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本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

貂の家。 (一條裕子)

2008-01-26 21:06:41 | 漫画家(あ行)
(2007年発行)

「江口寿史の爆発ディナーショー」の中に収録されている『恐怖の同人誌漫画を添削する 』
で添削された原稿の作者がこの人。
その事を知って以来、一條裕子さんの作品を読んでみたいと思っていた。

昔、人間と暮らしていたのが自慢だという貂のアキマサ。
貂として初めて一戸建ての家を構え、文化的生活を始めた・・・というのも自慢。
そして、家庭を築いた最初の貂・・・だというのも自慢。
・・・って、とにかく全てが自慢なアキマサ。
そんな貂一家の物語。

そういう風な物語だと普通、”人間社会の風刺”かと思ってしまうのだが、どうもただ単に意味のない”空論”を愉しんでいるだけのようにも思える。
要するに小難しい事を考えずに単にギャグセンスを愉しむだけでよいのかもしれない。

何だか不思議な独特の世界観のある作品。

JIGORO! (浦沢直樹)

2007-12-30 21:47:23 | 漫画家(あ行)
(1994年発行)

「YAWARA!」の番外編。
柔ちゃんの祖父の猪熊滋悟郎の若き日の”法螺話”?
若い頃の滋悟郎って『機動警察パトレイバー』の太田巡査に顔も性格も似ていると思うのは私だけだろうか?
こういう単純明快な言葉より行動が先に出てしまうという男は、第三者として見るだけなら面白いだろうけど実際に身近にいたらいろいろと苦労させられるだろうなあ・・・って思う。(笑)

この頃の浦沢直樹の絵は今よりもずっと単純明快。
ストーリーも明るくて単純明快。
どちらがいいかはそれぞれの好みだろうけど、私はどっちも好き。
また、こういう明るい作品も描いて欲しいとも思う。

この本に同時収録されている「A BAT&2BALLS」がいい。
この作品中の決め台詞
「男ならバットを立てろ!」が実にいい!(笑)

若き日の自分を思い出し、今の自分ももうひと頑張りしようと思いなおすというストーリー。
こういう作品が進化して「20世紀少年」という作品につながったのかもしれない、とちょっと思った。


名探偵コナン (青山剛昌)

2007-12-26 09:28:05 | 漫画家(あ行)
最近、寝る前に読んでいる本は「名探偵コナン」。
これはうちの長女が買っている本。

「眠りの小五郎 推理ショー」なんて、一瞬のうちに眠らせてコナンが後ろでしゃべって誰も気がつかない!?
そんなバカな!!絶対にわかるよ~!
・・・などと思ってはいけない。(笑)

ツッコミどころはいっぱいあるのだが、まあそんな野暮なことは考えずに暗号解読や謎解きを純粋に楽しむのがいいのだろう。

このコミックスの表紙のデザインが結構気に入っている。
周りがレンガ調で、風景の写真とコナンの全身。
コナンは毎巻ごとに服装を変えている。
昔の少年漫画の主人公の服装はいつもほとんど同じだったが、最近の少年漫画の主人公は随分お洒落になったものだなあ~なんて思う。(笑)


百鬼夜行抄 16巻 (今市子)

2007-12-21 09:24:16 | 漫画家(あ行)
この本の感想を書こうと思いつつ、ついつい忘れてしまってました。
最近忙しい上に家の中を片付ける必要があって、
本棚から溢れていた私の大量の漫画を二階の子供部屋に避難させてしまったのです。
もともと、子供部屋には子供の漫画も、私の漫画もありまして・・・それがそれ以上に増殖しちゃって・・・。
ああ・・・漫画を捨てられない私。。。(涙)

・・・と、言い訳をしても仕方がないんですけどね、
要するに感想を書くのに子供部屋まで行って本を探し出して取り出すのが面倒だ・・・って言いたいわけです。
表紙のスキャンだけはしていて良かった~!(笑)

まあ、とにかく今回も面白かったです。
え?それだけかって??
まあ、たまには手抜きの感想で失礼します。(近頃手抜きが多い?)


ハムレットを殺せ! (青池保子)

2007-12-15 22:10:31 | 漫画家(あ行)
(2006年発行)

1974 増刊少女フレンド に掲載されたもの。
ちょっと古い作品だけど、「イブの息子たち」が1975年から掲載されてるからその1年前です。
私の感覚だと青池作品で本当に古いと言うと1960年代ぐらいのものかなあ?(笑)

この頃の作品は暗いホラーミステリー的なものか、ごく普通っぽい少女漫画といった作品が多かったような気がします。
プリンセスに移ってからの元気ではじけた作品群とはまた違った味わいの作品ですね。


GAME (今市子)

2007-11-27 12:21:49 | 漫画家(あ行)
(2006年発行)

<帯の言葉より>
優等生の兄の”想い人”は、なんと男だった!
「しょうがないだろ
好きなもんは!」

少年が大人になってゆく・・・
ビルドゥングスロマンの傑作、待望復刊!!



男が男を好きになる・・・まあ所謂BLもの。
でも、かなりソフトなので読みやすい。

そっか・・・ビルドゥングスロマンなのね・・・成長物語なんだ。
登場人物たちの顔も性格も服装も、どんどん変化してるのよね。
ま、これが一気に描いた作品ではないって事も一因かもしれないけどね。

登場人物たち、み~~んな好き勝手やってて”青春”だな~~って感じます。
ああ・・・”青春”!!懐かしい響きの言葉だわ~!

パイナップルARMY (漫画:浦沢直樹 原作:工藤かずや)

2007-11-04 19:08:14 | 漫画家(あ行)
この作品は原則として一話完結なので、非常に読み易い。
絵は最近の方がシャープなタッチになっているので、それに慣れている人が初めて見たら少し違和感を感じるかもしれない。

ジェド・豪士という元傭兵が、戦闘レクチャーをする。
基本的に彼は戦い方を教えるだけで、実際の戦いはレクチャーを受けた人物がする。という設定。
ただし、結局は豪士が直接手伝う方が多い気もするけどね。ま、それは仕方ないでしょう。
普通、元傭兵とかいう設定だと、安易にボディガードという設定にしそうなものなのに、戦闘レクチャーというのが少々ユニークで面白い。

レクチャーを受ける人たちは老若男女様々な理由で戦う訳なのだが、中高年の男性が圧倒的に多い。
イヤになる程、おっさん、じーさんばっかりが次から次へと登場して来る。
それがいい。(さっき、「イヤになる程」と言ったじゃないか?と突っ込まないように!「イヤになる程」良いのだ!)(笑)

おっさん、じーさんたちは、それぞれ暗く哀しい過去を背負っている場合が多い。
若い頃読んだら、ふーーん。ぐらいで、それ程感じることもなかったかもしれないが、
人生の折り返し地点を過ぎたと思える歳になって読むと、何だか身につまされるような気もする。
勿論、私に壮絶な過去なんてあるわけないし、戦闘レクチャーを依頼しなくちゃならないような事もないんだけどね。
何となく、登場人物たちの「悲哀」とか「思い」とかを、
若い頃よりは深く感じることが出来るようになった。って事かな?

「戦争」なんていうものは、遠い絵空事のようにしか感じる事の出来ない私だけど、
実際、世界には、毎日「死」の恐怖に怯えながら暮らしている人間も多く存在するわけで…。
自分には一体何が出来るのか、わからないけれど、
せめて最低限、私の周りにいる人達を不幸にしない、そんな人生を送りたい。
…と、この作品には直接関係はないんだけど、思ったわけだ。

何となく自分の「人生」を考えてみたくなる。そんな作品だ。

神の左手悪魔の右手 (楳図かずお)

2007-11-03 19:26:10 | 漫画家(あ行)
怖い!めちゃくちゃ怖い!!ここまで怖い漫画は他にはちょっと思いつかない。
・・・強いてあげれば、小学生の頃読んだ楳図作品ぐらいか?
・・・って、結局同じ楳図作品だよ~!(笑)

「錆びたハサミ」・・・これが「ナイフ」ではないということがある意味怖さを増しているのかもしれない。
何故なら、ナイフは例え錆びていても、スパッと切れるが、ハサミはジョリッと切る。・・・という感じがするのだ。
この「スパッ」と「ジョリッ」の違いは大きい。
しかも、ナイフは「切れる」がハサミは「切る」・・・つまり、切ろうという意思が感じられるのだ。
だから、怖い。

赤んぼう少女 (楳図かずお)

2007-11-02 16:17:40 | 漫画家(あ行)
(1967年 週刊少女フレンド)

これはリアルタイムで読んでいた。(歳がバレルので計算しないように・・・!)

怖い!実に怖い!!めちゃくちゃ怖い~~~!!!

・・・という印象のみが残っている。
”タマミ”という名前を聞いただけで恐怖を感じていた。(全国の”タマミ”さん、ごめんなさい!)


・・・で、何十年ぶりかに読んだこの作品、怖いより<哀しい>という印象の方が強かった。


この文庫版の最後に楳図かずおと大槻ケンヂの対談があって、
大槻ケンヂは

「怪物の悲哀、ですよね。
たまに女の子めかしてお化粧するんだけど、
そうするとばかにされて・・・・・・。
やっぱり私は怪物だったのよ、ちゃんと怒らなきゃ、人々に不幸を与えなきゃって、
自分を怒りに持っていきますよね。
(中略)
タマミちゃんは醜いということが、いちばんの自分のバネになってますよね。」


チャレンジ精神がある、とか・・・
一見、褒めているように聞こえるが結局はバカにして笑ってるように思える。


ま~、これは実話でもないし、単なる<漫画>なんだから大いに怖がるか、大いに笑って楽しむというのもひとつの方法ではある。


しかしね~、この歳になってこれを読むと
タマミが、健気で哀れに思ってしまうのだ。


化粧をしては似合わないことを自覚して涙を落とし、
葉子がハンサムな高也と仲良くしているのを見てはくやしくてひとり涙する。
井戸の底はタマミが泣きにくる秘密の場所だし、
そこには醜い自分の姿を焼ききって死のうと思って濃硫酸も置いてある。


最期には母の腕の中で、
「タマミは悪い子でした
心で思っていてもいつのまにか悪いことばかりするのです・・・
葉子さんにひどいことばかりしたので
ばちがあたったのです
わたしがいなくなっても葉子さんが・・・・・・
タマミのかわりに・・・・・・」
・・・と言って息をひきとる。


タマミって、めちゃくちゃ<良い子>じゃないですか!!!
普通の姿だったら、良い子でいたと思うと非常に哀れに思う。


あの顔が<怖い>ただひたすら怖い漫画だった~~~!と、
思っていたこの何十年間。
タマミにちょっと悪いことをしたかな~~~??


でも、いくら醜い姿でもしていいことと悪い事がある。
おとうさまの首を絞めてよろいの中に入れたり、
医者の首も絞めてるし・・・


やっぱり怖いよ、タマミは・・・。

百万人の数学変格活用 (内田美奈子)

2007-11-01 21:09:19 | 漫画家(あ行)
(「月刊デュオ」昭和56年12月号~昭和57年3月号連載)


<カバー折り返し部分の説明文より>
八居(やおり)先生、また問題児が現れましたよ!
超能力者の観音くん、「爆弾探しゲーム」をするAIUEO(あいうえお)グループ、
「世界の終末」を予言する新井くん、女好きの本栗栖(もとくりす)くんetc.。
八居先生、本当にご苦労さまです!


八居先生は高校の数学の先生。
テレパシーとかサイコキネシスなんて事も出来ちゃう。
勿論、そういう能力は普段隠している。
ポーカーフェイスで鼻の下にひげをはやしてて、
サングラスかけてバイクに跨ったりしてる姿は、モロ私の好み!!


教師で人の考えが読めるなんて生徒指導するのに随分助かるんじゃないだろうか?
この八居先生、結構いい奴。
「こいつらに思いいれしなければ
こんなに楽なことはないさ
しかし俺の場合・・・」
そうもいかない・・・っていう感じで頑張っちゃうのだ。


そして生徒たちが何のために教師になったのかと尋ねると、
平然とした顔でこう答える。

俺は人間が好きなのさ
だから教師になったんだ
これ以上の理由なんて細かい事さ
いいじゃないか
こだわりで人生を楽しめなくなったら
つまらんだろう」


八居先生、流石大人の対応です!
そして、つっぱっている生徒に一言・・・

「君も もうちょっと大人になれよ」


渋い・・・渋すぎます!!!


この中で何人か「超能力者」が出てくる。
八居先生の生徒の観音くんも、最初は人の思考が読めるという「超能力」で苦しんでいた。
八居先生も若い頃はそういう時期もあった。
観音くんが、同じ能力で苦しんでいる女の子にこんな事を言う。


「僕が考えるに他人の思考を読めるとか
そういう特別な能力を悲劇に考えすぎるんじゃないのかな」


昔の漫画(「ミュータントサブ」(石森章太郎)とか「超人ロック」(聖悠紀)など…)は、
結構「超能力」を悲観的にとらえていたのだが、
いつのまにか、あまり悲観的ではなくなっているような気がする。
この作品が描かれた頃はもうあまり悲観的にはなってない。
「超能力」の捉え方が時代によって違うっていうのもちょっと面白い。

赤々丸 (内田美奈子)

2007-10-31 21:14:40 | 漫画家(あ行)
★あらすじ★
真面目すぎた反動で、生徒会長赤井くんは赤々丸と白々丸に分裂し、SFな未来にタイム・スリップしてしまった。
そこは猫と人間が戦う世界。
過激な二人は、たちまち戦う猫族のシンボルとなる。
猫の自由と権利を求める革命は二人を得て、成功に近づいたかに見えた・・・
しかしそれもつかの間、ひょんな事から地球は惑星パラドックスとの戦争に突入してしまう。
そして街からは<タイリョウノネコ>が消えてゆくのだった。
彼らはどこへ行ったのか・・・
疑念を抱いた猫大生たちと赤&白々丸はその収容所に忍び込み、惑星パラドックスとの裏取り引きのために、集めた猫たちを売り渡そうとしていたのだ。
真実を知った解放軍と、C・H・G軍の間で、たちまち切られる戦火の火蓋・・・はたして猫族の、そして赤々丸の運命はいかに!?



今回は私にしては珍しくまともにあらすじを書いてみた。
・・・と言ってもこれは最終巻に載っていたものを書いただけ・・・。
手抜きです。ごめんなさい。


さて、この作品1巻が1984年発行、5巻が1987年発行だから、ちょっと古い。
しかし、絵は上手い。こういうペンタッチは私は好きだ。
話もなかなか面白い。
キャラはどれも非常に個性的!・・・素晴らしくアクの強いキャラばかり!!!
私の好きなキャラは・・・誰だろう?赤々丸と白々丸は顔がいいからどっちも好きだし・・・(笑)
すぐにいじける猫丸も可愛いし、シリアスが似合うただひとりの猫、テテもいい。
あとは・・・好きとは言わないが、なかなか面白いキャラばかりで、ここに書いてるときりがないので止めておく。


テーマは「差別」とか「戦争の虚しさ」とか・・・。

一番言いたかったのは
「精神(こころ)が自由であること」
・・・か?

ここに出てくるキャラはどれも全て「精神(こころ)が自由であること」を求めている。
ま、それが周りに迷惑をかけている場合もあるが・・・決して悪気はないのだ。(笑)


ラストは、
「ご想像におまかせします」タイプの終わり方。
こういうラストは嫌いだ!!という人もいるが、私は嫌いではない。
この作品のラストも、これで良かったように思う。

Petshop of Horrors (秋乃茉莉)

2007-10-30 21:39:10 | 漫画家(あ行)
毎回、変わる主人公のチャイナ風衣装がいい。
ストーリーに関しては、結構面白いのだが、10巻目、正体の説明あたりが、うーーーん、ちょっと・・・。という感じ。何か少しすっきりしない終わり方なのだ。そこが、ちょっと残念!
・・・と思ってたら新シリーズが始まりましたね。
今、何巻ぐらいまで出てるのかな~?
私はまだ新シリーズは二巻ぐらいしか買ってないのです。
早く続きを買わなくちゃ!

TOMOI (秋里和国)

2007-10-28 13:15:26 | 漫画家(あ行)
「眠れる森の美男」の続編。

日本が舞台のものと、ニューヨークが舞台のものと、パキスタンが舞台になってるのと三つに分かれている。
最初の日本が舞台になっているのは、ま、悪くはないのだけど、あとの二つの話の方が面白い。

マーヴィンの妻のナンシーが逆上して友井を撃ち殺しに来る展開は、ちょっと強引すぎる気もしないわけではないが
…マーヴィンと友井の「おだやかな空気の流れている」ような感じの雰囲気が、とってもいい。

友井を庇って死んでいくマーヴィンを抱きしめる友井の表情、
涙を流しながらつぶやくように歌う「もーろびと こぞーりーて むかーえ まーつれー」は、その、友井の歌声が本当に耳元で聞こえてくるような気さえする。

死ぬ間際、マーヴィンが「地獄へは堕ちるな」と、言い残したため、
自殺の出来ない友井は死ぬために戦場に行く。
しかし、アメリカから来たカメラマンのスミスに
「人は 神がもう死んでもいいというまで 生きなけりゃだめなんだ!!」
と、言われる。
その言葉に少し心を揺さぶられた友井だったが、そう言ったスミス自身はその後爆撃で死んでしまう。

「神がもう死んでもいいと いったのかっ」
と、スミスの遺体に向かって叫ぶ友井。
…この部分、映画「ポセイドンアドベンチャー」で牧師がこんな感じで叫ぶシーンがあったよなー、って思ってしまったが、どちらも非常にいいシーンである。

兄の死を目の当たりにしたアデルは声を失う。
友井はアデルとの生活の中で「空が青い」事に気付く。

「ああ ほんとだ 空が 青い」

そして、「生きたい」という感情が芽生え始める。

そこでね、無事帰ることが出来ました。めでたし、めでたし、…で、終わればいいのだけど残念ながら、そうは問屋が卸さない!
そうです。感動する話にする為には悲劇で終わらなければならないのです。

爆撃を受けて、友井から貰った指輪をしているアデルの引きちぎられた腕が、友井の目の前に無残に転がっている。

「神よ!もう…
死んでもいいですか
ああ
きょうも
空が……青い」


ああ、もう悔しいが、こういう展開は好きなのだ。
よくある展開だが、好きなのだ。
水戸黄門で印籠が出てこなくちゃいけないように、こういう話はこういう風に終わらなくちゃいけないのだ。