自然豊かな南阿蘇村・立野峡に計画されている立野ダム。
撮影:安達安人
国土交通省は、9月11日、立野ダムとダム以外の治水対策を比較した結果、「ダム案が最も有利」との考えを示しました。
こうした国交省の考えについて、流域住民の意見を聞く公聴会が、9月22日~24日、熊本市、大津町、南阿蘇村で開かれ、私も参加し意見を述べました。
公聴会の様子
熊本市では18名、大津町では8名、南阿蘇村では4名の住民が発言しましたが、全ての意見が立野ダム建設について、反対・慎重を求めるものでした。
「流木が穴をふさげば、ダムの治水効果は発揮できない」「ダム上流は、国指定の天然記念物である北向谷原始林があり、ダムにより浸水し貴重な自然が失われる」「ダム周辺は地盤が弱く危険」「布田川・日奈久断層上にあり地震があればどうするのか?」「堆砂により川が長期間濁り、自然へ深刻な影響を与える」など、ダム建設に関する問題点が指摘されました。
またダムそのものへの意見のほか、住民不在の進め方にも批判が集中。
国交省により「立野ダムが有利」との報告書が示されてから公聴会が開催されるまでわずか10日間。それもたった3日間のみの開催。
219ページに及ぶ報告書を10日足らずで読みこなし、意見を言えというのは、そもそも住民の意見を聞く気がないと指摘されてもしょうがありません。
公聴会では、「住民の意見を軽視している。情報公開を徹底し、住民参加型の検証の場を保障するべき」との意見が多数寄せられました。
また、「流域住民の意見が聞ける公聴会の場に市長の姿も知事の姿もないことはいかがなものか」こうした指摘もありました。
熊本では、川辺川ダムを中止させ、住民参加のもとでダムによらない治水対策を追求するという貴重な経験を勝ち取りました。
この教訓を、「住民の側」で生かすのか?それとも、「国交省の側」で生かすのか?
このことが問われています。
いわずもがな「公共事業を決めるのは住民自身」です。
地方自治の本旨である「住民自治」がしっかりと生かされるよう立野ダム問題に取り組んでいきたいと思います。