廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

メキシコ人が弾くセロニアス・モンク

2020年08月10日 | Jazz LP (Latin)

Juan Jose Calatayud / Trio 3.14.16 de Juan jose Calatayud  ( メキシコ Discos TIZOC TAM 10004 )


ラテン音楽には手を出さないと決めている。ただでさえジャズとクラシックの2足のワラジを履いているのに、これでラテンまで手を出すと破綻するからである。
ユニオンにはラテン館があるし、ブログもあるけれど、そこには行かないし、ブログも見ない。人間、見ると欲しくなるから、見ないのが一番いいのである。

ただ、ごくごく稀にジャズのエサ箱にラテン・ジャズのレコードが混ざっていることがあり、安くてジャズ色が強ければ物珍しさから手を出すこともある。
大体はすぐに飽きて処分することになるので、そうなることを前提に、安いのだけに限定して拾う。

メキシコのジャズ・ピアニストとしては有名らしい、フアン・ホセ・カラタユードのピアノ・トリオで、セロニアス・モンクの "Bolivar Blues" で幕が開く。
演奏はごく普通のジャズ・ピアノで、モンクを意識することはない。デリケートで丁寧な演奏をしていて、悪くない。その後も同様のタッチの演奏が続き、
全体を通してジャズとして上手くまとまっている。A面はスタジオ録音、B面はライヴ音源だ。

言うまでもなく、アメリカのジャズとはやはり雰囲気が少し違う。ブルースの匂いがあまりなく、いい意味で軽く、カラフルな感じだ。クラシック・ピアノの
奏法をところどころで挟んでみたり、よくスイングするフレーズへ移行したり、と表情に変化を付けさせる工夫を凝らしている。何も考えずにダラダラと
引き流すようなことがないので、飽きずに聴き通せるのがいい。こういうところは、アメリカのジャズも見習うべきだったかもしれない。モンクの曲も
無理にそれっぽく弾くことはなく、原曲のフレーズをそのまま弾けばモンクっぽくなるから、という自然体で臨んでいるのが好印象だ。

音質もナチュラルなモノラル・サウンドで、何も問題ない。ラテン諸国のレコードは傷んでいるものが圧倒的に多く、そういうところに寛容でなければ
うまく楽しめないだろうと思うが、たまたまこれはきれいな盤質でそういうことを気にせずに聴くことができた。普段とは違う角度からジャズを聴くことが
できるので、安ければ拾ってみるのもいいかもしれない。


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