈なダメ出しに、新作で立ち向かう二人、前代未聞の漫画対決が今、始まる!!

編集担当者からのおすすめ情報
この作品集は、漫画に青春をかけた男達の汗と涙の結晶である。





『20世紀少年』を読んでいてウジコウジオってどんな漫画を描いてたんだろう?
って思ってたもんだから、こういう本があるとついつい買ってしまうんですよね。

ただ・・・ウジコウジオ作品は・・・残念ながらユキジの言うとおり面白くない。(ごめんなさい!)

ウジコウジオの作品を描いたのは一体誰なんだろう?
いくら浦沢直樹が上手くても、わざとああいう絵柄のイマイチ面白くない漫画を描くのは無理なのではないかと思うんですよね。
アシスタントさん?それとも編集部がどこかから見つけてきた新人さん?
それとも、私は知らないけれどもうすでにデビューしているプロの漫画家さん?

この本を浦沢直樹の作品だと思って買うと、ちょっと損をした気分になるかもしれません。
ま、ほんのシャレですよね・・・って思える人のみにオススメです。


藍本松 (保健室の死神)

2010-11-12 08:54:45 | 漫画家(あ行)
ここではあまりジャンプ系の漫画をとりあげていないけど、こういうのも読んでいたりする。
実はこれ三女のオススメなんですけどね。

所謂<保健室の先生モノ>です。
・・・って、そういうジャンルはあるのか?(笑)
要するに「地獄先生ぬーべー」みたいなもんです。(ぬーべーは保健室の先生じゃないけど)

つまり先生が生徒を守るっていう話です。

こういうテーマは多いし結構人気も出やすいようですね。
現実世界では先生が生徒を守ってくれるっていうことが少ないのでしょうか?

子供を本気で守ってやろうと考える大人を必要としている子供が多いのかもしれませんね。

吾妻ひでお (地を這う魚 ひでおの青春日記)

2010-11-09 16:42:07 | 漫画家(あ行)
<裏表紙の文章より>
時は1968年。
漫画家を目指して上京した吾妻ひでおは、仲間たちとともにデビューを目指す!
実話を下敷きにしている各エピソードには、当時活躍していた漫画家や編集部などが登場!
60年代後半の漫画業界を物語る、青春傑作コミック!!


漫画家って、年をとると自分の若かった頃のことを描きたくなるのでしょうか?
いや・・・編集部が描いてくださいと言うのでしょうか?
まあ、何れにせよ自分自身の青春物語はそれぞれの漫画家の個性が出ていて面白い。

吾妻ひでお版青春日記は、いかにも吾妻ひでお!
登場人物は自分自身と若い女の子以外は動物!(例外もあるけどね)
そこかしこに蛸や鮫やミミズや魚やわけのわからないものがうようよと蠢いている。
これは作者の心象風景なのか?
<地を這う魚>!
これは一体何なんだ!?
水中を泳ぐはずの魚が空中を泳ぐ。
いや、それさえも出来ず地を這っている魚たち。
単純に考えれば作者自身の状況を表現しているってことなんだろうけど・・・
それだけなんだろうか?

60年後半って・・・実は私は小学生だった。(年を計算しないように!・・・笑)
だからあの時代の雰囲気は多少は覚えている。
東京に住んでたわけではないけど・・・あの時代の得体の知れないパワー、若者達の未来への不安とか希望とか・・・そういうものを表現するとああいうわけのわからないものが蠢いてるようになるような気がするのです。

ストーリーは、金も根性もあんまりないかもしれないけれど若さだけはある!っていう若者の話でSFでも可愛い女の子の話でもないんだけど、<吾妻ワールド>全開っていう雰囲気がいいなあ!

池上遼一 (近代日本文学名作選)

2010-07-16 09:36:17 | 漫画家(あ行)
ここまで素晴らしい絵を描かれてしまうと<漫画家>というよりは<絵師>とお呼びする方がいいのではないかと思ってしまいます。

小説などは文字で表現したものを読み手は色々と頭の中で想像して楽しむわけだけど、漫画はそれを<絵>で表現するわけです。
画力のない者が描くと残念ながら文字から想像する方が遥かに素晴らしいものになってしまうのだけど、この作者にかかると圧倒的な絵の迫力に押されてしまって、絵の持つ力に脱帽してしまうのです。

例えばこの本に収録されている「お勢登場」(原作:江戸川乱歩)の場合、格太郎の入っている長持を開けた時のお勢の表情の見事さ!長持の中で苦悶しながら死んだ格太郎の死に顔!!
このインパクト!文章から想像する以上のインパクトでこちらに迫ってくるのです。

ただ・・・原作より先にこちらを読んでしまうとこちらの印象が強すぎて読み手自身の想像力が働かなくなるかもしれない・・・というのは、さて、それで良いものかどうかちょっと悩むところではあります。

浦沢直樹 (BILLY BAT  3巻)(ストーリー共同制作:長崎尚志)

2010-06-02 08:18:26 | 漫画家(あ行)
「BILLY BAT」3巻目になりましたが、まだまだ謎は深まるばかりです。
とはいえ、全然別の短編がいくつもあって、それが次第に大きな話の流れになり最後にはドドーンと壮大なストーリーになっている・・・という手塚治虫にも似た雰囲気になっているような気がします。
今後の展開が楽しみです。