The Modern Jazz Quartet / Lonely Woman ( 米 Atlantic 1381 )
オーネット・コールマンが大手レーベルからアルバムを出すことができて、好き嫌いはともかく、世間に広く認知されてプロとして活動できるようになったのは、
ひとえにジョン・ルイスのおかげだった。 彼がコンテンポラリーやアトランティックにアルバムを作ることを強力に働きかけなかったら、ジャズの歴史的様相は
今我々が知っているものとは少し違ったものになっていたかもしれない。 大衆向けのダンス音楽だったスイングジャズの中から突如現れたカルト・ミュージック
であるビ・バップの重要なピアニストとして活動し、その次は誰一人考え付かなかったクラシックへの接近を果たし、バンドを世界的な人気者に育てて、
若手の教育にも心血を注いだこの人の生き方は十分ラディカルだった。 無調の咆哮や破滅的な生活だけがラディカルというわけではない。
オーネットの "Lonely Woman" をここまで素晴らしい魅力的な楽曲として披露した例は他にはない。 オーネットがこの曲に込めた想いを正しく理解し、
楽曲としての美しい側面にスポットを当てて、物憂げな哀しみの音楽として見事なまでにまとめた本当に美しい音楽だ。 ジョン・ルイスがオーネットのことを
どういう風に捉えていたかが、これを聴けばよくわかる。 ジョン・ルイスの耳にはオーネットはちゃんと音楽として響いていたということだ。
このアルバムはそういうオーネットへの想いに感動するだけではなく、収録された他の楽曲も素晴らしい名曲ばかりで、アレンジもクラシカルな路線からは外れて、
普段よりもグッとポピュラーなタッチになっている。 演奏の纏まり具合いと高度さも圧巻で、アトランティック時代の最高傑作と言っていい。
音質も跳び抜けて良く、オーディオ的快楽度も文句なし。 通だけの秘かな愉しみにしておくのはあまりにもったいない、陽の当たる所に引っ張り出そう。
ジャズ初心者の頃に日本盤で聴きましたが、それからずっとです。いや、マジいいですよこれ。
ただ、日本盤しか持っていなくて、これ、いい音でしたか、おおっ。
内容がいいアルバムなので、この高音質はうれしいですね。 内容の良さが、より際立ちます。