廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

Happy Birthday, Mr. Desmond

2017年11月25日 | jazz LP (Fantasy)

The Dave Brubeck Quartet ( 米 Fantasy 3-7 )


今日はポール・デスモンドの誕生日だそうだ。 ということで、書きかけの記事を一旦止めて、デスモンドの聴けるレコードへ変更だ。

デスモンドがブルーベックと組んで活動を始めたのは1951年頃で、この頃にレコーディングした音源は最初は78rpmで発売されている。 それらは後にLP期に
入って10インチや12インチで編集されて発売し直された。 だから、ファンタジー盤は曲の重複が多くて訳が分からない。

そういう古い録音を聴いても、デスモンドは既にデスモンド・トーンでアルトを吹いているから驚いてしまう。 何と言っても、まだパーカーが生きていた時代だ。
デスモンドも当然パーカーの演奏を生で見ただろうし、一体そのショックからどうやって距離を置いたのだろう。 その冷徹さには想像を超えるものがある。

この頃はまだユージーンやモレロは参加していなくて、ベースやドラムはメンバーが入れ替わり立ち替わりで、リズムは単調な演奏が多い。 でもブルーベックは
既にブルーベックのピアノだし、デスモンドもまろやかなトーンで、スタイルは既に出来上がっている。 コロンビア時代と少し違うのは、デスモンドが演奏を
リードしていて、アルトが鳴っている時間が長いことだ。 コロンビア時代はちょっと大家風を吹かしているような感じで、一くさりさらっと語って、その後は
3人の演奏を見守っているようなところがあったけど、この頃はリード楽器らしく演奏を主導していた。 まあ、若かったんだね。

このアルバムには "Alice In Wonderland" や "My Romance" 、"Look For The Silver Lining" が含まれていて、エヴァンスやチェットがレパートリーを組む際に
これをお手本にしたことがよくわかる。 アリスの冒頭のピアノはエヴァンスのピアノとよく似ているし、チェットの歌声とデスモンドのアルトはそのトーンに
冷たい雨で湿った空気のような同じ匂いがする。 日本ではあまり人気がないこのグループは、実はその後の白人ジャズの基盤になっているのだ。

今日は家で静かにデスモンドのアルトが鳴っているレコードを聴いて過ごそう。
コメント (2)
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