本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

ジェラールとジャック (よしながふみ)

2007-08-31 23:22:16 | 漫画家(や・ら・わ行)
「愛と赦しと希望。革命期のパリに生きる男達の世に在る難さと、人を愛する歓びを深く広く描いた十三章」…と、帯に書いている。
まあ、一言で言えば、その通りである。
帯の文章は誰が考えるのか知らないが、たいてい、よく纏めているものが多い。
…しかし、わざわざ「赦す」とか「歓び」とか、ちょっと難しそうな漢字を使うのは何故だ?(笑)

毎度の事ながら、アップが多い。
背景が少ない。
かなり簡略化された絵柄。
コマ数が少ない…正直言って、そういうところが非常に気になる。

それなのに、ああ、それなのにそれらが全て「よしながワールド」的世界に化ける?と、多量に使用されているアップは微妙な感情を表現し、独特の「間」を醸し出す。
登場人物が非常に少なくても、何でも、「よしながワールド」になると、ああ、仕方ない。これが魅力につながるんでしょう。と、認めざるを得ない。

何故かちょっぴり(魅力を認めるのが)くやしいが、…そういうことなのだ。(笑)

西洋骨董洋菓子店 (よしながふみ)

2007-08-31 08:02:23 | 漫画家(や・ら・わ行)
夏目房之介氏が面白いとか言っていたので買ってみたのだが(古本屋でなんと一冊50円!)、予想に反して?面白かった。

本屋で見ただけでは普通の少女漫画というイメージで絶対買わなかったと思うが、読んでみると主要登場人物は男だけ・・・。
しかも「ホモ」もいる。顔もいいし、性格もなかなか面白い。
人物設定も夫々工夫を凝らして考えられているし、買って良かったと思う。

コマが大きいのと、人物のアップ、上半身のみ、というのが多いのが、ちょっと気になるのだが、コマのテンポが良くて、読んでいるうちにそういう事が全く気にならなくなるのです。

こういう男だけの洋菓子店が近くにあったら絶対買いに行くのだが、太ってしまいそう・・・。なくて良かった。(笑)

漫画は普通「右向き」の顔が多いものだが、この作品は「左向き」の顔が多い。もしかすると作者は左利きなのかもしれない。


日本の漫画の場合、右ページから左ページに進む為、右向きの方が前に進む感じがするのだが左向きが多いのは「過去」を向いているからなのか?4巻78ページ「もう俺を誘拐した人間を罰する事は永久に叶わない」と思う橘圭一郎は当然左向きだし、過去の事件のシーンで逃げる圭一郎は何故か左から右方向に逃げている。
現在、店の前を通る当時の犯人も左から右に歩いて行く。
過去へ過去へと進んで行くのだ。
それが、ラスト225ページの2コマ目からは全て右向きの顔で最終ページは1ページを使って歩き出そうとする足元のみを描いている。
しかもそれは上(微かに左方向)に向かっているのだ。この事によって圭一郎が漸く過去に決別を告げて未来へと前進し始めたという事が分かるのだ。

これは二年以上前に書いたものです。
これを読んで以降、よしながふみ作品が気に入りまして他の作品も読むようになりました。
画像はギャグバージョンの似顔絵。
シリアスな顔はこういう顔をしていません。(笑)

冗談新選組 (みなもと太郎)

2007-08-30 09:01:51 | 漫画家(ま行)
数年前にNHKでやってた「新選組!」の脚本家である三谷幸喜がこの作品を好きだって何かに書いてたと思う。
またこの作品のリ二ューアル版の様なものが出ていたと思うが本屋でちらっと見ただけなので確かな事は言えないけど、それに三谷幸喜が対談か何かで出ていたように思う。
まあそれはどうでもよいけれど・・・。

これは私が中学生の頃、少年マガジンに載っていたと思うのだが、土方さんが格好よくて大好きでした。
「ホモホモ7」なども好きでした~♪

20世紀少年 (浦沢直樹)

2007-08-28 09:59:33 | 漫画家(あ行)
今は「21世紀少年 上巻」まで出てるけど、この記事は2年ほど前に書いたものなので、単行本1巻~17巻までの感想になってます。


初め、タイトルと表紙の絵を見ただけの印象で20世紀の少年がタイムスリップでもして、未来かどこかの世界に行く話かな?と思ってしまったのだが、全然違っていた。(笑)

登場人物たちと私はほとんど同世代なので、大阪万博とか、春波夫(三波春夫)とか、「大脱走」をテレビで前後編でしていた、とか、ああそうだった、と思えるエピソードばかりで、妙に現実味がありすぎるとでも言うのか、何故か読んでて、他の漫画以上にドキドキしてしまう。

この作者の描く女の子はヤワラちゃんタイプが多くて、他のパターンの女の子を描かない(もしくは、描けない?)のは、つまらないなーと、思っていたが、「小泉響子」の登場で漸く、ヤワラちゃんを越える事が出来たような気がする。なかなか、いい味を出している。・・・なんてことを思ったが、
YAWARA!にもヤワラちゃんの友達で、ユニークな女の子が出ていたのを思い出した。その系統だという事かな?もう一度YAWARA!を読み直したくなった。
他にもユニークなタイプの女の子が出て来る作品もあるはずだ。
小泉響子の恐怖の顔は、どう見ても楳図かずおの描く恐怖の顔だ。
たぶん、わざとそういう風に描いているのだろうけどね。しかし、いつも思うのだが「恐怖の顔」って楳図かずお以上に素晴らしい表現方法はないものだろうか?

ケンヂの仲間で一番格好いいのがオッチョかな?
顔は少年の頃の方が断然いいのだが、性格がとにかく格好いい。
大人になって、ちょっと禿げてきたのは残念だが、見方によっては、なかなか渋くていいかもしれない。
青年期の顔はちょっとマスターキートンに似ている。
が、まだまだ魅力的ではない。髪を伸ばした頃からちょっといい感じになってきて、毛髪が減少して、非常にいい男になったと思う。
顔は、少年時代は結構可愛い顔してたんだけど・・・。残念ながら、ああいう顔になってしまいました。・・・いるよね、そういう奴。(笑)
性格は格好いい!の一言に尽きる。強いし、頭もいいし、強い信念もある。こういう男って最近あまり、いないんじゃないのかなー?もしかして絶滅危惧種かも?

モンちゃんもなかなか渋いのだが、普通の男の人っていう感じ。
早く死んじゃって残念。

ヨシツネは子供の頃も、大人になっても、顔も性格もほとんど変わっていない。
いるよなー、こんなやつ。っていう感じ。気弱で結構地味な感じなのだが、それなりに大活躍をしてて、なんとなく嬉しい。地味な奴にも、光を!っていう感じ?
海ほたる刑務所に入れられていた角田(かくた)という漫画家は、つのだじろう?

「ともだちランド」・・・こんなのが本当にあるなら、体験してみたい。そして小学生だった自分に会って、話がしたい。
でも、どんな話をしようか?変なおばさんだと思われるだろうけど、きっと一緒に何か話をしてくれるだろうな、あのころの私だったらきっと・・・。(今の私でも、数十年後の私が現れたら、やっぱり色々と話をするだろうけど・・・。)


似顔絵はオッチョ。
基本的には私は美形が好きなんだけど、こういうタイプのおっさんも結構好きだったりする。(笑)

さよならにっぽん (大友克洋)

2007-08-27 13:42:36 | 漫画家(あ行)
あとがきで、作者本人が、
「前の単行本『ハイウェイスター』の巻末で川本三郎さんが、大友克洋の作品は白い!と指摘なさっておりましたが、今回つくづく俺のは白いなーと痛感しました。」


…と、書いているのだけど、「今回つくづく俺のは白いなー」と、「今回」と言っていると言う事は前回の「ハイウェイスター」では自分は白いとは思っていなかったということだろうか?
そもそも、作者が解説を書いた人の意見を自分のあとがきで載せることは滅多にないのではなかろうか?
そう考えると、「ハイウェイスター」の時に言われた「白い」という言葉に対して、非常に引っかかっていたのではないだろうか?
そして今回その言葉をわざわざ取り上げることによって、前回の作品は白くなかったぞ!と、暗に主張しているような気がするのは、私だけだろうか?

今回は、確かに前回と比べると、背景が少ないが「別にいいんじゃないんですか~?」と、私は言いたい!これ以上に白っぽい漫画なんて腐るほどある訳だし…ね?


この中に収録されている「East of The Sun, West of The Moon」(原作:狩撫麻礼)は、ちょっと似た感じの作品をあすなひろしも描いてたような気がする。
ま、勿論全く同じではなくて、場末の飲み屋のおばちゃんが、実は昔、有名な歌手だったという設定が似てたような???
(今、手元にその本がないので、ちょっと違うかもしれない。間違っていたら、ごめんなさい。)
…そーゆー設定って、結構他の漫画でも使ってるかもしれない。
ただ、その設定を、どう料理するか?っていう事なのかなー?


「聖者が街にやって来る」の4人組のジイサン達…いいねー。
ああいうキャラ。私もああいう感じのパワフルなバーサンになりたい…が、無理だろうなー。(笑)


「さよならにっぽんⅤ」のラストページが、気に入っている。
あの間…何度読んでもクスッと笑える。

HIGHWAY STAR  (大友克洋)

2007-08-27 13:38:17 | 漫画家(あ行)
この単行本には短編が10編入っている。
解説は、川本三郎氏。
結構有名な評論家らしいが彼の説には、ちょっと疑問を感じる所がある。

例えば、「大友克洋のマンガを読んだ人がまず感じるのは『妙に絵が白いな』という一点だろう。」という箇所。

えっ?そう?…どこが白いというのだ??
どう見ても、白と黒のバランスがとれた原稿にしか見えないのだが…?
これ以上もっと黒くしなくてはいけないのか?それとも、タイトルページで背景のないものがあるが、それを指しているのか?
また、「文体」(絵)という表現を使っているが、(これはおそらく夏目房之介氏あたりが使い始めた言葉ではないかと思う)何だか本当に自分の言葉として使用しているように、思えないのだ。
どうも、借り物の言葉をもっともらしく使用して、もっともらしく評論しているようにしか思えないのだが、…それは私が単に川本氏の文章を理解出来ていないというだけなのだろうか?…そうかもしれない。

まあ、人の評論はどうでもいい。
私の感じた事を書こう。

まず、真っ先に思うのは、絵が上手い!という事。
めちゃくちゃ上手い!!
誰が見ても、目が小さくてちっとも可愛くない人物ばかりで、どこが上手いんだ!?と、言われそうだが、線を見て欲しい。
まるで、さらさらさらっと何も考えずに描いたような線だが、生きている。
どの線を見ても全て生きているのだ。こんな線を描く漫画家はめったにいない。…と、思う。
何を指して「生きている」と称してるのか?と問われると説明が難しいのだが、人物をどんな角度で描いても「自然」だという事。
或いは、背景が非常に多いが、それがちっとも人物の邪魔になっていないという事。
車やバイクなど、さりげなく描いて、しかもデッサンが狂ってない。
只単に絵が上手い漫画家はいくらでもいる。
…が、多くの場合、背景や車などは綺麗に描いているだけで、さりげない自然さというものが感じられない。
もし、私の目の前でこの作者が、この美しい線を描くところを見せてくれたら、めちゃくちゃ感動するだろうなー。と思う。
頭の中でこの線が描かれていく光景を想像するだけで、嬉しくなるのだ。
…と、ここまで書いて何だか私って「変」って、思ってしまった。(苦笑)


ストーリーに関しては、この中では「天網恢恢疎にして漏らさず」が好きだ。
タイトルがいい。
タイトルページの意味がわかったような、わからないような所もいい。
ぶさいくでアホな三人の天使がいい。
私が死ぬときには是非彼らにお迎えに来て欲しいものである。(笑)

正しい恋愛のススメ (一条ゆかり)

2007-08-27 10:18:13 | 漫画家(あ行)
これもまた、以前BSマンガ夜話に送ったファックスの原稿です。
短時間で描いた鉛筆描きですので、ちょっと雑で、ごめんなさい。

TV放映前からきちんと描いておけばもう少し丁寧に描けるのに、いつも放映間際になって、
「しまった~!もう始まってしまう~~!!」
と、慌てて紙を引っ張り出す私。。。
そういえば、子供の頃の夏休みの宿題もさっさとやればよかったのに、毎年八月の終わりごろに後悔してたっけ?
大人になってもそういう性格は変わらないようですね。(苦笑)

ファーイースト(アスタロトシリーズ) 魔夜峰央

2007-08-26 11:40:42 | 漫画家(ま行)
魔界の四大実力者の一人、アスタロト公爵。
美貌の悪魔。権力も実力もある。性格はクール。・・・ただし、かなり「天然」でもある。(笑)
この、「天然」ぶりがいいのよね。美しく、クールだけだと当然過ぎてつまらない。そこに「天然」だという要素を加える事によって、よりキャラの魅力を倍増させているのでしょうね。


これは、ペンと墨汁を引っ張り出してくるのが面倒くさかった・・・という、それだけの理由で、サインペンで描いたものです。
手抜きはダメですね~という見本です。(笑)
・・・で、描いてみると魔夜峰央の絵はかなり口が小さくて、他のバランスも独特なので、マネするのが思ったより難しかったって覚えてます。

青い空を、白い雲がかけてった (あすなひろし)

2007-08-25 10:09:39 | 漫画家(あ行)
すっきりした画面。きれいな線。ちょっと独特な動きの表現。
ギャグっぽいかと思うと、スッとシリアスになる、「間」というか、「テンポ」というか、それがいい。
必要最小限度の背景しか描いてないが、手抜きには見えない。
(笑)きちんと描くところは、きちんと描いているからだろうか。
雪の表現は、白い部分には何も描かず、ベタ部分にホワイトで雪を描くのが多い。
(単行本2巻P202・203は珍しく、白い部分に雪を描いている。ベタ部分が少なかったからか?)

BSマンガ夜話で、ベタ部分の白い所はホワイトじゃなくて白抜きにしてるとか!?え~~~~~!!スゴイ!!凄すぎる!!!!!生原稿を見てみたい。

「昭和」という雰囲気なのだろうか?何か懐かしい感じがする。
板塀など、そうそう、昔ああいうのがあったよねー。っていう感じ。
最近そういう塀はあまり見かけなくなってしまった。


この画像は何年か前にBSマンガ夜話にファックスで送ったものです。
短時間で鉛筆書きしたものなので、ちょっと雑な感じになってます。
右端が見えませんが、画像をクリックすると全部が見えます。

ヒカルの碁(作画:小畑健 原作 :ほったゆみ)

2007-08-24 22:33:42 | 漫画家(あ行)
藤原佐為がいい。
美しい上に性格が可愛い。
だいたい、ああいう美形は性格に難有りという場合が多いのだが、素直だし表情豊か。珍種の美形である。(笑)

この漫画が始まった時、佐為を見てちょっと興味を持ったのだが、「碁」なんて全く興味がないし・・・ちょっとなー・・・という感じだったのだが、読んでみると結構面白い。
それで結局全巻揃えてしまったのだ。

ストーリーは一言で言えば、少年漫画の王道ともいえる、「少年の成長物語。」
ヒカルの前に現れる幽霊「佐為」は、少年を導く師匠的存在。・・・と考えると今までいくらでも作られてきた少年漫画と同じように思える。・・・が、あそこまで人気が出たのは何故か?
色々な要因が考えられるが、そのうちの一つとして忘れてはならないのが、小畑健の「画力」。
線は美しいし、背景や小物は非常に丁寧。碁盤など、驚くべき丁寧さで描かれている。
登場人物の描き分けもきちんと出来ている。
若い子たちを色々魅力的に描けているのはもちろん、おっさんの描写が非常にいい。
様々なバリエーションで描かれている。
背景の丁寧さ、とか、おっさんの顔なんて、ちょっと青年漫画的な感じもしない訳ではないが、青年漫画よりずっと華やかさがある為、青年漫画を読まない人たちにも非常に取っ付き易いものになっている。


これも似顔絵です。
2~3年前に描いたのかな?
まだこの時はパソコンでの色塗りやってなかった頃です。


銀河英雄伝説  (作画:道原かつみ 原作:田中芳樹))

2007-08-22 22:39:04 | 漫画家(ま行)
この作者の絵は、軍人を描かせると非常にいい。
指先まで、ピシッと力が入っているというか、いかにもキビキビしているような感じが上手く表現出来ていると思うのだ。

原作は10巻あって、これは原作の2巻ぐらいまでだったと思うが全部漫画化して欲しいものである。

誰が好きかと、尋ねられると、やっぱりヤンと答えるでしょうね。
美形のラインハルトもいいけど、やっぱり顔じゃないですよ。
男は中身で勝負!!です。(日頃、美形がいい!!と言ってるわりに結構そうでない方が好きだったりする・・・)(笑)
ラインハルトって、シスコンだし、わがままだし、・・・たぶん一緒にいたら疲れると思うんですもの。それに比べてヤンは疲れない。
ただし、私もどちらかと言うとぐーたらな性格だから、ヤンのお世話は出来ないなー。
どーしよう?(笑)

この画像・・・似顔絵です。似ていなくてもお許しを!

楳図かずお恐怖劇場

2007-08-21 09:08:30 | 漫画家(あ行)
(2005年10月28日発行)

「蟲たちの家」「絶食」「まだらの少女」「ねがい」「プレゼント」「DEATH MAKE」の6作品が収録されている。
実写映画版DVDが出来た時に発行されたもののようだ。

描かれた年代が随分違うので、絵柄もかなり違っている。
この表紙の中央部分の絵は「まだらの少女」。
かなり古い作品だ。

これを子供時代にリアルタイムで読んだ経験のある者は今でもこの恐怖を忘れてはいないだろう。
楳図かずおの名前を聞いただけで「へび女」が頭に浮かんできて、思わず、
「ギョエ~~~~!!」
・・・と、叫んでしまうかもしれない。

「ねがい」に出て来る人形も実にブキミだし、
「プレゼント」に出て来るサンタクロースは実に怖い!!

これらの作品が実写版になってるなんて・・・。
観てみたい気もするけど、もしもこの漫画以上に怖く出来上がってるのなら・・・
恐ろしすぎて、夜中にひとりでトイレに行けなくなってしまいそう・・・(笑)

哀しい人々 (あすなひろし)

2007-08-21 00:25:14 | 漫画家(あ行)
(昭和52年~昭和55年発行)

これを初めて読んだのは20代前半だった。
いい作品だな~。と思った。

それから数年に一回程度フト手にとって読んでみる。

自分が歳をとれば取るほど、この作品の「哀しさ」が身にしみてわかってくるように思える。

<1巻、表紙カバー折り返し部分の説明文より>
ビルの谷間に、ひしめく群衆の中に、哀しみを背負った男と女の影が流れる!
流れる雲に放浪を知り、くりかえす波に倦怠を感じ・・・・・・それでも生きる哀しい人々の哀しい物語!
あすなひろしの哀切の珠玉集!


これは短編集なのだが、どれも全て素晴らしい。
世の中のいいことも悪いこともいっぱい見てきた<大人の哀しみ>

誰もが皆、精一杯生きようとしている。
誰もが幸福になろうともがいてる。
そして誰もが自分の周りの人たちの幸福を願っている。


コピーライターの糸井重里は彼の作風を「真っ昼間の悲しさ」と評したらしい。
確かにそういう感じの作品だ。

<哀しい>という言葉には
一言で言い表すことの出来ない何かが詰まっている。
一人ひとりの人生にあった
楽しいことばかりではない人生の重み。

決して大声を出して泣き喚く悲しみではない。
じわ~っと涙が溢れてくる、そんな哀しみだ。
そして、そういう哀しみには心の奥底にほんのり温かいものが必ずあるのだ。


座敷女 (望月峯太郎)

2007-08-20 09:25:06 | 漫画家(ま行)
いやぁ~~、怖いですねぇ~~~。

まず、表紙が不気味。
手前に寝ている男性の顔。奥に半分開いたドアの所に立つ髪の長い女。
蝶が2匹、蛾が1匹飛んでいる。(何故「蛾」なんだ?)
左に薔薇の花が1本。右は何故か木々が生えた外の風景。
裏表紙は表紙の上下逆になった「絵」。

これだけで、これから読もうとする読者に十分「不気味さ」とか「不安感」を与えてくれる。

冒頭部分、雷の鳴る怪しげな雲行きの天気。
どこにでもあるような、安っぽいアパートの全景。
下から見上げるアングルの階段。
各部屋に続く通路部分。
これは、単なる情景描写ではなく、実は「座敷女」の視点だと後でわかるが、そのあと、主人公が初めて見た「座敷女」の姿の描写が、ある意味凄い!

左手首の傷跡。不気味な顔。何故か紙袋。擦り切れた靴。
もうこれだけで十分不気味な女だという事が感じられる。

その後、主人公の「森ひろし」に対してストーカー行為をするわけだが、

100m10秒を切るロボットみたいな走り方で、いつまでも追いかけてくる。
空手している男性が何度蹴りを入れてもゾンビのように立ち上がる。
やる事は勿論、異常なストーカー行為。

こんな女現実にいないよなー、と思いつつ、いるかも?…と、フト思ってしまうところが怖い。

ラスト、結局どうなったのかわからないのも妙に不気味。

ただ単に「怖い」というより、じわじわ来る「不気味さ」の感じられる作品…かな?

黒鷺死体宅配便 (作画:山崎峰水 原作:大塚英志)

2007-08-19 08:31:27 | 漫画家(や・ら・わ行)
かなりグロい死体がいっぱい出てくる。

全体的にあっさりした感じの絵柄のせいか、「おどろおどろしさ」というものは、そう感じないが、普通の状態ではない死体ばっかりなので、やはり気持ち悪い!(気持ち悪いのなら、読むなよな!…っていうツッコミはしませんように)

主人公が死体に触ると死体の声が聞こえる。という設定で、死体の望みを叶え報酬を貰うという仕事をする。…死体の声が聞こえるというのは、ホラーものの設定としては、目新しいという程のものでもないかもしれないが、仏教大学の学生たちが会社を作るという設定が面白い。

結構かる~いノリで、一種の青春学園漫画的に見えないこともない。(そうかな~?)
スタッフになる学生たちのキャラも個性的だし、3巻目から出てくる、どう見てもヤクザにしか見えない元刑事の福祉課の笹山さんも面白そうなキャラではあるが、「死体」の方がインパクトありすぎなのか、キャラの魅力が今ひとつ出し切れてない感じがする。

今、4巻まで出てるのかな?私はまだ3巻までしか読んでないのだが、唐津九郎の背後に憑いているうしろの百太郎のような霊?の説明なども今後あるのかな?もう少し読んでいくと、もっと面白くなるのかな?今後に期待。という感じかな?

*↑この文章は2005年6月に書いたものです。
現在は6巻まで出てるのかな?
結構気に入って買い続けてます。