本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

魔夜峰央 (クレプスキュール)

2010-01-29 21:22:28 | 漫画家(ま行)
<Amazon.co.jpによる内容紹介>
ふつうの人間には見えない、いろいろなものが見える邪眼の持ち主、浅野君は、私立高校の生徒として平凡な学園生活を行っているが、ひとたび事件が起これば邪眼によってトラブルを解決する。トラブルにはたいてい美しいヒロインが絡むものだが、浅野君の素晴らしい能力とは裏腹に、恋が成就することはない・・・、がんばれ!浅野君!
ご存知「パタリロ」で有名な魔夜峰央のオカルトコメディ。


この作品の主人公の性格は、はっきり言ってラシャーヌそっくり!
惚れやすいんだけど、いつも失恋してしまう。
どうして同じようなキャラにしたのでしょうか?
もしかして新しいキャラを考えるのが面倒だったとか?
そうだとしても話の内容はラシャーヌとは違うので、ま、いいか~。

トリの作品がSFの王道!
ここまで見事なオチでまとめてくれると何だか嬉しくなってきますね。

吉村明美 (麒麟館グラフィティー)

2010-01-14 18:51:01 | 漫画家(や・ら・わ行)
一般的に少女漫画のイメージっていうものは、少女の淡い恋や夢が描かれてると思われているかもしれない。
しかし、少女漫画ってなかなか侮れないものなのです。
時代を深くえぐりとって、そのへんに転がっている小説などよりもず~~~っと、どきっとさせられる作品もあるのです。

この作品がまさしくそういったもの。

男女の愛。結婚観。DV。女同士の友情。などなど・・・。
あ、少女漫画版「めぞん一刻」的な感じもしますね。(笑)
どういう観点でこの作品を読むかは読者次第。百人の読者がいたら百通りの読み方があると思うのです。同じ人でも、若い頃に読んだ時と年取って読んだ時では捉え方が違ってくるかもしれません。

・・・で、私が一番気になったのは、男が結婚相手に望むものは一体何かってこと。

このなかに出て来る菊子の夫は女は従順であればいいと考えているのです。
女に人格がないと思ってるんですよね。
そんな男・・・まあ、いることはいるんだろうけど幸い私の父もダンナもそうではなかったのでイマイチ現実感がなかったのです

ところが・・・
先日、近所の70代以上の女性10人程がわいわいと他愛無い話をしている場にいたのだけど、
その中である人が、うちのダンナは私にモノを言う時に必ず『この、クソバカが~!』って言うから嫌になってしまう・・・と言ったのです。
その人の夫という人は私から見ると、ごく普通のおじさんです。
それを聞いてた別の人が、あ、うちも同じよ。いっつもバカバカって言われるから本当にバカになりそうな気がする・・・らしい。
・・・で、またまた別の人も、うちも!うちも!・・・
と言い出して、どうやら、そこにいるほとんどの人の夫は妻に「このクソバカが!」とか「ばかやろ~!」とか普通に言ってるらしいというのです。

驚いて、家に帰ってうちのダンナにこの話をするとダンナは、
「ああ、あれぐらいの年代の男だったらそういうの多いんじゃないか」と別に驚きもしないのです。

う~~~ん。。。

言われてみると確かにそうかもしれない。
そして、女性も昔はそんなものだと諦めていたのかもしれない。
最近、ようやくそんな風に言われるのは理不尽なことだと気がつき始めたのかもしれません。

男が威張って、女はただひたすら耐えていた時代。
最近の若い子には信じられないかもしれませんね。
そういう私だって驚いたんですからね。

今はどんどん、女が強くなって嬉しいけれど・・・強くなりすぎて男に従順を求めるような女にはなって欲しくないですね。
男も女も対等にお互いを尊重するような関係になるのが理想だと思うのです。

五十嵐大介 (カボチャの冒険)

2010-01-12 20:52:24 | 漫画家(あ行)
この作者の描いた『海獣の子供』が、第13回文化庁メディア芸術祭・マンガ部門優秀賞を受賞したようです。
残念ながらまだ『海獣の子供』は読んだことないんですけど、機会があれば読んでみたいと思ってます。

この作品、作者の初エッセイ漫画なのだそうだ。

東北の農村で、漫画を描き、畑を耕しながら暮らす五十嵐さんと相棒の猫<カボチャ>との日常。

猫が出て来る漫画は数多くあるけれども、このカボチャの描写は実に素晴らしい!
なにげない猫のしぐさ、愛らしさをここまで表現している漫画は少ないのではなかろうか。

ストーリーらしいストーリーはないのだけど、猫の魅力、田舎の魅力満載の作品であることは間違いない!

村上たかし (星守る犬)

2010-01-11 20:54:44 | 漫画家(ま行)
<泣ける本>ということで話題になってたのでちょっと興味があった本。
昨日、古本屋で見つけたので買ってみました。

アマゾンのカスタマーレビューでは賛否両論っていう感じですね。
<賛>の方が多いようですけどね。

確かにいかにも<泣ける>という感じの本です。
・・・が、残念ながら私は全く泣けませんでした。

犬のけなげさよりも、登場人物たちの性格設定が何だか寒々しい感じがしちゃって、
なんだかなあ・・・って感じになってしまったのです。

お父さんもその奥さんも娘も万引きする少年もみんな自分の事しか考えてないんですね。
お父さんは奥さんのことも娘のことも真剣に考えようとはしていないのです。
奥さんもそういうダンナを愛することも出来なくて病気になって職を失ったダンナをあっさりと捨ててしまう。
娘もまた自分のことしか考えてない。

そういう家庭って多いのかなあ?
そういう人間って多いのかなあ?
一生懸命に自分以外の人のことを考えようとする人は少ないのかなあ?

お父さんが死んだという事を知らない知ろうともしない知る気もない
奥さんと娘は自分のことだけを考えて生きている。
万引き少年は自分の行為が知らない男の人の死に関わりがあったなんて夢にも思っていない。
例え、その男性が死んだことを死っても、「僕が殺したわけじゃない!」って言うんだろうね。

人間ってひとりでは生きていけないと思うのです。
人のことをほんの少しでも気にかけるってことが出来ない人は
寂しいなあって思うのです。

お父さんは悪い人ではないけれども、ある意味<いい人>でもないんじゃないのかなあ?
犬を心配する気持ちがあるのなら、もっと真剣に家族を心配してもよかったのにね。

<星守る犬>という意味は<手に入らないものを求める人>のことらしいんですけどね、
お父さんは手に入らないものを自分から求めようとしなかったんじゃないのかな。

やっぱりね、自分から動かなくちゃ何も変わらないんだよね、たぶん。

犬は純粋に愛してくれるかもしれないけれどもね。

しかし・・・
こういう風に醒めた目でしか考えられない私って、どうなんだろう?って思ってしまうのです。
<純粋さ><素直さ>とかいうものに欠けてるのかなあ?

小林まこと (青春少年マガジン 1978~1983 )

2010-01-08 20:36:13 | 漫画家(か行)
この作品、本当に青春だな~~!って思います。
楽しかった事、辛かった事、友だちと馬鹿なことをやった事、頑張った事、嬉しかった事・・・。
いろんな事がいっぱいあって、悩みながらも頑張った自分にご褒美をやりたいような、
もう一度あの時に戻ってやり直したいような・・・。
遠い昔をふと立ち止まって思い出す自分が年取ったなあ・・・と少し寂しく思えてしまったり・・・。


昔、森田公一とトップギャランというグループが「青春時代」っていう歌を歌ってました。
その歌詞の中に
<青春時代が夢なんて後からほのぼの想うもの>っていう箇所があったけど、その歌を聴いてた当時の私はまさしく青春時代のど真ん中!
なるほど・・・<あとからほのぼの想うもの>なのね。
って、何となく分かったような気分になってたけど、実際完璧に青春時代とは言えないような歳になってしまった今、この歌詞が深く深くわかるような気がします。

あの頃の自分に会うことが出来るなら、
そして・・・何かを言ってやれるのなら・・・
何を言ってやればいいのだろう?

褒めてやるのか、励ましてやるのか・・・
それとも、叱り飛ばすのか???

さてさて・・・どうしようかな?

森薫 (乙嫁語り 1巻)

2010-01-07 12:36:21 | 漫画家(ま行)
(Amazonの内容紹介より)
中央ユーラシアに暮らす、遊牧民と定住民の昼と夜。
美貌の娘・アミル(20歳)が嫁いだ相手は、若干12歳の少年・カルルク。遊牧民と定住民、8歳の年の差を越えて、ふたりは結ばれるのか……? 『エマ』で19世紀末の英国を活写した森薫の最新作はシルクロードの生活文化。馬の背に乗り弓を構え、悠久の大地に生きるキャラクターたちの物語!

新年最初に取り上げる漫画はやはり良いものを選びたい・・・と思って考えた結果、
選んだのがこれ。

「エマ」の時もそうだったんけど、この作者の自分の作品に対する愛情の深さが並大抵ではない。
服の模様、じゅうたんの模様、これ以上丁寧に描けないっていうくらい丁寧に描いてるし、
中央アジアのことも実に詳しく調べてる。
しかも・・・それが大好きで描いているというのが読者に伝わってくるのです。

仕事だからと割り切って、丁寧に描いたり資料を読み漁ったりして描いてても取り合えずいい作品にはなるかもしれないけれど、それはそれだけのものでしかないような気がするのです。

自分が愛情を注いで創り上げたものは他者にも感動を与えます。

漫画だけのことではなく、何に対しても、愛情を持って接していればそれはいつかはきっと他者にもわかってもらえるのではないか・・・
この作品を読んでいてそんな風なことを感じたのです。