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本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

漆原友紀 (蟲師 10巻)

2008-12-16 16:11:30 | 漫画家(あ行)
<降幕の刻。>

って帯に書いてあって、え~~~!終わっちゃうの~~!!
・・・と驚いたんですけど、本当に終わっちゃいましたね。

全巻最初から読み返してきちんと感想を書こうと思いつつ、
何だかんだと忙しくてまだ読み返してません。
まあ、とりあえず簡単な感想のみ。

この作品の世界観・・・何故か心が和みます。

行った事もなく見たこともなく、当然体験したこともない世界なのに何故か懐かしい。
日本の原風景とでも言うのでしょうか?

<蟲>というものの存在は作者の創造の産物なのだけど本当にそういうものが存在しているかのような気にさせられます。
<幽霊>でも、<妖怪>でもない<蟲>という存在。
自然とか生命とか人知を超えたものの存在。

文明が発達するにつれてだんだんと人々の心から失われていったものがここにある。
そんな気がします。

この時代は一体どのくらいを意識してるのだろうかと思っていたのだけど、
どうやらフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、

<時代設定については、作者自身特に設定はされていないそうだが、イメージは「鎖国を続けた日本」、もしくは「江戸期と明治期の間にある架空の時代」といった所との事。>

「鎖国を続けた日本」っていうのは、ああ成る程ね、っていう感じがします。
ただ、江戸期と明治期の間・・・というには江戸っぽさがあまりないような気がするのです。
私的には明治期と大正期の間の奥深い山村っていう感じがしてたのです。
都会は当然もっと開けてたんでしょうけど、田舎はこういう場所がまだまだあったのではないかと。

・・・ってまあ、そんなことはどっちでもいいんですけどね。
とにかく、実際にありそうで、実はどこにも存在しない・・・そういう世界なのでしょう。

ギンコのみが洋服で他の人たちが着物っていう点もかなり気になるところです。
これは一体どういう意図なのでしょう?

ギンコが<蟲師>で普通一般の人とは違う能力を持っているから、
それを表現しているんでしょうけどね、もう少し何か奥深い意図があるのではないかと
ついつい深読みがしてみたくなるのです。

まだまだ、言いたいこと感じた事はいっぱいあるんだけど、今回はこの辺で・・・。

池田理代子 (ベルサイユのばら 外伝)

2008-10-23 09:35:14 | 漫画家(あ行)
(月刊Jam昭和59年6月~昭和60年5月号掲載)

リアルタイムで「ベルばら」を読んでいました。
世界史・・・特にフランス革命の頃はすご~~く真面目に勉強しました。(笑)

「ベルばら」本編から十年後に描かれたのがこの外伝。

本編自体も最初の頃と終わりごろでは随分絵柄が違うけど、この外伝もまた随分絵柄が違ってきています。
どの絵柄が好きかはそれぞれの好みで違うでしょうけど、私は外伝の絵柄がいいな~って思います。

内容は、本編と違ってル・ルーを中心とした普通の日常生活?(ちょっとした事件は起きるんですけどね)っていう感じでほのぼのしてるからとっても読みやすくなってます。
本編もいいんだけど、結局登場人物たちのほとんどが死んでしまうしね、
近頃、何故か軽~く楽しめる内容のものの方がいいと思うようになりました。
これって、年取った証拠なんでしょうか?(笑)

一色まこと (ピアノの森)

2008-10-22 09:41:09 | 漫画家(あ行)
すっごく当たり前の事なんですけど、漫画って音が出ないんですよね。

それなのに音楽をテーマにしている漫画作品ってとっても多いですよね。
ぱっと思いつくだけでも、大御所の手塚治虫や竹宮惠子も描いてるし、最近では「のだめカンタービレ」など・・・
そして、それらの作品からは見事に音が流れ出ているのです。

当然この「ピアノの森」でも見事に音が流れてきます。
残念ながら音楽にそう詳しくない私はタイトルだけで全ての曲がわかるわけではないのだけど、それでも何故か頭の中にその曲が流れてくるのです。
そしてその演奏に感動出来るのです。

この作品はアニメになってて、You Tubeで観ることが出来ます。
それを観たんですけど、実は・・・何故か私の頭の中で流れていた音の方が素晴らしかった!(笑)
勿論、アニメで使われていた演奏も非常にいい演奏なんですけどね。
想像力(妄想力?)の方が勝っていたっていう訳です。(爆)

<森の中のグランドピアノ>・・・っていうイメージが作品全体に流れていてそれがとってもいいムードを漂わせている作品です。

吾妻ひでお (きまぐれ悟空)

2008-10-16 10:00:07 | 漫画家(あ行)
(週刊少年チャンピオン 1972年2月14日号~1972年7月10日号掲載)

日本人って「西遊記」が好きだよね~。
漫画やTVドラマでいろんなバージョンで作られている。

妖怪達と戦いながら仲間と旅に出るっていうパターンはどんな風にでも料理出来るし、料理次第でかなり面白いものが出来るってことなんでしょうね。

・・・で、吾妻ひでおも「西遊記」のリメイクをやってる訳です。
三蔵法師は普通優男的イメージが強いけど、
吾妻版の三蔵法師はハゲでデブのおっさん。
性格も悪い。

ちょこちょこ出て来る観音さまが美人で強くてカッコいい!
ラストは何故かSF!

テンポも速く、パワー溢れるギャグは今読んでも結構面白いです。

吾妻ひでお (エイト・ビート)

2008-10-14 20:52:01 | 漫画家(あ行)
(『週刊少年チャンピオン』1971年7月19日号~1972年1月31日号連載)

これはリアルタイムで読んでました。
この作品で私は吾妻ひでおのファンになったのです。

当時、この似顔絵をよく描いてました。
今見ると絵柄は古いし、まだ技術的に上手くはないんだけど、
後にロリコン・不条理ギャグを巻き起こす要素が見え隠れしているように思います。

この時代の少年漫画の主人公ってたいていの場合毎回同じ服を着てたような気がするんだけど、
エイト・ビートは結構いろいろと服を着替えてるんですよね。
そういうお洒落なセンスが良かったんでしょうね~。

楳図かずお (猫目小僧)

2008-10-06 11:51:38 | 漫画家(あ行)
<表紙に書かれている言葉より>
闇を見とおす瞳を持つ猫目小僧。
彼の行くところ、かならず恐ろしいできごとが待っている。
恐怖が彼を呼ぶのか・・・
「死の予感」にとりつかれた人間たちが、猫目小僧を待ちうける!
そして今、魑魅魍魎が行き交う世界への扉が開かれる!!


↑何だかおどろおどろしい文章だけど、
何故か私は猫目小僧は怖くないのです。
楳図漫画って怖いと思ってるんだけど、これはそれほど怖くないっていう印象。

何故でしょうね?

内容的には、「おろち」のように猫目小僧が主役ではなくて狂言回し的存在。
「おろち」は怖いと思うんです。
「猫目小僧」も話自体は怖いんですけどね。
もしかすると猫目小僧がちょっと愛嬌があるから怖さをあまり感じないのかもしれません。
おろちの場合、彼女は結構シリアスで真剣に考え込んでるんだけど、
猫目小僧は、いまひとつ、醒めてるっていうか真剣味に欠けてるような感じがするのです。
少年漫画だったから、多少ソフトに描いてるのでしょうか?
姿なんかも、猫目小僧って愛嬌があって怖いっていう風には思えないんですよね。


樹なつみ (暁の息子)

2008-08-24 23:36:57 | 漫画家(あ行)
出版社/著者からの内容紹介
漫画エンターテインメント第一人者・樹なつみの最新作は、アジアの「黄金三角地帯」に消えた少年を捜す家族ドラマ。政治的画策、アクション、そして葛藤──すべてが紡ぎ合う極上のストーリーがこれだ!!


主人公の柊成がカッコイイ。
目も生きてるし、髪の毛の描き方も素敵。

ただ・・・もう少し私が若かった頃に読んでいればなぁ~!・・・っていう感じ。
どうもこの歳になって読むと、現実の世界を舞台にしてるといまひとつ物足りないような感じがしてしまうのです。
私としては完璧に架空の国を舞台にしてる方がもっと感情移入出来易いような気がするのです。

でもまあ、そう思うのは私の個人的な感想ですので、架空の国じゃない方がリアル感が増していいと思う方もいらっしゃるでしょう。

何れにせよ、すっきりと一巻でまとめてるから読みやすいし、続きを描こうと思えば描けるような展開だしね、続きがあれば読んでみたいです。

寄生獣 (岩明均)

2008-07-22 11:00:00 | 漫画家(あ行)
グチャグチャのスプラッターの苦手な人はちょっと敬遠しそうだけど、読んでいるうちにそれ程気にならなくなる・・・のでは・・・?
と思うのですがどうでしょう?私はそれ程気にならないのですが・・・

もしも、右手にミギーがつくか、左手に「吸血鬼ハンターD」の「左手」がつくかどちらかを選べ!と言われたら、どうしょうか?(そんな事言われる訳ないって・・・と、つっこまないように)
非常に悩むと思いません?(だから、誰もそんな事言わないって!)どちらも危険な事に巻き込まれそうだし、困りますよね・・・平穏無事な生活を送れるという条件付きなら・・・それでもやはり選べない!どっちもいやだ!!
・・・でも、一日ぐらいなら、ちょっと面白いかも??

ジョーならどうだ?という質問に関しては即答できます。・・・絶対イヤです!!

この作品はかなり悲惨な状況なんだけど、不思議に(暗闇)というイメージではなく、(薄明かり)というイメージなんですよね。作者のもつ個性なのかな?それとも、画面が白っぽいって事?
「目」と「手」の表現がいいですね。ストーリーが進むにつれて変わっていく新一の髪形とかも、より深く新一の内面を表現しているようでいいですよね。
よく気を付けて読んでいくと、ああこんな所にも作者の思いがつまっているんだ、と気が付いたりして、ちょっと、嬉しく?なったりします。読む度に新しい発見がある漫画って、素晴らしい!!

ストーリーの最後の方でミギーが新一の身体から離れて新一が片腕になりますよね。
あれ結構意外でした。「えっ!?そんな!!」って感じ。
その後またくっついたのもちょっと意外(嬉しかったけどね)。
そして、ミギーがいなくなるのも意外。作者は自分は天邪鬼だと言ってましたが、こういう意外な展開にしてくれる天邪鬼は大いに結構!!たぶん、こうなるんだろうなーと思って読んでてその通りになるのってつまらないものね。

登場人物の中で気に入ってるのは最後の方に出てきた美津代さん。
出番はそんなに多くないけれど、存在感があるし、ほんの少しの台詞で今まで生きてきた人生も垣間見えるし、この人を主人公に作品がかけるかも?っていう感じ。
たぶん、裏設定をきちんとしているんでしょうね。

宇田さんとジョーのコンビもいいですよね。



☆ミギーの台詞で気に入ってるものがいくつかあります。
「わたしは恥ずかしげもなく『地球のために』と言う人間がきらいだ・・・・・・なぜなら地球ははじめから泣きも笑いもしないからな」

七夕の国 (岩明均)

2008-07-22 10:54:09 | 漫画家(あ行)
良質のミステリー小説を読んだような読後感。
最初、時代物?と思ったらやっぱり現代が舞台で、でも、”超能力”とか”丸神の里”とか"一族”とか・・・、何?何??どう進展していくの?
横溝正史の世界?・・・いや、ちょっと違う・・・などと思いながらどんどん話に引き込まれていったのです。


ただ、読み終えてラストの印象が今ひとつ物足りない・・・。
マシンガンを装備した連中がでてきたり、丸神山もえぐりとられたり、結構華々しい舞台の筈なのに、何か"冷静”なんですよね。これはこの作者の個性なのかもしれませんね。
主人公もまた、今ひとつインパクトに欠けるような感じ。
それはそれでいいんだけど、・・・ちょっと淡白すぎるような気もしない訳ではないのだけど、まあ、やっぱり、これはこれでいいのかも。



☆幸子がナン丸に語る「死」のイメージ
上も下も・・・右も左も暗くて何もない・・・手をのばしても叫んでも・・・誰にもとどかない・・・
肉体が死んでも、もしどこかに意識の続きがあるとしたら・・・
「死」ってそういう感じじゃないかって・・・
この世でいちばんさびしいこと・・・ナン丸さんは何だとおもいます?
親、兄弟の死、子供の死、いろんな死との出会いがあって・・・でも、それはみんな「窓の内側」でのことなんですよね・・・
本当にさびしいのはたぶん・・・自分の死・・・自分だけがそこにいなくなる・・・

>>>この「死」のイメージって何となく、そうなら怖いよなー・・・って思うのです。
でも、私の思う「死」のイメージは意識の続きっていうものはないような気がします。
でも、肉体も意識もなくなるっていうのもある意味やっぱり怖い・・・。

ヘウレーカ (岩明均)

2008-07-20 21:38:17 | 漫画家(あ行)
(2002年発行)

↓あらすじはこちらをどうぞ(うわ~!手抜きだ~!)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%82%A6%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%AB

岩明均の描く表情がいい。
あっさりとしたタッチなのに実に表情豊か。
人物の性格さえもそのちょっとした表情で表現している。
ここまで生き生きとした表情が描けるのはやはり何と言っても<目>がいいのだと思う。

簡単に描いてるようなのに、実に奥深い。

例えば、ハンニバルの残忍さをあらわす目。
右目と左目の焦点が合ってない。
たぶんそれが不気味な強さを表してるのだろう。

戦闘シーンの残虐な有様。
こういう表現は岩明均は抜群に上手い!

・・・で、内容だが、
淡々と戦争を描いてるようで実にあっさりと読めてしまうのだが、戦争の虚しさをよく表現しているように思う。

ラスト、マルケルス将軍にローマへ来いと誘われた主人公ダミッポスは言う。
「ふ・・・・・・
あんたらはすげえよ
でももっと・・・・・・
ほかにやる事ァ
ないのか?」

ただ単に古い歴史上の話というだけではない。
これは今、現在にも通じる話なのだ。

福助 (伊藤静)

2008-07-18 08:56:57 | 漫画家(あ行)
(2007年発行)

出版社/著者からの内容紹介
ひとりぼっちになってしまった千晶が祖母の遺品の中から見つけ
た小さな木箱。「福助」と表書きされた、その木箱を開けると中には小さな男
の子! 千晶に"福"をあげるたびに少しだけ歳をとる福助との、奇妙で温かい
日々。しかし幸せな生活は、福助の「ちから」が災いして......。

著者について
『49days』で第45回ちばてつや賞大賞を受賞した伊藤静の
デビュー作。連載開始とともに圧倒的支持を受けた異色作。

じんわりと心が温かくなる・・・そんな話。

自分の幸せの為に人を踏みつけにする者がいる。
彼らは彼らなりに必死で生きているのだ。
でも、それはしてはいけないこと。

主人公の千晶は思いやりを持っている素直な子。

ラスト、年老いた千晶が福助の気配を感じていうセリフ
「・・・私ね
あれからいろんなことがあったの・・・・・・
あの時ひとりぼっちだったけど家族も沢山できたんだよ
ありがとう
私の一生は幸せだった」

年老いてこういうセリフを言えるような人生でありたいと思う。
<幸せ>って何だろうね?
お金や物ではないことは確かだろう。
もっとも、ちょっぴりのお金や物は生きて行く上で必要だけどね。
信じる、愛する、満足する、感謝する、・・・
幸せって遠くにあるんじゃなくて、身近なところにあるんじゃないのかな?
それに気が付くかどうかってことかもしれない。

ブラインド (内田美奈子)

2008-06-09 09:10:27 | 漫画家(あ行)
(1987年発行)

カバー折り返し部分の解説文より一部抜粋
男と女の心のふれあいを、内田美奈子ならではの独特の感覚でとらえた珠玉の傑作集



一応、恋愛漫画っていう分類になるのかな?
青春群像という感じ。

しかしね・・・<独特の感覚>と言えばそう言えないこともないのだけれど、
どうも普通の恋愛漫画ではない・・・というか・・・
編集部の人に「恋愛をテーマに描きなさい」って言われて、
「え~~!恋愛ですかぁ~?あんまり描きたくないんですけどぉ~!」
・・・っていう会話があったような気がするんです。(笑)

しぶしぶ、恋愛らしきものを描いてるっていう感じがするんですよね。
内田美奈子さんの場合、恋愛要素のものよりもそうでないものの方がず~~っと面白いような気がするし、作者自身ノリに乗って描いてるっていう感じがするんだけど、そう思うのは私だけなのかな?

いや、この作品がつまらないって言ってるわけじゃないんですけどね。
このころの線のタッチが好きだし、雰囲気が内田美奈子独特のものがあるしね。




「ブラインド」のラストのことば

必要なものを外界から読み取るためには
まず見えなくてはならない・・・
つい数か月前まで
あたしにはそんな簡単なことが
見えていなかった



私、この年になっても見えていないものが多いんです。
この言葉がグサッときました~!(笑)

水の中の赤い家 (青池保子)

2008-02-19 10:04:37 | 漫画家(あ行)
(1973年 週刊少女フレンド 掲載)

この画像の本は1984年発行のもの。
2007年にも青池保子コレクション として発行された本の中にも同じ「水の中の赤い家」があるのだけど、表紙の絵が違うんですよね。

1973年当時の絵、1984年の絵、2007年の絵・・・
全部違っててなかなか面白い。

何年経ってもほとんど絵柄の変わらない漫画家さんもいらっしゃるが、どんどん変化していく漫画家さんもいらっしゃる。
青池保子は当然、後者。
絵柄だけでなく内容も初期の頃とは全然違ってきている。
これからもどんどん変化していくのだろうか?
どういう風に変化していくのか楽しみですね。

脂肪と言う名の服を着て (安野モヨコ)

2008-01-28 19:52:08 | 漫画家(あ行)
(1997年発行)

基本的に女のドロドロした話はちょっと苦手です。
この作品もパラパラッと立ち読みしてみるとそういう”ドロドロ系”に思えたので、今の今まで買わなかったのです。
・・・が、何故かちょっと気になる作品だったんですよね。
何が気になるかって、やっぱりインパクトのあるタイトルでしょう。



「脂肪と言う名の服を着て」



このタイトルを思いついた時点でこの作品は成功ですよ。
そんな気がします。

”服”なんだからその気になれば脂肪は脱げるんですよね。
確かにそうです。
・・・が、それが非常に難しい。

この作品が単なるダイエットをする女の子の話だったらつまらない。
太ってることで苛められ、一生懸命ダイエットをして痩せて美しくなって、かっこいい彼氏が出来てメデタシメデタシ・・・などという話なら誰にでも描ける。
安野モヨコが描くのだから、そんな単純な話ではない筈だ。

・・・で、古本屋で100円だったので買ってしまいました。
最近、100円だったので買ってしまいました~!というパターンが多いような気がするけど、まあ気にしない、気にしない。(笑)



この作品を買おうと思った最大の理由はラスト近くのこのセリフ。
「たぶん 繰り返すわね
身体じゃないもの
心がデブなんだもの」



実に深いセリフです。



上記のセリフの前に言った言葉もなかなかいい。
「もう誰のせいでもない
もとから誰のせいでもない
太ったのはそうやって人のせいにしている
あなた自身のせいなのよ」



”脂肪”とは肉体につく脂肪だけを指すのではなく
精神につく”脂肪”・・・何でも人のせいにしたり、嫌な事から逃げようとしたりする安易な考え方など・・・を指しているんですよね。

結局、一度は痩せた主人公がどうなったか・・・
それはネタバレになるので書かない方がいいですね。