本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

一條裕子 (わさび)

2008-12-18 09:24:01 | 漫画家(あ行)
<出版社からのコメントより>
帯刀家は当主で大学教授の帯刀隆太郎、妻の絹子、幼稚園の年長組に通う長男・隆之介、お手伝い・小原ふみの4人住まい。純和風の家屋の中で、純和風に暮らす帯刀家で日々繰り返される日常は、あるようでないようなちょっと変わった出来事に溢れている。


漫画に出て来る大学教授っていうのはかなりユニークなタイプが多いように思います。

漆原教授・・・「動物のお医者さん」(佐々木倫子)
柳沢教授・・・「天才柳沢教授の生活」(山下和美)
宗像教授・・・「宗像教授異考録」(星野之宣)
・・・などなど・・・

この作品に出て来る帯刀隆太郎もまた大学教授。
ただ・・・ほとんどが自宅での出来事なので大学教授という設定はそれほど重要ではないかもしれない。

お話っていうものは、ギャップが大きければ大きいほど面白さも大きくなるような気がします。
一般的に大学教授っていう職業に就いている者はお堅くて面白みゼロっていう印象を受けます。
そしてそれをどう料理して面白みを出すのかが作者の腕の見せ所なのかもしれません。

漆原教授は、頭の堅さなんて全くない変人ぶりだし、
柳沢教授は頭の堅さを極限まで突き詰めたような性格。
宗像教授はこれらの中では一番一般的な常識を持ち合わせてるような気がするのだけど、それは私がああいうタイプが好みだからそう思えるだけなのかもしれません。(笑)

帯刀隆太郎はかなり怖そうな顔をしたおっさんなのだが、その顔の表情が実に細やかに描かれていてそれがいい。
帯刀家の屋敷の中も実にきちんと描かれていてそれもまたいい。

ナンセンスというかシュールというか、
この作者の独特な笑いのセンスが実にいい。

漆原友紀 (蟲師 10巻)

2008-12-16 16:11:30 | 漫画家(あ行)
<降幕の刻。>

って帯に書いてあって、え~~~!終わっちゃうの~~!!
・・・と驚いたんですけど、本当に終わっちゃいましたね。

全巻最初から読み返してきちんと感想を書こうと思いつつ、
何だかんだと忙しくてまだ読み返してません。
まあ、とりあえず簡単な感想のみ。

この作品の世界観・・・何故か心が和みます。

行った事もなく見たこともなく、当然体験したこともない世界なのに何故か懐かしい。
日本の原風景とでも言うのでしょうか?

<蟲>というものの存在は作者の創造の産物なのだけど本当にそういうものが存在しているかのような気にさせられます。
<幽霊>でも、<妖怪>でもない<蟲>という存在。
自然とか生命とか人知を超えたものの存在。

文明が発達するにつれてだんだんと人々の心から失われていったものがここにある。
そんな気がします。

この時代は一体どのくらいを意識してるのだろうかと思っていたのだけど、
どうやらフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、

<時代設定については、作者自身特に設定はされていないそうだが、イメージは「鎖国を続けた日本」、もしくは「江戸期と明治期の間にある架空の時代」といった所との事。>

「鎖国を続けた日本」っていうのは、ああ成る程ね、っていう感じがします。
ただ、江戸期と明治期の間・・・というには江戸っぽさがあまりないような気がするのです。
私的には明治期と大正期の間の奥深い山村っていう感じがしてたのです。
都会は当然もっと開けてたんでしょうけど、田舎はこういう場所がまだまだあったのではないかと。

・・・ってまあ、そんなことはどっちでもいいんですけどね。
とにかく、実際にありそうで、実はどこにも存在しない・・・そういう世界なのでしょう。

ギンコのみが洋服で他の人たちが着物っていう点もかなり気になるところです。
これは一体どういう意図なのでしょう?

ギンコが<蟲師>で普通一般の人とは違う能力を持っているから、
それを表現しているんでしょうけどね、もう少し何か奥深い意図があるのではないかと
ついつい深読みがしてみたくなるのです。

まだまだ、言いたいこと感じた事はいっぱいあるんだけど、今回はこの辺で・・・。

波津彬子 (空中楼閣の住人) うるわしの英国シリーズ3

2008-12-12 11:28:21 | 漫画家(は行)
空中楼閣の住人とは
空想好きとか白昼夢にふけるとか・・・
そういう人たちのこと。

この話に出て来るヴィクターもそういう少年。
両親のいないヴィクターがひきとられた館で、
彼が想像することが次から次へと実現してしまう。

古い英国の館ならこういうことも起きるかもしれないな~なんて思ってしまう。

妖精や不思議な生き物達に会ってみたい。
ああ、日本でも妖怪がいっぱいいるはずですよね。

妖怪も妖精もまあ似たようなものですよね?
イメージ的に妖精の方が美しい響きがあるけど、
ウィキペディア(Wikipedia)をみても、<日本における妖怪に当たる>って書いてますしね。

う~~~ん?
妖精を妖怪と言い換えるとイメージが・・・・!(笑)

空想しただけで置物が動き出したり、
猫が人間の言葉をしゃべりだしたり・・・。

いいなあ!
そういう体験をしてみたいなあ!

中村光 (中村工房)

2008-12-07 22:36:09 | 漫画家(な行)
これがこの作者の初の単行本。(全三巻)

オムニバスのショートギャグ集です。
かなり個性的なキャラが次々と出てきます。
一話一話が短いのでかる~く読めます。

この本はこの人が描いた「聖☆おにいさん」が面白かったので買ってみたのです。
「荒川アンダーザブリッジ」に出て来るキャラの原型?が出てるし、「荒川アンダーザブリッジ」がお気に入りの人にはこの作品も読むことをオススメします。

・・・「荒川~」は新刊が先日発売されましたね。
古本屋で集めていて、あと3巻と5巻を残すのみになっていたのに・・・また増えてしまった!
もう古本屋で探すのを諦めて新刊で揃えてしまうべきか・・・悩む所です。(笑)

松本零士 (銀河鉄道999)

2008-12-04 09:52:48 | 漫画家(ま行)
(1977年~1981年、少年画報社「少年キング」掲載)

若い頃リアルタイムで読んでいました。

SF冒険活劇とでも言えばいいのでしょうか?
スリルとロマン溢れた作品で、メーテルは神秘的で美しく謎めいていて実に魅力的でした。

話は寓意的かつ教訓的。
ラストでよく羊皮紙(のようなもの?)に書かれていた言葉が好きでした。

例えば・・・

他人の手に
運命をゆだねて生き残れるような場所は
この宇宙のどこにもない
…宇宙暦第八八八九八年
アンドロメダの空間画家
フラカストリウス三世―記―


・・・って、こんな感じ。
とってもカッコいいって思ってました。

今、読んでみると、悪くはないんですけどね、
生まれてもう○○年、平凡だけどそれなりにいろんな体験をしてきたおばさんになると、
<青いなぁ~~!>
っていう感じがしてしまうのです。

「銀河鉄道999」は若い時に読むべきものなのかもしれませんね。

この作品もまた、私の青春の一ページです。

諸星大二郎 (壁男)

2008-12-03 17:12:07 | 漫画家(ま行)
(『COMICアレ!』1995年11月号、1996年2月号、1996年9月号掲載)

壁に耳あり障子に目あり・・・っていう諺がありますが、これは関係ありません。
いや・・・多少はあるかな?
壁男って人間ではなくてどちらかというと妖怪っぽいもの…かな?
壁の中から人間たちのすることをじっと見ているらしいのです。

壁の中からじ~~っと見ているだけの存在。
そういうものがもし本当にいるならば・・・
やっぱり嫌ですね。

見てるだけで害を与えないとはいえ、やっぱり嫌ですよ。
あ~んなことや、こ~んなことも全部見られてるってことですものね。

我家の壁にいたらどうしよう?(笑)

もともと人間だった女が壁の中に入って壁女になるっていうバージョンもあるんだけど、
壁女になるのもやっぱり嫌ですね。

なんていうことを考えながら諸星ワールドにどっぷり浸かってみるのも結構楽しいかもしれない。

竹宮惠子 (カノン)

2008-12-01 09:43:38 | 漫画家(た行)
寒くなってきましたね。

漫画とか本はいろいろ読んでるんですけどね。
最近、感想を書く環境ではないのです。
・・・って、どういう意味かと言いますと、
要するに、パソコンの前に座るよりコタツに潜り込んでる時間の方が長くなってるっていう訳です。(笑)

「カノン」は、久しぶりに本棚の奥から引っ張り出してきました。

竹宮先生は少年の微妙な心のゆらめきを表現するのが本当に上手ですね。
こんなに繊細で儚げな美少年が現実に存在するはずがないよね~、
やっぱり漫画という世界に住んでいる美少年っていいわぁ~♪

・・・などと、この年になってもまだ夢の世界を漂う事の出きる自分自身に苦笑しつつも、
永遠の<元>少女っていうのも、いいかもしれないって開き直ってみたりもする。

「変奏曲」は一体どこに仕舞い込んでたっけ?
「椿(カメリア)館の三悪人」も、また読みたくなりました。

寒い日はコタツに入って昔の古い漫画を読み漁るっていうのもいいもんですね。