マツダは、アテンザをマツダ6に、アクセラをマツダ3にしたのに続き、
デミオをマツダ2に変更するそうです。
これでハッチバックやセダン系は数字に、SUV系はCX-nと頭にCXがついた数字に
国内でも統一されます。
こうなると注目は(日本だけの問題ですけど)ロードスターですね。
MX-5に変更すのかどうかですね。ちなみに海外の車種はすでに英数字で統一されています。
そしてこの数字化については高齢者が集うヤフコメでは非難轟々のようです。曰く、
「数字を聞いてすぐに(どんな車か)思い出せない」
「名前の方が愛着が湧く」
「そもそもマツダの車は全部同じ顔に見える」
まぁ言いたいことはわかりますw
ただ、マツダはこういう絶対にマツダを買わない層の人たちがネットで上げる無責任で
無知で幼稚な大声を無視すると決めたわけです。
おまいらが何を言ってもオラしんね。って。
何故なら、マツダは広島のクソ田舎にある本当に小さな自動車メーカーでしかないからです。
とってもわかりやすい数字で言いますと、2018年のマツダの世界販売台数は161万台です。
たった。
世界トップのVWグループは、1,083万台。
ルノーグループが、1,075万台。
トヨタグループが、1,059万台(マツダは入ってない)。
自動車メーカーとしてはトヨタの約1/7くらいの規模しかない会社です。
ちなみに、カローラだけでも世界で年間120万台近く売ってますからねトヨタは。
他のメーカーを見ても、フォードでも598万台ですし、
ルノーグループとの統合で一時話題に上がるも、ヤフコメを中心とした多くの人達に
「FIATなんか見たことねーよ」と悪態つかれたFCAでも484万台。
日本では誰も見たことのないツチノコ、ヒュンダイでさえ459万台です。
どれだけマツダが小さい会社かということがわかります。
そうなると必然的に、ブランディングは「マツダ/MAZDA」でやるしかありません。
では、このマツダのブランディングとは何かというと、簡単に言うと世の中の人が
「あの人、何乗ってるの?」って質問した時にトヨタのクラウンに乗っているなら
「クラウン」って答えますが、BMWの5シリーズに乗っていたら「BMW」って答えます。
「5」とは答えませんってことです。
もし、AUDIなら「アウディ」ですし、メルセデスなら「メルセデス」って答えます。
誰も「A6」とか「E」とは答えません。
車種で答えずメーカー名で世の中の人が答える存在になりたい、これがマツダの
ブランディングの考え方なのです。マツダを選んでもらって、その中でライフスタイルや予算に
応じた車種をチョイスしてもらう。
それが小さな自動車メーカーマツダのブランディングの必然なのです。
そして、車種を表す英数字はただの記号でしかないですが、その英数字が示す中身というものが
重要で、ややこしく言うとシニフィエ(中身、概念)とシニフィアン(記号、音、文字)という
ソシュール(言語学の大家)の世界ということです。
シニフィエとシニフィアンとは、1対1の絶対的な関係があるわけではありませんが、
一定の文化圏の中では慣習的に1対1関係が成立します。
それを今回に当てはめてみると、デザインが良くてクオリティの高い車をつくり続けることが
出来れば、そういう事実(fact)を積み上げていくことが出来れば、
「マツダ(シニフィアン)」といえば
「かっこいいデザインで燃費もよく運転が楽しいクルマ(シニフィエ)」を指すようになり、
そのようなイメージが一旦出来あがれば、消費者はそういう目線で見続けてくれる。
という好循環が生まれるということなのです。
逆にもし「(マツダ)2」が駄作であったとしても、「6」「3」がよければ、
マツダという会社自体のブランディングには影響しません。
何故なら、たまたま「2」が失敗しただけであって、マツダというブランドは揺らがない
というふうに自然と消費者は考えるからです。
ついでに言うと、これをサブブランド戦略と言います。
これをわかりやすい例で言うと、自民党です。
自由民主党というマスターブランドがあり、そのマスターブランドの下に
「細田派」「竹下派」「二階派」「岸田派」といったサブブランドがぶら下がっていて、
もし「二階派」が下手こいても自由民主党本体には影響ない。
そういうポートフォリオ型のブランディングと、しっかりしたマスターブランドとを
組み合わせていく戦略です。
ただ、何事にも例外はあって、マスターブランドとサブブランドの関係でいうと
メルセデスのGクラスに乗っている場合は大体「ゲレンデ」って答えますし、
マツダのロードスターに乗っている場合は「ロードスター」と答えます。
トヨタの86もそうですね。「86」って答えますよね。「トヨタ」とは答えません。
これらは例外で、サブブランドがマスターブランド関係なく成立するような
名車を生み出したということになります。
この例外こそが大事な流れで、マスターブランドをけん引してくれる存在とて
先ずはマツダが目指しているところになります。
マツダというマスターブランドをつくりあげるためには、サブブランドの車が
事実(fact)として、デザインが素敵で、運転していて楽しい車であり続けなければ
なりません。
そして、サブブランドとしてロードスターのようなイノベーティブな車をつくることが
出来れば、マスターブランドとしてのマツダは安泰なのです。
ブランディングとは、広告やコピーライティング、イメージキャラクターなどは
ほとんど意味はありません。
ブランディングとは、商品という厳然たる事実(fact)と時間とを積み重ねしかなく、
マツダはそこに真剣にチャレンジをし始めたのです。
マツダは吹けば飛ぶよな小さな会社だけに、しっかりとした意志を持って「マツダ」
というブランド(マスターブランド)を立ち上げていこうとしている訳で、
そのための一歩が車名変更なのです。