廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

意外にビター・スウィート

2020年11月07日 | Jazz LP (Verve)

Ben Webster / Music with Feeling  ( 米 MG N-1039 )


ウィズ・ストリングスとは言っても、ラルフ・バーンズのアレンジと指揮なので単に甘い旋律が流れるわけではなく、そこはひと癖ある。
それがよかったのだろう、聴き飽きることのない、息の長いアルバムとなった。

ベン・ウェブスターのバラードもアルバム1枚分となるとさすがに重くて辟易となりそうなものだが、バックのキリッと締まった演奏の
おかげでこってり感が上手く中和していて、全編が心地よく聴ける。ノーマン・グランツはよく考えたものだ。

選曲もエリントン作の楽曲を散りばめてあるため、甘々の雰囲気にはなっておらず、意外と渋味を感じる。ウェブスターは結構アルバムを
残している中、モダン・ファンにも好まれるような作品は意外と少ないが、これは聴く前のイメージをいい意味で裏切るなかなかの佳作。

リラックスして聴けばいい音楽だからそれ以上の意味を探る必要もないが、イージー・リスニングも飽きさせずに心地よく聴かせるのは
それなりに難しいものだと思う。そういう案外高いハードルをセンスよく上手く飛び越えることができていて、素晴らしいと思う。
この人のブロウは単調でうるさくて、いいところは何もないから、こういうミディアム以下のプレイしか聴く気になれないが、
べっとりと甘い駄作に陥る危険な罠をうまく回避できたのは実によかったと言える。


コメント
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