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ビストロ レアール

石川県小松市にある「ビストロ レアール」のシェフがつづるあんなことこんなこと

指定席

2005年06月27日 | フランスこぼれ話
1989年7月頃

この頃から 調理師学校や他の国の見習いや
季節だけ働きに来たキュイジニエや
サーヴィスの人間が増え
地方のオーベルジュは賑わいを見せます。

レストランとホテルに働く人達とも慣れ
仕事も信用されるようになって楽しい日々


ある日新しい キュイジニエが入ってきました
たしかジルと言う名前でした
いつものように
午前中に一日の仕込みをして
dejouner
デジュネ (ランチタイム)が始まる前に
賄いを食べるのですが

皆で調理台を移動して周りに椅子を並べ
上座にメートルドテルのムッシュコルディエ(シラク大好き)
そのとなりにプロンジェ(洗い場兼ワイン管理人)のジャンル(ミッテラン大好き)
ジャンルの隣に
ジャルディニエのアラン
ムッシュコルディエの隣りには
シェフパティシェのチリーそして私
以下クリストフ、セドリック、エトセトラ!が並び

ボナペティ ア トゥース(皆さん 召し上がれ!)と
誰かが言って
皆が
メルシー トア オーシー(ありがと 君も共に!)
てな 具合になるのですが

その日私が向かいの仕込み場から戻るのが
ちょっと遅れて 厨房に入った時
新しく入ったジルがティリーの隣りの空いた席に
座ろうとした時 

ティリー:「ここはマサの座るところだ」と

ジル:「いいじゃん」

アラン:「いつもそこにはマサが」

ジャンル:「チャン マザ おまえが近くにいないと赤ワイン注げないじゃないか!
     早くすわれよ」

と周りのみんなが、、、 (なんかドラマみたいだなあ感激!しました)

レストランの一員として認められてうれしかった一日でした。

切れない包丁

2005年06月27日 | シェフのコラム
フランスで使われている包丁は
切れ味のわるい ただのステンレスの板付き棒

まだ渡仏する前に 砥石だけは持っていったほうがいい と
先輩から言われていたので スーツケース(バリーズ)に押し込め
各地を周りました

ノルマンディーで私の包丁がスーパー切れると
キュイジニエたちが集まってきて
 ワイワイ ガヤガヤ

サーヴィス中 いつのまにか私の包丁は
厨房を行ったりきたり

仕事にならないので
皆の包丁を研ぐと大喜び!

日本はその昔 刀を腰にさしたお侍さんが
チャンバラしていましたよね(テレビでしか見たことはないのですが)
その時には必ず 切っていましたよね 

中世ヨーロッパでは 羽の付いた帽子をかぶって
チョッキにかぼちゃブルマー
白のパンスト履いた男同士が
フェンシングをして 相手をチクンと刺していましたよね

だから日本は切る文化 

ヨーロッパは刺す文化

また べつに 包丁が切れなくても
問題のない程 機械を利用しているのです

フランスにもすっかり慣れて何軒か目の店では

フランス人:「ちょっと貸して」

私:「いいよ」

フランス人:「メルシー」

私:「もういいの?」

フランス人:〔うん 自分の包丁使うからいいよ」

私:「何でー」

フランス人:「だって俺の包丁の方が切れ味がいいんだもん」と



私:〔どれどれ (たしかに)」

それからは

私:パトリック包丁かして? フランクちょっと包丁かして!

フランス人:(内心:日本人の包丁は切れるはずなのになぁ?)