廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

マリアン・マクパートランドを見直す

2020年02月15日 | Jazz LP (Capitol)

The Marian McPartland Trio  ( 米 Capitol T-785 )


傑作である。本当に素晴らしいピアノ・トリオだ。どうして誰も褒めない? 安レコだから、かなあ。

マリアン・マクパートランドは英国人で、第二次大戦後に渡米した。当時のアメリカで女性のジャズ・ピアニストとして活躍していたのはメアリー・
ルー・ウィリアムスくらいしかいなかった。1949年に52番街のヒッコリー・ハウスのハウス・ピアニストになることができて、ようやく演奏の基盤が
確立した。ビル・クロウとジョー・モレロが彼女を支えた。

彼女は意外にレコードがたくさん残っている。つまりアメリカではきちんとジャズ・ピアニストとして評価されていたということだ。このアルバムを
聴けばピアニストとしての力量、ジャズ・ミュージシャンとしてフィーリング、ピアノ・トリオとしての纏まりの良さ、それらが手に取るようにわかる。
こんなにしっかりとした演奏、なかなかお目にかかれない。

"Bohemia After Dark" のカッコよさ、ベースのウィリアム・ブリットのオリジナル "The Baron" の優雅さなど、音楽的な聴き所は無数にある。
ジョー・モレロのドラムはこの頃から独自のキレの良さを発揮していて、後のブルーベック・カルテットでの演奏を予感させるに十分だ。
加えて、このレコードは音質がとてもいい。クリアなモノラルサウンドがとても心地よい。キャピトル盤もなかなかのものだ。

B面のラストに置かれたマリアンのオリジナル "There'll Be Other Times" の物憂げなメロディーでこのアルバムは幕を閉じる。
女性らしい繊細な気遣いに満ちたアルバムだと思う。新しくピアノ・トリオの名盤100選が編まれる時は、こういうのも忘れずに入れて欲しい。

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