本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

けんかはよせ腹がへるぞ (水木しげる)

2006-06-22 14:53:55 | 漫画
(2003年発行)


帯の言葉より

人間世界は一体なんじゃ
妖怪世界は楽しいぞぉ

思わず脱力心の蘇生間違いなし

水木ワールドの魅力炸裂珠玉の100名言



水木しげるの漫画の中で使われたセリフをピックアップした本。
見開きにして左ページに取り上げた名言、右ページにそのセリフが載っている漫画ページを白黒反転させたものを載せている。
そして左ページ右隅にその言葉の説明など一言コメントがある。



漫画作品そのものを読んでいなくてもそのセリフに含まれている意味がよくわかる。
なかなか本の作り自体が凝っていて非常に楽しめるものになっている。



<名セリフ>は、どれも「うんうん、ナルホドね。」・・・と思わずにやりとしてしまうようなものばかりだ。



作者の水木しげるは

”妖怪名言集”ということだが、これは日頃思っていたことが偶然出たまでで、その時どうこうというものでもない。

と、書いているが、それだからこそ
<思わず脱力心の蘇生間違いなし>
という感じの実に魅力的な言葉になっているのだろう。
作られた言葉では人の心を打つことは出来ない。
様々な体験をしてきた作者から自然に出てきた言葉だからいいのだ。



・・・で、私が好きな言葉を少しピックアップしてみる。

「人間の”幸福度”は思ってるほどの差はないものだョ」

「利用するときだけ先生とよぶのは日本人のわるいくせです」

「人間は地球人なんだ
わずかな境界線をまもるために
どれだけの人間が死んだことだろう」

「なんてこう世の中ってイカサマが多いんだろう」
「すべておまんまのためよ」

「人間にはいや生物には満ちたりない不足感が常に必要なんだなあ」



誰がどの作品中で言った言葉か全部わかる人は凄い人です!(笑)
因みに私は注釈がないとわかりません。

水木しげるの「妖怪」人生絵巻(朝日新聞社編)

2006-06-06 16:05:30 | その他
(2005年7月31日発行)

この本は「荒俣宏・京極夏彦プロデュース 大(OH!)水木しげる展」の展覧会図録をもとに加筆・再編集したものらしい。
先日、図書館で見つけて借りてきたのだ。


タイトルがいいですね~。
真ん中に「妖怪」ってあるのがいい。
半分、妖怪のような水木しげる氏にぴったりのタイトルだ。(笑)



帯に書かれた文字より・・・

ベビィの頃から今日まで80余年の波乱の歩みと
絢爛たる画業を一冊に集大成!
新たに発見された「昆虫絵巻」「田舎の河童」まで収録した
保存版ビジュアルブック

人生は吃驚(びっくり)だらけ!
Life is wonderful!



この本には「大水木しげる展」のために描き下ろした幅四十センチ、長さ十メートルに及ぶ人生絵巻が載っている。(勿論、縮小されているが・・・)



この「人生絵巻」を見ると水木しげるの人生がたちどころに分かってしまう!という大変素晴らしいものだ。
う~~~ん。「大水木しげる展」に行って本物を見てみたかったな~~~!



見れば見るほど<波乱万丈の人生>だったんだな~と思う。



復員してきた頃の心象風景を描いた絵には精神的ダメージが大きかったことが伺えるが、
それでもどんどんどんどん絵を描いていく。そのバイタリティー!!

注文がこなければ餓死。
すなわち飢え死にですから必死に描くわけです。



そして、超売れっ子の漫画家になり今に至るのだが

幸福だと気づいた瞬間、こんどは
幸せが口から飛び出てしまいそうで怖いんです



こういうセリフをさらっと言う水木さんが、私は好きだ。
現在84歳!!いつまでも元気で長生きをして欲しいものである。