本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

こなみかなた (チーズスイートホーム)

2011-01-29 23:35:37 | 漫画家(か行)
たまには人間同士の意思疎通が上手くいかないこともあったりして落ち込んじゃうこともあります。
そんな時にストレス解消といいましょうか現実逃避と言いましょうか、漫画を読むのが大いに効果があるんですよね。
・・・というわけで、
ちょっとばかり落ち込んでるような時に読むと心が和む漫画がこれ。
フルカラーで描かれた漫画です。
可愛くて可愛くて、猫好きにはたまらない!!

猫の動作を擬態語で表現しているのだけど、それが実に上手い!
猫を飼った事のある方は絶対に納得すること間違いない!!
どういう擬態語なのかは是非、この本を読んで確かめて下さいませ。
いろいろあって楽しいです。


こうの史代 (この世界の片隅に)

2010-08-25 22:37:38 | 漫画家(か行)
<出版社 / 著者からの内容紹介>
平成の名作・ロングセラー「夕凪の街 桜の国」の第2弾ともいうべき本作。戦中の広島県の軍都、呉を舞台にした家族ドラマ。主人公、すずは広島市から呉へ嫁ぎ、新しい家族、新しい街、新しい世界に戸惑う。しかし、一日一日を確かに健気に生きていく…。


この作者の描く漫画はどれもほっこりとして温かく、静かに微笑んでいるような雰囲気が漂う。
戦争反対!と大きな声で叫ばなくても普通に普通の生活をしている一般庶民をありのままの姿で描くことによって大声で叫ぶこと以上の効果があるように思えます。

戦争が好きな人なんていないと思うのに、人間は何故か戦争をする。
戦争をしようと決めた権力のある人たちが戦争で辛い目に遭うのは自業自得かもしれないけれど、何の力もない一般の民衆達が戦争に巻き込まれて、辛い思いをするのは理不尽だと思うのです。

どうすれば戦争のない世界になるのでしょう?
ひとりひとりが戦争反対!と思っていてもいつのまにか戦争が起こっているような気もします。
でも・・・やはり諦めずに戦争反対!と強く思うこと。
それが大事なのだと思います。

黄十浪 (雲漢遥かに 趙雲伝 3)

2010-02-04 19:15:22 | 漫画家(か行)
<Amazonの内容紹介より>
漢中の激戦、劉備との別れ、そして最後の戦い……。至高の武人・趙雲子龍の旅の終着点を見よ!

中国、後漢時代末期。曹操の南征という死地を脱した劉備陣営。荊州、そして新天地・益州を奪取し、流浪の軍団はついに曹操、孫権に肩と並べる第三勢力となる。そして要衝の地・漢中を巡り、劉備軍vs曹操軍の正面決戦が始まった。覇者・曹操という大敵を前に、趙雲は己が積み重ねてきた武の全てを出し切れるか!? そして趙雲が立つ最後の戦い、諸葛亮の北伐…。「三国志」屈指の武人・趙雲の生涯を描いた歴史浪漫、堂々完結!


真面目で誠実な趙雲を真面目に誠実に漫画化したっていう感じのこの作品。
ついにラストです。

空城の計の「子龍は一身すべてこれ胆」と劉備が感嘆した趙雲もカッコよかったし、
ラストシーン、タイトル通りの雲漢を見上げて語る趙雲も素敵でした。

趙雲の一生を語るには三巻ではちょっと少なすぎたかな?
もう少し長く、この趙雲の勇姿を見ていたかったなあ。

小林まこと (青春少年マガジン 1978~1983 )

2010-01-08 20:36:13 | 漫画家(か行)
この作品、本当に青春だな~~!って思います。
楽しかった事、辛かった事、友だちと馬鹿なことをやった事、頑張った事、嬉しかった事・・・。
いろんな事がいっぱいあって、悩みながらも頑張った自分にご褒美をやりたいような、
もう一度あの時に戻ってやり直したいような・・・。
遠い昔をふと立ち止まって思い出す自分が年取ったなあ・・・と少し寂しく思えてしまったり・・・。


昔、森田公一とトップギャランというグループが「青春時代」っていう歌を歌ってました。
その歌詞の中に
<青春時代が夢なんて後からほのぼの想うもの>っていう箇所があったけど、その歌を聴いてた当時の私はまさしく青春時代のど真ん中!
なるほど・・・<あとからほのぼの想うもの>なのね。
って、何となく分かったような気分になってたけど、実際完璧に青春時代とは言えないような歳になってしまった今、この歌詞が深く深くわかるような気がします。

あの頃の自分に会うことが出来るなら、
そして・・・何かを言ってやれるのなら・・・
何を言ってやればいいのだろう?

褒めてやるのか、励ましてやるのか・・・
それとも、叱り飛ばすのか???

さてさて・・・どうしようかな?

小林まこと (格闘探偵団)

2009-08-10 08:58:31 | 漫画家(か行)
あの「1・2の三四郎」の東三四郎が何故か探偵をしている。
何故か・・・と書いたけど、その理由は勿論これを読めばすぐわかる。

探偵はしてるけど、三四郎が普通に大人しくやってるわけがない。
格闘シーンも当然ある。

4・5巻では自閉症児が登場する。
その扱いがとっても自然で好感がもてる。

この作者の力強いペンタッチが好きだ。
特に顔の表情。
そして口!!!
あんな口を描く漫画家は他にいない・・・と思う。

読んでて、口の表情にばかり目がいってしまう。

あ~、それから、胸!!
女性のふくよかな胸!!!

志乃の豊かな胸に顔をうずめてみたいと思っている男性読者は多いに違いない!(笑)

女性の身体を実に魅力的に色っぽく・・・それでいていやらしくなく、
健康的な色気とでも言えばいいのだろうか?

そして、格闘シーンの迫力!あの力強さ!!

とにかく、この豪快さは癖になる楽しさだ。

木原敏江 (ユンター・ムアリー―摩利と新吾欧州秘話)

2009-06-25 21:45:40 | 漫画家(か行)
高校生の頃、<摩利と新吾シリーズ>が大好きでした。
この作品は、「摩利と新吾」番外編。
新吾と離れヨーロッパで暮らす摩利が出会った個性的な乙女たちの話です。

こういう後日談が描かれてたとは知っていたような、知らなかったような・・・。
何れにしろ、読んでなかったのは確かです。

・・・で、図書館にあったので借りてきて読んでみました。
結構面白く読むことが出来ました。
本編の<摩利と新吾シリーズ>は今読むと・・・
あの頃の私の青春時代を思い出して懐かしく思うだろうけれど、作品自体を面白いと思えるかどうかはちょっとわかりません。
あまりにも、青すぎて恥ずかしくなるかもしれません。

摩利はヨーロッパにいても相変わらず、新吾のことを想い続けてます。
時代設定が現代ではないから仕方ないけれど、
現代だったらBLジャンルで摩利の想いも叶った・・・?
いえいえ、この二人は今のままの関係が一番素敵ですね。
摩利にはかわいそうですけど・・・。

くらもちふさこ (天然コケッコー)

2009-04-26 19:16:25 | 漫画家(か行)
恥ずかしいことに、これを書く時になって初めてこのタイトルが「天然コケッコー」だと気がつきました。
実はそれまで「天然コケコッコー」だとばかり思ってたのです。
恥ずかしい私・・・。(笑)



高校生の頃はくらもち作品は読んでたのだけど、その後読んだ事はなかった・・・と思ってたら後で気がついたのだけど「アルファ」を読んでました。
すっかり忘れてました。
最近は読んだ漫画をすぐに忘れてしまいます。
物忘れがひどくなってきてます。
年のせいでしょうか~?(苦笑)

ま、とにかく、
先日図書館でこれを見つけて、懐かしいな~って思って借りてきました。



しばらく見ない間に随分絵が変わってしまったなっていうのが第一印象。
コマ割り、構図も随分斬新な感じ。
線も洗練されていて単なる少女漫画っていう感じではない。

内容も心理描写が上手く、演出もすばらしい。

これはきっと何かの賞を受賞してる筈だと思って調べてみると、やっぱり取ってました。
第20回講談社漫画賞受賞です。
あれ?掲載誌の「コーラス」は集英社だったはず。集英社の賞はとってないのかな?
ま、それはどうでもいいけどね。いろいろあるのでしょう。

田舎を舞台にばりばりの方言をしゃべる美少女(本人には自覚がない)と東京からやってきたかっこいい転校生のラブストーリー。
・・・って書いてしまうと普通の少女漫画みたいだけど、絵柄や表現の素晴らしさで少女以上の年齢層にも受け入れられるものとなってます。

・・・とはいえ・・・恋愛漫画の苦手な私は正直言うと読むのはちょっぴり疲れました。ごめんなさい。
ほのぼのとした中・高校生の恋愛漫画が好きな人にとってはきっと読み応えのある作品だと思います。

黄十浪 (雲漢遥かに 趙雲伝2)

2009-04-15 10:39:34 | 漫画家(か行)
<Amazonの内容紹介より>
劉備軍最大の危機・長坂坡の戦い!
圧倒的劣勢の中で、武人・趙雲の武勇が圧倒的な光を放つ!

中国、後漢時代末期。
乱世において己の進むべき道を探す青年・趙雲は、呂布軍の武将・高順と出会う。
高順の生き様と死に様から武人の心得を学んだ趙雲は、劉備と再会し、これを劉備を生涯の主君と定める。
劉備の秘めたる大望を知った時、そこにかつて関羽・張飛の豪勇に臆した新兵・趙雲の面影は無かった……。
そして曹操の大軍が荊州に侵攻する時、ついに趙雲はその武勇を極限まで開花させる!



先日TVで「レッドクリフPart1」をしてましたね。
映画館に観に行きたいと思いつつ、行けなかった私は大喜びで観たんだけど、
一緒に観てた長女とダンナは途中から眠くなった・・・と言って寝てしまいました。
面白かったんだけどね~。

この映画は長坂坡の戦いの場面から始まるわけだけどなかなか迫力のあるシーンでした。

・・・で、
この漫画も今回の最大の見せ場が長坂坡の戦い!!

趙雲が大活躍する場面です。

漫画では阿斗を鎧の胸の部分に入れるんだけど、映画では荷物のように背中に斜め掛けにしてました。
自分の前に赤ん坊を抱えた状態だとイマイチ動き難いとは思うんだけど、
背中だと後ろから攻撃されるとすぐに死んじゃいそうだし、映画で観てると阿斗がめちゃくちゃ背中にぶつかってたような・・・。
勿論、撮影では赤ん坊を実際に入れてたわけではないと思うんですけどね、
阿斗、大丈夫か~!!・・・って、そればかりが気になって気になって・・・。

やっぱり阿斗は前に抱えるべきだと思ったのは私だけでしょうか?(笑)

しかしね、阿斗がこの時死んでいたら後の劉禅は存在しなかったわけですよね。
劉禅ってあんまりいい印象がないんだけど、この時死んでたら歴史は変わってたのかなあ?
それとも、結局劉禅に似たような子どもがまた生まれてたのかなあ?




とにかく今回の趙雲カッコイイです。
阿斗を抱える時に自分の髪の毛をくくってた紐を外したとき。
船に戻るときに馬で岩の上を飛ぶシーン。などなど・・・
是非是非見て下さいませ。

くらもちふさこ (α)

2008-11-02 20:40:36 | 漫画家(か行)
出版社/著者からの内容紹介
ある時は某国のお姫様とその忠実な家来、またある時は資産家の娘とそのいとこ…。若き4人の「俳優」たちが演じる変幻自在のパラレル・ワールド!


劇中劇とそれを演じる役者たちの物語。

構成が抜群に上手い。
人物の表情も上手い。
劇中劇の話がどれも面白い。

・・・っていうわけで、非常にいい作品だと思います。


この方の作品を取り上げるのはこれが初めてだと思います。
実は自分では一冊も持ってません。
これも図書館で借りてきたものです。
私は恋愛要素が入ってるものってちょっとイマイチ苦手なんです。
ギャグっぽいものならまだ大丈夫なんですけどね。
もしかして私の感性っておっさんくさいのだろうか?(笑)


これ、寝る前に読んだんです。
そのせいか、見た夢も何故か少女漫画っぽいものだったような・・・(笑)

黄十浪 (雲漢遥かに 1巻)

2008-09-24 01:01:26 | 漫画家(か行)
(2008年8月31日発行)

日本人って、「三国志」とか「水滸伝」とか「西遊記」とか・・・中国古典を好きな人が多いようですね。
いろんな人が小説や漫画に描き、ゲームもあったりします。
私も三国志が好きになったのは「三國無双」からなんですよね。

日本と中国は国と国としてはイマイチ仲が良くないのかもしれないけれど、こういった民間レベルで相手の文化を知るってことはいいのではないかと思うんですけどね。

三国志を題材にしている漫画作品を専門に掲載している
『コミック三国志マガジン』などという三国志ファンにはたまらないものがあるのです。
http://comics.yahoo.co.jp/magazine/sangokushi_0001.html

・・・で、今回取り上げた「雲漢遥かに」も実はここ↑で無料で読めちゃったりする。

若き日の趙雲を主役にした作品で、誠実で強くて頼りになる趙雲をイメージ通り丁寧に描き出している。
趙雲って、私の頭の中ではアクの強い関羽とか張飛に比べると真面目すぎてイマイチ影の薄い存在(趙雲ファンの方ごめんなさい!)なんだけど、
この作品を読んで、苦悩しつつも前に進もうと努力する趙雲の姿を見て、以前よりも私の中での趙雲の好感度がかなりアップしたのです。(笑)

表紙カバーをはずすと、ペン入れ前の下書き状態の趙雲を見ることが出来る。
躍動感があり生き生きとしている趙雲がステキだ。
一番いいなあって思った趙雲は第三話の前のページ(70P)かなあ。
趙雲って、人間的に実に魅力がある人物なんですよね。
こういう表情で周りの人々を味方につけていったのかもしれない。
そういう趙雲の魅力を上手く表現しているカットだと思うのです。

三国志好き、特に趙雲ファン必読の書です。
これから、趙雲がどう成長していくのかとっても楽しみです。

ブレーメンⅡ (川原泉)

2007-11-27 19:21:19 | 漫画家(か行)
人権教育のテキストにしたら、いいのではないだろうか?・・・という感じの作品。

数の少なくなってきた人類の助けになるだろうと、人間並みの知能を持った動物たちが創りだされたが、大方の人間たちが差別をする。
それでも純粋な動物たちは、真面目に仕事をする。

テーマは「差別」?・・・なのだろうか?
この作者独特のちょっととぼけた感じで押し付けがましくなく、さらりと描いているので、読む年齢や感覚によっては、人権問題を取り上げているとは、あまり感じない者もいるかもしれない。
そういう感じが非常に良い。

絵については、線のタッチとか、顔は好きなのだが、殆ど顔のみのコマが続くのが少々気になる。・・・まあ、個性と見るべきか???

レナード現象には理由がある (川原泉)

2007-10-24 10:10:36 | 漫画家(か行)
(平成18年発行)

これの感想ってちょっと難しい。
いつもの癒し系の川原ワールドであることは間違いないのだが、
あるサイトで<差別・人権侵害>だという意見があったから。。。

「真面目な人には裏がある」
という作品で同性愛を扱っているのだが、同性愛者は親不孝だという風に描かれている・・・
と言うのだ。
う~~~ん。
今回この作品を読んで私にはそういう風には思えなかったのだが、まあ、受け取る人によってはそう感じる人もいるっていうことなのでしょう。
なかなか難しい問題ですね。

私は、この作品が<差別>だと言うのなら、もっと他の部分の差別感の方が気になります。

<後腐れのなさそーな軽めのタイプを選んで適当に付き合っている>という塔宮拓斗。
彼が狙う相手はユリアナ高校で、その高校の説明として、
<女子高・偏差値は・・・とても可愛らしい数字・スカート丈が短くて見てるとハラハラする>
・・・といった表現をしている。

つまり、偏差値の低い女子高生は短いスカートをはいて、男とすぐに遊ぶ子が多い。
・・・っていう風にとれる。
それってやっぱり差別じゃないのかな~?
自分の息子が同性愛者だったことに驚く両親・・・っていうよりもこういう学校の生徒はこういうタイプの子が多い・・・という事を肯定してる方が偏見としてあまりにも一般的すぎて怖いような気がする。

「あの子の背中に羽がある」
この話に出て来る<小学生の女の子を狙った悪質な連れ去り犯>は、
<ロリコン・変態・超・気持ち悪い・変質者は死刑にするか一生どっかに閉じ込めときゃいい>
と言われ、その犯人の姿は小太りでメガネをかけた、いかにもロリコンオタクと思われるような感じをしている。
あ~~、一般的なオタクのイメージ通りの姿だと思うのよね。
漫画として描く場合、そういう風に描いた方が読者は納得するだろうし、説得力があるんだよね。
でもね~、<偏見>として考えたら、小太りでメガネをかけてて暗そうな男性全てが変態ではないんですよね。

もっと言えば、
試験の成績の悪い生徒を成績のいい生徒が<猿>を見るような目つきで見る。とか・・・

あ、「『ホモ』は差別用語みたいだから『ゲイ』って言ったほうが」
・・・と、作品中で言いながら
「『ゲイ』ってどーも語感が悪くて」
と、その後、『ホモ』っていう表現をしてるのもどうかな~?

細かく見ていくと、差別だの偏見だのと指摘しようと思えば指摘出来る箇所はいっぱいある。
しかしね、こういうのは川原作品だけではないと思うのよね。

漫画にしろ、小説にしろ、ドラマにしろ、映画にしろ、とにかくどれもこれも細かくチェックしていけば差別と偏見があふれてるかもしれない。
・・・が、差別や偏見というものは時代や国によっても異なるわけだし、手塚治虫の作品にだって今読むと多くの差別・偏見が描かれている。

商業誌に作品を発表するということは多くの読者に影響を与える可能性があるということで、
なるべくなら差別や偏見がないものがいいのだが、そういったものは夫々の個人の受け取り方によっても大きく違ってくるだろうし、非常に難しい問題なんでしょうね。


結局、作品中に細かい部分で差別だと思われる箇所があっても大きなテーマとしてそれが差別をあらわすものではなければいい・・・と簡単に言ってしまってはいけない??

結論として・・・今の所こういったことをどう捉えるべきなのか・・・悩み中・・・です。

8マン (原作:平井和正 作画:桑田次郎(二郎))

2007-07-29 22:39:18 | 漫画家(か行)
(少年マガジン 1963年<昭和38年>4月より掲載)

リアルタイムで白黒のアニメ「エイトマン」を観ていました。

♪ひかる~うみ、ひかる大空、ひ~か~るだい~ち・・・♪
ちゃ~んと歌も歌えます。(笑)

哀しみのヒーロー

・・・ってよく言われますよね。

内容も、まあ、<ロボットの体になってしまった人間>とか<さち子さんとの愛>とか考えると確かに<哀しい話ではある。
しかし、それ以上に哀しいことは、この作品のラストを桑田次郎本人が描けなくなってしまったことだろう。
<拳銃不法所持による逮捕>である。
最終回は<まんが・楠たかはる>として掲載された。
↓ここで幻の最終回を読むことが出来る。
http://dribox.g-serve.net/manga/sakuhin/8mn/8end/8end.htm

アシスタントが描いたから8マンの雰囲気はある程度出ている。
・・・が、やはり桑田次郎にはかなわない。

26年後・・・1990年に桑田二郎(次郎ではない!)がその幻の最終回を描いた。
・・・が、ペンタッチが全然違うし、雰囲気も全然違う・・・。
う~~~~ん。
26年の歳月の長さ、その間の桑田自身の心境の変化・・・
まあ仕方の無い事だろうけれども、残念だ。実に残念だ。

原作者の平井和正が「8マンとわたし」という文章を書いている。
その中から一部抜粋してみる。

「8マン」は悲運のヒーローであり、その後も、復活を囁かれながら、いまだに再起を遂げてない。
だが、わたしは思う。桑田次郎(二郎ではなく)の描いた「8マン」は、それ自体で完璧であって、他の「8マン」の存在を許さなかったのではないか。
「8マン」はいつ見ても、完璧に美しいフォルムの持主であり、それがゆえに、いつも新しく、決して古びない。三十余年をけみした今も、「8マン」は異様に新鮮だ。


「8マン」は桑田次郎にとっては、
子供ごころで描けた、最後の作品
であったらしい。
その後、三十代に入ってからは、段々に大人の意識が働きはじめ、それと共に、自分の描くものの中の、子供ごころの気の波動も消えていった

子供ごころが消えた桑田二郎が「8マン」を描いてもそれは「8マン」ではない。
26年後に描いた最終回も、
そしてこの本に収録されている1995年に描いた8マンのカラーイラストも
残念ながら「8マン」ではない。

あの深い哀しみを瞳の奥に湛えた「8マン」のまなざしを再現することは永遠に出来ないのだろう。


ヘルプマン! (くさか里樹)

2007-07-15 09:33:40 | 漫画家(か行)
(イブニング 2003年~ )

先日たまたまつけたTVにこの作者のくさか里樹さんが出演されていた。
介護をテーマにした漫画を描いているという。

申し訳ないがこの作者の漫画は一度も読んだ事がない。
「ケイリン野郎」というタイトルを聞いたことがあるっていう程度である。

しかし、そのTV番組を観て読んでみたくなり、図書館から借りてきたのだが、これはスゴイ!

介護の現場をかなりリアルに描いている。
介護虐待、高齢者性問題など、かなり取り上げにくいテーマにも真正面から取り組んでいるのだ。

個々のお年寄りの顔や身体つきも実にリアル。
食べ方、おもらし、暴れ方・・・実に、実にリアル。
認知症の老人のとまどい、周りの人間たちのとまどい、
そういった心理面も実にリアル。

リアルでないのは主人公の百太郎ぐらいか?(笑)

常に前向きで、規則よりも老人のことを真剣に考えて行動する百太郎。
介護する人間の理想ですよね。

そして、どんな悲惨な現実が描かれていてもラストはちょっぴり救いがある。

私には、どちらかというと漫画は現実逃避の場であって辛い現実から逃れたい場であるから、
こういう現実に即したものは実はちょっと苦手だったりする。

でも、こういう風に現実から目を背けずにきちんと描かれた漫画は非常に好感が持てる。
この作品は20代の若い読者も多いようだ。
若者も年配者も、いつかは全ての人が老いるのである。
今、年老いた人たちにどう接するか、今後、自分が年老いたときにどうするか、
多くの人たちが、色んなことを考えるきっかけになればいいな、と思う作品である。