本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

丸尾末広 (ギチギチくん)

2011-06-21 08:37:56 | 漫画家(ま行)
丸尾末広の学園漫画?
エロもないし、グロも・・・ほとんどない。(ちょっとあるけどね)

主人公のギチギチくんは不思議な能力があって、悪いクラスメイトなどをやっつける。
丸尾末広版、「魔太郎がくる!!」(藤子不二雄Ⓐ)っていう感じかな?

これならエログロが苦手な人でも読みやすい・・・?

一条ゆかり (プライド)

2011-06-18 22:13:31 | 漫画家(あ行)
女同士のどろどろした戦い・・・っていうのは苦手です。
だから、これもちょっとどうかなあ?・・・って思ってたんだけど、先日図書館で全巻借りてきました。

この作者の作風が好きです。
特に明るい「有閑倶楽部」などは大好きなんですよね。
絵も少女漫画特有の派手さがあって好みなのです。

・・・で、このどろどろした<ドラマチック・ラブ&バトル>漫画はどうだったかと言いますと、
思ってたよりどろどろしていなくて、案外カラッとしていたように思えました。

この作者の作品の脇役によく出て来る<大人の女性>の存在がいいですね。
思ったことははっきり言って、世の中の事も結構わかっていて、若い人たちに対して、時々的確なアドバイスを与える存在。
現実にこういう女性が身近にいると嬉しいですね。

この作品でのそういう存在であるクラブ“プリマドンナ”のママの言葉でいいなあって思ったのは
「間違ったと思ったら直ぐやり直すのよ
後悔が少しで済むわ」
・・・っていうセリフ。

実際、作者自身もそういう風にやってきたのだろうか?
それとも、そういう風にしたいという願望なのだろうか?

谷口ジロー (欅の木)(原作:内海隆一郎)

2011-06-17 08:01:15 | 漫画家(た行)
いつものことながら、この細かい描写、美しい構図、繊細な線には感心してしまう。

普段ほとんど漫画を読まなくて、漫画に対してある種の偏見を抱いているような人がこれを読んだらどう感じるのだろうか?
そういった偏見を少しは解消する人が多くいるのではないかと思う。

確かに小説を漫画にするのは難しい。
多くの漫画家の場合、小説家がイメージしたものとは違うものになっているのではないだろうか。

しかし、谷口ジロー氏の手にかかると、まるで魔法にかかったかのように原作者の頭にあるイメージを表現されてしまう・・・ような気がする。

これは、今まで食わず嫌いで漫画が嫌いな人に読んで貰いたい・・・なんてことを考えてしまった。

須藤真澄 (ゆず)

2011-06-16 10:49:20 | 漫画家(さ行)
猫エッセイ漫画です。
先日、古本屋で84円だったので思わず買ってしまいました。

作者がいかにこの猫(ゆず)をあいしているかがよく表現されているし、ゆずも可愛い!

でも・・・なんだかちょっぴり・・・どうかな~?っていう事が描かれてあるんですよね。

トイレは家できちんと出来なくて結局外でさせることにする。。。
「自分ちさえ良けりゃそれで良い鬼畜のわしらであった
ありがとう  ゆずにトイレを提供してくださってるおうちの方々
発覚したら菓子折持ってお礼に行きます」
・・・って、書いてるんだけど・・・それでいいの?

お風呂もゆずと一緒に入る。
もちろん湯船は毛だらけ!
・・・う~ん。。。私はそれは勘弁して欲しい。

ゆずは蚤だらけで、部屋も作者も蚤の被害に!

ゆずが可愛くて大好きだというのは作品から嫌と言うほど伝わってくるのだけどね・・・。

漆原友紀 (水域)

2011-06-12 20:44:10 | 漫画家(あ行)
(amazonの内容紹介より)
日照り続きで、給水制限中の街。酷暑にあてられて意識
を失った川村千波は、豊かな水にあふれる村で、少年と
老人に出会う夢を見る。祖母に夢の話を聞かせた千波は、
意外な言葉を聞く。「それ……ばあちゃんの昔の家じゃ
ないかねぇ」また行きたい──そう願った千波が目を覚
ましたのは、夢だと思っていたあの村。そして再会した
少年・スミオから、この村では雨が降り止まないことを
知らされる。



この作者の描く作品世界が好きです。
しっとりと穏やかでどこか懐かしい。
この作品では山奥の村の様子が空気感も感じられるぐらい作品世界に入り込んでしまう。
読後感は何と言いましょうか、例えるならNHKの良質な実写版ドラマを観た感じっていうところでしょうか。

かつてダムに沈んだ村と現実の間を主人公が彷徨うストーリーですが、
ダムに沈む村というと、四国の人間は真っ先に「早明浦ダム」を思い浮かべると思います。
渇水になると、必ず旧大川村役場の建物が現れてそれがニュースになるんですよね。
今は水の底に沈んでしまったけれども、以前は確かに人間が生活を営んでいたという過去がある。
それを考えると、かつてそこで暮らしていた人はどんな思いでこのニュースを見るんだろうなあって思うのです。

我家のご先祖様が暮らしていた土地も早明浦ダムではないのだけど、ダムに沈んでいます。
日本の各地でそういう風にダムに沈んだ村っていうのはいっぱいあるのだろうなって思います。

この作品にはそういう人たちの様々な想いがいっぱい詰っているような気がします。

山下和美 (数寄です! 1巻)

2011-06-11 07:31:54 | 漫画家(や・ら・わ行)
(amazonの内容説明より)
数寄屋建築をめぐる著者初のエッセイコミック!
建築家・蔵田徹也氏との運命的な出会いにより「和」の心に目覚めた山下和美は東京都内に一戸建ての数寄屋を建てようと思い立つ――

事実っていうのはやっぱり結構重いものですね。
東京に土地を買って家を建てる!
人気漫画家だからって無限にお金があるわけではないし、
世の中いろんな人がいて、悩んだり、困ったり・・・。

ああ、この作者ってこんな人だったんだ。・・・って、
妙に親近感を覚えたり、
展開にハラハラドキドキさせられちゃって、思わず最終ページを先に読んでしまったり・・・(いつものことですけどね)

この1巻ではまだようやく土地を手に入れただけ。
無事に素敵な数奇屋が建つのだろうかと心配で、心配で・・・2巻が本当に待ち遠しいです。

星野之宣 (神南火)

2011-06-10 09:42:53 | 漫画家(は行)
『神南火(かむなび)』シリーズは、「異考録」が執筆される以前に、同じ雑誌である『ビッグコミック』に掲載されたシリーズで、忌部捷一郎の妹である歴史家・忌部神奈が主人公。
まあ、私的にはキャラ的には宗像教授の方が大好きなんだけど、忌部神奈も悪いわけではない。
ストーリーはサラッと読みやすいし、温泉シーンなんていう読者サービス?もあったりして楽しい。

6話「花と磐」で、宗像教授とそっくりな「『月刊ビッグ文芸』編集長・行方和里男(なめかた・わりお)」っていうキャラが出て来るんだけど・・・このキャラが後に宗像教授になったのかな?

山下和美 (ゴースト・ラプソディ)

2011-06-09 21:11:29 | 漫画
久しぶりにこれを読み返したんだけど、これってまだ感想を書いてなかったようですね。
この作者の作品「天才柳沢教授の生活」や「不思議な少年」など、人間に対する眼差しが温かいのでとっても好きです。
これは1996年~1998年にかけて描かれたものだからちょっと古いんだけど、やはりこれにも今に通じる人間に対する温かい眼差しがありますね。

恋愛モノと言えば男女が恋人関係になるまでを描くのが普通一般的だと思うのだけど、これは結婚の決まった男女が別れるまでを描いてるんですよね。

現実世界においても結ばれるよりは別れる時の方が何倍も多くのエネルギーが必要だと思うのです。
結婚だって離婚の方が大変なことが多そうだし、買い物だって買うより返品する方が手間がかかる。

一度、結婚する方向に物事が進みだすとそれを途中で阻止しようなんて考えるとメチャクチャ大変なのではないかと思うんですよね。

でも、この作品、別れることになる話とはいえドロドロしたものではなくて、主人公の女の子はどんどん素敵になっていくし、相手の男も最終的にはいい男になるのです。

最後の結婚式が壊れていくクライマックスでの彼の長台詞がいい。

「僕が君とつきあっていたのは
僕の優越感からだったんだ
僕は子供の頃から挫折というものを知らなかった
あらゆることにおいてトップでやってきたし
それが当たり前のことと思ってきた
優しくてかわいくて僕の言うことを何でも聞いてくれる女の子
それは僕自身の当たり前をくずさないための自己防衛だった
結局 君が僕より下の人間であればよかったわけだ
でも それが大きな間違いだとわかった時
僕は・・・
壊れはじめたんだ
壊れてしまった僕は僕自身をどうしていいのか
全くわからなくなってしまった
君に対しても・・・・・・だ
生まれて初めての挫折・・・・・・だった
僕は君にどうしようもなくひどいことをした
ごめん・・・・・・」

この台詞、深いですね。
人間同士の付き合い・・・結婚でも友だちでも職場でも・・・そういうことにおいて、
<僕より下の人間>などという考えを抱いていては真の付き合いは出来ない・・・ま、そういうことでしょうかね。

・・・で、この後、ものすごい邪気が守護霊であるロニーを襲うんだけど、
邪気は小さな子どもというか天使のような姿のものの集団なんですよね。
邪気がおどろおどろしい姿をしているのなら何にも思わないのだけど、
何故、天使(?)が邪気なんだろうね?
無邪気なものが一番怖いってことなのかなあ?

ラストもとってもいい終わり方なんですよね。
いい作品はやっぱり何年経ってもいいですね。