廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

年末廃盤セールが始まったが・・・ その2

2019年12月04日 | Jazz雑記





DU の Jazz Tokyo USセールは当初の写真だけ見ると中々豪華な内容だったが、いざ、リストが公開されると
状態の悪いものが多いことが判明、シラケてしまった。

ということで、御茶ノ水には行かず、通常の回遊ルートを取ることにした。
その中で拾ったのがこれら4枚。安レコが3枚、ミドルクラスが1枚。

新宿も渋谷も人気が無く、ガラガラだった。御茶ノ水はどんな感じだったのかはわからないけれど、
おかげで落ち着いて物色できて、楽しい猟盤だった。

年末特有のスペシャル感がなくて、こんなことでいいのか? という気がしなくもないが、
中古漁りは普段からこまめにやっていれば、何も割高な大型セールに押し掛ける必要はないのである。

などとブツブツ言いながら、第2弾は終わった。

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スタン・ゲッツ 最初の名演

2019年12月01日 | Jazz LP (Prestige)

Stan Getz / Stan Getz Quartets  ( 米 Prestige LP 7002 )


Stan Getz / Stan Getz Quartets  ( 米 Prestige LP 7002 )


スタン・ゲッツが1949~50年にプレスティッジに録音した3つのセッションはまずSPで発売され、次に10インチLP3枚で発売され、しばらく間を置いて
12インチLPで発売されている。12インチLPも何度も版が重ねられていて、最初の写真のものが1955年、次の写真のものが1956年、その後1959年に
"Long Island Sound" というタイトルで New Jazz レーベルから、1963年には "Greatest Hits" というタイトルで、と数年置きにプレスされていて、
このレーベルの看板タイトル扱いになっていた。ここまでくると何がオリジナルなのかよくわからなくなってくるが、12インチ化された時に初めて
ルディ・ヴァン・ゲルダーがリマスタリングを施して音質の改善が図られたので、ここを1つの分水嶺と考えるのが普通だろう。

昔のプレスティッジのオリジナル判定はレーベルのN.Y.C表記とNJ表記だけで済んでいたが、現在は初期番号のタイトルについてはジャケットの仕様で
更に細分化されて面倒臭いことになっている。このタイトルで言えば、最初のものはコーティングがなく、色が赤みがかっていて、住所は446、
次の物はコーティングされていて、色が薄紫で、住所が447、と違いがある。

盤の仕様や形状はまったく同じで見た目は何も変わらないが、実際に聴き比べてみると、後者のほうが微妙に音像がくっきりとしていて、空間表現も
長けているように感じる。特に3つのセッションの最も日付が新しいA面、B面各々の最後の2曲でその違いが聴き取れる。プレスティッジのこの頃の
レコードはランアウト部分のマトリクス番号に違いがなくて、実際に聴き比べてみないと違いなどはわからない。但し、この音場感の違いはRVGが
マスタリングを変えたからなのか、プレス時のラッカーの摩耗状態の違いによる個体差なのかはわかるはずもなく、断定的なことは何も言えない。

私の感覚で言うと、手持ちの2つに関しては後者の方が優れている。音質面の改善を図るためにエンジニアを交代したり、ジャケットの質の悪さを改善
するためにコーティング仕様に変えたり、とモノづくりとしての見直しが定期的に施されて品質が上がっているという話であり、常識的に考えれば
音質が最も良く、ジャケットも一番コストがかかっている56年版が製品としては一番いいと思う。


プレスティッジ時代、ルースト時代と隣接したこの時期のゲッツはその繊細で巧みな演奏から既にピーク期を迎えていると言われていて、まあその通り
だと思うけれど、いかんせん録音が悪く、演奏時間も短く、彼の本当の実像は捉え切れてはいない。唯一、このRVGリマスタリング版は音質が改善
されていて、聴く分には一番いいだろうと思う。逆に考えれば、3分間という制約の中で誰にも真似ができないアドリブラインを上手くまとめている
というところに本当の至芸があるのかもしれない。亡くなる直前まで素晴らしい演奏を残し続けたこの人の最初のステップが記録されていることは
間違いなく、我々は感謝の気持ちをもって有難く拝聴すればそれでいい。

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