廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

ロリンズとドーハムの名演

2017年10月07日 | Jazz LP (EmArcy / Mercury)

Max Roach / + 4  ( 米 Emercy MG 36098 )


サキソフォン・コロッサスの3か月後に収録されたこの作品は、言うまでもなくソニー・ロリンズを堪能する作品である。 切れ込みの深く鋭いロリンズのフレーズが
とにかくかっこいい。 そして、ケニー・ドーハムも珍しく絶好調の名演を聴かせる。 ケニー・ドーハムがいい演奏をしているアルバムはものすごく少ないので、
これはそういう意味でも貴重なアルバムだ。

"Body And Soul" ではロリンズが絶品のバラードプレイを披露する。 ここでの歌いまわし方は "You Don't Know What Love Is" そのまま。
あのアルバムがあれだけべた褒めされてこのアルバムがここまで無視されているのは、ひとえにマックス・ローチのお気楽な表情のせいかもしれない。

収録された楽曲も魅力的で、冒頭の"Ezz-Thetic" はジョージ・ラッセル作だが、メロディ-ラインは違えどその構造やコード進行は "Open Sesami" のそれだし、
"Mr.X" は "Woodyn' You" の変奏曲だったり、とアルバムの隅々にまで旧き良きハード・バップのムードが充満している。

ロリンズとドーハムの2人が並んで写っている姿なんて他では見られない貴重なショットなのに、このザマは一体何だろう。 契約関係上、この2人を前に出すことは
出来なかったという事情はわかるけど、それにしてもこれはない。 「ブラウニーへの追悼」と言われることもあるけど、だったらなんで1人笑顔なのだ?
おかげで、この名演が詰まった作品が駄盤扱いになったまま埋もれてしまっている。 この凄い演奏群を一発で駄盤に変えてしまうマックス・ローチと言う人は
一体何者なのか。 永遠に謎が残る。


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Ezz-Thetic (松葉蘭)
2017-10-10 07:53:19
 こんにちは。 
 私も春にこの作品を入手し当ディスク①、ジョージ・ラッセル作の"Ezz-Thetic" を聴いて以来、この曲に中毒してあれこれ聴き漁ったのが最近でしたが、恥ずかしながら「開けゴマ」との関連には気付かず仕舞いでした。
 ①以外も再聴します。
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Unknown (ルネ)
2017-10-10 12:17:22
こんにちは。
Ezz-Theticはラッセルには珍しいハードバップ調ですよね。 いい曲だと思います。
他のもいいですよ、是非。
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愚問 (松葉蘭)
2017-10-11 07:37:34
愚問を一つさせて下さい。
"Ezz-Thetic"を聴いてすぐに "Open Sesami" が想起されるのは、一体どういった手順なのでしょうか?
"Ezz-Thetic"を某かの学理によって「バラす」と「開けゴマ」のメロディ-ラインに置換されるとか?
コード進行云々の話はドナ・リーで語られて聴く分には理解した気になるのですが・・・・。宜しくお願い致します。
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Unknown (ルネ)
2017-10-11 08:51:55
あまり厳密に聴いた訳ではありません。最初のメロディーが全然違うのでよくわからないと思いますが、それが終わった後のコード進行とフレーズの展開が似ているので、そう記述したという程度の話です。Ezz-Theticsの方が先に作られているので、ゴマの方がこちらを参考にしたのかもしれませんね。
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Unknown (bassclef)
2017-12-02 12:12:06
ルネさん、こんにちわ。senriyanさんブログ経由でルネさんのブログにおじゃましました。
この記事でのマックス・ローチについての表現に、すごく共感してしまいまして(笑) 初コメントします。
≪この凄い演奏群を一発で駄盤に変えてしまうマックス・ローチと言う人は一体何者なのか。 永遠に謎が残る≫
一つ前の記事にもcotton clubさんのコメントに≪どうにも好きになれない≫というひと言があり、それも・・・とてもよく判るのです。
この感じって、なんでなんでしょうかね?いろんなジャズ好きと話しをしてますが、やはり「ローチ嫌い」とはっきり認識してる方がけっこう居られて、その一方で「(こんな有名な名手に対して)この人はなぜそんなことを言うのだろう?」という反応の方も相当に多いわけです。まあ・・・何事も好みですからそれぞれの感性で好みの音楽、音質で聴けばいいことだと思いますので、あえて「~嫌い」と主張しなくてもいいのですが(これは自分もブログで「ローチ嫌い」に触れてきたのでちょいと反省・笑) 今回は、ジャズのドラム(の出してくる音・音楽性)について、同じようなフィーリングの方が居る!と判ったことが嬉しくて、ついコメントしてしまいました。
それから蛇足ですが、ジョージ・ラッセルのEzz-Thetic は、聴いた感じでは・・・スタンダード曲のLove For Saleのコード進行をそのまま使って、しかし、メロディを大胆に変えた曲かと思います。
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Unknown (ルネ)
2017-12-02 14:08:58
bassclefさん、こんにちは。 コメントありがとうございます。
Love For Sale、なるほど、気が付きませんでした。 もう1度よく聴いてみます。
言葉足らずだったかもしれませんが、誤解があっちゃいけないので念のために言うと、私はローチが嫌いだという訳ではありません。
正確に言うと、「どうも世評で言われるほど凄い人とは思えない」という感じです。 この人の演奏にはなぜか感動しないので、感動しないなあ、と言ってしまうわけですね。
総花的に褒めるだけの文章は私自身が読む気になれないので、ここでは否定的なこともあえて書くようにしています。 そのほうが感想としては自然だと思うのです。
ところでbassclefさんはブログのほうは年一回のままですか? 以前から貴ブログはよく拝読していました。 また活性化されるといいのになあ、と思っております。 
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