おもひでとともに去りゆく




おもひでを残して・・・

国分寺の「鷹」という店をご存じでしょうか?学芸大学の最寄り駅、国分寺駅から歩いて10分ほどの所に赤い暖簾、地元の学生たちに愛されてきた「鷹」。この「鷹」がついに閉店になってしまいました。先日の学芸大学での演奏帰り、恒例のごとくここで飲もうと話になり、立ち寄ってみると暖簾は出て無く、開いた扉から中をうかがうと、ママが他の方とお話ししていました。店のカウンターに所狭しとあった酒瓶などは既にありませんでした。


幸い、この時にママと話すことが出来たのですが、この「鷹」という店は開店してから25年経つそうです。そして、この時始めて知ったのですが、開店した当初から25年で店をたたむことを決意していたとのこと。特に営業を続けるにあたり不都合があったわけでも無く、人々に愛され続けてきた店なだけに、残念に思うのはCABEZÓNだけではないでしょう。でも、その様な状況でありながらも自らの信念を貫いて閉店を決意したママに、揺るぎない強さを感じざるを得ませんでした。



この店のことを考えると、かつて29歳という若さでこの世を去ったトロンボーン吹きの事を思い出してしまいます。事故当時、バンドメンバーだった彼は私の兄弟のような存在でした。酒を飲んでは音楽に関する蘊蓄や、恋愛、至っては教え子の話をしていた姿がまぶたに浮かびます。彼にとっても、この店はちょっとしたときに寄ることが出来て、一息付ける場所だったとのでしょう。この店には、イラスト好きだった彼が絵を描いたボトルが残されていて、かつての友人がそのボトルを飲んでは中身だけ継ぎ足してゆくということが延々と続けられていました。ある時代を生きた人と居酒屋が作る人と人とのつながり・・・。時代の移り変わりとはいえ、とても寂しく感じるのは私だけではないでしょう。


Editor CABEZÓN

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