本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

らんま1/2 (高橋留美子)

2006-12-31 00:15:57 | 漫画家(た行)
(週刊少年サンデー 昭和62年36号~平成8年12号掲載)


近頃、久しぶりにらんまを読み返している。
全38巻なので毎晩寝る前に5冊程読んでいるのだがまだ全部読み終わってない。


有名だと思うのであらすじは省略してもいいよね?


最終回はどんな話だったっけ?と思って最終巻を見ると・・・
あらら!?乱馬とあかねって結婚したっけ~~!!??
あわてて読んだが・・・あ~ナルホドね・・・っていう感じ。
ネタばれが嫌な人がいるかもしれないので、どういう結末かはここに書かない。(手抜き?・・・笑)



この作品、もうかなり古いが今読んでも十分面白い。
こういうギャグっぽいコメディって、古くなるとつまらなく感じるものも多いがこれは違う。
大したものだ・・・と思う。


超個性的なキャラたち。
多くの人たちに受け入れられるだろうと思われる魅力的な絵柄。
顔は可愛いし、動きもいい。
少年漫画のアクションものでは服装がほとんど同じ場合が多いが、
この作品では登場人物たちは実に多彩な服装をしている。
中国風のファッションが多いが、どの服も非常に可愛い!!


設定が実にユニーク!
乱馬は水をかぶると女の子、お湯をかぶると元の男の子に変わる!
こんな発想一体どこから来るんだ~~!!
父の玄馬はナント!・・・パンダだし~~~!!
黒豚、猫、あひる・・・よくまあ考えたものだ・・・。



<1巻カバー裏表紙の言葉より>
恋と涙、拳法と剣道と天道、パンダと人間と男と女が大混乱!!



かる~~く、楽しく読める作品。
ちょっと落ち込んだときなどに気分転換に読むのもいいかもしれない。


専務の犬 (高橋留美子)

2006-12-30 09:33:03 | 漫画家(た行)
BIG COMICS SPECIAL
高橋留美子傑作集

ビッグコミックオリジナルに掲載された短編が載っている。

「専務の犬」(1994)
「迷走家族F」(1995)
「君がいるだけで」(1999)
「茶の間のラブソング」(1996)
「おやじローティ-ン」(1997)
「お礼にかえて」(1998)


どの作品も現実の世界にもしかして絶対にありえないとは言えないないかも?
っていう感じのものを上手く「ルーミックワールド」として料理している。

掲載された雑誌が「ビッグコミックオリジナル」ということで、主人公は大人が多い。

学生時代からの友人は重役コースに・・・自分は「平社員」
そして(友人だった)専務に頭があがらない冴えない中年のおやじ・・・。

借金で家族心中しようと思いつめる中年のおやじ・・・。

会社では出来る男と言われ、真面目で誇り高き男だったが、
会社が倒産して失業中の中年のおやじ・・・。

突然、妻に先立たれたが何故か妻は成仏しないで家にいる・・・中年のおやじ・・・。

歩道橋から落ちて記憶喪失になり自分は13歳だと思っている中年のおやじ・・・。


「お礼にかえて」だけは中年のおやじはでてこないが・・・
とにかくこの本は色々なt中年のおやじの悲哀を描いていて、
中年のおやじが読むと、ちょっぴりほろりとするんじゃないのかな?
いや、中年のおやじじゃなくたって、ちょっぴりほろりとして、
身近にいる中年のおやじを大事にしようと思うかもしれない。(笑)

Pの悲劇 (高橋留美子)

2006-12-29 16:14:33 | 漫画家(た行)
(1994年発行)


この本には「Pの悲劇」「浪漫の商人」「ポイの家」「鉢の中」「百年の恋」「Lサイズの幸福」の6編が収録されている。
どれも(一応)普通の家族の物語だ。
(一応)と書いたのは「百年の恋」の、りさばーさんが空を飛んだり念動力が使えたりするから・・・。
このばーさん、高橋留美子の得意とするパワフルな老人だ。
こういう老人を見ていると、どうせ年をとるならこういう風になりたいよね~と思ってしまう。(笑)




嫁・姑の話を描いても高橋留美子調になると、じめじめしていないのがいい。
「Lサイズの幸福」では、姑と同居することになった嫁は

「お義母の頭金貸してくださるから、あたしたちやっと一戸建てが買えるのよっ。
このクソみたいに狭い団地を抜け出すためだもの。
一点非の打ちどころのない嫁になりきってみせるわ。」

・・・と非常に前向きに張り切っている。
その後、自分にだけしか見えない<座敷童>のせいで、姑に誤解されて仲が険悪ムードになりかけても<明るい!>
ラストは勿論ハッピーエンド。
陰湿な<嫁姑もの>にはうんざりするが、こういう明るいのはいい。



「Pの悲劇」は団地でのペット禁止に関する話。
主人公の主婦はある日夫が上司からペット(ペンギン)を一週間だけ預かってしまったため、ペット禁止派の筧さんからペンギンを隠すのに悪戦苦闘する。
こういうテーマを普通に描くとちょっと暗くなりがちだが、これもまたカラッと描いている。
しかもドタバタだけではなくてちゃーんと<深いテーマ>をも描いているのだ。
ペット禁止派の筧さんを単なる動物嫌いの人間にしていない所がいい。



筧さんが団地のペット好きたちに言う言葉。

動物好きな人は善人で、
嫌いな人は悪人なんですか。



筧さんが実は動物好きなことを知って主人公の主婦は気がつく。

筧さんは・・・
許せなかったんだ。
狭い部屋の中で鳴けないこと
走れないこと。
人間のルールが奪うたくさんの自由。
行き場のないことがわかっていても。
空も星も風も光もみんなあなたたちのもの。
私たちが与えるものじゃない。

「Pの悲劇」の<P>は、ペンギンのP、ピットくん(ペンギンの名前)のP、
そしてサブタイトル(ACT1. Petペット)(ACT2. Public公共)(ACT3. Pessimism悲劇)(ACT4. Pease平和)という具合に<Pづくし>にしている遊び心が楽しい。


桃色浪漫 (名香智子)

2006-12-28 08:29:19 | 漫画家(な行)
(1991年~1995年発行)

大人の女性の為のラブコメ。
短編だし、どの話も軽~く楽しめる。
ちょっと小難しいテーマの作品だったりすると「通好み」とでも言うのか、取り上げられやすいような気がするのだが、こういう一見誰にでも描けそうな軽いタッチのラブコメだったりすると
単なる私の気のせいかもしれないが…何となくちょっと軽く見られがちな気がする。
しかし、この作者デビューは昭和48年!ナント、30年以上もこういう作品を描き続けているのだ。
(この作品は10年ほど前のものだけど)
何だか考えてみると、かなり凄い!!


人気の浮き沈みの激しいこの世界で長年「人気漫画家」としてやっていくのは苦労も多いと思う。
全体のキラキラした華やかなムードは昔と変わらない気がするが
よ~く見るとタッチも人物の描き方もどんどん変化している。
この「桃色浪漫」の1巻と4巻では目の描き方などは全然違う。
色々、研究しているのかな~?


この作者のコメントなどを読むと、どうも自分の作品にあまり執着心というものがないようだ。
少女漫画家って自分自身の作品とかキャラを非常に大事にする人が多いような気がするのだが
何故なのだろう?・・・性格かな?


案外そういう「執着心のなさ」が、明るく楽しい軽~~いラブコメを長年描いていく秘訣なのかもしれない。


ローマへの道 (萩尾望都)

2006-12-27 11:37:36 | 漫画家(は行)
(プチフラワー 1990年1月号~9月号掲載)


カバー折り返し部分の説明文より

花形ダンサーを目ざす青年・マリオはドミ・ド・リールバレエ団に合格する。
だが、頭角を現していく同期生達に、焦りを覚えはじめ・・・・・・!?
幼い頃の衝撃的な事件を知って動揺し、彷徨する彼の心の軌跡を、ドラマチックに描く長編ロマン!?


幼い頃死んだと聞かされていた母が実は生きていた!
しかも・・・保険金目当てで自分の夫(マリオの父)を殺し、
自分の息子(マリオ)を捨てたのだ!!


などど20歳にして初めて聞かされて動揺しない人間はいないだろう。
この作品の主人公マリオは、その後恋人であるラエラに暴力を振るうようになる。


ラエラはマリオに語る。

「小さい頃ひどくなぐられたりすると
大人になって暴力を振るうんですって
暴力を学んでしまうのよ」
「でも ぼくはなぐられたことなんて
ないけどなあ」
「人は愛も学ぶのよ」
「・・・・・・
愛も?」
ラエラの言葉を聴いてマリオは思う。
(ぼくは母から暴力を学んだのか?)
そして、ラエラに誓う。
「ぼくは ぼくは
二度ときみをなぐらない
手をあげない」

(負けない ぼくは負けない!
ローマの呪いには負けないぞ!)


固く誓ったマリオだったのだが、その誓いは脆くも崩れ去り再びラエラに暴力を振るってしまう。


悩んだ挙句、マリオは母に会いに行きそこで真実を思い出す。
母は息子のマリオをかばっていたのだ。


母はマリオに言う。
「さあ・・・全部話した
・・・・・・もう終わりだ
・・・帰って・・・・・・
そして・・・・・・忘れるんだ
わたしは死んだ人間だよ
忘れるのが一番いい
・・・お帰り」
「帰る・・・・・・
ぼくはここへ帰ってきたんじゃないのか?
ぼくはローマを取りもどすために
帰ってきたんじゃないのか?
(中略)
逃げるなよ!ぼくは息子じゃないのか!
帰れっていうのか
また捨てるのか!」
目に涙をいっぱい浮かべて母に抱きつくマリオ・・・

この涙の感動シーンがいい。
マリオが苦しみから解放される実にいいシーンだ。


再びラエラと和解し、穏やかな日々が訪れる。


ラストの1ページがいい。

ぼくは いつ
愛を覚えたんだろう?
きっとあの母の住む
ローマへと至る道の
光と・・・影の
中で・・・・・・


モザイク・ラセン (萩尾望都)

2006-12-26 09:07:41 | 漫画家(は行)
(プリンセス1982年9月号~12月号掲載)


これはまさしく<望都ワールド>!!


モーさまの頭の中にあるキラキラと輝く世界!!
SF・オカルト・異世界・精神世界・異次元・夢魔・”食”・王子・楽師・・・今までの望都ワールドに出てきたもの、或いはこれより後に出てくるもの・・・がラセンを描きながら読者を引き込んでいく!!


あらゆる時と時代に異次元へのとびらは
ひらかれていた
ある時は未来に
ある時は過去に・・・
そしてある時は
この宇宙のかなたへ
点在する異世界へむけて
夢と無意識のカオス
・・・ラセンをぬけて


この言葉は萩尾望都作品を読む読者をそのまま表しているようだ。


望都ワールドは<ラセンの迷路>
読者はその迷路をしばし彷徨い、心地よい時を過ごすのだ!


海のアリア (萩尾望都)

2006-12-25 16:12:48 | 漫画家(は行)
(ASUKA 1989年8月号~1991年5月号掲載)


いつもの通りの素敵な<望都ワールド>


この作品のように暗くなりすぎない程度のストーリーは結構好きだ。
・・・が、これってちょっとテーマが散乱してるよな~っていうのが第一印象。


最初は家族の関係を軸にした精神面の話。
主人公のアベルとコリンは双子だ。
しかし、見た目も性格も正反対。
アベルは利発で大人が”見習いなさい”というような子。明るくて気さくで人気者。
コリンは体が弱くてアベルにいつもかばわれていた。
父親は完全で強いものが好きで当然アベルのみを可愛がっていた。
しかしアベルは体の弱いコリンだけが母親の愛を一身に受けていると思い、必死で努力して父親の愛を得ようとしていたのだ。


海で溺れて波動生命体ベリンモンがアベルの死んだ肉体に入る所からこの話は始まる。


あれ?これって家族の話?・・・SF?
そして・・・プレーヤーと呼ばれる宇宙人の音楽教師のアリアドの登場。
萩尾望都得意の”精神””SF””音楽”・・・全ての要素がミックスされている!!



全ての記憶を失ったアベルは一から再構築されていく。
その過程で、アベルの精神的葛藤が解明されアベルの抱えていた”ストレス”は爆発し、表出し、
仮面は剥がされ”真のアベル”へと変化をとげる。
中に”ベリンモン”が入ったから別の生命体だとも考えられないわけではないが、
あのプッツンしたアベルは”なりたいと思っていた自分自身の姿”なんだと思う。


・・・で、アベルが自分自身を取り戻した後は
ストーリーはアリアドの”自分さがし”の話になる。


1巻と3巻ではストーリーが同じ流れとは思えないぐらいだ。
そこが”テーマの散乱感”という印象を与えるところなのだろう。


しかし、テーマを”自分さがし”という風にみたら非常にすっきりと理解出来る。
その上で、”人間関係のあり方”にも目を向ける・・・かなり欲張りなテーマだ!


アベルを自分の<所有物>としか見ないアリアドにアベルは言う。

・・・・・・・・・
ぼくは・・・・・・
誰の所有物でもありません
ぼくがつくりたいのは
あなたとの対等なパートナーシップの関係です



自分の過去を全て思い出し”トラウマ”を取り除いたアリアドは初めて素直に音を奏でることが出来る。


そしてラスト・・・。


う~~~ん。これで終わり~~~???
非常に物足りない、もっともっと読みたいよ~!今から面白くなるんじゃない~?
・・・と叫んでしまいたくなるが・・・この後は読者が各自考えて下さいっていう事なのかな?


ラストページ、砂浜に座っているアベルとアリアド。
アベルがアリアドをチラッと見て心の中で思う。

ほんとに暗いやつ
こいつって
ぼくがいないとダメだな


何だか思わず、フっと苦笑いしてしまいたくなるちょっとユニークで心に残るラストだ。


明治流星雨 (谷口ジロー・関川夏央)

2006-12-23 22:10:05 | 漫画家(た行)
(1995年発行)

第4部は大逆事件。
申し訳ないが、この事件はイマイチ興味がないのでよく知らない。

この作品について関川夏央が書いているのを一部抜粋する。

第4部では、マンガにはなじみにくい「大逆事件」とその前夜をあつかった。
それは、この事件の明治知識人に与えた衝撃と影響の大きさははかりがたく、昭和二十年の破滅へとつながる道はこれによって定められたのであるから、明治精神史を描くなら不可欠であるとみとおしたためだ。
しかし、やはり事件そのものと主人公の性質による束縛から、作品にユーモアという重要な要素に欠けた憾みは大いに残った。


幸徳秋水、荒畑寒村、管野須賀子らを中心にそれぞれの人生、性格、人生観などを描きだし、
大逆事件とは何だったのか、
明治人の精神のあり方とはどういうものだったのかを考察している。

谷口ジローの画力は素晴らしい。
緻密で落ち着いた筆致は明治人を表現するのに非常にふさわしい。

田岡嶺雲と幸徳秋水の別れの場面や
山縣有朋が明治帝に参内する場面の表現などは非常に深い感銘を受ける。
こういう表現はなかなか凡人には出来ないと思う。
百聞は一見にしかず。
よければ、見て欲しい。

・・・で、次回、第5部は最終回。
再び漱石が主人公になる。
今回の第4部のラストで漱石が登場してるのだが、
神楽坂の途中で胃痛で苦しんでいる。

神楽坂の町並みを見ると、今でも探せばこういう感じの所があるかもしれないような気がする。

明治時代って、かなり昔の事のような気がするが、実は案外現代とそう変わりは無いのかもしれない。

栞と紙魚子と夜の魚 (諸星大二郎)

2006-12-23 11:09:13 | 漫画家(ま行)
(平成13年発行)

この本の最終ページにある宣伝文より

奇々怪々な人々が棲息し、
摩訶不思議な事件が頻発する
胃の頭町を舞台に、
女子高生コンビの
栞と紙魚子が大活躍!!

読めば病み付き!!
諸星大二郎の異色の
『栞と紙魚子』
既刊好評発売中!!


本当にこのシリーズを読むと病みつきになりそうである。
ユニークな登場人物たち(人間ではないものもいるけどね)、
独特の世界観。
これを読むと、この話の舞台である「胃の頭町」に行きたくなる!!
どこに行けば、「胃の頭町」はあるのだろう?



今回の話の中で一番気に入ったのは
「古本地獄屋敷」
それはどういう屋敷なのかと言うと・・・

古本屋の所に処分したい本があるから取りに来てくれという電話があって
古本屋のオヤジがはりきって飛んで行くと、
ほとんど価値のない古本で埋まった家があってオヤジが逃げ帰って来る・・・
或いはその家に入って行ってそのまま行方不明になってしまう・・・。
という不思議な屋敷。

とても広くて右を見ても本
左を見ても本・・・
まるで迷路のような屋敷で、そこには本をさがして12年なんていう男や
20年ずっと目的の本を引き抜くために別の本を読み続けている男たちがうろついているのだ!!

そして、<本雪崩>なんていうものも起きてしまうという物凄い屋敷なのだ!!


抜け出る事が出来なくなるかもしれないけれど、
行ってみたいと思った「古本マニア」は絶対いる筈だ!!
実は私もちょっと行ってみたい・・・と思ってしまった。(笑)



エロイカより愛をこめて 34巻  (青池保子)

2006-12-22 15:34:07 | 漫画家(あ行)
(平成19年1月15日発行)

ケルティック・スパイラルもとうとう終了です。
伯爵も少佐も相変わらず馬面ですが・・・ま~、脳内変換でめちゃくちゃ美形にして読んでます~♪
え?そういう言い方は作者に失礼?
ごめんなさ~い!(笑)

今回は、登場人物たちの変装姿がいっぱい出てきて楽しめました♪
伯爵の女装は、いつもの事だけど
相変わらず、迫力あるおばさん姿がいいですね~。(笑)

少佐は変装を通り越してコスプレ状態だし・・・

Qは、まるで”夜回り先生”!!・・・

少佐の部下たちが交代で嫌々伯爵役をしてるのも面白いし・・・


まあとにかく、毎回おっさんたちが走り回ってるこの漫画、大好きです~♪

ドラえもん (藤子・F・不二雄)

2006-12-22 09:01:51 | 漫画家(は行)
この作品は全く漫画に興味のない人でも最低タイトル程度は聞いたことがあるのではなかろうか?

大好きな作品かと訊ねられるとちょっと困ってしまうが、勿論嫌いな作品というわけではない。

のび太の大好きな<昼寝>は私も大好きだし、すぐに寝るという特技?も私とよく似ているから全くの他人とは思えない部分もあったりする・・・。(笑)


・・・が、自分がいじめられっ子だった経験もいじめっ子だったという事も当然ないから、毎回のようにジャイアンたちにいじめられているのび太に感情移入は出来ない。


ま、この作品は単純に<子供時代の夢>と見てもいいし、人間を含めた全てのもの(植物・動物・地球以外の生命体など)と仲良くする心、とか、或いは<文明批評>とか<風刺>とか、とにかく色んな観点から捉えてみる事の出来る作品には違いない。


作家・翻訳家の矢野徹氏は
「男は、年齢の老若を問わず、甘えと威張りが同居している生き物だ。
のび太は小さくても男だ。
男には何らかの意味でペットが必要だ。
のび太のペットは愛する対象であり、威張る対象であり、保護してくれるペットの理想像だ。
ドラえもんは、男の望み得る最高のペットだ。
羨ましい限りだ。」
・・・と<あとがき>で書いているが・・・女である私には<ドラえもん>がペットだという感覚にはちょっと首を傾げてしまう。
私はドラえもんはペットというより<乳母>とか<ばあや>的な印象を受ける。


ドラえもんの顔は目の位置が高い。
普通、可愛さを表現するなら目の位置は低くする。
目の位置が高いから、私にはドラえもんはどう見ても<おばさん風>に見えてしまう。

のび太の世話をやく姿なんて<世話焼きおばさん>という感じだと思うのだ・・・。



この作品は子供の目から見た世界だから大人の影が薄いのは仕方ないだろうが、のび太の両親は登場する機会が多いにもかかわらず、影が薄いように思える。

一応、<登場人物紹介>などを読むと、性格設定はされているのだが・・・それでもやっぱり影が薄い。

特にのび太のママはいつも、
「勉強しなさい!」「おつかいに行って来て!」と言ってるだけのような気がする。


子供の目から見ると母親なんてだいたいそういう事しか言わないっていう事なのか?


我家では母親(私)がよく子供に言ってる言葉は
「家の中に漫画が溢れてごめんね~!ちゃんと片付けるから捨てないでね~~!」


・・・どっちが子供だかわからない・・・。(笑)


栞と紙魚子 殺戮詩集  (諸星大二郎 )

2006-12-21 09:49:00 | 漫画家(ま行)
(ネムキ 1998年~1999年掲載)

栞と紙魚子シリーズ3冊目。


相変わらず奇々怪々な人々が当たり前のように棲息している胃の頭町。


「頸山の怪病院」では、生首、ビン詰め臓器、旧帝国軍人の幽霊、毒ガス、細菌兵器の研究・・・
お決まりのアイテム?が出てくる、出てくる・・・。(笑)


「殺戮詩集」で初登場した女流詩人の<菱田きとら>
その後も良く出てくるのだが最初から彼女の異様なパワーは凄い!!
こんな人にストーカーされると・・・怖いよね~~~~。


しかし・・・この作品では良く食べてるけど・・・ムルムルって、美味しいのかな~~~?
私はあんまり食べたくないんだけど~~。(笑)



栞と紙魚子の生首事件 (諸星大二郎)

2006-12-20 23:28:20 | 漫画家(ま行)
(ネムキ 1995年 VOL.23~28)


この作品は諸星大二郎、初の少女漫画なのだそうだ。
とはいえ、少年漫画とどこが違うのかと言っても主人公が<女子高生>というだけで、いつもの諸星カラーは全く同じである。


どの話も面白いのだがこの本の中では、表題となっている「生首事件」が一番好きだ。


主人公のひとり栞が偶然公園で見つけた生首を家に持って帰ってくる・・・。

「最初ぎょっとしたけど
こりゃすごい物みつけたと思って
思わず持ってきちゃったの・・・」

友人の紙魚子に語る栞だが・・・普通、そんなもの持って帰るか~~~!?(笑)


・・・で、結局
「生首の正しい飼い方」という本を参考にその生首を飼うのだが・・・
最終的には結局手放すことにする。


栞は紙魚子に言う。

「ほら 押入れの中で生首を飼うなんて
おたくっぽくて暗いじゃない」



ヲイヲイ、そ~ゆ~問題じゃないし・・・
そういう会話って普通は女子高生の会話じゃないと思うぞ~!


その夜、二人は川に生首(竜之介と紙魚子が名づけた)を捨てるが、バラバラ殺人事件の犯人は一体どこにいるのだろうか~??
「いまだに頭部がみつからず<未解決>のままです。」
・・・って、それでいいの~~!?(笑)


う~~~ん!!
かなりシュ~ルなストーリーである。
不思議な不思議な<諸星ワールド>だ。

とにかく、栞と紙魚子のコンビが実にいい!
そして、彼女たちが遭遇する奇妙な人たちも実に面白い!!
シリーズ作品として長続きするわけだ。



栞と紙魚子と青い馬 (諸星大二郎)

2006-12-20 13:20:10 | 漫画家(ま行)
「好奇心旺盛で怖いもの知らずの栞と博学で理屈っぽい紙魚子。
女子高生コンビが遭遇した奇妙な人達、不思議な事件。」…と、本の帯に書いていた。(笑)が、全くその通り。
よくこの作品を言い表している。

何か私のイメージとして、この作者が女子高生を主人公にするなんて、ちょっと意外な気がしたのだが、読んでみると、いつもの諸星ワールド。
しかも、かなりとっつき易い。「絵」だけ見て、趣味じゃないからと、敬遠している人がいれば、お勧めしたい作品だ。
きっと気に入るに違いない。…と、勝手に思っている私です。(笑)

胃の頭町に行ってみたい…けど、ちょっと怖いかな?


YASUJI東京 (杉浦日向子)

2006-12-20 09:16:50 | 漫画家(さ行)
(「小説新潮」1985年3月号~1986年3月号)


これは、この作者にしては珍しく現代が舞台。
井上安治という元治元年、浅草生まれの風景画家を探求?する話。
何だかちょっと不思議な雰囲気のする作品である。



この本には「鏡斎まいる」という作品も収録されている。
「SFマンガ競作大全集」1983年11月号
「月刊漫画ガロ」1984年8月号
「ASUKA」
の別々の三誌に掲載されたものだ。


この鏡斎というキャラが好きだ。
「術士」ということで実に不思議な術を使う。
しかもポーカーフェイス。
目はいつも線一本で表現されていて開いているのか閉じているのかわからない。(笑)


鏡斎を召抱えている若君が問う。
「鏡斎。
そちは一体なんじゃ。」
鏡斎はすまして答える。
「人にございます。」
「本当に。」
「正真正銘。」
にっこりと笑って答える鏡斎がとってもいい。