今何処(今の話の何処が面白いのかというと…)
マンガ、アニメ、特撮の感想ブログです。




11月第3週:恋染紅葉(シーン28 恋染紅葉)
http://www.tsphinx.net/manken/wek1/wek10567.html#765

【漫研】
http://www.tsphinx.net/manken/



※すみません。『今週の一番』の編集/更新が遅れており記事自体が非常に古いです。本人も思い出し思い出し書いています。(チャット自体は毎週やっていますが)

この週の頃、『アゲイン』(作・久保ミツロウ)のレオちゃんが滅茶苦茶輝いていたなあ(笑)この輝き方は異常だったなあ(笑)と思う次第。
『アゲイン』は友達も無し、部活も無し、何も無しで高校3年間の生活を終えた男、今村金一郎は、卒業式の日に3年前にタイムスリップしてしまう。事態を正確に把握せぬまま、今村は3年前に気になっていた人物、応援団の宇佐美良子に声をかけ、応援団に入部してしまう。応援団が宇佐美団長一人で廃部になってしまう未来を知っている今村は、その未来を何とかしようと考え始める…といった『物語』。

レオちゃんというのは、タイムスリップした今村の行動の変化によって、今村の事が好きになってしまった少女で。地に足のついたように普通で、真面目で、でもダメな女の子?とでもいう感じでしょうか。いや、すごく可愛いのですが。
それがタイムスリッパーとしては新規投入の新キャラ(?)ヒロくんの登場で、~こいつも非っ常に『面白い』キャラなんですが、こいつについてはまた改めて~ヒロくんにそそのかされていというか、炊きつけられて、今村に猛アタックをかけていたのがこの週のエピソード。……この子、いろいろ影響受けすぎ(笑)でも、非常にはらはらしました。

今、『アゲイン』は演劇編とも言うフェーズに入って、これも全くどうなるか予想もつかない展開で面白いのですが、残念ながらレオちゃんの出番が完全にスポイルされてしまっているんですよね。……最近、チョイ役で出て来ましたが、チョイ役っぷりが拍車をかけて悲しかった…orz
ちょっと、ヒロくんと絡んだ時のキャラとしても『回り』方がすごかったので、危険視されたのかも…とも思うのですが、いずれレオちゃんのターンが再び回って来て欲しいものです。

アゲイン!!(7) (KCデラックス)
久保 ミツロウ
講談社


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漫研ラジオ/ガルガンティア+マジェスティックプリンス+ヴァルヴレイヴ 2013/05/26

https://www.youtube.com/watch?v=qiCDf55QQKQ&index=9&list=PLusUXoPKOyjgCXZEAY3cL0wAgGpkE_3Mc

参加者(敬称略):レスター伯、GiGi、LD
話題:今期(2013年2Q)、深夜のオリジナルロボットアニメ3本→『翠星のガルガンティア』、『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』、『革命機ヴァルヴレイヴ』の話をしています。
  • 0:03:55-『翠星のガルガンティア』の話題
  • 1:02:11-『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』の話題
  • 2:02:31-『革命機ヴァルヴレイヴ』の話題

    翠星のガルガンティア Blu-ray BOX 1
    石川界人,金元寿子,杉田智和
    バンダイビジュアル

    銀河機攻隊 マジェスティックプリンスVOL.1(2大イベント抽選応募券封入)Blu-ray 初回生産限定版【ドラマCD付き】
    相葉裕樹,浅沼晋太郎,日笠陽子,井口裕香,池田純矢
    東宝

    革命機ヴァルヴレイヴ 2【イベントチケット優先販売申込券封入】(完全生産限定版) [Blu-ray]
    逢坂良太,木村良平
    アニプレックス


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    http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12973/1368018071/16n-




    第二十三回「BLOOD PINE ARMY」

    投下終わりました。前回の反省から短めに作れるようにしました(?)なるべく二週間投下ペースを守りたい所です。次もがんばるぞ。

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    漫研ラジオ/はがない+俺ガイル 2013/05/24

    https://www.youtube.com/watch?v=HEsfIyxMYMM&index=10&list=PLusUXoPKOyjgCXZEAY3cL0wAgGpkE_3Mc

    参加者(敬称略):ペトロニウス、レスター伯、LD
    話題:『僕は友達が少ない』、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』と言った話題を中心にしています。

    僕は友達が少ない 8 (MF文庫J)
    ブリキ
    メディアファクトリー

    やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7 (ガガガ文庫)
    ぽんかん(8)
    小学館


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    物語三昧ラジオ/放課後のトラットリア+セディック・バレ 2013/05/17

    https://www.youtube.com/watch?v=3Gamw66JL1Q&list=PLusUXoPKOyjhb1VObOUtGnZKwbe2Qu9NC&index=37

    参加者(敬称略):ペトロニウス、LD
    話題:なろう、『放課後のトラットリア』、『セディック・バレ』等

    放課後のトラットリア 1 (メテオCOMICS)
    水口鷹志,橙乃ままれ
    ほるぷ出版

    Warriors of the Rainbow: Seediq Bale-Long Version [Blu-ray] [Import]
    クリエーター情報なし
    メーカー情報なし


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    11月第2週:ベイビーステップベイビーステップ(#232 挑戦する時)
    http://www.tsphinx.net/manken/wek1/wek10566.html#764

    【漫研】
    http://www.tsphinx.net/manken/


    この週で『ベイビーステップ』(作・勝木光)の緒方戦が決着しました。『ベイビーステップ』は、成績優秀の優等生である
    丸尾栄一郎くん事、エーちゃんが、テニスを知ってプロテニスプレイヤーを目指すようになる『物語』、彼の戦い方は勉強一位だった時の手法「ノート取り」を利用し、とにかく勉強を黙々と続けられる才能を利用したものです。

    で、対戦相手の緒方くんは、正に死角のない難波江の上を行くような天才で、試合がはじまった時は、主人公のエーちゃんが勝てる要素など無いようにさえ思えたのですが、終って見れば納得の試合内容で勝利していました。
    「納得の試合内容で勝利」ってなかなか説明が難しいのですが、また試合をすれば、今度は緒方くんが勝つかもしれない。しかし、エーちゃんは確かに緒方くんから勝ちを奪える状況を生み出し、そして堂々と勝ちを得た。『ベイビーステップ』は、こういう勝負のリアリティ、臨場感が素晴らしいです。



    ちょっと緒方くんについて解説すると、かつて池爽児(作中最強の日本プレイヤー)をしのぐ天才と言われた少年だったのですが、腰をやられて三年間リハビリで、テニスができない状態が続いた。そのため池くんには差をつけられているのですが、それこそ以前よりも、あらゆる面において成長を遂げてカムバックして来たプレイヤーです。
    ……エーちゃん『BE BLUES』(作・田中モトユキ)の龍ちゃんと対戦するような話です。エーちゃんは、いわばちょっとしたスポーツマンガの主人公を相手にしていて、実際にそうと思えるような展開で試合が進められて行く。たとえば「この片手バックハンドは、怪我をしたから手に入れる事ができた」みたいな事を言ってくるワケです(笑)

    しかし、『ベイビーステップ』が素晴らしいのは、それで勝負が決まるワケではないという事を見事に描いている事です。
    たとえば、エーちゃんは試合中にも成長を遂げてキャリアで勝る相手プレイヤーに肉迫して行くのですが、この「試合中に成長する事」はエーちゃん=主人公の専売特許じゃないんですね。この『物語』では。この緒方くんも様々な影響から、自分のプレイスタイルを進化させている。

    昔の少年マンガに擦れた僕の視点からの説明になりますが、高校テニスプレイヤーの頂点を決める戦いなのですから「努力」の足らない奴なんているはずがない。当然、「試合中に進化する事」も標準装備。「精神力」で負けないって、精神力だってここまで来れた者である以上、誰かに劣るものであるはずがないんです。
    ……じゃあ、その上で勝負を決めるものって一体なに?とうのが見事に描かれる。有り体に言えば、それは「互いが今まで積み上げて来た武器の噛み合わせ」であり「運」なのですが(その為か、このマンガの唯一の“偏り”と言うか「オールラウンドプレイヤーが強い」という傾向がある気がする)、そこに到るまでの努力、精神力、進化、そして己の武器の確認の描きが十分に積み上げられているから緊張感のあるモノになる。

    ……つまり最後に勝負を決めるのはジャンケンみたいなものなんですが、そこに到るためには相応の相手と拮抗しうる積み上げが必要なんですよね。『ベイビーステップ』はそれが描けています。

    ここから緒方戦の勝負の機微を解説したくもあるのですが、長くなってしまうので切り上げます(汗)読まれる人は、是非、細かな出来事を注意して観て欲しいです。ネットタッチや、雨天中止、ミスジャッジまで起っており、それでいてそれは「普通に試合で起こる事」として、必ずしも勝負そのものを決めるものではない事象として描いています。
    でも、細かく、細かく、勝負の天秤を揺らして行く(笑)そこがたまらないですね。

    ベイビーステップ(24) (講談社コミックス)
    勝木 光
    講談社


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    物語三昧ラジオ/輪るピングドラム 2013/05/11

    https://www.youtube.com/watch?v=gB_Fn0uI_rQ&index=39&list=PLusUXoPKOyjhb1VObOUtGnZKwbe2Qu9NC

    参加者(敬称略):ペトロニウス、LD
    話題:『輪るピングドラム』について。

    輪るピングドラム プリンセス・オブ・ザ・クリスタル (1/8スケール PVC塗装済み完成品)
    グッドスマイルカンパニー
    グッドスマイルカンパニー

    輪るピングドラム コンプリート DVD-BOX (全24話, 540分) ピンドラ アニメ [DVD] [Import]
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    11月第1週:山田くんと7人の魔女(第36話 コーフンしてるー)
    http://www.tsphinx.net/manken/wek1/wek10566.html#763

    【漫研】
    http://www.tsphinx.net/manken/

    この頃、少年チャンピオンで『愛のかたち』(作・藤近小梅)、『秘境ハンター』(原作・佐倉遼太郎、漫画・宮谷拳豪)が短期集中連載で載っていて、これがなかなか楽しかったので、紹介しておきます。



    『秘境ハンター』は…どうやら主人公は冒険者か何かの人みたいなのですが、けっこう山とか都会とか関係なく分け入っている人みたいです。それで、道端で何か変な訓練をしています。……それにツッコミを入れると、どこかに連れて行かれます。どこかというか秘境なんですが「町で発見したオレのお気に入りの場所」みたいなものですね。まあ、そんな感じの『物語』でしょうか?(`・ω・´)
    画でねじふせている所があって、自信満々の秘境ハンターを見ていると「秘境ハンターが、そう言うならそうなんだろう…」という気になってきます。そこらへんが痛快でした。



    『愛のかたち』は、ちょっと変わった愛情表現をする女の子のオムニバスですかね。いきなり、リコーダーをばりぼり食べられた時は、ビビった……って、まあ、そんな感じなんですが。

    どちらも短期で終ってしまい、もう少し量を読みたかったのですが……まあ、これ、本格連載すると作家さんの消耗がかなり激しそうなネタなので、このくらいでしょうかね?
    時々、チャンピオンでは、そういう短期集中連載やっててそれが良かったりします。本当に人気あると『イカ娘』とか『りびんぐでっど』みたいに本格連載になります。(↓)下記で、同じような出し方の鈍足毎日先生の話も書いてます。

    今週の一番『ストライクライクラブ』~鈍足毎日先生は何か連載はじめて欲しい。
    http://blog.goo.ne.jp/ldtsugane/e/8034ce2fec084da3f1a766e8d920b109


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    http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12973/1359277811/826n-




    第二十二回「天王寺合戦」

    投下終わりました。段々、一話一話が長くなっていますね。二週間一話のペースが守れるように短く戻したい所です。次回も二週間後を目指します。


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    【友達欲しい系】

    先日、海燕さん、ペトロニウスさんとニコ生放送で話していた事を書き留めておきます。

    僕は友達が少ない (MF文庫J)
    ブリキ
    メディアファクトリー

    やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫)
    ぽんかん(8)
    小学館

    最近、僕らの間で話している事で、ラノベ~アニメあたりの界隈で「友達系」?「友達欲しい系」?が出てきているよねという話題があります。

    「友達欲しい系」って何か?この“見立て”の経緯をまともに話すと長~くなってしまうのですが、かいつまんで話すと、まずハーレム構造の物語というのがあります。「友達欲しい系」って単純に「友達ほしがっていればそうだ」って話ではなく、このハーレム構造の物語の中から出てきたもの(そう解釈できるもの)が、この話題の対象になります。

    ハーレム構造とは何かって言うと、まあ、分かると思うのですが主人公1、ヒロイン多と言った構造のものですね。
    31人ヒロインがいるという『魔法先生ネギま!』などが代表にして極北な感じ(笑)で、この構造はかなり長い期間、一定の勢力を持ち続けていたし、今でもその威力は継続されていると思います。
    しかし、今例に上げた『ネギま!』が収束に向かう時期あたりでしょうか。「ハーレム構造の流れの中から、何かちょっとハーレムっぽくない別の流れが出てきたぞ?」という物語が生まれてくるようになった。

    具体的に言うとハーレム構造のはずなのに男性キャラの数が増えた。
    本来、ギャルゲーとか見れば分かると思いますが、あの世界って主人公以外はナビゲーション的なモテない男友達が一人で、他は不要という姿勢だったんですが、それがそうでもないものが出てきた。

    最近アニメ化した『リトルバスターズ』とか、ハーレム構造と言っていいかどうかは別として『AngelBeats!』も同じ系統に入れていい気がしています。それと『真剣で私に恋しなさい!』もあげたい。これらは“ギャルゲー系”にも関わらず男との付き合いのパートがある。
    ギャルゲー、エロゲーをやっているはずなのに何で男とくっちゃべってなきゃならんのよ?って感想になると思えるのですが、“何故か”そういうものが出てきたんですね。ハーレム構造としては余分だったはずのものがつき始めた。
    あと他に『ペルソナ4』も上げたい。僕が観たのはアニメなんですが、これも主人公中心にハーレム構造になっているのですが、どうも物語を観ていると“そこ”が重要視されていない。むしろ男女混じったグループ自体にその価値を見出しているように見える。…ちょっと毛色が違いますが『仮面ライダーフォーゼ』もこの系統ですね。
    これらの系統を僕らは、ハーレム構造の志向が行き着いた先に「恋人が欲しい(恋人が沢山欲しい)」という要求よりも、「友達(仲間?)が欲しい。友達はどうやったらできるの?」という要求に変わって来たんじゃないか?という解釈で捉えようとしました。まあ、それが「友達欲しい系」というヤツです。

    そこからさらに、この観点で物語を読み解こうとしたのが『僕は友達が少ない』、『ココロコネクト』、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』あたりでしょうか。……ラノベばっかですねアニメ『TARITARI』もこの系統に入れていいかな?
    さて、『はがない』、『俺ガイル』は構造としてはハーレムものを形勢しているように見えるのですが、主人公の要求(つまりテーマ)は友達にあるように観えます。『ココロコネクト』、『TARITARI』は男多+女多で物語が進み、その中には恋愛模様も描かれるわけですが、必ずしも恋愛主体の物語ではないと観ています。むしろ男女グループで何を為すかが主体なはず。そういう“感じ”の流れが見て取れるなと思うわけです。

    ……で、ここから、それを前提とした「次の話」なのですが。

    これらの『物語』は「友達がいる物語」、「友達が欲しい物語」といった“友達讃歌”を高らかに歌い上げている物語に観えるのですが……「本当にそうなのかなあ?」と僕は思ってしまったんですね。
    そうですね、『リトバス』、『マジ恋』、『ココロコネクト』あたりはバリバリの“友達讃歌”だと思います。そういったものに対するノスタルジーに近い観すらあります。ここらへんは、まあ「本当にそう」なんでしょう。

    しかし、近年、かなり当たったのではないかと言える『はがない』、あるいは『俺ガイル』なんかは、“ぼっち”スタートの話なわけです。言わばこの『物語』は「ぼっちを対象にメッセージが送られている」と……必ずしも、そういうワケではないと分かっていて敢えて言いますが(汗)まず、フォワードに設定した受け手は“ぼっち”(あるいはそれに近い心情の人)だと思えます。

    そう考えた時、果たしてこの“友達讃歌”は“ぼっち”に対して癒しを与えるのか?……って思ったんですね。
    『はがない』の第一巻の第一章においてこういうセリフがあります。(↓)
    「……そもそも、私はどうしても友達が欲しいわけじゃない」
    「え?」
    「……友達がいないことがイヤなのではなく、学校とかで『あいつは友達がいない寂しいやつだ』と蔑むような目で見られる事がイヤなのだ」
    「あー、なるほど」
     なんとなくわかる。
    『友達がいること=いいこと』というのは基本的にその通りだと思うけど、それが世間では『友達がいないこと=悪いこと』と同義のようになっている。
     それはちょっと違うんじゃないかと俺は思う。
    「私は一人でも平気だ。学校での友人関係なんて上っ面だけの付き合いで十分だ」
     三日月の声には、どこか無理が感じられた気がした。

    (『僕は友達が少ない』第1巻より)

    ……けっこう、いい事言っていると思いませんか?僕はここにすごく共感しました。べ、別に僕は、ぼっちじゃないよ!きっと!(`>ω<´;)……いや、世間ってけっこう一拍の疑念もはざまず「これが正しい!」とか「これが幸せモデル!」とか言っちゃう題目や看板がそこら中にありますよね?僕はわりと一々「そうかなあ?」と考えちゃったりする所があるんですよ(汗)このセリフ、そこの琴線に触れる所がありました。

    で、『俺ガイル』でも上記に近い心情の吐露があったりして、「ぼっちの物語」としては、ここは急所の景観に思えます。
    ぼっちは「友達ができた!嬉しいな!」で癒される事もあるでしょうが、それと同じくらい「別にぼっちでもいいんだけど?」(この思いは、実際にぼっちじゃない人でも抱く事はあるはず)という思いを瘉されたいのではないか?現代だとその層はけっして少なくないのではないか?…と感じるのです。

    しかし、おそらく、これらの物語は“そっち”へは向かっていない。

    どういう事かというと……『はがない』や『俺ガイル』はまだ完結していない『物語』ですが、おそらく「ぼっちでは無くなる」結末を迎えても「ぼっちを癒す」結末にはならないだろうと思われます。
    というか、読めば…いえ、「読まずとも分かる」と思いますが(笑)『僕は友達が少ない』は、こんなタイトルにも関わらず友達、恋人(その候補)が溢れています。『俺ガイル』もそうです。ただ、それに気づいていないだけという構造を持っています。

    主人公である貴方がそれに気づいていないだけ……“青い鳥”は貴方のすぐ隣にいるんだよ?というストーリーラインを描く。そういう「分かりやすいハッピーエンド」に向かうであろう事は、ある程度読み進めれば想像できる事かと思います。
    しかし、そうすると、どうなるか?「ぼっちではなくなる」というテーマは果たしますが、「ぼっちを癒す」というテーマはどこかに霧散してしまう。

    「ぼっちで無くなるハッピーエンド」は、ぼっちの者(その心情に共感する者)にこう語りかけます。
    「分かるか?やはり、ぼっちは不幸な事なんだ?つまり、今のお前は不幸なんだ。この物語の主人公はそこを脱する事でハッピーになれた。お前も“そう”変わるべきなのだ!……なぁに、気にする事はない。お前はすぐそばの幸せに気づいていないだけなんだ。気づけ、そして、見つけろ!お前の幸せを!ハリー!早く!ハリー!早く!」

    ……先に言っておくと僕は『はがない』や『俺ガイル』がダメな物語と言っているわけではありませんからね?(汗)今僕が語っている事をテーマの主体としていない事がいけない事と言うつもりもない。むしろ、『はがない』の事は超・好きで、別の角度の話をさせても、相当いろいろ語れると思います!(`・ω・´)
    また、社交性がないというのは、寂しい寂しくないを超えたマイナスがあるので、他者と接する事、他者に合わせる事(不干渉ではなく干渉しつつ尊重する事)は、多少の精神的圧迫を与えてでも、それを身につけさせた方が良いように思えます。

    しかし、『物語』というのは、必ずしも社会的な正しさの教科書ってワケではないですから。他者にとってダメな状態であっても、そこを癒すという姿勢はアリに思っています。
    三日月夜空さんが言った「……そもそも、私はどうしても友達が欲しいわけじゃない」は、ある層の心情を強く代弁する言葉だと、僕は思ったのですが、一般的なストーリーラインを描く限り、そこは宙空に散ってしまう。
    “三日月の声には、どこか無理が感じられた気がした。”と既に伏線が張られているように、「夜空が友達がいた事に気づいてしまう物語」は、「夜空はやはり友達を欲していたんだという物語」に収斂してしまう。

    ……ちょっと別の言い方をすると「お金持ちになりたいワケじゃない」という心情(テーマ)は、正確に言うと「お金はあってもなくてもいい」という心情であり、それは別に「お金持ち」になったとしても、失われるわけではない。
    しかし、テーマを見せる『物語』としては、お金が欲しいワケじゃないと言っていた主人公がお金持ちになってしまったら、受け手の中にある強い幸せモデル「自分はお金が欲しい!お金持ちになれてよかったね!」という心情が、そのテーマをかき消してしまうんです。

    繰り返しますが『はがない』、『俺ガイル』がこのテーマを取り扱っていると言っているわけではないです。僕が勝手に気にしてしまった視点で、物語を眺めているだけの事です(汗)
    そして、エンタメを扱う限り、こっちの方向への展開はできない……非常な困難がある事は分かり切っている事です。何でかと言うと……

    こっちの地平には“王道”がないからです。

    文学や芸術なら、こっちの方向へ向かったものはいくらでもあると思うんですが……いや、マンガにだってあるんですが、でも、それだけではエンタメの王道とはならない。
    ここで言う王道というのは、受け手の多くがそれを楽しみ、送り手の多くが楽にその道を通れるようになってはじめて王道となる。
    その意味において「私はどうしても友達が欲しいわけじゃない」という心情の道がどこかに辿り着こうと思ったら、ほとんど道なき道を進む必要があって、とてつもない困難がある。かく言う僕自身が、この方向の展開に対して具体的なストーリーラインをイメージできているワケではないんです。王道に当てはめられないから(笑)

    …が、一昔前なら「こういう変わり者もいますよ?」くらいのバリューにしかならなかったテーマが、もう少し共感を持って迎えられる土壌が現在は存在しているのではないかと思うのですよね。
    王道とは行かないまでも、新たな交易路を期待できるくらいにはなっているのではないか。一時の世相かもしれませんが。

    まあ、そんな感じに「存在しない路線」(←これ重要!)を考え、想定して他の『物語』たちを眺めたりしています。
    そうすると、けっこう、それっほいものも出てきている事に気づく(笑)『湯神くんには友達がいない』、『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』あたりが、そんな感じかなあと。

    湯神くんには友達がいない 1 (少年サンデーコミックス)
    佐倉 準
    小学館

    私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(1) (ガンガンコミックスONLINE)
    谷川 ニコ
    スクウェア・エニックス

    大分、長々書いたので、ここらへんで切り上げて、この二作品の話や、さらに続きの話は、また別の機会にしたいですが、ちょっとそこらへんを妙に気にしていますよという話でした。


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