このタイトルでは何のことだよ、とお𠮟りを受けてしまいますね。トップガンの続編「トップガン マーヴェリック」が公開され、ヒットしていると聞きました。前作はF-14が「主役」でもあったわけですが、現代の米海軍の空母にはF-18Eスーパーホーネットが昔風の言い方をすれば艦上戦闘機だけでなく、艦攻、艦爆の仕事までしており、F-14だけでなく、A-6イントルーダーやF/A-18Cあたりの海軍機を生で観ている私にとっては時代が変わったのだなあと思わせます。
トップガンの公開で、かつて日本でも同じような映画が作られた、という話がネットに出ていました。その映画は「ベストガイ」(村川透監督)と言い、平成2(1990)年公開の東映映画でした。織田裕二扮する若いイーグルドライバーが、千歳基地の第201飛行隊を舞台に最高の戦闘機乗りの称号「ベストガイ」を目指す、というものでした。
ネットやウィキペディアでの書かれ方ですとマイナス評価ばかりで、織田裕二の「黒歴史」とまで書かれていたものもありました。私はこの作品、映画館で観ていますし、テレビでも観ました。F-15Jが好きということもありますが、実機を使ったシーンも含めて、なかなか良くできていたと思います。織田裕二と長森雅人(無名塾出身の俳優さんで、この作品が邦画デビュー作だったようです)の二人がライバルとして描かれますが、特に織田裕二演じる梶谷二等空尉は確かに戦闘機パイロットを演じるには少し若いかな、という感はありました。湾岸署の青島刑事どころか、東京ラブストーリー「以前」ですから当然です。ただ、パンフレットを読みますと織田裕二はもともと軍事、航空等に興味があって、この作品も喜んで引き受けた、とあり、インタビューでも自衛隊に体験入隊して、F-15Jの離陸滑走も体験(空に上がることまではしていないようですが)して興奮したと語っています。
また、隊長役の黒沢年男、主人公の上官役の古尾谷雅人の二人が「航空自衛隊のパイロットで本当にああいう感じの人っているよね」と思わせ、当時のオレンジ色のフライトスーツが良く似合っていました。黒沢年男はインタビューで「隊員の生活臭のようなものを見せたい」と言っていますし、古尾谷雅人演じる主人公の上官が民間航空からの誘いを受けて悩むという航空自衛隊のパイロットらしいシーンも出てきます。さらに、特撮ものではおなじみの小林昭二が飛行機を愛するベテラン整備員として出演しており、パイロット役に比較的若い俳優陣が多い中、これらの中堅・ベテラン組が画面を引き締めていました。
そんなこの映画ですが、自衛隊=ダサいという印象があったのか、興行成績も芳しくなかったようです。オレンジのフライトスーツの上に着るジャンパーも映画オリジナルのオリーブドラブ色にして、何とかかっこよく見せようとしていました。当時はまだ紺色のジャンパーが幅を利かせていたころですからね(私は紺色も大好き)。東西冷戦終結の頃に作られた映画ということもあり、なかなかこういう軍事ものの作品は難しかったのでしょう。ただ、この時代は邦画にとっても厳しい状況が続いており「ベストガイ」だけが悪かったとは言えないように思います。
そしてこの時代、まだ女性自衛官には就ける職種が限られていたこともあり、女優陣もロック歌手のビデオクリップのために基地を取材に訪れているヒロイン役の財前直見など限られています。2008年の映画「救いの翼 Rescue Wings」では女性のヘリパイロットが主人公となっていますし、現在では戦闘機パイロットにも女性が進出していることを思うと、隔世の感がございます。
この作品ではCGを使った特撮シーンもありました。現在では否定的な評価になっているようですが、公開当初はミニチュアをいつまでもピアノ線で吊る時代でもないでしょ、ということで肯定的な評価だったと思います。ソ連の機体を追尾するシーンでCGが使われていますが、現代のように作りこまれているわけではなく、いくばくかの違和感もあったのは事実です。それでもこれからはああいうシーンももっとリアルになるんだろうな、と思って観ていました。
そんなわけで公開から30年経ちますが、続編を作るとしたらどうなるでしょうか。年を重ねてもなおイーグルを駆り、若いパイロットにとって「壁」として立ちはだかり、米軍のF-22や空自のF-35を返り討ちにしたり、中・ロの爆撃機が日本近海に現れるとそれをひたすら追尾し、燃料がなくなる寸前まで追い続け、中ロ双方から「あいつ頭おかしい」と言わしめたり、中国版Su-27の後ろに回り込んでヒヤリとさせ、年をとっても相変わらずのやんちゃっぷりを見せるというのはどうでしょう。もちろん基地の管制官はオリジナルと同様竹中直人といきたいところです。
F-14はいろいろな作品で「主役」級の働きをしていますが、F-15はなかなか傑作と言う作品は無いように思います。その上でまだご覧になっていない方にお勧めしたいと思います。また、私がこの映画を好きな理由、大事な場面で私の好きな救難ヘリのバートルが出てくるから、というのもあります。どこで登場するかは観てのお楽しみ、ということにいたしましょう。
(映画のパンフレット)
(同じくパンフレットから。左のページにベテラン俳優陣の姿が見えます)
(モデルアート・1990年12月号のF-15特集でも採り上げられました。ハセガワも公開に合わせて1/48、1/72の二種をリリースしていました。1/72の方は凸モールドのキットです。)
トップガンの公開で、かつて日本でも同じような映画が作られた、という話がネットに出ていました。その映画は「ベストガイ」(村川透監督)と言い、平成2(1990)年公開の東映映画でした。織田裕二扮する若いイーグルドライバーが、千歳基地の第201飛行隊を舞台に最高の戦闘機乗りの称号「ベストガイ」を目指す、というものでした。
ネットやウィキペディアでの書かれ方ですとマイナス評価ばかりで、織田裕二の「黒歴史」とまで書かれていたものもありました。私はこの作品、映画館で観ていますし、テレビでも観ました。F-15Jが好きということもありますが、実機を使ったシーンも含めて、なかなか良くできていたと思います。織田裕二と長森雅人(無名塾出身の俳優さんで、この作品が邦画デビュー作だったようです)の二人がライバルとして描かれますが、特に織田裕二演じる梶谷二等空尉は確かに戦闘機パイロットを演じるには少し若いかな、という感はありました。湾岸署の青島刑事どころか、東京ラブストーリー「以前」ですから当然です。ただ、パンフレットを読みますと織田裕二はもともと軍事、航空等に興味があって、この作品も喜んで引き受けた、とあり、インタビューでも自衛隊に体験入隊して、F-15Jの離陸滑走も体験(空に上がることまではしていないようですが)して興奮したと語っています。
また、隊長役の黒沢年男、主人公の上官役の古尾谷雅人の二人が「航空自衛隊のパイロットで本当にああいう感じの人っているよね」と思わせ、当時のオレンジ色のフライトスーツが良く似合っていました。黒沢年男はインタビューで「隊員の生活臭のようなものを見せたい」と言っていますし、古尾谷雅人演じる主人公の上官が民間航空からの誘いを受けて悩むという航空自衛隊のパイロットらしいシーンも出てきます。さらに、特撮ものではおなじみの小林昭二が飛行機を愛するベテラン整備員として出演しており、パイロット役に比較的若い俳優陣が多い中、これらの中堅・ベテラン組が画面を引き締めていました。
そんなこの映画ですが、自衛隊=ダサいという印象があったのか、興行成績も芳しくなかったようです。オレンジのフライトスーツの上に着るジャンパーも映画オリジナルのオリーブドラブ色にして、何とかかっこよく見せようとしていました。当時はまだ紺色のジャンパーが幅を利かせていたころですからね(私は紺色も大好き)。東西冷戦終結の頃に作られた映画ということもあり、なかなかこういう軍事ものの作品は難しかったのでしょう。ただ、この時代は邦画にとっても厳しい状況が続いており「ベストガイ」だけが悪かったとは言えないように思います。
そしてこの時代、まだ女性自衛官には就ける職種が限られていたこともあり、女優陣もロック歌手のビデオクリップのために基地を取材に訪れているヒロイン役の財前直見など限られています。2008年の映画「救いの翼 Rescue Wings」では女性のヘリパイロットが主人公となっていますし、現在では戦闘機パイロットにも女性が進出していることを思うと、隔世の感がございます。
この作品ではCGを使った特撮シーンもありました。現在では否定的な評価になっているようですが、公開当初はミニチュアをいつまでもピアノ線で吊る時代でもないでしょ、ということで肯定的な評価だったと思います。ソ連の機体を追尾するシーンでCGが使われていますが、現代のように作りこまれているわけではなく、いくばくかの違和感もあったのは事実です。それでもこれからはああいうシーンももっとリアルになるんだろうな、と思って観ていました。
そんなわけで公開から30年経ちますが、続編を作るとしたらどうなるでしょうか。年を重ねてもなおイーグルを駆り、若いパイロットにとって「壁」として立ちはだかり、米軍のF-22や空自のF-35を返り討ちにしたり、中・ロの爆撃機が日本近海に現れるとそれをひたすら追尾し、燃料がなくなる寸前まで追い続け、中ロ双方から「あいつ頭おかしい」と言わしめたり、中国版Su-27の後ろに回り込んでヒヤリとさせ、年をとっても相変わらずのやんちゃっぷりを見せるというのはどうでしょう。もちろん基地の管制官はオリジナルと同様竹中直人といきたいところです。
F-14はいろいろな作品で「主役」級の働きをしていますが、F-15はなかなか傑作と言う作品は無いように思います。その上でまだご覧になっていない方にお勧めしたいと思います。また、私がこの映画を好きな理由、大事な場面で私の好きな救難ヘリのバートルが出てくるから、というのもあります。どこで登場するかは観てのお楽しみ、ということにいたしましょう。
(映画のパンフレット)
(同じくパンフレットから。左のページにベテラン俳優陣の姿が見えます)
(モデルアート・1990年12月号のF-15特集でも採り上げられました。ハセガワも公開に合わせて1/48、1/72の二種をリリースしていました。1/72の方は凸モールドのキットです。)