【80年代】
『俺たちは天使だ!』(1979年放映)コンプリート。沖雅也主演の“探偵もの”コメディですね。麻生雅人(沖雅也)ことCAP率いる麻生探偵事務所のメンバー5人(多岐川裕美、渡辺篤史が、柴田恭兵、神田正輝)が一攫千金を夢見て、様々なヤバイい事件に首を突っ込んで行く『物語』。
しかし、今一歩の所で、どうしても大金を逃してしまう。犯罪スレスレ…というか犯罪そのものの目論見だったりするものだから、元刑事であるCAPの上司だった所の南雲係長(江守徹)なんかに、看破されて証拠品として押収されてしまったり。結果、人助けのタダはたらき。がっくり項垂れる5人。でもしょうがない「俺たちは天使だ!」……と言って場を締めるのがパターンになっています。
もう一つ、物凄く好きなキメ台詞があって~主題歌の歌詞にもあるんですけどね。彼らが一攫千金を獲りに行く彼らは決まって、「運がよければ◯◯万円。運が悪けりゃ…死ぬだけさ!」と気合を入れる。このセリフがすごく好きでして……早世した沖雅也のコメディな演技というのも他作品ではなかなか観れないと思うんですが、そういう明るくコメディなタッチの作品の下敷きとして「……いや?こんなバカやってたら死ぬかもね?」という、さばけたような、白けたような、諦観めいた明るさをこのセリフから感じさせて、強く印象づけます。
「…それこそ、最終回で誰か死ぬんじゃないか?ダーツあたり?(柴田恭兵)」などと考えながら観ていたのですが、結局そういう事は無かったです(汗)念願の一億円を手に入れた彼らは、自分らの夢を叶えるために、それぞれバラバラの道を旅立って行きました。
じゃあ、その死の予感というのは僕の気の回しすぎか?というと、必ずしもそうは思っていなくって……いや、まあ「運が悪けりゃ死ぬだけさ」ってセリフで明示しているからねって事もあるんですが『俺天』とほぼ同時期にやっていた探偵もの~『俺天』の方がわずかに先ですね~松田優作の『探偵物語』(1979年放映)の工藤ちゃんは、正に運が悪くて死んだ……かも、しれない?というようなラストシーンを迎えていますよね。
『探偵物語』について語るのは、また別の機会としたいですが、『俺天』よりはややハードではあっても、やはり非常に軽い感じのコメディ作品と言っていいと思います。でも、その笑いの下に死の影のようなものは観せている。……松田優作も、沖雅也も、ハードなキャラクターがウケて人気を博した俳優さんですが、この時期にコメディを観せる、その同時性や、隠しながらもチラリと観える死の匂いの近似性など。…単純に近しい才能のシンクロニシティといってもいいと思いますが、僕は、ここらへんの匂いを「80年代の空気」と言えるかもしれない……などと考えたりしています。どちらも79年放送開始ですけどね(汗)
ちょっと比較のために、もう一本『傷だらけの天使』(1974年放映)を持ち出してみたいと思います。…ところで、僕は探偵もののTVドラマというと『傷天』、『俺天』、『探偵物語』の3本を有力に挙げるんですけど、皆さんどうですかね?まあ、それはそれとして『傷天』のタイトルにある天使が、『俺天』にも使われているのは、偶然ではない………偶然かしれないけど(汗)いや、というかそもそもの元ネタは『俺たちは天使じゃない!』でしょうけど(汗)しかしっすね。探偵ものをやろうとした時に、かつての『傷天』を思い出さずにはいられないくらい、『傷天』のヒットは大きかったはずです。
…まあ、それはいいとして、先述の二作品よりも昔に放映されている『傷だらけの天使』ですが、これは、かなり「70年代の空気」を持った作品だったように思っています。TVドラマとしては、これと『木枯らし紋次郎』あたりが大ヒットしていて影響も大きかったんじゃないでしょうか。『傷天』も『紋次郎』も以前に記事を書いていると思いますが、非常に“暗い”シナリオの『物語』なんですよね(汗)
▼2008-07-08:傷だらけの天使
このブログでは、度々、「60年代後半から70年代にかけて、何故か妙に暗くて救われない『物語』がウケている時期があった」という話を取り上げているかと思います。(度々って程、取り上げてないかな?……まあ、そんな時期があったとしますと)『紋次郎』も『傷だらけの天使』も、かなり救われない話をばんばんやっていて、今流しても、ウケる~多くの人々に気に入ってもらえる~とは考えづらいwしかし、当時は一世を風靡したと言ってもよく、後の影響も大きいはず。
『傷天』は主人公のオサム(萩原健一)の、子分であるアキラ(水谷豊)が最終回には、まったく報われない、哀しい死に方をします。何の装飾もせずに、もう、ポロッとそうするんですよね(汗)70年代は、そういう“暗さ”をそのまま出すような“空気”があったように思います。今、ここでは何でか?というような考察を書き連ねるのは避けますが。(このブログのどこかの記事で書いているかも)
それが80年代になると、すっと明るくなった。先ほど述べたように死の匂い、死の下敷きは残しながらも、それを隠すようにしながら明るい振る舞いをするようになった。…70年代がある意味「深刻になっている」時期だったとしたら、80年代は「まあ、いい加減、深刻になるのも疲れて来た。飽きてきた」というか……。
ただ、深刻になるのを止めても、それまで深刻な気分にさせていた問題は消えたりしないわけで、そのまま残る。…でも、無視する。その問題が不可避に顕在化するまでは……というような変化が70年代~80年代にかけて起こっていた流れ……かな?と考えたりしています。
まあ、60年代にコメディタッチの明るい『物語』など皆無だったか?というとそんなワケないわけで、そういう意味で今の話は、ある角度から切りだして眺めた際に出てくる限定の景観…という事でもあるんのですけどね(汗)しかし、同じ探偵ものとして、これら3作品の“違い”や“変化”を検証して観るのも面白いんじゃないかと思います。
まあ、今後も、時代的な潮流(?)の考察はちょくちょくやって、自分の体感に落としこんで行こうとは思っています。探偵ものと言っても、けっこう犯罪者すれすれで、無頼なスタンスである所も、70年~80年つないで特徴的かもしれません。
まあ『俺天』は、『傷天』、『探偵物語』ほどヒットしてはいない物語なんですが(でも、根強いファンは多いと思う)、単純に沖雅也さんをはじめ、俳優さんたちのコメディ演技を観ているだけでも『楽しい』作品ではありますんで(あまりのノリノリさに、時々、多岐川裕美さんが、耐え切れず笑ってしまっていたりw)機会があったら観てみて下さい。
あと、メンバーは貧乏食(?)として、アジの丸焼きをトーストで挟んで食べるのを“アジトースト”と呼んで、よく食べているのですが……あれ、美味いのでしょうかね?(´・ω・`)
『俺たちは天使だ!』(1979年放映)コンプリート。沖雅也主演の“探偵もの”コメディですね。麻生雅人(沖雅也)ことCAP率いる麻生探偵事務所のメンバー5人(多岐川裕美、渡辺篤史が、柴田恭兵、神田正輝)が一攫千金を夢見て、様々なヤバイい事件に首を突っ込んで行く『物語』。
しかし、今一歩の所で、どうしても大金を逃してしまう。犯罪スレスレ…というか犯罪そのものの目論見だったりするものだから、元刑事であるCAPの上司だった所の南雲係長(江守徹)なんかに、看破されて証拠品として押収されてしまったり。結果、人助けのタダはたらき。がっくり項垂れる5人。でもしょうがない「俺たちは天使だ!」……と言って場を締めるのがパターンになっています。
もう一つ、物凄く好きなキメ台詞があって~主題歌の歌詞にもあるんですけどね。彼らが一攫千金を獲りに行く彼らは決まって、「運がよければ◯◯万円。運が悪けりゃ…死ぬだけさ!」と気合を入れる。このセリフがすごく好きでして……早世した沖雅也のコメディな演技というのも他作品ではなかなか観れないと思うんですが、そういう明るくコメディなタッチの作品の下敷きとして「……いや?こんなバカやってたら死ぬかもね?」という、さばけたような、白けたような、諦観めいた明るさをこのセリフから感じさせて、強く印象づけます。
「…それこそ、最終回で誰か死ぬんじゃないか?ダーツあたり?(柴田恭兵)」などと考えながら観ていたのですが、結局そういう事は無かったです(汗)念願の一億円を手に入れた彼らは、自分らの夢を叶えるために、それぞれバラバラの道を旅立って行きました。
じゃあ、その死の予感というのは僕の気の回しすぎか?というと、必ずしもそうは思っていなくって……いや、まあ「運が悪けりゃ死ぬだけさ」ってセリフで明示しているからねって事もあるんですが『俺天』とほぼ同時期にやっていた探偵もの~『俺天』の方がわずかに先ですね~松田優作の『探偵物語』(1979年放映)の工藤ちゃんは、正に運が悪くて死んだ……かも、しれない?というようなラストシーンを迎えていますよね。
『探偵物語』について語るのは、また別の機会としたいですが、『俺天』よりはややハードではあっても、やはり非常に軽い感じのコメディ作品と言っていいと思います。でも、その笑いの下に死の影のようなものは観せている。……松田優作も、沖雅也も、ハードなキャラクターがウケて人気を博した俳優さんですが、この時期にコメディを観せる、その同時性や、隠しながらもチラリと観える死の匂いの近似性など。…単純に近しい才能のシンクロニシティといってもいいと思いますが、僕は、ここらへんの匂いを「80年代の空気」と言えるかもしれない……などと考えたりしています。どちらも79年放送開始ですけどね(汗)
ちょっと比較のために、もう一本『傷だらけの天使』(1974年放映)を持ち出してみたいと思います。…ところで、僕は探偵もののTVドラマというと『傷天』、『俺天』、『探偵物語』の3本を有力に挙げるんですけど、皆さんどうですかね?まあ、それはそれとして『傷天』のタイトルにある天使が、『俺天』にも使われているのは、偶然ではない………偶然かしれないけど(汗)いや、というかそもそもの元ネタは『俺たちは天使じゃない!』でしょうけど(汗)しかしっすね。探偵ものをやろうとした時に、かつての『傷天』を思い出さずにはいられないくらい、『傷天』のヒットは大きかったはずです。
…まあ、それはいいとして、先述の二作品よりも昔に放映されている『傷だらけの天使』ですが、これは、かなり「70年代の空気」を持った作品だったように思っています。TVドラマとしては、これと『木枯らし紋次郎』あたりが大ヒットしていて影響も大きかったんじゃないでしょうか。『傷天』も『紋次郎』も以前に記事を書いていると思いますが、非常に“暗い”シナリオの『物語』なんですよね(汗)
▼2008-07-08:傷だらけの天使
アキラ「あにき…おれさあ…足引っ張ると思われちゃやだけど、行くの止めにしないか?」
アキラ「さみしいよ!!みんないなくなるから!!!(泣)」
このブログでは、度々、「60年代後半から70年代にかけて、何故か妙に暗くて救われない『物語』がウケている時期があった」という話を取り上げているかと思います。(度々って程、取り上げてないかな?……まあ、そんな時期があったとしますと)『紋次郎』も『傷だらけの天使』も、かなり救われない話をばんばんやっていて、今流しても、ウケる~多くの人々に気に入ってもらえる~とは考えづらいwしかし、当時は一世を風靡したと言ってもよく、後の影響も大きいはず。
『傷天』は主人公のオサム(萩原健一)の、子分であるアキラ(水谷豊)が最終回には、まったく報われない、哀しい死に方をします。何の装飾もせずに、もう、ポロッとそうするんですよね(汗)70年代は、そういう“暗さ”をそのまま出すような“空気”があったように思います。今、ここでは何でか?というような考察を書き連ねるのは避けますが。(このブログのどこかの記事で書いているかも)
それが80年代になると、すっと明るくなった。先ほど述べたように死の匂い、死の下敷きは残しながらも、それを隠すようにしながら明るい振る舞いをするようになった。…70年代がある意味「深刻になっている」時期だったとしたら、80年代は「まあ、いい加減、深刻になるのも疲れて来た。飽きてきた」というか……。
ただ、深刻になるのを止めても、それまで深刻な気分にさせていた問題は消えたりしないわけで、そのまま残る。…でも、無視する。その問題が不可避に顕在化するまでは……というような変化が70年代~80年代にかけて起こっていた流れ……かな?と考えたりしています。
まあ、60年代にコメディタッチの明るい『物語』など皆無だったか?というとそんなワケないわけで、そういう意味で今の話は、ある角度から切りだして眺めた際に出てくる限定の景観…という事でもあるんのですけどね(汗)しかし、同じ探偵ものとして、これら3作品の“違い”や“変化”を検証して観るのも面白いんじゃないかと思います。
まあ、今後も、時代的な潮流(?)の考察はちょくちょくやって、自分の体感に落としこんで行こうとは思っています。探偵ものと言っても、けっこう犯罪者すれすれで、無頼なスタンスである所も、70年~80年つないで特徴的かもしれません。
まあ『俺天』は、『傷天』、『探偵物語』ほどヒットしてはいない物語なんですが(でも、根強いファンは多いと思う)、単純に沖雅也さんをはじめ、俳優さんたちのコメディ演技を観ているだけでも『楽しい』作品ではありますんで(あまりのノリノリさに、時々、多岐川裕美さんが、耐え切れず笑ってしまっていたりw)機会があったら観てみて下さい。
あと、メンバーは貧乏食(?)として、アジの丸焼きをトーストで挟んで食べるのを“アジトースト”と呼んで、よく食べているのですが……あれ、美味いのでしょうかね?(´・ω・`)
俺たちは天使だ! Vol.1 [Blu-ray] | |
沖雅也,多岐川裕美,渡辺篤史,柴田恭兵,神田正輝 | |
VAP,INC(VAP)(D) |
同じ探偵モノでも『プロハンター』だと最終回で柴田恭平のキャラは死んだりしてて、割とライトだったシリーズの締めとしてはかなり70年代の残り香を感じてしまいましたね。
あーいう80年代のライトさを先取りしたといえば、探偵モノじゃないけど『大追跡』とか『バトルフィーバーJ』とか(笑)
『探偵同盟』とかってどーだったんだろー。
同じ頃に曜日の9時から、TBSは『アイフル大作戦』や『バーディー大作戦』ですね
探偵モノのTVドラマというのは、ワリと初期からあって、キッチリ追ってみると面白いかも知れません
厳密には探偵ではありませんが、『オレとシャム猫』などは洋画探偵ドラマの影響が強烈でした
何処を切っても「日本」なのに吹替ドラマみたいな雰囲気が却って面白かったです
> 第5話のキャップの刑事時代の過去の話とか決着をつけなかったんで
そうなんですよね。もしかしたら20話以上続けていたら、あそこらへんの展開で“死”が訪れていたかもしれないなと…。
> あーいう80年代のライトさを先取りしたといえば、探偵モノじゃないけど『大追跡』とか『バトルフィーバーJ』とか(笑)
80年代…ふむ(考)…探偵モノじゃなく、刑事ものとしては『大追跡』1978年、『マッドポリス80』1980年を上げたいですね。
これらのノリは『ワイルドセブン』が元に思えます。そして『W7』は70年代を代表する作品だけど、すごい先取り感があって、それは80年代だったのじゃないかと思えます。
> 『探偵同盟』とかってどーだったんだろー。
『探偵同盟』はかなりコメディで、暗い所はなかったように記憶しています。
modstoonさんが挙げた『アイフル』や『バーディー』からさらにコメディ色部位を掬い挙げたようなイメージです。(…違ったかな?)
Re:modstoonさん
> 同じ頃に曜日の9時から、TBSは『アイフル大作戦』や『バーディー大作戦』ですね
『アイフル』や『バーディー』は『キイハンター』1968年の流れですよね。『キイハンター』が『アイフル』に変化するポイントを探るのは面白そうです。
1968~1972年放送とは言え、『キイハンター』には60年代の匂いがするんですよね。