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今週の一番『振り向くな君は』~GK千手くんは素晴らしいキャラだった。

2011年07月16日 | マンガ
【6月第4週:英雄企画ハーフマン 第1話 変身!ハーフマン】
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千手「割れるものなら割ってみろ、俺はここしばらく…自分の後ろでネットが揺れるのを見ていない」

『振り向くな君は』(作・安田剛士)が、ここの所すごく良くって、特に椿原実業のスーパーGK・千手くんのキャラの立ち方がハンパなかったです。『振り向くな君は』は、喘息持ちのサッカー少年・成神蹴治と、蹴治の父・龍にサッカーを教わった犬神かおるの二人の天才が廃部寸前だった弱小の高校サッカー部に入る『物語』。最初はサッカー部が校長に意地悪されていたりしたんですが、最近はそういう事もなくなりました。

それで、千手くんは、対戦相手(椿原実業)のGKというワケなんですが、登場の仕方がなかなか凝っていて、最初、公園でサッカーをやって小遣い稼ぎしている小学生として登場するんですね。…いや、小学生というのは蹴治くんたちの誤解で(でも多分、千手くんは対戦相手にも小学生と思わせていた気がするけど)、本当は高校生だったという事が後から分かります。要するに身長がすご~く低い少年なんですね。
しかし、蹴治のチームメイトで急造のGK近藤くんは、彼を小学生と思いつつも、その卓絶した守備能力に惚れ込んで弟子入りをする。そうして大会が始まって勝ち進むと、相手チームの小学生だったはずの千手くんがいると。そんな展開です。

…これ、ある意味では主人公の一人・蹴治くんの対比キャラとして千住くんは在ります。元々、蹴治くんがチンチクリンの子どもっぽいキャラとして描かれていて、強敵のチームには一人は空気の違う変人(?)がいる…ような感じにキャラが組まれています。えっと、ほら『県立海空高校野球部員山下たろ~くん』(作・こせきこうじ)とか、チンチクリンのたろ~くんに合わせて、対戦校のチームにも一人くらいチンチクリンの奴がいたりしたじゃないですか?あるいは『ガッツ乱平』(作・百里あきら)の乱平がチンチクリンなら、九鬼くんもチビ…みたいな?そんな感じの構図なんでしょうね。

しかし、元々、フィジカルの強さが重要な要素であるサッカーにおいて守備陣のしかもGKの身長が小学生なみというのは相当、致命的なハンデと思われるんですが…サッカーよく知りませんが。そのハンデを物ともしない、否、そのハンデを抱えていたからこそ、自分はここまで強くなれたという、千手くん可愛い顔をしてそういう自信の塊のような堂々たるサッカー・プレイヤーとして描かれています。
実際、自分より身長があって、おそらく対戦相手になる事も想像はしたであろう近藤に、惜しみなく自分の技術とメンタルの制御を叩き込んで行くシーンは、あとで彼が対戦相手と解った時にすっげぇカッコいいものとして映ります。



そうして彼自身のプレイスタイルは「そもそもシュートを打たせない」という形に集約される。的確に守備陣に指示を出してシュートを防ぐ、仮に無理に打ってきたとしてもシュートコースを限定しているから、楽々とセーブする…というファインプレイを必要としない形で試合を運んでゆく。
それらのタクティクスは、蜘蛛の巣の網のようと比喩されていたんですが、それを崩し抜けてきた相手に対しては卓絶した反応でゴールを割らせない。スーパーセーブしてしまう。個人技もまるで引けをとらないGKで、犬神くんのPKをがっちり読みきってキャッチしてしまうシーンとか、本当にカッコ良かったです。可愛い顔して。(´・ω・`)

また、あまり多くは語られていないのですが、廃部寸前だったサッカー部を主人公の蹴治たちが息を吹き返させたように、千手くんは千手くんで、ダメだったサッカー部を立て直したドラマがあるようなんですが~千手くんは、そもそも強豪校のセレクションは通れないキャラ…というのがまた良い~そこらへんの断片描写もぐっと来ます。
千手くんの話に終始しましたが、今後、対戦相手にこんなキャラがいろいろ出てくるかと思うと『振り向くな君は』は、すごい愉しみです……と、書いて締めたい所だったんですが…………実は、この時点でこの連載が終了してしまっている事が確認されています。………やあ~なんでぇ~???これから面白くなりそうだったのに~!!打ち切りですか~。

……ちょっとだけ、後から言える“結果論”の話をさせてもらうと、千住くんが現れるまで、どことなくキャラクターが均一な感じというか……「画面が詰まらない」感覚があったんですよね。……黒い髪の子が多くてベタが強過ぎというか…?キャラを描き分けているのは、分かるんですが…どうも均一な感じ拭えない、ページが目に止まらない。“損”をしている。
今、僕は千手くんを持ち上げているのですけど、その前に登場していて、おそらく千手くん以上のライバルとして設置されている“黒夜くん”という天才プレイヤーがいるんですが、彼のキャラ造形も決して悪くないんですよね。いい感じなんです。黒夜くんは「理屈上は千手くんに引けをとらない」キャラのはずなんですが、結果として僕が「おっ?」と思ったのは「チビで、髪が白い、千手くん」でした。引けをとらないなんて言いましたが、ビジュアル含めたキャラの完成度は千手くんの方がやはり上だと思います。
…いや、でも、そういう掴みにならない程、黒夜くんが精度の悪いキャラかというとそんな事は全く思わないので……結局、難しいなあ~?って話にしかならないのですけどね。

まあ、でも単行本は出るでしょうから、気になった人は買ってみて黒夜くんや、千手くん、その他のキャラの造形の違いなんかを観ていってみても『面白い』かもしれません。“終わり”には辿り着けなかった物語ですけど、そんなに悪くない。色々観るべき所があるように思います。


振り向くな君は(3) (少年マガジンコミックス)
安田 剛士
講談社


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4 コメント

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そうですねぇ (kuirou)
2011-07-16 09:43:14
キャプテンとしてチームを引っ張るところもドラマがあって良かったですね。
どちらのチームも、チームやキャプテンへの「思い」を描けてて。
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Unknown (haruka)
2013-02-18 20:40:22
俺も、この漫画大好きだった。overdriveから読んでた(^ ^)
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DAYS (はらへり)
2016-06-09 19:32:41
誰だか分からない人物でした。
でも、その解説や言動からはかなりの実力者。

「DAYS」での千手君です。

正体が分かって良かったです。
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Re:はらへりさん (LD)
2016-06-15 00:31:11
あ、あの子、千手くんですか。成る程。
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