鈍いなまくら刀で社会を斬る!

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M-1という権威を壊そうとした久保田の狂気

2018年12月09日 12時36分18秒 | エンタメ
先日も書きましたが、武智と久保田は偉いと思います。
陰口を言わなかったから。

ジェンダーについての発言は、何度も書いてますが、申し開き出来ません。
言い訳は一切通用しません。
全力で、上沼恵美子に誤りましょう。

その他については、上沼恵美子に対して陰で不満を言いまくっている芸人の100倍素敵やん。
誰も表では言わなかったことを言った。偉いですね。

彼女とは芸風や芸に対する考え方の違い、価値観の違い、ジェネレーションも違いますし
色々あると思います。
とろサーモンは特にM-1チャンピオンになってますし、言ってもいいですよ。

一般の人は「言葉遣いが乱暴・粗暴」「生中継した」というポイントに、クソみたいな
浅い正義感で怒っている人も多いですが、そこは芸人側は何とも思っていません。

多くの芸人は彼らの言動について「暗黙の了解を壊すな」「ヒエラルキーを壊すな」
と怒っているのです。

松本人志もそうです。
特に今回はM-1という自分がトップの地位についたからこそ受け継ぐことが出来た番組に
ついてのことなので、彼もヒエラルキーを壊すなと言っています。
暗黙の了解を破るなと。

しかし、天才松本は、やはりすでに気がついていて、それは言葉の端々からわかります。
ですのでM-1の権威主義的な部分を今年以上に来年はどうにかしてくる(改良してくる)かと思います。

爆笑問題の太田はそのあたり、すでに言語化してラジオで(恐る恐る)言っています。
「M-1は真剣になりすぎてる」と。
さすがに、それ以上は爆笑問題がダウンタウンには言えないでしょう。
でも、気がついているポイントは鋭いです。

M-1が権威主義になるにつれ、当然、それをくさしたり、小馬鹿にしたりする流れが
当然出来てきます。

だってお笑いだもの。

それを今は全ての芸人が権威の側について、M-1を守ろうとしているということが
武智・久保田バッシングなのです。

お笑いは一度、師匠弟子の徒弟制度の元、ヒエラルキーをつくり栄華を誇りました。
そして、それに対するカウンターで師匠弟子に関係ないNSCが出来、ダウンタウンが生まれ
関東では、とんねるず・ウッチャンナンチャンが突然変異で生まれました。

しかし、その後はカオス。
有象無象が群雄割拠し、お笑いはどんなお笑いもアリの時代に入ります。

それを師匠弟子モデル、NSCモデル、突然変異モデルをハイブリッドした組み合わせで
体系化し、権威付けし、ヒエラルキーをつくろうとしたのがM-1なのです。

島田紳助から始まり松本人志が受け継ぐ、お笑いヒエラルキーを壊そうとしている、
というのが、武智と久保田に対する芸人達の怒りであり、芸人達が本能的に持つ
危機感なのです。

あのカオスには戻っては行けない、という。

しかし、ある種の狂気をもつ芸人、久保田はそんなヒエラルキーに本能的に気持ち悪さを
覚え、それを壊そうとした、というのが今回の騒動の本質なのです。
ちなみに、武智は久保田の狂気にわけもわからず乗っかったくらいのものでしょう。

このようにどうでもいいお笑いの事件も、ちゃんと分析すると面白いですね。

追伸:
誤解のないように書いておくと、島田と松本が頂点のヒエラルキーだと言っている
わけではありません。彼ら2人がヒエラルキーを形成する為のトリガーになる
仕組みをつくって運営しているというだけです。