本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

地獄に墜ちた教師ども (蛭子能収 )

2007-07-31 11:18:20 | 漫画家(あ行)
(1981年発行)

「ガロ」「Jam」「ピラニア」に1974年~1981年に掲載された短編作品が載っている。

この作者の場合、漫画作品より本人自身の方が有名なのではないだろうか?
時々、TV出演しているが・・・何ともいえない独特のムードの人だと思う。
所謂「漫画家」というイメージではない。
そのへんでぶらぶらしているおっさん?というイメージか?(ごめんなさい!・・・笑)

こういう雰囲気の漫画を私が持っているのは訳がある。
実は通信販売で作者名とタイトルが面白かったということと、「青林堂」から出ているというそれだけの理由で買ったのだったと思う。(何しろ、古い話なのでよく覚えていない・・・笑)
当時はまだ、「蛭子能収」という人物を全く知らなかったのだ。

・・・で、本が届いて・・・どう思ったかというと、
よく覚えていないのだ。たぶん、好みのものではなかったのでがっかりしたのだろう。
その後、TVで作者が出てきた時、そういえば、本を持っていたな~。
とは思ったけれど読み返す事はなかった。

今回20年以上たって、読み返したのだが・・・
面白いのかどうか正直言ってよくわからない。
ただ・・・一気に全部読んでしまった。
私はつまらないと思うと読まない(読めない?)性格なので、
読んでしまったということはどこか魅力があるのだと思う。

何故かすぐに暴力をふるい、血がガバーっと噴出したり首がぽろりと落ちたり・・・
バックには時々意味も無くUFO?が飛んでいるし、
パチンコだのマージャンだの競艇だのギャンブルネタが多いし・・・
何故か背景に「標語」?みたいなものが書いてあったり・・・
とにかく訳のわからない「蛭子ワールド」なのだ!?


この本の最後に「南伸坊」の解説が載っているので一部抜粋してみる。
『なんだかわかんないけど面白い、
というようなものほどコワイものもないが、
なんだかわかんないけど面白いものほど面白いものはないのだ。
蛭子能収のマンガが面白いのは、
それが我々の抑圧された欲望である夢でありつまりは人間の不思議さを、
かいま見せてくれるからにほかならない。』


あの作者から受けるイメージそのまんまの訳のわからない?不思議な?作品である。(笑)


瞳子 (吉野朔実)

2007-07-30 09:14:06 | 漫画家(や・ら・わ行)
(2001年発行)

装丁に凝っている本が好きだ。
この本もちょっと凝っている。
紙の質。遊び紙。それに最近ではほとんど見かけなくなった紐(どういう名前で呼べばいいのか知らないのだけど、所謂<栞>と同じ用途で使われるアレのこと)までがついている!!

画像では分かりにくいかもしれないが、表紙の絵は周りの植物以外は線ではなく凹凸をつけているだけなのだ。
こういう表紙はかなり変わっている。
・・・が、かなり地味な印象になってしまっている。
一見、漫画というよりは小説なのかな?という印象を受ける。
ブックデザインをした人はそういう狙いだったのだろうか?

内容は、大学を卒業しても就職もしていない<瞳子>という主人公の、
家族との交わり、二人の男友達のこと、バイトした話・・・
などを元に、こういう年頃に多くの人が抱える<漠然とした不安>を見事に表現している。

作者はこの作品を
その頃実際にあった自分とか友達とかのエピソードを微妙に混ぜ込んで作ってある。とあとがきに書いていた。
なるほど・・・妙に<現実感>があるのは、そのせいか・・・。

『年月がたったので距離が出来て、当時の自分や周りのことを他人事のように見ることが出来るようになったのかもしれません。
年齢を重ねると少しずつ人生の謎は解けてきますが、だからといって不安が無くなるわけではないし、情緒が安定するわけでもありません。』


表紙の絵が<線>でなくて、まるでそこに存在しつつ、存在していない。
見るものにある種<不安感>を与える・・・という感じにしているのは、
ちょうど<瞳子>の状態を表しているのかもしれない。


8マン (原作:平井和正 作画:桑田次郎(二郎))

2007-07-29 22:39:18 | 漫画家(か行)
(少年マガジン 1963年<昭和38年>4月より掲載)

リアルタイムで白黒のアニメ「エイトマン」を観ていました。

♪ひかる~うみ、ひかる大空、ひ~か~るだい~ち・・・♪
ちゃ~んと歌も歌えます。(笑)

哀しみのヒーロー

・・・ってよく言われますよね。

内容も、まあ、<ロボットの体になってしまった人間>とか<さち子さんとの愛>とか考えると確かに<哀しい話ではある。
しかし、それ以上に哀しいことは、この作品のラストを桑田次郎本人が描けなくなってしまったことだろう。
<拳銃不法所持による逮捕>である。
最終回は<まんが・楠たかはる>として掲載された。
↓ここで幻の最終回を読むことが出来る。
http://dribox.g-serve.net/manga/sakuhin/8mn/8end/8end.htm

アシスタントが描いたから8マンの雰囲気はある程度出ている。
・・・が、やはり桑田次郎にはかなわない。

26年後・・・1990年に桑田二郎(次郎ではない!)がその幻の最終回を描いた。
・・・が、ペンタッチが全然違うし、雰囲気も全然違う・・・。
う~~~~ん。
26年の歳月の長さ、その間の桑田自身の心境の変化・・・
まあ仕方の無い事だろうけれども、残念だ。実に残念だ。

原作者の平井和正が「8マンとわたし」という文章を書いている。
その中から一部抜粋してみる。

「8マン」は悲運のヒーローであり、その後も、復活を囁かれながら、いまだに再起を遂げてない。
だが、わたしは思う。桑田次郎(二郎ではなく)の描いた「8マン」は、それ自体で完璧であって、他の「8マン」の存在を許さなかったのではないか。
「8マン」はいつ見ても、完璧に美しいフォルムの持主であり、それがゆえに、いつも新しく、決して古びない。三十余年をけみした今も、「8マン」は異様に新鮮だ。


「8マン」は桑田次郎にとっては、
子供ごころで描けた、最後の作品
であったらしい。
その後、三十代に入ってからは、段々に大人の意識が働きはじめ、それと共に、自分の描くものの中の、子供ごころの気の波動も消えていった

子供ごころが消えた桑田二郎が「8マン」を描いてもそれは「8マン」ではない。
26年後に描いた最終回も、
そしてこの本に収録されている1995年に描いた8マンのカラーイラストも
残念ながら「8マン」ではない。

あの深い哀しみを瞳の奥に湛えた「8マン」のまなざしを再現することは永遠に出来ないのだろう。


グルービィ ナイト (吉野朔実)

2007-07-29 17:52:44 | 漫画家(や・ら・わ行)
(ぶ~け昭和56年9月号~11月号 連載)
1927年のマンハッタンを舞台に
マフィア、踊り子、殺し屋、たちが登場する
ロマンスとスリル溢れる作品。

という感じ。
あくまでも少女漫画だから、マフィアとか殺し屋とか言っても少女漫画風。
こんな殺し屋いる筈無い!
とか・・・こんな色気の無い踊り子いる筈ない!!
とかは、言ってはいけない”お約束”!!(笑)


バカモン! 波平、ニッポンを叱る (永井一郎)

2007-07-28 11:55:40 | その他
(2002年発行)

<帯の言葉より>
日本一有名な親父の「早く効く」説教集

(効能)無責任・わがまま・自分勝手・官僚主義・バカ等の症状緩和
(用量)しつけができない親・・・一冊
    キレる子供・・・・・・・一冊
    いい加減な教師・・・・・一冊
    無責任な役人・・・・・・一冊
    手前勝手な上司・・・・・一冊

アニメ「サザエさん」の磯野波平役で三十三年。
全国のお茶の間にその「声」を知られるカリスマ声優が「波平」として日本に渇!

「人を殺してはいけない理由」から
「正しい酒の飲み方」まで
「磯野波平」が大説教。



真面目に誠実に生きてきたおっさんが、真面目に真剣に世間に対して物申す!・・・そういう感じの本。
こういうおっさんって、どこにでもいそうなのに探してみると案外少ないのかもしれない。
もしかすると絶滅危惧種・・・なのかもしれない。(笑)

私は結構こういうタイプのおっさんが好きなのです。
だから、たぶんこういうタイプのおっさんとは意気投合するんじゃないのかな?


「波平は子どもたちに、良俗と常識を教えとる。
人生になにが大切かきちんと教えとる。
ちっとは勉強せんか、というようなことは言うけども、
成績が悪いからといって、がみがみ言ったりはしない。
そのかわり、良俗や常識にもとるようなことをやったら、波平は怒るよね」


波平のような親父が、日本にもっと増えて欲しいものです。

透明人間の失踪 (吉野朔実)

2007-07-27 09:23:00 | 漫画家(や・ら・わ行)
この作品が掲載されていたのは「月刊flowers」らしい。(リアルタイムで読んでいないので、「らしい」という表現になってしまう)
この雑誌のキャッチコピーは
「珠玉の少女まんが進化型」・・・らしい。

つまり・・・「少女漫画を卒業出来ないがレディースものは抵抗がある」といった元少女たちの為の雑誌・・・なのかな?

ま、それはどうでもよいのだが、この作者の持つ何とも言えない独特のムードはまさしく「珠玉の少女まんが進化型」に相応しいものだと思う。

・・・で、この作品。
自分の付き合っている男が約束の時間に現れなくて心配になった主人公が、男の家に訪ねて行くと男が今まで言ってたことが悉く嘘だという事が判明していく。
名前も経歴も家族も全部ウソ!何人もの女と付き合ってて、しかも金目当てらしい事がわかり、絶望感に襲われる。
ところが、家に帰ると彼が居て、自分は地震の死亡者リストに名前があって死んだ事になっている。と言う。
しかし、本当はやっぱり金目当てだと気付いた主人公は、彼を・・・。

・・・という、ストーリー。何だか短編小説を読んでいるような感じ。
時々効果的に使われる「見開き1コマ」のページ。
淡々とした語り口。
ラスト4ページに説明はないのに、結局どうなったか読者には非常によくわかるという表現がとってもいい。

「透明人間の失踪」・・・タイトルセンスが実にいい。

極楽りんご (林正之)

2007-07-26 09:15:19 | 漫画家(は行)
(1巻は平成5年発行)

これは長女の買ってきた漫画。
私とは随分シュミが違います。(笑)
先日、たまたまこれが目に入って読んでると、それを見た長女が一言。。。
「お母さんがそれを読むとは思わなかった!」
・・・私もそう思う。。。

たま~~~に、暇な時、こういうのを読むのもいいものです。
絵自体は結構綺麗な線だし、話も訳がわからない面白さがあるし・・・ね。

いい日本語を忘れていませんか 使い方と、その語源 (金田一春彦)

2007-07-25 06:06:04 | その他
(2002年発行)

私が高校生の頃からず~~~っと愛用している三省堂の<新明解国語辞典>の編集者の欄には
金田一京助と金田一春彦の名前がある。
そのせいか、金田一春彦と書いてあると即その本を手にとってしまうのですよね。

こういう本はたまに、ふと読んでみたくなる。
ちょっとだけ勉強したような気分にも浸れるしね。(笑)

・・・で、この本、
元々は「日本古典語典」(東峰書院)として刊行。
その後「古典おもしろ語典」(大和出版)として改題刊行され、
さらに、それに加筆、再編集して刊行したものらしい。

本のタイトルがどんどん変化しているのが実に興味深い。
同じ内容でも、たぶん最近は「日本古典語典」なんていうものだったら手にとってもらえないんだろうね。
しかし、長いタイトルが流行ってるとはいえ、
「いい日本語を忘れていませんか 使い方と、その語源」
内容がズバリわかっていいんですけどね、
これはちょっと長すぎませんか?(笑)

JRのこわい話 (西本裕隆/所澤秀樹 共著)

2007-07-24 08:41:03 | その他
(平成9年発行)

<裏表紙の説明文より>
人は本当にこわい目にあうと
笑い出すそうです
もし、あなたが
そんな臨死体験にも似た
恐怖を味わいたければ
夜、ひとりでこの本を
読んでみて下さい
あなたはきっと
笑い出すはずです
ひきつった声で……



う~~~ん、夜、ひとりでこの本読んだけど笑い出さなかったな~~。(笑)
・・・って、生まれてこの方、笑い出すほどの恐怖は味わった事ないんですよね。

この本、漢字に全部ルビが振ってある。
小・中学生向きっていうわけかな?

<本当にあったメチャこわい話>というコンセプトで出している本だからか、
真実味を出すためなのか全ての話がどこで起こった話か書いてある。
例えば、因美線・岡山県物見トンネル・・・とか、篠ノ井線・長野県塩尻駅界隈・・・という感じ。
その近くに住んでいる人で興味のある人は行って下さい・・・なんて書いてるんだけどね。
まあ、いいんだけどね。
トンネル工事で亡くなった人や列車事故で亡くなった人が幽霊になっているという話も多いのよね。
そもそも、そういう事故がそこで本当にあったのかどうかはわからないけど、
実際に亡くなった方たちの残された家族にとって興味本位で語られる幽霊話はあまりいい気分にはならないと思うのよね。
子供向けの怪談話だから本当にあった・・・なんて書いていてもまあ真実味はないんだけどね、あまりにも具体的な場所を書いてたりするのはちょっとな~~って思ってしまうわけです。
しかも、興味本位で、そういう場所には行って欲しくないな~。

霊ナァンテコワクナイヨー (美輪明宏)

2007-07-21 08:00:27 | その他
(2004年発行)

TVで時々お見かけする美輪明宏さんは黄色い髪で派手な衣装、派手な化粧をしたおばさんのようなおじさんなんですよね。(笑)
若い頃の写真はなかなかの美貌。
私のイメージとしては「ヨイトマケの唄」や「黒蜥蜴」。
「もののけ姫」のモロの君、「ハウルの動く城」の荒地の魔女の声もしてましたね。

・・・で、最近は本を出したり「オーラの泉」に出演したり、霊感があるってことが結構有名になってるみたい。

この本は、
<人間界と霊界のしくみ><霊的開運法>や、自分の霊体験にまつわるエピソードなどが書かれている。
小説家である佐藤愛子さんの北海道の別荘での幽霊談などが興味深い。

結論として一言でいうならば、

<霊イコール人間>ってこと。

霊と人間は肉体があるかないかの違いだけで、
人間にいい人もいれば悪い人もいるように、霊にもいい霊と悪い霊がいるそうです。
つまり、霊は人間と同じなのだから怖がらなくていいってことのようです。

日本の恐怖怪談 (冬野次郎とキーツプロ編著)

2007-07-20 13:11:14 | その他
(1993年発行)

この世への未練か怨念か因縁か……
今夜もまた、成仏できぬ
霊魂の叫び声が聞こえる……
心臓も凍りつく戦慄の実話集!



オーソドックスというか正統派というか、
純粋に怖さを楽しみたい人向けの本です。

一話が2~3ページ程度ですので非常に読みやすくなってます。
私は枕元に置いて寝る前にパラパラっと開いて、開いたページの話を数話ずつ読んでいきました。

この表紙の絵は、何十年か前っていう感じの格好をした女の子が描かれているだけなんですけど、
何となく怖いですね。
別に怖い絵ではないのに怖く感じる・・・何故なんでしょう?
そういう人間心理を考えると、ちょっと面白いですよね。

怪奇探偵の調査ファイル 呪いの心霊ビデオ (小池壮彦)

2007-07-19 08:32:52 | その他
(2002年発行)

<帯に書かれている言葉より>
「ホンモノ」か?
「ヤラセ」か?
そんな当たり前な疑問をぶっ飛ばす
心霊ビデオの見方を怪奇探偵が伝授します!
恐怖!幽霊映像・心霊写真・怪奇現象

ホンモノの幽霊の映像が見たい!
実際の怪奇事件を探る著者が500本を越える関連ビデオを徹底調査!
その調査の向こうに見えたのは……。



まあ、500本もホラービデオを観ただなんてたいしたもんです。(笑)

純粋に怖がって楽しみたいと思ってる人には腹の立つ?内容かもしれませんね。
ホンモノだと言われる映像の矛盾点を見つけて、やっぱりニセモノだ~!ってにんまりとしたい人に適してる本かもしれません。

私はあまりホラービデオっていうものは観ないけど、今まで観た中で一番印象に残ってるのは731部隊をテーマに作ったビデオかな?(これはホラーじゃないかもしれないけどね)
映像自体はニセモノだろうし、そこで行われたと言われていることが全て真実かどうか真偽の程はわからないけど、
まあ、要するに一番怖いのは死んでいる幽霊よりも生きている人間ということでしょうか?


伝染る「怖い話」 (別冊宝島編集部編)

2007-07-18 08:49:29 | その他
(1999年発行)

<裏表紙の説明文より>
地下鉄サリン事件の現場にはなぜ幽霊が出ないのか……
怪奇物件はいかにして現実社会で洗われてゆくのか……
四肢切断された「だるま女」の伝承の真偽は……
サイコパス系都市伝説から、バラバラ死体遺棄、呪いのビデオ、奇病、心霊事件、電脳怪異譚の深層まで、
世紀末ニッポンを跳梁する「ぶきみな話」「怖い話」の正体を追った怪作ホラーノンフィクション!


そろそろ暑くなってきて、怪談話の季節がやってきましたね。

たまには怖~~い話を読んだり、聞いたりして楽しみたいと思うのですが、
この本はそういう本とはちょっと違うのです。

巷に徘徊している「怖い話」が、一体どこから訪れるのか?
どのような軌跡を辿って我々の心に住み着くのか?

所謂「怖い話」を冷静に分析した本だ。
だから、怖さを期待して読むとイマイチ物足りないと感じる人もいるかもしれない。
因みにうちの娘などは「ちーっとも怖くないじゃない~!」
と、言っておりました。
単純に恐怖を楽しむのではなく怪談話を冷静に考えて解釈していきたい人向きかもしれない。

逃亡日記 (吾妻ひでお)

2007-07-17 16:54:40 | 漫画家(あ行)
(平成19年発行)

<「受賞する私」より一部抜粋>
「どーも
あじまです
この本は別冊漫画ゴラクに連載してたインタビューコラムに
語り下ろし描き下ろし漫画
おまけをつけ
私の生い立ち 漫画家になるまで他
むにゃむにゃなことを適当にまとめたものです
てかこれ
「失踪日記」の便乗本じゃないのっ」
編集部「そうですよ」
吾妻「……」
編集部「……」
吾妻「皆さん
この本買わなくていいです!
漫画だけ立ち読みしてください」



吾妻ひでおが失踪した場所を吾妻本人と何故かメイド姿の女の子の写真があったり、
まあ、吾妻ファンにはそれなりに楽しめるものになっている・・・かな?(笑)

「失踪日記」はベストセラーになり、「うつうつひでお日記」は大ヒットしたそうだけど、この本、うれたのかな~??

ヘルプマン! (くさか里樹)

2007-07-15 09:33:40 | 漫画家(か行)
(イブニング 2003年~ )

先日たまたまつけたTVにこの作者のくさか里樹さんが出演されていた。
介護をテーマにした漫画を描いているという。

申し訳ないがこの作者の漫画は一度も読んだ事がない。
「ケイリン野郎」というタイトルを聞いたことがあるっていう程度である。

しかし、そのTV番組を観て読んでみたくなり、図書館から借りてきたのだが、これはスゴイ!

介護の現場をかなりリアルに描いている。
介護虐待、高齢者性問題など、かなり取り上げにくいテーマにも真正面から取り組んでいるのだ。

個々のお年寄りの顔や身体つきも実にリアル。
食べ方、おもらし、暴れ方・・・実に、実にリアル。
認知症の老人のとまどい、周りの人間たちのとまどい、
そういった心理面も実にリアル。

リアルでないのは主人公の百太郎ぐらいか?(笑)

常に前向きで、規則よりも老人のことを真剣に考えて行動する百太郎。
介護する人間の理想ですよね。

そして、どんな悲惨な現実が描かれていてもラストはちょっぴり救いがある。

私には、どちらかというと漫画は現実逃避の場であって辛い現実から逃れたい場であるから、
こういう現実に即したものは実はちょっと苦手だったりする。

でも、こういう風に現実から目を背けずにきちんと描かれた漫画は非常に好感が持てる。
この作品は20代の若い読者も多いようだ。
若者も年配者も、いつかは全ての人が老いるのである。
今、年老いた人たちにどう接するか、今後、自分が年老いたときにどうするか、
多くの人たちが、色んなことを考えるきっかけになればいいな、と思う作品である。